2009.2.14.バレンタインの朝
バレンタインの朝
――出遅れたッ!!
やはり行っていた超連続更新……このYU-SHOW、一生の不覚ッ! 急ぎ追いかける次第。
おーはーよー
ござーいーまーすーっ
どぉーんっ♪
げふぅっ!? ……とされてもぐーすか惰眠を貪っておりましたリアル俺の処遇については後にじっくりと弁護士なしでの審議を行うとして、バレンタインの朝一番を飾ってくれたのは、僕らの超一歳児・青空さんによるボディアタックでありました。いつものことながら、なんという超身体能力か……! もうすでによつばとのよつばぐらいの活発さがありますよね。
で、どうもこの攻撃は、お馬さんに乗ってはいどーはいどーと、すなわち騎乗スタイルを模して遊んでおられるようなのですが……い、いやいやいや。こんな聖なる日ぐらいには紳士たれ俺。
おにいちゃん、
おめめさめた?
……言い難い話しながら、リアル俺の方は昨夜のスト4&ギレン(というかわりと数時間前まで)の疲れが響いて、ついつい布団の魔力から逃れることが出来なかったわけですが、まあそこはそれ。一生の不覚ながら深くは考えないことに……ああ駄目だ、脳が冴えない。青空さんもう一発強烈なエターナルデボーテ(仮)お願いします。
さて――そんな不覚をとったリアル俺は捨て置くとして、
みんな、
とくべつのおやすみだよ。
そらも!
うれしいな
ちょこのおやすみだよ。
……そうなんですよ。このトゥルーの中で一番特別な日が、休日であることの幸福――! 愚かな俺はそれの数時間をスポイルしてしまったわけですが、なにはともあれ、このトゥルー超連続一日中更新しまくりデーを堪能するには最高の日程というほかありません。リアル俺たちにはそれぞれ都合もあるでしょうが、なによりトゥルー内の姉妹たちがみんなお休みっていうのがいいですよね。去年は学校が終わる時間まで、小さい子たちしか更新できませんでしたから。まあ、あれはあれで、トゥルー内の平日の流れというものを実感できてステキな経験だったわけですが……。
ともあれこれからの残り十数時間、気合を入れてついていこうかと!
……と、気合を入れたその先から、なにやら青空のハニートラップが。いつまでも惰眠を貪るリアル俺に合わせてくれたかのように――in おふとん!
もっかい、おふとんはいった!
えへへ――のぎゅ♥
――バレンタイン開始直後に萌死の危機! ……いや、危機っていうか、萌え死んだ事実というか! さすがはバレンタイン、青空も含め、姉妹みんなの帯びた空気が、いつも以上に甘ったるくなることを覚悟すべきってことなのでしょう。OKOK、覚悟完了!
あ!
キリンさんはっけん!!
……だから俺は! 今日一日! 紳士でいると!
……ゆえにそのキリンの命はどうかお助け下さい青空さん。決してこの家族内で、ましてやこんな日に、何も悪さはさせませんのでその首長竜(誇張)には。
……と、まあ。
のっけからこれって……生き残れるんでしょうか俺……
おはようございます♥
私の――
王子様♥♥♥
最初の文からこの濃厚な甘いオーラ!
さすがは春風さん、寝起きの朝食時だというのにフルパワーでのラブを放ちまくってくださってますね。このバレンタインという日、女の子であれば多かれ少なかれ甘ったるい空気を纏っていてもおかしくはないわけですけれど、こと、春風さんのそれは……濃度がケタ違いというか、格闘家に例えるなら、路上でいきなり花山薫と遭遇したかのような迫力すら感じます。で、手に持ってた薔薇の花束をギュして、生絞り香水をつけてくれるわけですね。
とりあえずは起きたトゥルー俺に挨拶などしつつ、食事の用意をしてくださっている春風さん。空気は甘ったるくとも、こういうお母さん(――対トゥルー俺についてのみ、若奥様と表現すべきかもですが、そうするときゅん死しかねないので配慮)っぷりは欠かさないのが彼女の魅力というか。
しかしながら――
今日はいよいよ――
うふふ♥
恥ずかしくって――言えないわ。
……ああ、昂ぶってますね。俺たち以上に。麗が見たら、頭に春風って表現ではすまないかもしれませんが、この濃厚極まる乙女オーラを体の内に封じ込めようとしつつ、それが押さえきれずに漏れ出している様は、俺たちの気をもいやおうなく高めてくれようというものです。
今日はいろいろと、「ある」ので、早めに帰ってきてくださいとの春風さん。……いや、リアル俺もトゥルー俺も、こんな究極的なまでに大事な日に出かけようなんて思わないのですが、そのあたりはさすがの配慮というべきでしょうね。春風さん、しっかり大人です。
ただ、そのテンションが――
春風――
待ってます。
ずっとずっと――
どんなことがあっても。
いつか王子様が白馬に乗って
春風を迎えに来てくれるのを――
……………………。
い、いや。どう反応しようかと困っていたら、さすがに春風さん自身が「いっけない♥」ってセルフツッコミを入れてくれたことで難を逃れたわけですが……。
まあね、この家の姉妹はみんな、氷柱の例を見ても分かるとおり、この手のノリに超ノリノリになる気質の持ち主っていうのは分かってますし、春風さんにもかなりそういう部分はあるだろうなとは思ってたわけですけれど。彼女の場合、こういうノリノリ演技とガチがほどよく入り混じっているのが……まあそれはそれで。
ともかく、朝食を用意してくれた春風さん……って、もののみごとにチョコ料理ばかり。いや、春風さん、今日はどうせ後からいくらでもチョコパラダイスになるのだから、朝食ぐらいには、もうすこし、手心をというか……っていやいや。そうじゃないですね。その甘ったるい攻撃全てを全力で受け止めてこそ、真のトゥルー俺。泣き言など言わず、全力全身でチョコレート天国を味わせていただきたくッ!
お口についたチョコレートソースは
もちろん春風が拭って差し上げます♥
……一応お尋ねしますが、どんな方法で? ……手を使わない方法だったらどうしよう。
今日は土曜日。
どこかに行ったりしないの?
……………………い、いかんいかん! ここはあくまでトゥルー内、トゥルー内のことなのですッ! ……それでもちょっぴりリアル俺がこの文そのものの意味を考え、軽く考え込むようなそぶりを見せないこともなかったのですが――否否否! この大事な日にたとえ用事があろうとトゥルー俺ともども出かけたりなどするものですか!
とまあ、そんなノリでリアルの重さを振り切りつつ、マリーのテンションもさすがに高いなあと思った次第。
フフフ――♥
いいわ!
マリーが相手してあげる。
一緒に遊びましょ。
ああ……このマリーの包容力というか、なんというか……。幼稚園児の女の子しかも妹に、「いいわ! 相手してあげる」って言われることのこの喜び……!
っていうか、今日のトゥルー世界は外が大嵐みたいですね。まあ、今日はいずれにせよ出かけるつもりなどないので、あまり困りはしませんが。なにもバレンタインに限らず、こうして一日中家にいるだけで幸せになれるのがトゥルー家族なわけですし。
そんなわけで、マリーと遊ぶとなれば、オペラの題目なども良いのですが(さすがマリー!)
、やはりマリー・アントワネットごっこということに落ち着きますよね。
ともあれ、その内容ですが、バレンタインにちなむということで――
そうだ、今日は――
バレンタインデーだから。
フェルゼンから愛の告白をすることを許可するわっ。
……オプーナさんも吃驚! いや、海外でバレンタインの風習がそれぞれ異なるっていうのは知ってましたが、フランスでは今の日本のお菓子業界に先走ったかのような男→女へのアプローチが主流なんですね。うーむ、トゥルー俺も何か用意した方が良かったのか……と思ったりもしましたが、そういう風習は案外クラシックに行うのを好むトゥルー家では、ホワイトデーに全力を注げば良しってことでしょうね。
……ともあれ、マリーとさっそく遊びを堪能しようと思いますが――
さ――こっちに来て、フェルゼン。
思い切ってここに接吻してもよくってよ――
フフフフフ――♥
……今日はもう、本当にみんな甘いオーラが濃厚すぎですよ!
本当に生き残れないような気がしてきました。無限コンテニュー可能な状態ですら、先に心が悶死しそう。なんという幸福か!
あ――。
マリーお姉ちゃんと
なにか楽しそうなコトして
遊んでる!
ヒイッ見られた!? ……って、いやいやいや。別に見られて困るようなことなど、何も……(思い切ってここに接吻してもよくってよ――)……あーあーあー、聞こえない聞こえない。いや、だから今日の俺は紳士であると何度! ……当然、足の裏にキスさせるにとどめておきましたとも!(←連続でもたらされる幸福と寝不足のせいで、思考力や理性が低下しておられます)
まあそれはさておき、どうやら俺とマリーは「おしくらまんじゅう」をしていたようです。……い、いや、それはそれで……と、妄想力豊かな俺は思わずその単語だけで色々昂ぶるものを感じてしまうわけですが、いかんいかん紳士紳士。ましてさくらの前なのですから。
ともあれやっぱり休日だろうと、この時間は小さい子たちのための時間って感じですね。大きなお姉さんたちは、準備で忙しいのかもしれません。そんな中、いい年したトゥルー俺が小さい子たちと遊んでばかりというのは気が引けますが――まあ、今日ばかりは、ね。下手に手伝おうとしたら、かえってネタバレとかで嫌がられそうですし。
……というわけで、ここはひとつ、さくらやマリーのやわらかいお尻の感触をじっくりと堪能させてもらうことにしましょう! ……自分で書いててなんですが、どういう天国ですかここはこの時間は。
さて、そんな幸福肉圧空間を味わっている中で――
う、う、うぇぇぇぇん!
おしくらまんじゅう――
おしりいたい――
ぐすん。
い、いやそんな! 痛くなるようなことなど何も!(←何か心当たりでもあるのか、過剰な反応)
実際には、普通に負けて、ころんって転んじゃっただけのようですが……さくらですからね。トゥルー兄やマリーが手加減してあげたとしても(マリーはマリーで、わりと手加減とかしてくれそうな感じですよね流石お姉ちゃん)、そもそもが青空にさえ負けちゃうってぐらいなので、なかなかに難しいところです。……いや、青空のおしくらまんじゅうって、かなり強そうなんですけどね。超一歳児ですし。
……というわけで、申し出されたトックンのお願い。さくらの言葉って、難しい単語がカタカナになるのが可愛いですよね。
ともあれ、さくらのお尻を合法的に堪能しまくれる素晴らしい申し出なわけですが――それさえすれば、お外での「どーんじゃけん」という遊びでも、
パンツまっくろくろすけさんじゃなくなるね♥
……パンツOK。……いやいや、だから今日の俺は紳士であり、パンツという単語を聞いても、パンツじゃないから恥かしくないメソッドで脳内変換完了ですよどうだまいったか! ……呼び方が代わろうと興奮具合は代わりませんごめんなさい。
にじこね――
バレンタインってしってるの。
それはね――
だーいすきなおにいちゃんに
チョコをあげる日。
いきなり俺を喜び殺すかのような嬉しい言葉攻撃!! ああー、偉いなあ虹子は。そうです、バレンタインというのは「お兄ちゃんに」チョコをあげる日なのです……って、思わず歪んだ情報を教えてしまいたくなりそうですが、そこはトゥルー兄の理性でしっかりと堪えます。……いやまあ、別に否定とか修正したりもしないですけどね。自然に自然に。
とはいえ、虹子みたいな小さい子にとっては、本当ならば他人にあげるよりも、自分でチョコを食べたいと思うのが当然の話。でも、虹子(に限りませんが)は偉い子なので、がまん、がまん、と。ああ、それだけでもう全力でなでたり抱っこしたりしたくなりますが、それはそれとして、プレゼント用以外のチョコも沢山食べられる日ではあるんですよね。きっと今頃、ホタ&春風さんはもちろん、中学生以上のお料理担当係はてんてこまいなことでしょう。トゥルー内臭覚を共有できたとしたら、かなり甘いニオイが漂ってきていそうですし。
そんな風にトゥルー俺が探ってる気配でも感じてくれたのでしょうか、虹子が、今日はみんなお兄ちゃんにチョコをあげるって言ってた、とタレコミしてくれました。ああ……去年どおり、想像通りではありますが、なんという幸福か。
それも、麦チョコなんかじゃない、ホンモノのおっきなおっきな甘くておいしいチョコなんだから――と、ハートマーク三連続で語る虹子の興奮っぷり。やはり、チョコがこんなにもたくさん! ってシチュエーションそのものが興奮の対象なんでしょうね。それは俺も甘い物好きなので良く分かりますが。
……ええ、虹子の言うとおり、今日は思う存分チョコを食べられ、俺の体もチョコ塗れになってしまうことでしょう。
って、何か虹子さん、妙に期待感というか、なんというか……ピクルが獲物を見るような目で俺のことを……?
おにいちゃんがチョコだらけになったら――
にじ、おいしそうって思って
ペロペロしちゃう、きっと。
えへへへへ――♥
だから! 今日の! 俺は!
紳士であるべきで、紳士であると誓ったわけで――
……なんといいましょうか。お釈迦様が修行中、マーラ様に誘惑されてきたときって、たぶんこのぐらいの勢いの甘いオーラの無呼吸連打だったんでしょうね。つまり俺たちは今、お釈迦様の追体験をしているに匹敵する経験をしているのではないでしょうか。一つ違うのは、思い切り誘惑に負けて良いという点と、確かに愛情があるってことでしょうか。
ともあれ今日は、チョコを食べるとき、すこしぐらい行儀を悪くすると、何かいいことがあるような――と、邪念めいた気持ちを抱いてしまった次第です。虹子に……ぺろぺろ……(←もうそろそろ正気値が危険になってきました。まだ御前中なのに!)
や――!
YAー! ……と、思わずトップ画面での立夏のような英的反応を返してしまいましたが、今度は観月! やはり午前中は幼児組のタイムってことでしょうか。この文中でも書かれているとおり、お姉ちゃんたちはみんな準備でてんてこまいってところでしょうからね。
それはそうと、なにやら兄を探していたという観月。なにやら言いにくそうに、もじもじとしているその姿は、観月的には相当レアな反応であり、ちょっとグっと来ると共に、何かあったのかと思わせますが――
わらわはこれから――
なんといったらいいのか、
その――
はじめての――
おつかいに参らねばならぬのじゃ。
――自動的に脳内で流れてくるテーマSONG! なんとなんと、観月は単独おつかいはまだでしたか。いや、年齢的には別におかしくもなんともないですが、普段の言動を見る限り、つい。あれで案外、普段の行動そのものは、同年齢の幼児たちとほとんど変わらないわけですしね。
もっとも、観月であれば、言動を抜きにしてもしっかりした子なので、もう問題はないんじゃないかと――申し付けた春風さん(厨房で忙しそう)もそう思ったようです。確かに確かに。
観月のほうも、それ自体は大きな問題はなさそうな感じなのですが、もっと別の問題が――すなわち、キュウビ失踪中。
うむ。
キュウビはこのような激しい怨念の飛び交う日は苦手らしくての――
今年はいよいよ逃げてしまいおった。
ON-NEN! そういえば確かに去年もそのようなことを言ってましたよね。
それを嫌ってキュウビが失踪してしまったとのことですが――大丈夫なんですかそれは。確か去年、「こんな時にはとって食われぬよう気をつけよ」って仰ってましたし。いや、たとえ人そのものを食わなくとも、バレンタインに漂う怨念――そんなものを片端から喰らった日には、キュウビの存在からして、やばい染まり方をしてしまうんじゃないかと、気が気ではありません。
とりあえず、買い物ついでに、キュウビの行方を捜すことが必要かも――とも思ったわけですが、それより先に観月の申し出が。
もちろん――
手をつないでゆくのじゃぞ!
いいですとも!(CV:鹿賀丈史¥) それはもう全力で。……っていうか、さっきから「ペロペロしちゃう」だの「ここに接吻してもよくってよ」だのと、いかに幼児とはいえ、バレンタイン補正のかかった過激なスキンシップばかりを求められてきたので、ちょっと頭がくらくらしていたところなので、このほどよい触れあいは心を落ち着かせてくれますね。
買いに行く食材も、たらこスパとかあさりのスープとか、とりあえずチョコからは離れていて、手心が加えられたことを実感いたします。まあ、姉妹達だって、チョコばかりだと口が大変なことになるって思いはあるでしょうしね。もちろん、午後からは覚悟してますが。喜びと共に。
ともあれ、買い物へ。キュウビの行方も気になりますが――
うむ――
これで安心じゃ――♥
この反応に、思わずこちらも安心してしまうのでした。安心っていうか、穏やかな幸福っていうか。
ウオオオオーッ更新タイミングが30分ズレるだけで拘束時間的にリアル俺たちが食事もままならず! ……いやいや、今日はいいんですよ。食事より睡眠よりもトゥルーを優先すべき24時間!
みんなで食べる昼ご飯は――
おいしいですね♥
ウフフ♥
……というわけで、なんとなく食が細そうな綿雪も、ハートマーク多めのトゥルー昼食を堪能しておられます! どうやらおつかいは無事に何事もなく行われたようですね。たらこスパゲティは家族内での評判も上々のようで、綿雪の口調もなんだか率直かつノリノリって気がします。今日がバレンタインってこともあるんでしょうが――
以前指摘を受けたのですが、綿雪の日記が詩的な感じになるのって、彼女の体調によくない傾向が見られるときなんですよね。先日なんてまさにそんな感じでしたが、ともあれそれから少し経った今日は元気そのものって感じで、語る言葉もごくごく平易かつ日常的な雰囲気を出しています。うん、こういう何事もない時間こそがなによりの幸せですよね。まして家族いっぱいのトゥルーであればなおさら。
ありがとう、お兄ちゃん――
そして観月ちゃん、とっても
エライのね――♥
お礼を言われてしまいました。加えて、観月にお褒めの言葉――おお、綿雪からかなり威厳のあるお姉さんオーラが! いや実際、気持ちの上では観月以上にしっかりしている子ですから、精神面でのお姉さんらしさというのは、その実家族でも有数のポテンシャルがあるんじゃないでしょうか。
ただし。綿雪は今まで体調があまり良くなかったため、観月がついさっき経験した「はじめてのおつかい」をまだ未経験とのこと。
観月ちゃんよりずっとずっと
大きいお姉さんなのに、
まだ1人でおつかいって
行ったことないの――。
ユキ、ちょっぴり恥ずかしいな……
体調がまだ悪い時期なら、この言葉も重く受け止めなければならないでしょうけど、今の綿雪ならば、むしろ「大きいお姉さんなのに」「ちょっぴり恥かしいな……」ってところで萌え転げることが十分に可能であります! ああもう! ユキはいい子すぎる!
そんなわけで、観月のマネをして、自分もはじめてのおつかいに行きたいと願う綿雪ですが、もしきっかけさえあれば、いつでもやれそうではありますよね。もちろんトゥルー兄が同伴して――って、言い出すまでもなく言ってくれました。てへり。
とりあえず当面のライバルはさくらということになりますが、むしろさくらのほうが心配なぐらいなので、いずれにせよ、トゥルー兄がいつでも同伴準備はOKですよ、とアピールしておこうかと。それこそ新人ホストよりも必死かつ迅速に。
ユキの初めてのおつかいは――
お兄ちゃんのために何か素敵な物――
買えるといいな
……ああ。何度も言いますがユキがいい子すぎる。 そんな綿雪のやさしさに包まれつつ、2年目のバレンタインデーは午後を迎えます――
あ――。
あ――。
これは、なんといいましょうか……サプライズエンカウント?
いや、同じ家で過ごしている以上、今日だっていくらでも顔を合わせる機会はあったと思うのですが……これは、どういうタイミングなんでしょうね。綿雪の日記があったので、ついそれに反応したとか?
ただ、「こんなところで顔を合わせるなんて――」なんて言っていることから、なんらかの暗躍をしているってことなんでしょうか。
確かに、何かワナを仕掛けていたとか、そんな情報もある氷柱。いずれにせよ、今日の言動が一番気になる子だというのは間違いありません。一体どういう状況で出会った場面なのか。すんごく気がかりではありますが――まあいずれにせよ、残る11時間以内には全てが明らかに……なるといいなあ。
私は――
この浮かれモードにのる気はないから。
なんてことを言って、霙姉さんの発言までけん制していますが、それが口だけということは誰の目からも明らか。でなきゃ夕凪さんがいってたみたいな警戒モードになんて入りませんからね。きっと今日の準備だって、「家族のためだから仕方なく――」なんて言いつつ、一生懸命頑張っているのだと思うわけですよ。
じゃ――失礼。
ふん!
ああ、今日はこのお怒りの態度さえ、ビターチョコのような甘さを感じてしまうわけで――バレンタインの力ってだけじゃないでしょうけどね。
ぬきあし、
さしあし――
しのびあしっ!!
クフフフフフフゥ――♥
ぬおおおおおおおおっ!?
ちょ、この即反応がしにくい微妙な時間の更新て! あーあれですか、今日は一日中一瞬たりとも油断を許さないってノリでしょうか。ノリなのですね。ええ良く知っておりますとも24時間体勢でチェックを欠かすわけにはいかない聖なる日ッ!
……っていうか、一体なにしてらっしゃいますか夕凪さん。なんかよくかわりませんが、この様子だとどうも、リアクションしにくいというか、逆にこっちがピーピング的心境になるというか――ともあれ。
夕凪さんこそが姉妹随一のトラブルメーカーであり、お姉ちゃんたちに叱られるようなことをする頻度ナンバーワンであることは、この一年強を見てきてよく分かったことではありますが。なにやら今年、この一大イベントにおいても、なにか仕出かそうという気マンマンっぽいじゃあないですか。
例の「クフフフフフフゥ――♥」笑いまで飛び出して、そのノリもテンションも最高潮、思わず行動してしまってました……的な雰囲気ですが、具体的にどういう状況なのかというと――
やったやった!
抜け駆け作戦、大成功!!
あやつめ、やりおったわ!!(←ブリタニア皇帝AA略)
嗚呼……夕凪さん、相変わらずすぎる……! 後で絶対怒られるだろう的なことも、「謝っちゃえばOKOK♥」というのが信条である彼女にとっては、むしろ抜け駆けを行うための絶好の隙ってことなんでしょうね。
ともあれ、超天才にして超マホウ使いであらせられる夕凪さんですが、このトゥルー兄部屋への忍び込みは、なかなかに狙い済ましたタイミング。「チビすけちゃんたち」って表現も可愛いですが、その子たちの昼寝タイミングと、それを寝かしつけるためにトゥルー俺が春風さんに駆り出されることまで見ていたとなると(「春風さんに」「ラチられた」という組み合わせがちょっぴりドキドキものですね)、これは確かに、なかなかの策士であると言えましょう。星花が見たら、叱られるのを心配しつつ、天災軍師ぐらいのことは言ってくれそうですよね。そもそも演義の中では孔明なんて魔法使いみたいなものですし。
さてさて――そんなグッドタイミングにトゥルー兄の部屋に侵入した夕凪さん。このシチュエーションに、むしろリアル俺がドキドキですが、一体何が狙いなのでしょう。どうも、チョコをこっそり置いておくとか、そういうのではなさそうで――
0兄ちゃんにかける秘密のマホウの材料を
探しちゃうんだからぁ!
きゃー楽しみ♥
やばい! やばいことになる公算が大に!
いや、いかにトゥルー俺が聖人君子とはいえ、高校一年の男子の部屋をじっくり探した日には……ねえ? 夕凪さんに見せるには相応しくないブツが、それはもう、ひとつやふたつは必ず出てようってものですよ。
もっとも、そういう心配よりも――
あのポリジュース薬みたいに
やっぱりマホウのテイバンっていったら、
髪の毛ゲットかなぁ〜?
それとも――
あわわわわ。これはマズい……! 髪の毛入りの手作り食べ物――色々な意味で実に危険なアイテムであり、コレに関してはさすがに夕凪さんを諭しつつ全力でやめさせてあげたいところです。
とまあ、そんな願いが通じたのかどうかは分かりませんが、夕凪さんの思考はさらなる飛躍を。
このまま、お兄ちゃんのベッドに
こっそり隠れて――
お兄ちゃんが戻ってきたら――
じゃじゃじゃじゃーん♪
かわいい夕凪ちゃんをプレゼント〜♥♥♥
っていうのはどうかな?
紳士! 紳士! 今日の俺は全力全霊で紳士であれ!
……ハーッ、ハーッ……。いや、今日の空気は……一体なんなんですか。厨房で作ってるであろうバレンタインチョコの蒸気に、何か桃色的な成分が含まれてるとしか思えませんよ! いや、もともとトゥルー姉妹たちの桃色素質が極めて優れてたものを持っているという側面も確実にありますけれど!
ともあれ今日は、朝から何度紳士の誓いを心の中で唱えたことでしょう。夕凪さんそれは全力でお持ち帰りですよ――っていっても、すでに自室であるとなっては、もうどうしたらいいか! 食べろと? いや、いやいやいやいや紳士紳士紳士紳士!
……さすがにこのシチュエーションは危険すぎるので、誰か他のお姉ちゃん達が見たら、たしなめてあげてください。さもないと紳士の俺が■■■■■■■■■■――うあああああああああ!
おお、夕凪の次には星花ですよ! やはりさっきの綿雪氷柱ラインといい、関連のある姉妹が続く流れってのはあるもんですね……なーんて、悠長なことを言ってる場合ではありませんでした!
お兄ちゃん、夕凪ちゃん――
どこかで見かけませんでしたか?
……………………。
……身に覚えがない……とは、言えまい……ッ! ……と、思わず家族会議の覚悟さえ固めようかと思うわけですが……それはあくまでリアル俺の話。トゥルー俺はちょうど今さっきまで、春風さんにラチられて、幼児部屋に監禁……じゃなかった、寝かしつけ作業を行っていたんですよね。すぐには寝付かない子も多いでしょうし、そのぐらいの時間はかかっていたかもです。……春風さんに何かされてないとも限りませんし。
まあとにかく、夕凪さんが大絶賛スタンバっておられる自室にはまだ戻っていないと見るのが賢明でしょう。……っていうか、帰った時点で夕凪さんは発見されて、たしなめられるなり満足するなりして帰ってくれるでしょうからね。……もしかしたら、今頃待ちくたびれて寝てしまっているかも……?
とまあ、そんな事情を知っているので、焦っている少しばかり申し訳ない気持ちも。
今日はバレンタインデーだから、
お兄ちゃんに秘密の――
最強マホウをかけるんだって、
昨日から――あんなに
張り切っていたのに――
ああ、星花はやっぱり思いやりの強いいい子だなあ……。事態を知ってしまっているリアル俺の視点からすると、本当に申し訳なくなってしまうぐらいです。
というか、この「最強マホウ」のこと自体、トゥルー兄にはヒミツのとっておき最終兵器だったようで、うっかりそれを話してしまったことに対して反省すらしておられます。な、なんていい子なんだよ本当に……! 星花が心配している「きっとガッカリ」については、まあ夕凪さんなので多分そんなに心配しなくてもいいとは思うんですが、それを心配する星花がいるってことを思うと、邪険にはとてもできなくなってしまいますよね。
きっと星花のことだから、このあと仮にトゥルー俺のベッドですぴょすぴょ寝てる夕凪さんのことを見ても、「ああ、よかった」って本気で安堵してくれると思うわけですよ。この姉妹の絆から更に一歩進んだ、友愛的な面、素晴らしいですね。
それにしても――やはり、こうして心配してくれる人が出てきてくれていると、夕凪さんの天衣無縫っぷりも、少しばかり考えなければなりませんね。
でも、星花――ちょっと心配なんです。
夕凪ちゃんって元気ですごくかわいいんだけど、
ちょっぴり張飛様みたいなトコロがあって――
天然っていうか、猪突猛進っていうか――
――まさに、張飛! いやいや、実に的確な人物判断だと思うわけですが、夕凪さん自身はきっと、孔明とか左慈みたいな妖術使いがいいんだもん、とか平気な顔で言いそうなのがまた。
まあ、要点としては――「猪突猛進」。これにつきますよね。あの恐れの知らなさっぷりは、ある意味すごいとさえ言えると思うんですが――まあ、こうして心配をかけてしまうことがあるので、全部を全部褒めるわけには行きませんね。
成果が心配しているのはやはり、先日の日記隠し事件のこと。あれは確かにリアル俺もびっくりしましたが、トゥルー内でも大騒ぎではあったんですね。ヒカルが優しく終わらせてくれたので、そのあたりはあまり伝わらなかったのですが、うん、やはり夕凪さんにはいくらか落ち着きを得てもらわなければ。
まあともあれ。そう焦らなくとも、トゥルー俺がいったん部屋に戻ってくれさえすればそれで解決なわけで――
あの、お兄ちゃん――
もし、よかったら一緒に探して――
もらえますか?
……かえって大事になりそうな気配が。
まあ、トゥルー家族の中でなら、ベッドで寝てる夕凪さんを見られても、誤解される心配はないでしょうけれどね。ええ、今日は紳士紳士。……いつも紳士ですよ? 一応は。
……って、さっきの日記をアップした直後に続きがアップされてましたよ! これはあれか、即反応の即更新を行う俺たちに対する挑戦と言うほかありませんね! いやま、朝にも15分後更新ありましたし。
まあそんなリアル事情はさて置き――
うわぁ〜!
ここが――お兄ちゃんの部屋ですか♥
星花、初めて――入りました♥
――入られちゃったですよ星花に!
っていうか、「初めて」だったんですか星花。……あ、あー。コホンコホン紳士紳士。とまあ戯言はさて置き、これはちょっと意外ですね。でも言われてみると、トゥルー俺のプライベートって案外、姉妹はみんな尊重してくれているのかも知れませんね。今はともかく、家族に迎え入れられた当初なんかは、いくらトゥルー俺が聖人君子といっても、やはり戸惑いはあったでしょうし。そういうところを気を使ってくれるぐらいの優しさは、この家のみんなにあったでしょうから。
もっとも、そのままというのもやはり味気ないので、こういう何気ないきっかけをもとに、少しずつでも垣根を自然になくせていけるといいなと思った次第です。
とまあ、それはさておき。
どうもこの潜入、トゥルー兄がその場にいるとはいえ、これはちょっとした、潜入状態。これは一応、夕凪さんを探すためっていう名目があるわけですけれど、口ぶりを見る限り、ここにいるとは思っていない様子ですよね。つまり、どっちかというと、トゥルー兄の部屋に入ってみたかった、って感じなんでしょう。これはこれは……また美味しいシチュエーションを。入ったことのない異性のきょうだいの部屋に初めて……ドキドキシチュエーションと呼ばずして何と呼びましょうや。
なんか――お兄ちゃんの匂いがして。
男らしいんですね♥
ほら、星花さんもドキドキしてますよ! もっとも、その後のたとえが、あたかも曹操と夏候惇みたいな例を持ち出す当たり、さすが三国志っ子とも思わせます。……星花はやっぱり、蜀以外のことはあまり口に出したがらないなあ。曹操と夏候惇なんて、同人のネタになるぐらい、史実の上でさえ臣下の礼を不要にした親密な関係だったと記載されてるぐらいなんですけどね。
とまあ、そんなドキドキシチュを堪能して、真っ先に思ったのが、「夕凪ちゃんも誘ってあげたかった」ってあたり、星花がいい子すぎて、朝から晩まで三国志について語りつくしてあげたくなるぐらいです。もちろん膝の上に乗せてあげて。「星花、そんな子供じゃ――」なんて言われつつ、それでも結局したがってくれるよみたいなノリで。ああ幸福――
――なんて妄想に浸っていましたら。
……きゃっ!!
――ゆ、夕凪ちゃんっ!?
なんでお兄ちゃんのベッドの中に――
しかも首にリボン巻いて――
発見! ――そして、見事なまでの「私がプレゼント」状態!
ああ……夕凪さんの頭の中にもすっかり春風が――! いやほんと、今日の空気はどこまで甘ったるいんですか。しかもわざわざ書置きで、白雪姫状態ですキスをどうぞ♥的なことまで書いてくれて! これは……いかにトゥルー兄が紳士であり、今日は特に紳士であろうと心がけてるとはいえ、ここまでされてしまったら、あくまで紳士の範囲内で、何かしてしまってもおかしくはないというか頭がおかしくなりそうです誰か助けて! 幸福で! 幸福を超えた至福で頭がどうにか!
まあ、そのような暴走を抑えるためというべきか、星花がいっしょにいてくれたのは、幸運というほかありませんね。いや、夕凪さんにそんなことを言われたらそりゃいやなわけがないのですが、困るといえば困るというか――まあとにかく。幸い幸い。
とまあ、そんな当の夕凪さんは、自分で狙ったとおり白雪姫もびっくりのディープ睡眠状態。……こうやって、寝たいときに寝られるっていうのは、すごい才能ですよね。夕凪さんのような精神の持ち主でないとなかなかできないと思います。
そんな感じで、ああ良かった、と胸をなでおろして、この件は幕を下ろす――といいたいところ、だったのですが。
星花。
星花が――!?
あれ――?
ホントに、寝ちゃってる……
よぅし、それならお兄ちゃんの代わりに星花が――
クフフフフッ♥
|_: : ヾ==''゙´: : : : : : : : : : : : : : : : :`゛´: : >'::!
i:::>、__..,,=<´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`>''==く::::V::|
ミ::,'::〃::/:::::::ヾヽ::::;`:ヾ、:::::〃´:::::::ヽ::::::::リ:!
/゙ミ:i!:::::::,:::< (。:) ):ヾ'::::::`ヾ',::( (。:) >:::::'、::リ'´ヽ
,' ,=、! ´ヾ :` ̄ 'ノ`:i ´` ー‐‐ ヾ` i!/´ |
{ iヾ、 | u 〃) j
人 ヽ::. ! '' ノ
ヽヾ 、 、..,.....、 | /
ゝイ :| / ,;:::;`;:;´;:;;;.;,ヾ. ! i´
i! :l / /'',.―---一、ヾ:} ! i!
!i i!: ,' 〈-‐:: ̄ ̄::‐-〉 j ,' :i!
! ヾ ヾ、_____ン/ ' /:i!
i \ 、 `ニニ二ニニ´ , / i!
i ト、. ゙゙゙゙゙゙ ノ イ :i!
あああああああああああああああッッ!! バレンタインの空気というモノは、どこまで人の心を甘く蕩かすッッ!!!
星花さんと夕凪さんが夕凪さんと星花さんが、星花と夕凪が星花が夕凪に、きっキキキキキキキ、き……鱚!?
い、いや、はっきりしたことは分からないのですが――! ともあれ。このふたりがにゃんにゃんしてるところを目の当たりにしたトゥルー俺、もう残機が残り僅かです。コインを! コインの山を一刻も早く! 午後三時にして、すでに喜死のあまり死屍累々で御座います。なんという天国という名前のバレンタインデーかッッ!!
……うおおおお息をつく暇すらないッッ!! だが幸福だッ! このうえないほどにッッ!
というわけで吹雪。吹雪です。……どうも、ここまでの更新を見る限り、去年のバレンタインとおおむね時間帯的には同じ子が書いてる雰囲気がありますね。なんだか軽くデジャブを覚えます。
さて、吹雪の日記にはつきものですが――今日もなにやら、科学的なことの説明から。
「火事場のバカ力」
という言葉があります。
……って、あんまり科学的じゃなさそうー!? いやいや、これは吹雪もちゃんと説明してる通り、科学でちゃんと証明されてる……といっていいのかは分かりませんが、とにかく定義づけはされている概念です。
「これは――人の精神状態が、肉体の持つ物理的な限界値を拡張させるという考えです」と説明されてくれていますが、まあリアル俺世代でいえば、むしろ火事場のクソ力とか、北斗神拳とか、馴染みのある漫画的概念はだいたいこの理論に属しますよね。
おそらく交感神経、アドレナリン分泌が
関係しているのでしょう。
この、交感神経、アドレナリン分泌っていうのは、要するに、感情の力といっても過言ではない部分ですよね(感情でどうにもならない部分も確実にありますが)。怒りに燃えて、100%の潜在能力を引き出す――そんなノリの、吹雪にはなかなか受け入れにくそうな事例なわけですが、「意外なことにこの事実には世界中に様々のエビデンスがあるのです」――とのこと。
エビデンス。そう、ウィキペ先生に教えられて初めて意味を知りましたが、この場合は、医療科学的に根拠のある事例ってことでしょう。
――で。問題はですが。
どうして吹雪は、今、こんな説明をしなえればならなかったのかという点ですが――
先ほど――夕凪姉と星花姉が
ひどく興奮して部屋に戻ってきました。
詳細は知りませんが、
愛の最強マホウが発動したそうです。
!!!!
……そ、そうですか。興奮、してらっしゃいましたか……。
いや、そのこと自体は別に良い……というか、すごく良い……のですが。その興奮がクセになってしまったりしたら、どうしましょう。ねえ。近しい女の子同士でそんなことを! あんなことを! ……ふたりがまだ性知識に乏しい年齢だったことに、ほっとすべきでしょうか。いや、今後の心身の発育上、何らかの影響があったとしたら……それはそれで!
まあ、これが火事場の馬鹿力のエビデンスとして適当かどうかは、今の興奮状態の星花&夕凪さんが極端にパワフルにでもなっていない限り適当かというとちょっと疑問なところなのですが……もしかすると、吹雪も冷静さを失っているのかもしれません。そりゃあ、ねえ。同部屋の姉妹ふたりが、妙に興奮してお互いにチラチラ見ながら盛り上がってしまっている様を見てしまえば、いかに吹雪とて――。むしろ吹雪自身も興味をそそられて、オーバーヒートの眩暈状態にならないか不安ですらあり。
っていうか、気になるのはむしろ――
やはり――今日のイベントが2人に著しい興奮状態を
もたらしているようですね。
今日は――なにか家中に
甘いようなムズムズするような
刺激物質が充満しているように感じます。
いや! 「感じます」どころか、絶対にそういう刺激物質漂ってますって! 今日のトゥルー家!
もしこれが科学的に検証可能な物質であれば、そのガイガーカウンター的な測定機械を今のトゥルー家に入れたら、一瞬で針が振り切れて壊れます。間違いなく。だってー、あの星花さんですら、この空気にあてられて、とんでもない大胆行為をおこなってしまったわけですから! 彼女等以外にだって、朝からの姉妹の反応を見てみれば、明らかにいつも以上に桃色空気を漂わせていることは明らか。どう考えても明らかです。
ここは一つ、吹雪にその測定方法がないかどうか頼んでみたいところですらありますが――
いえ、私は常態ですが――
……くしゅん♥
私は――
……なぜか急に少し落ち着かない気がしてきました。
――吹雪、桃色ハザードに感染確認!
ななな、なんということでしょう……! いや、もしかしたらただの風邪かも知れず、そうだったらそうだったで、別の意味で気をつけなければならないわけですが――いや、吹雪にして超レアなハートマークがついた可愛らしいくしゃみだったので、つい桃色空気との関連性を考えずにはいられませんでした。
冬の寒さには快適さを感じる吹雪ということで、通常の風邪とかそういう症状はなかなかに考えにくいのですが、可能性としては当然ありうるので、手放しでははしゃげませんね。
しかしながら――
胃の上部、みぞおちのあたりが
ウズウズします――
ええ、みなまで言わずともOKです。そこはトゥルー俺が吹雪のおなかをなでなでしてあげるべきタイミング――!
人肌を感じると眩暈を興してしまう吹雪ではありますが、風邪であれば大変ですし――もっと別の桃色空気の影響であれば、それはそれ、この日ぐらいは――ですよね。倒れない範囲内で、交感神経を過敏にしてくれたほうが、吹雪にとっても楽しくて良いかな、と。
いやーん、バレンタインデーも
もう5時!
「いやーん」とかいきなり思考の死角をついた可愛らしい発言を立夏め!
……っていうかですね。
今日のこの立夏の日記は――気をつけてください。
一応、警告させていただきますと――決して、他人の目があるところで読まないように。
携帯なんかで出先からチェックしている人! 俺のこの文章のほうを先に読むことが出来た人、もしいたとたら、必ず人目を避けて、公式ブログの方を見るように。
でないと――二次元の壁を思うがままには超えられなくなってしまうので。
そういう社会との折り合いも含めて。
覚悟ができたならば――行くべし!
……さて、覚悟完了した勇者諸兄。立夏のこの、色気もへったくれもなさそうなタイトルの日記を、全身全霊を持って見ていこうじゃあないですか。
まあ、アレですよね。このタイトルといい、「おいしいごちそう、チョー楽しみ」なんて発言といい、緩みますよね。気が。さっきの究極マホウで心臓が死にかけたので、ほっと一息つけるだろう……と。油の柱で修行している最中、指が乗っかる亀裂を見つけたジョジョばりに安心しますよね。
――そこまで計算に入れていたのだとしたら、立夏という女の子は、生まれもっての兄キラーというほかありません。
パーティの前に、なにやら言っておきたいことがある、と立夏。いや、立夏の性格であれば、たとえ人目があろうとなかろうと、よほどのことでなければ気にしないだろう……って思いますよね。
で、逆に言えば。
その、よほどの事を言おうとしているのだ、と。……そこまで想像するには、今の俺には気力も判断力も、残っていなかったわけでして――。
恥ずかしがらないで――
ハグハグ♥
……まあ、こんな。いつものようでいて、どこか違う、緊張感がほのかに漂う言動。「もっとこっち来てミ?」とか、「なんかくすぐったーい♥♥」とか、いつものように甘ったるくも、どこか気構えしているところが見え隠れする、いつもとは何か違う立夏。
それもそのはずです。
いつも、極端なまでにノリノリな立夏。YASEIとさえ言われる立夏。そんなハイテンションでお気楽な彼女のことですから。その発言もどこか、軽く見てしまいがちで、各種のスキンシップすら、そのノリの一環であると思ってしまうわけです。
もちろん、その側面は、間違いなく彼女の本質ではあるのです。
……あるのです――が。
それだけじゃあ、ないんですよね。
何が言いたいのかというと――立夏は、女の子だってことです。
ここから立夏が言う言葉を、全部真正面から受け止めれば――その、今まで足りなかった認識が、全部一気に埋まってしまうことでしょう。それこそ、埋めるどころか、こぼれて溢れかえってしまうぐらいに――!
けど――
ちゃんと言うから、
聞いててネ、
オニーチャン。
リッカの愛の告白――。
(――告白の、言葉は)
(とても引用することが出来ませんでした……)
(………………)
(これはもう)
(意表を突かれたとか、意外な一面を見せてくれたとか)
(そういう話ですらなく――)
(あえて言うなら)
(――「愛された」、と)
(立夏という「女の子」が)
(自分の気持ちの中で抱きうる、最大限の愛情を)
(言葉にして、真正面から、伝えてくれた……と)
(俺に)
(そういうことだって、そっくりそのまま受け止めるしか)
(それを言われたトゥルー俺としては、術がなく――)
……まあ、あえて、挙げるならばですよ?
これからずっとずっと2人、
離ればなれになったって、
どんなことがあったって――
オニーチャンが困ったときは
世界の果てからでも飛んできちゃうヨ!
リッカがオニーチャンを守ってアゲルし――
リッカがオニーチャンを抱きしめてアゲル。
だから――
……泣かせる気、なんですか。俺を。
これを聞かされたら。その前後の、ピュアな告白とかと交えて、聞かされてしまったらですよ。
「だから――」の先なんて、言わせる必要すらないって思わざるを得ないじゃあないですか。そう、立夏が言っている、「だから――」の先なんて、言われるまでもなく先んじていていようって。そう思えなきゃ、この子の言葉を聞く資格がないわけですし。
……なんかもう――呼吸するにも苦しいぐらいなのですが――
ちゅっ♥
きゃ――、言ーっちゃった、言っちゃった――
なんかもーちょっと恥ずかしくてヤバイから――
チャオ――♥
おお、ひさしぶりのチャオ………………って、ああ……その。なんといいましょうか。ゴングというか、逃亡に救われたって言うか……なんていうか……。
この後の夕食とか、それ以前に、明日からとか、どういう顔で、立夏のことを見たら良いのやら――
おおお、小雨の日記が……って、麗の日記もほぼ同時に!? ちょ、どこまで俺の感想更新おっかけに試練を与えたら気が済むんですかゴッドよ! ええい、死ぬ気で喰らいついてやりますよ、立夏の愛情に応えるためにも!(←今、YU-SHOWさんの二次元と三次元を隔てる壁はかつてないほど薄くなっております)
ええ、言われるまでもなく、さっきの興奮が収まりきってなどいるわけがないのですが――
お、おおおおお――
お兄ちゃん……
ご、ごめんなさ――
わたし、そんな
全然、のぞき見なんてする
つもりじゃなくって――
――ひいいいいいいいいいっ!?
ちょ、ちょ、ちょっと、これは本気で危険(ヤバ)いッ!? いままでこのトゥルー日記に対して何度となくヤバいって表現使いましたが、これはそういうレベルの話じゃなくって、わりと冗談ではなく家族会議を起こされかねない事態などに繋がりかねないわけで――!
……っていうか、そういうタイミングでばっちり「見てしまった!」イベントを起こしたのが小雨というのが、なんというか、この子のキャラ的立ち位置というのは本当筋金入りだなあ……などと呑気な感想をも起こすわけなのですが、いやいやいやいや、それどころじゃありません!
ともあれ、小雨がどのシーンを見たかによっても事情は違ってくるわけですが――
何してるのかなって思って見たら
立夏ちゃんがいきなり抱きついて――
――容赦なく、一部始終全てですね。さあて、どうしたものか……。
……いや、ものすごく根源的なことを言わせてもらえば、別にトゥルー俺も立夏も、なにも後ろ暗いことなんてしていたわけではないのですが。それどころかむしろ、人間にとって一番尊い気持ちのやりとりを行っていたわけで……って、そのあたりのことは、さすがにちゃんと理解してくれてそうな小雨がいとおしい!
確かに、小雨はちゃんと理解してくれてはいると思います。ただ、理解に感情が追いつくかというと……
あの、
その――
……
なんかすごくて、
当てられちゃったっていうか――
……
……誰が小雨のこの反応を責められましょうか。そりゃあ、言われたトゥルー俺本人だって、茫然自失で夢見心地になっていそうな勢いでしたからね。あの告白は、本気で「落し」にかかってきている女の子全開の言葉でしたし……あああ思い出しただけでなんか気持ちが昂ぶり!
そのフォローなのか、それとも自分に言い聞かせてるのか、立夏は小雨にも麗にもよくチューするってことを説明してくれてますが……ああああああ、小雨に対してどう接したらいいのか。いかにトゥルー俺がよく出来た人間だとしても、これは少々人間の限界を越えた事態で――
……
――あ!
麗ちゃん!?
――もうどうにでもなーれ!(←半ば自棄)
バカ!
バカバカバカバカ、
バカ―――――ッッッ!
もう――これだから、
男なんて汚らわしくて
信用できないって言うのよ!!
――ザ・修羅場。
ひいぃぃぃいいいいいいいぁぁぁあああああッッ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいッッ……と思わず寂海王の姿勢で全力ガードに入りたくなりますが、それにしてもなんという話の流れ、なんというタイミング――!
いや、もう――どうしろと? Portalで地面に転がったタレットの如く、「Hawawawawawa〜〜」って萌えっぽい断末魔を挙げて悶え転げるぐらいしかトゥルー俺に残された行動の余地などないではないですか!
いやあ、まさか麗に――というか、こういうお約束原理には超強烈な引力が働くのがトゥルー時空の慣わしなのでした。
いやホント……どうしたらいいのでしょうかこれは。
さっきも言ったように、さっきの立夏と抱き合ってたこととかは、本来的には、攻められるべきことではないっていうのが、事態の拙さに拍車をかけてくれております。
ただ、麗の怒りの要点としては――
小雨ちゃんをこんなに泣かせて――
バカ!
アホ!
無神経!!
あっ、あっ、あっ……などと、いつものようにM的喜びに浸ってる余裕すらありません! ありません……が、しかしですよ。麗が怒っているのはすなわち、小雨を泣かしてしまったこと――そこなんですよね。
……っていうか、さっきの日記におけるあの間……あれはやっぱり、理性を越えた感情の部分で強く感じすぎてしまったからなんでしょうね。それはまあ、小雨じゃなくても無理はありませんが、ましてあの繊細な小雨だから――という意味においてはなお深刻。
そう。今起こっているのは麗ですが――問題は、小雨の気持ちをどうカバーしてあげるかってことなんですよね。麗に怒られるのはまあ……いや、それはそれで大問題なんですが、優先順位的には、そういうことで。
ともあれ、泣いてしまった小雨の手を取って「行こっ!」と引っ張る麗。ああ、さすがに麗、小雨のことが大事なんだなあ、頼りになる……なんて現実逃避的な感心を見せてしまいたくなりますが、そういう部分は確かに。
まあ、現実逃避ついでに喜ぶ点としては、
こんなヤツのために、
一生懸命チョコ準備してたなんて――
自分がかわいそうで涙が出るわっ!
バカよ、本当にバカみたい――
私――こんなヤツのために――
やっと見つけた
MSEのチョコ
買ったりして――
麗が……! といっても、去年の時点ですら、ちゃんとチョコを買ってきてくれていた麗なのですから、そのあたりも納得というか、素直に凄く嬉しい……って言わせてください、せめて。
確かにまあ、この麗の怒り方も短絡的ではあるんですが、小雨を泣かしてしまったという一点において、トゥルー俺は何も言い返すことや諭すことが出来ない立場に置かれてしまっているわけで。ここは誰か、お姉ちゃん達の力でも借りたいところです。……情けない限りではありますが。
しかしとりあえずは、麗のガス抜きがある程度必要ってことで、
えいッ!
もうこんなチョコいらない!!
その箱が当たった痛みは、
小雨ちゃんの痛みよッ。
せいぜい反省しなさいよねっ!!
ITEッ! ……って、痛みは伴いましたが――ちゃんとチョコそのものは渡してくれた麗に、優しさを感じるっていうのは……いや、間違いではないと思います。そのぐらいはトゥルー兄として、ちゃんと感じて上げられないと。
しかし、反省というかなんというか――
この事態を覆す、ウルトラC的なことを思考しなければ――って、難易度高いですよ!
あの、お兄ちゃん――
そろそろ、ごはん――
っていうよりも♥
バレンタインパーティーの始まりです!
ああっ……ホタの優しさと家族のあったかさが、心に染みる……!
いやあ、さっきはちょっと困った……というか、うん。困ってしまったとしか言いようのない事態が生じてもいましたが――とりあえず、家族全員に(今の時点では)その深刻さが伝わることなく、なんとかつつがなくパーティを迎えることが出来ました!
いやまあ、さっきのことについては、後で小雨について――なんだったら立夏も――ですが、ちゃんとフォローというか、何かをしてあげないとって思うわけですが。麗についても勿論ですが、順番的にはやはり、ね。麗にはむしろ、さっきは事態が事態なだけにスルーしてしまいましたが、なにげに家族の中で一番先……っていうか抜け駆け的にチョコをくれたんですよね(朝のチョコ食をカウントしなければ)。それについてのお礼がまず先ってことで。いずれにせよパーティーが終わってからの方が良さそうですけどね。
さてさて。バレンタインパーティの始まりということで、食卓に並ぶのは――
今日のメインメニューは、チョコカツカレー!
………………い、いやいやいや。ロイズのチョコレートポテトチップスも、食べてみたらあれが意外なまでに美味しかったんですよ! 今では大好物の一つです。とまあ、そのリアル経験も踏まえ、さらにはホタが自身をもって勧めてくれるのですから――これはガチで美味しいのでしょう。
このチョコカレーのほかにも、もちろんというべきか、姉妹からのプレゼントがあるようで――さて。チョコの甘さに耐える準備はOK? いやまあ、今日はチョコとは比べ物にならないぐらい甘い事態がいくつも生じていたおかげで、甘さには十分な慣れができているとは思うわけですが。
さてさて――ここまで色々ありましたが(まさに現在進行形でも)、二年目のバレンタインデーをこうして迎えることが出来て、感慨深い気持ちがわいてきます。
それはホタも同じなようで――去年のことを思い出してくれています。
あのね、ホタ――やっぱり。
当たり前のことかも知れないけど、
去年よりも――みんな、
すごくすごくお兄ちゃんと
仲良くなってる気がします♥
それは、確かに。間違いなく。
……去年のバレンタインデーの日、この世界で一番甘ったるい日は、2008年のこの日に違いないって確信していたんですが。それは間違いですね。そう、2009年の今日この日の甘さに比べれば――その甘さや幸せ度に関しては、まだまだって表現ができますよね。もちろん、その日を経たからこそ今があるわけで、比べることには意味なんてないわけですけれど。
ええ、本当に、一年という時間のなかで、どれだけの絆を深めることが出来たか――まあ、その強烈なぐらいに仲良くなったおかげで、それこそ現在進行形で色々タイヘンなことも起きてはいるわけですが。そういうトラブルまで含めて、本当、時間を重ねて幸せがより厚く、より濃くなってきたんだなあ……と、今日の日の甘ったるさを通じて思った次第です。
お兄ちゃんのおかげで、みんなが――
もっともっと仲良くなって、幸せで――。
だから、そんなお兄ちゃんに愛と感謝の気持ちを
いーっぱい込めて♥
今日はバレンタインのパーティーです!
楽しんで下さいね
そう。色々大変なこともありますが――その気持ちに応えるためにも、めいっぱい、楽しませてもらいましょう!
だーかーらー!
なんで、不参加表明してるっていうのに、
私がまたカンパイ役なわけ?
「それは、氷柱が家族で一番優しくて家族思いのいい子だからだよ――」とか即答えたりしたら、その場で蹴飛ばされそうな気配こそ感じますが――なんだかんだで、イベントごとには全力を尽くす氷柱であります。
ええ、氷柱です。不参加表明しているのに、すでに本日二度目で御座います。これは氷柱が強烈極まるお約束体質の子なためか、それとも言葉とは裏腹の思いが無意識の内にそう体を突き動かすのか――それは定かではありませんが(むしろ両方か)、その素直じゃない可愛らしさに、トゥルー俺としてはニコニコした表情を返すばかりであります。
……
なによ、ユキまでそんなニコニコしちゃって――。
……さすが綿雪、っていうべきでしょうか。長年氷柱の愛情と、ある種の依存みたいな側面(そんなにネガティブなものでもないですけどね)と触れてきただけあって、氷柱を誘導するのは手馴れたものですよね。
もちろんユキは天使かって思うぐらいの優しい子なんですが、なんだかんだで女の子というか――ああ、黒い綿雪なんていたら、どんなに俺のM的属性は満たされるだろう……なんて思いを抱いてしまう面も、少々。いや、俺の意識がマニアックすぎるだけではありますが!
そして、案の定――「家族のために」的なことを前面に出して、仕方なく――という形で、乾杯を行う氷柱。
まあ、あれですよね。言葉ではどう言おうと――いや、むしろ言うからこそ――今日のバレンタインという日は、氷柱が主役になるべきって思いは、きっと家族みんなにあるんでしょうね。それだけ怒る、それだけ気にするっていうことは、それだけ大事に思っているということの表れなわけですから――
あ、言っておきますけどね――
今日のみんなからのプレゼントの
この全長1メートルの巨大ハートチョコ作りには――
私はいっさい手を出してませんからね!
誤解しないでよね――
いやあ……。その「全長1メートル」という部分に驚くよりもまず先に。率先して紹介しつつ、自分の非関知を強調する氷柱のこの態度に、喜びとニヤニヤを隠せません。そりゃあ、誤解なんてするわけがないじゃないですか。
なんかホッとするっていうか。
家の中でだけの――平和なハッピー・バレンタイン。
ああ、ヒカルがほっとしてくれてるっていうなら、俺もほっとできますよ――!
……といっても、ヒカルがほっとしているのは、今日が学校はお休みの日だったから、というお話のようです。ああ……なるほど。そりゃあ、ヒカルのキャラクター的に、バレンタインに学校でどういう扱いになるかなんて――
だから、今年は――
行く先々で――女子達から、
チョコを渡されるなんていう
面倒な目に遭わないですんで
ホント気が楽だった!
まあ、想像通りですよね。確かにまあ、生身の女子の気持ちとしては、同じ女の子から、それも面識も何もない子からまでチョコを何個も渡されるっていうのは、わりと深刻に困りかねませんよね。そういう意味で、実感こもってます。
……っていうか――
私はこれでも一応――女なのに。
……ふーっ、ふーっ、ふーっ……と、思わずケモノの吐息になってしまった俺を誰が責められるかというと! 責められるかというと!(←逆ギレっぽく) ああもう、ヒカルのそういう煩悶、お約束どころかもはや王道だというのに、どうして俺の心をこんなにもときめかせますか。ああもう、このときめき、どうしてくれる――……
オマエなんてオトコだから――
これまでそんな目に散々あってきたんだろ?
……ときめきが収まりました。一時的にですが、現実を思い出して。
いや、トゥルー俺の場合、もしかするとホントにそのレベルでモテていた可能性もありますけどね。なにせ外見的には、ヒカルと入れ替わってもなんとか通じるぐらいには整っているようですし。でもまあ、女の子同士のある種の気楽さがないと、チョコでモテモテっていうのは難しい気がしますけどね。ある種のアイドル性というか。
まあ、そのような話題は置いてとくとして――さっきの麗の件について、すでにヒカルは耳にしていたようです。
とはいえ――
チョコ――投げつけられたんだって?
――クスクス♥
良かったな。
それってきっと――
あの子の最高の愛情表現だよ!
ああ……概ねその通りだと頭の上で理解はしてましたけど。やっぱ、他ならぬヒカルにそういわれると、安心感が違うっていうか……ちょうどあの瞬間は大分困惑混乱して落ち込みかけもしましたが、ヒカルのおかげでなんとなく元気にというか、このトゥルー家族の幸福自浄作用みたいなものの力を感じて、すごく安らかな気分が戻ってきました。
まあね、麗についてはもともと、そんなに心配はしてなかったんですよ。それこそヒカルが言うように、投げつけてでもちゃんとチョコをくれて、「反省しなさい」って言ってくれたわけですし。逆に言うなら、反省したなら(小雨次第でしょうが)許してあげるって意味でもありますからね。
うん、やっぱりヒカルは、家族のことを良く見てくれているお姉ちゃんですよね。家族の大黒柱っていうか――トゥルー兄ができない役割を、ちゃんと行ってくれる「お兄ちゃん」でもあるお姉ちゃん、と。
麗にチョコを投げつけられた様を想像して大いに笑ってくれるというのも、なんだか気持ちが楽になります――もしかすると、そういう意図で笑い飛ばしてくれているとも考えられますね。
「私もチョコを用意して」……ってことは、今年は個別のチョコじゃなくって、あの全長1メートルのがみんなの分まとめてってことなんでしょうね。それに加えて、麗みたいに個別で渡してくれる子もいるのでしょう……って、そう考えると、ますます麗にありがとうって言わなければならなくなりました。さっきのフォローも含めて、今日中には必ず!
オマエは――もたれてないか?
チョコカツカレー……。
あれは――ちょっとな。
――あの霙姉さんをしてさえ、「あれはちょっと」と言わしめる存在だったのですかアレ!?
いや、確かにその組合せには普通に考えればちょっと……という思いはなきにしもあらずだったのですが、そこはそれ、ホタが作るものだからと、あたかも国産野菜だから間違いなく無毒、みたいな(あるいはそれ以上の)ノリで完全に「美味しいものだ」と認識してしまっていたわけですが……
たまに――そうだな、
1年に1回ぐらいあるんだ。
蛍が奇妙な料理を思いついて――
しかもそれを断固押し通すときが――
し、知らなかった……なるほど、一年に一回ぐらい、と。だとすれば、ちょうどこれで久しぶりにその習性が出てしまった、ってことでしょうか。いやあ、一年も暮らしてきたとはいえ、まだまだこういうことは、身を持って体験しないと分からないものですね。逆に言うと、それだけまだまだお互いを知る余地があって嬉しいってことでもありますが。
まあ、いずれにせよ、ちょっとやそっと食べ難い程度なら、今の完全に満たされたテンションのトゥルー俺ならば、残さずペロリと完食は余裕だったことでしょう。そして1mチョコも、もう大分片が付いているはず。大丈夫、この今日のトゥルー家に漂う強烈な桃色空気の影響があれば、胃袋の限界ぐらい軽く越えられるハズ!
まあ、霙姉さんはそんな蛍のチョコカレーをたしなめもしたようですが――効果がなかったあたり、その気になったホタのヒラエルキー的なものを感じずにはいられません。確かに、基本的に食べる側の霙姉さんには、いかんともしがたいものがあるでようが――
せめてあんこ料理にしてくれればいいのに。
……あんこカツカレー……いやまあ、深くは追求しませんけど。
っていうかですよ、その話の流れから――
あんこは――いいぞ?
いちご大福とかクリームあんみつとか、
意外にコラボ上手なんだ。
その点、チョコレートなんて――
基本はそのまま喰うものだろう?
ああ――やはり、
あんこは宇宙の色に似ている――。
……今更ながらですが。霙姉さんのあんこに対する愛情が、改めて理解できました。っていうか、ここまで露骨にあんこ好きをアピールするのって、実は始めてかもですね。今までは、なにげなくあんこを食べてるシーンが露骨に目立っていたってことで、なかば確信ながらも推測の域だった情報が、本人の口から改めて。
まあ、その食べ方のバリエーションは一般的であり同意ですが、その最後の感嘆は――それこそ、霙姉さんの領域ってことで。
それはさておき。今日のバレンタインデーにも、まあ色々あったことをしっかり察知しておられる霙姉さん。ああ、頼りになる霙姉さんに知られてるっていうのは、それだけでなんだか安心感があるわけですが……そんなトゥルー俺に対して、この一年間での生長の祝いもかねて――ご褒美が!
霙姉さんのその褒美とは――
私の初めての試み――
あんこチョコだ。
……………………………………………………………………………………ゎぁぉ♪
いや、その……いや。何も言いますまい。理屈じゃないんですよ。霙姉さんがくれたご褒美という時点で、それこそさっきホタの作った素敵カレーを完食したのと同じ理屈で、全力で味わせていただく次第ッ! ……チョコって油モノなので、あんことはあまり絡まない気がしますが、そこはそれ。あんこを食べてからチョコ部分を食べるという最後の手もありますしね。
それにしても霙姉さん、この年になるまで、一人でお菓子を作るのが初めてだったとは――。まあ、一般的にはそこまで珍しくもない気はしますが、この女の子に溢れてる家でそれというのは、よほど「自分は食べる側の人間(タベサイダー)」って意識が強かったんでしょうか。
まあ、その是非はさて置き、そんな霙姉さんの初めて――いやまあ(略)をいただけるってことは、素直に嬉しく思います。そりゃあねえ、「私もたまにはかわいい弟に何かしてやりたくなったんだ」なんて殺し文句を言われてしまったら。
なにやら腹を壊さないかとか、毒見とか、物騒な言葉も飛び交ってますが――
思い切ってひとくちでいってみろ。
あ、ちなみに、それ――
1つしか作らなかったから、味見はしてないぞ。
私に味見させたいなら――
方法は1つしかないな、フフフ――♥
……えーと。
「一つしかない」+「一口で食え」。そして「味見はしていない」
そのうえで、霙姉さんに味見をさせる方法とは――?
IQサプリでいえば、100ちょっとぐらいの問題でしょうか。
難しいのは、その答えを導き出す方法ではなく――って!
( 答え : 口移し ) ――
ああ……霙姉さんもすっかり、今日のこの桃色空気に――! 霙姉さん相手だと、年上で、しかも時間も時間な分、紳士であろうという誓いの強制力が……その……どんどん緩く……!
また小雨に見られるんじゃないかという恐怖さえ、この誘惑の前では抗いがたいのですが――どうしましょうか。
す――
す――
す――
ふんがっ!
ごごご――
すぴ――
――YASEIすぎるよ、あさひさん!
いやあ、さすがにもうおねむの時間だろうから、去年のように春風さんか誰かが一緒に日記を書いてくれるのだろうと思っていたら……なんとなんと。この、雄度溢れるという表現さえ用いれそうないびきっぷり――! 貫禄があるにもほどがありますよ。「ふんがっ!」って。
とまあ、この文章自体はもはや単なる寝いびきであり、日記の体をなしていないわけでもありますが――いやまあ、普段のあさひさんの日記だって、それ単独では言語には至ってませんし、そもそもあらゆる意味で規格外のこの日記について、今更そのようなツッコミを行う意義はありませんね。あるときは普通の日記、あるときは神の視点、またあるときは姉妹視点での現在進行形ドキュメント――あらゆる形態をとりうる、リアルとトゥルーを繋ぐアビスゲートなのであります。そう、そこからまるで四魔貴族の如くあさひさんが現れたりして。血と汗とよだれを流せ! いや、強さ的にはむしろフォルネウスかもですが――
……などと脱線はそこまでにして。この文章自体は、あさひさんの豪胆なYASEIっぷりを知らしめる要素ではあるものの、純然たる寝息であるわけで――となればやはり、トランス先生のお出番ですね。先生お願いします――!
す――
す――
す――
あさひは決めた!
大きくなったらおにいちゃんに
なる――
そしてチョコカレーをいっぱい
いっぱい食べるんだ――
「ふんがっ!」=決意の表れでありましたか! あさひさんのまるでビリーの兄貴(来日おめでとうございます)のごときその威容……あらためてリスペクトって感じですが、続く発言もなにやらすごいことに。
大きくなったらお兄ちゃんに――いや、これはまあ、乳児視点からすればもっともであり、素直に嬉しいお言葉ですよね。ただ、その理由となってるあたりが――「チョコカレーをいっぱい食べる」と。
あの、霙姉さんをしてさえひるませるチョコカレーを……!? ……とビビってしまいますが、ちょっと考えてみると、たぶんあさひが食べたのはほんのスプーン何杯かぐらいってところでしょうね。それで、普通のカレーはまだ食べられないでしょう。ですが、この甘さ100倍って勢いであろうチョコカレーならば、あさひさんの今の舌にも刺激がちょうど良かったのかも――と、それっぽい推測を行ってみました。
まあ、そういう要素があるにせよ、あのカレーをたくさん食べたいって言うのは……ああ、やはり大物の片鱗という他なく。
あと、そういう連想をするに至ったということは、トゥルー兄があのチョコカレーをたくさん食べていた、ってことを示してますよね。その様子を見て憧れるに至ったのでしょうから。……よしよし、トゥルー俺は今日も理想的なトゥルー兄です。
小雨――――待っていたッッ!!
そう……さっきからずっと、普通にバレンタインを楽しもうって思い、励んではいたんですが……やはりどうしても、小雨のことが気になってはいたわけですよ。それはねえ、あんなことがあって、すっぱり忘れられるほど、トゥルー兄の心は軽くはありませんとも。
どうやってフォローしようか……と、確かに悩んではいました。そして、それにいい答えなんてないってことも。
ただ、そんな心配は無用とばかりに、小雨の様子はいつもよりも遥かに――ポジティブです。……偉いというか、女の子は逞しいっていうか……リアルで俺たちがあれこれ悩んだり、トゥルー俺がやきもきしたところで、女の子の気持ちが前向きになることの強さの前では、無力に等しいってことを、思い知った次第。
いや、悪くない、こういう前向きさは、すごく悪くないよ小雨! もしかしたら、幸福イベントの無呼吸連打って勢いだった今日のバレンタインデーの中で起きたことの中でも、一番嬉しい出来事かも知れませんねこれは。
ともあれ、ちょっと見ていきますと――
こんな時間のお風呂上りを狙う、積極的な小雨! しかも、「パジャマ姿だし――」って! それは、その姿の魔力を知ってか知らずか……いや、いずれにせよ、小雨の本気は良く分かります。
それどころか、小学生までの活動制限によって、10時以降は寝なさいっていうお約束までこっそり破るという、小雨にしてはとてつもなく勇気がいったであろう行動まで!
――エヘヘ。
小雨にしてはがんばりました♥
お、おああああ……この発言を聞いた瞬間に思い切り抱きしめてあげたくなるわけですが、もうちょっと堪えましょうトゥルー俺。まあ、今日の日が今日の日ですし、事情もみんな知ってるかもしれませんし、咎められることもないでしょうね。
それで、やはりというか、今日の夕食時には、トゥルー兄と小雨は、まともに話もできない状態だったようで。いや、まあ、それはトゥルー俺とて気を使わないわけには行かないでしょうし。こういうとき、男の子というのは実に無力なわけで。
それでも――それでもなお。
小雨にはもうそのとき、伝えたいことがあったようで――
「本当は小雨も立夏ちゃんみたいに――あんな風に格好良く――」……と。本当は、あのとき一番ショックだったのが、こういう部分だったのかも知れませんね。この姉妹の中で、誰かに取られた、みたいな気持ちに感情が向かうことっていうのは、ちょっと考え難いですし。
そう。小雨はいつだって、自分に自身が持てないことを嫌がっていた子なわけで――
……そんな子に。
お兄ちゃん――
いつもどんくさい小雨でごめんなさい。
でも――あの――
こんな小雨でも――
……
お兄ちゃんのそばにずっとずっと一緒にいたい気持ちは――
立夏ちゃんにも負けないつもりですっっ!!
……
それだけ――どうしても今日中に言いたかったんです。
ごめんなさい♥
こんなことを、言われたら――それはもう。
……いや、本当。今日という日の中で、一番幸せな出来事――です。これは。
兄として小雨の強さがうれしくて、男の子として小雨の気持ちが嬉しくて――なんといいましょうか。バレンタインデーという日は本当に、桃色の魔力が漂っているのだろうなあ……って思いました。
さてさて。あのときに心配だったもう一方の麗についてですが、
ウフフ――きっと本当は一緒に
食べようと思ってたんですね、麗ちゃん。
ほんと、意地っ張りなんだから――
伝言まで伝えてくれるあたり、あれはもう、本当に一瞬の怒りって感じだったんでしょうね。うーん、麗らしくて微笑ましい。いや、本当にいっしょに食べる気マンマンなあたり、この子の表向きの態度に比べての胸襟の広げっぷりは、実のところ姉妹の中でも一番かも知れませんね。実は一番トゥルー兄に依存して、一番トゥルー兄に甘えてるのが、麗なのかも。
当の立夏はというと――YASEIに立ち返ってくれたのでしょうか、すでに爆睡とのこと。
いや、だからといって、あのドキドキするってレベルじゃない、小雨曰く「かっこいい」告白のことは、一生忘れられないでしょうけど――でも、考えてみると、改めて自分の気持ちを伝えようって思うと、ああいう風な告白みたいなことになっちゃうんでしょうね。
すなわち、あの告白があろうとなかろうと、立夏は立夏であり、大事な愛しい妹なわけですよ。
もちろん、あんな勇気の要りそうなことをしてくれたってことは、ずっと忘れないでいますが、だからといって、立夏への態度が変わるかというと……まあ、それは流れ次第としか言いようもないわけですが……立夏のことだから、あの日のことをときどきは意識しつつも、いつものようにチャオチャオって気軽に親しんでくれるんじゃないかなって思うわけですよ。
それもこれも。
このバレンタインデーに漂う、桃色空気のおかげですからね。
小雨、なんだか今日は――
立夏ちゃんのおかげで勇気が出て
いつもの臆病な小雨じゃないみたい。
お兄ちゃんに気持ちを伝えられて――嬉しいです。
バレンタインって――本当に素敵ですね!
小雨みたいな子にもチャンスをくれて――。
あの小雨をしてさえ、こんな風に前向きになれて、それ以上に、自分を誇らしく思ってくれたわけですから。今日の桃色空気には、本当いろいろなところでドキドキさせられましたが――その中での一番の収穫は、小雨の振り絞ってくれた勇気ですね。そう断言します。
本当、魔法のような一日でしたが――
お兄ちゃん、それじゃあ――
おやすみなさい♥
良い夢を見られますように――
……次第にせまる、お休みの時間が。
ただ――これで終り、ってわけじゃあ、ないんですよね――
はぁ〜♥
2回目のバレンタインデーも、ようやく――
無事に終わったわね?
――やっぱり、締めくくってくれるのは、海晴姉さんでないと!
出だしの「はぁ〜♥」に、ちょっぴりババくささを感じなくもなく……ってウソですごめんなさい。海晴姉さん超綺麗! ……いや、これは素でそう思ってますから。
なにはともあれ……これでようやく、「おおむね」バレンタインも一段落ですね。色々と――本当に色々と、特に桃色方向のことが数多くありましたが、とにかく無事に終えることが出来て、何よりです。
「楽しめた? それとも――疲れた?」なんて問われれば、それはもう、まだまだあと24時間ぐらい続いてくれてもいいですよ、って本気で答えたくなるわけですけどね。いや本当、今日は休日だったので、疲れなんて全然。むしろ更新が来るたび元気が漲ってくるのが本当に実感できましたですよ。日記に感想を書く手順にこの一年でずいぶん慣れてきたっていうのもあるんでしょうが、ともあれ、これはガチです。まだまだ全然イケますとも。
ただ、どれだけ楽しくて、どれだけ続いて欲しくとも――物事には終りはつきもので。
だから、この幸せな時間が終わってしまうことに、寂しさはあるわけですが――
初めてのバレンタインと
2回目のバレンタイン。
たった1回、回を重ねただけだけれど――
それでもう私たちの絆は2倍になったんだと思うの♥
……そう。そうなんですよね。
去年のバレンタインのときは、色々な意味で強烈な感情に襲われました。それこそ、世界の全てがこの一日にあったんじゃないかってぐらい濃厚で切実で――ある意味では、余裕がなかったとも言える感じのものが。
その点今年は、各出来事に激しく興奮こそしていますが――全体としては、むしろ落ち着きながら、この幸福をじっくり享受できている自分がいるなって思います。
これは、もちろん慣れっていうのもあるんでしょうが、そう言うよりはやはり――今年もまたあった、ってこと。そして、きっとまた、来年だってあるんだって――そういう見方ができるようになったからなんでしょうね。
そうです。時間が過ぎて幾たび、幸福な思いは、どんどん積み重なっていくわけで――
「バレンタインデーが来るたびに、私たちの愛情の歴史は、3倍、4倍、5倍、6倍ってどんどんどんどん増えていく」……と。その海晴姉さんの言葉が、誇張でもなんでもないんだってことを、それなりに年数を生きたリアル俺には、それなりに理解できるつもりです。
そんな中でも、この言葉は――
日常ってそんなに刺激的なワケじゃない。
でも、そんな中に幸せがたくさん詰まってる♥
……これですよね。
あくまで俺たちは、トゥルー日記を通じて、この姉妹達との日々を追体験している身にすぎないわけですが――その、圧倒的なまでの日常感と、家族の愛情をこれでもかって勢いで、毎日毎日示してくれているおかげで、海晴姉さんの語る、何事もない日常――同じ日々を過ごしているって実感できますから。
海晴姉さんの言う、「それこそが最高の幸せ」――そのことの意味を、実感として理解できること。
それこそが、俺たちにとっての最高の幸せなのだと思います。トゥルー俺という存在を認識し、強く思い入れることが出来ることの喜び。自分ひとりのものであるようで――それは、無限の愛情にさえ繋がっている。すごいことだと思います。
キミが我が家に来てくれて――
私たち19人に1つづつの幸せをくれたから。
私たちの幸せの数は――
1つだけなんかじゃなくって。
一気に19個も増えちゃった♥
そう。こういう素敵なものの見方も、その「無限の愛情」のひとつ。
本当に――幸せなのだって、思いますよ。
これからも――この日記が擦り切れて使えなくなってしまうその日まで。姉妹たちのことは、ずっとずっと、見ていよう……って思います。俺の思いうる、抱きうる――最大限の感情でもって。
そんなキミに――最大の愛を込めて♥
いつまでもそばにいるわ――
おやすみなさい♥
はい。おやすみなさい――と。
……さて、幸せだった、2月14日も、残り僅かで――
「pm11:59」!! シンデレラだってもう少し時間に余裕を持って行動してますよ――って。
……いやいやいや。待ってましたとも――――氷柱!
そうですよ。それこそ、バレンタイン前のフラグっぷりから、ずっとずっと待っていたわけで――
自分でもバカみたいって思うけど。
それでも渡すのが1ヶ月早い分だけ――
去年よりはマシよね。
別にこちらとしては、たとえ一ヶ月遅れようと、半年遅れようと――ずっと、待っているつもりではいましたけれどね。ただ、残り一分とはいえ――桃色空気の残り香としては、まだまだ十分っていうべきでしょうか。
そう、あとほんの少しだけ魔力の残っている、バレンタインの桃色空気。氷柱がこんなことを言っているのも、わざわざ、残り一分という時間で、「何か」を渡しに来てくれたのも。それも全部、バレンタインの魔力のおかげ――ってことに、しておきましょうか。
みんなに内緒で――
ユキが作り方を教えてくれた
生チョコは――
2日しか持たないんだって。
だから早く渡さなきゃって――
……って、さりげに綿雪すごい! や、生チョコって作るのが難しいのか、そういうことは分からないのですが、ふた回り年長者である氷柱に、バレンタインのチョコ作りを押しえらられる病弱な小学一年生――!
さらに、付け加えるなら。
たった二日しか持たない生チョコ――どうしてこれを、あえて作らせたのか。
去年の氷柱のことは、綿雪も当然耳にしていると思うのですが、それを知っていて、氷柱に踏ん切りをつけさせるために、あえて賞味期限の短いものを作らせたのだとしたら――なんといいましょうか。あまりにも優しくて、大人びていて、嬉しいので――ちょっとだけ、軽く、デコピンでもしてあげようかな……って。そんな風に思ってしまいました。痛くなく、ちょうどいい感じの……そう、普通の兄妹みたいなノリで。
ともあれ――今のところは素直に、その天使みたいな綿雪に、感謝の気持ちを送ろうかと。氷柱もトゥルー俺も、綿雪にはずっとその軽そうなお尻に敷かれ続けてしまいそうですね。
私――あなたのこと嫌いだわ。
いつも私をこんな不機嫌にさせて――
ダイダイ大嫌いよ――
……この氷柱の言葉こそ、今年食べた中で一番甘さが際立つビターチョコであると、この一日をずっと追い続けてきたトゥルー諸兄のみなさんには、きっと同意していただけることでしょう。この甘ったるい一日を締めくくるための口直しとしては、それでもなお甘すぎるぐらいに――