おにいちゃん、おにいちゃん!
おーきて、おきてっ♪
あさですよ〜♥
来たあああああああああああっっ!! 今年もいよいよ始まりましたよ、一日丸ごと体制で迎えられるトゥルー家族とのバレンタインがッッ!!! いや、実際こうして虹子に起こしてもらうまでもなく、すでに早起きしてカチカチカチカチとF5攻撃寸前な勢いで更新ボタンを押していたのはここだけの話。
さて、(リアル的には)3年目ということで、さすがにこの怒涛の一日にもそれなりに十分な気構えができました。なにやら「プロポーズコンテンスト」なる未知の情報も飛び込んでは来てますが、何が待ち構えていようと、至福の心境で迎え入れられそうな予感というか確信が。ああ、バレンタインが土日っていうのは本当にいい……!
えへへへへへへっ♥♥♥
ほら、みてみてみて!
おにいちゃんの
ちっちゃな
にじこちゃんが――
お・は・よ・う・さんの♪
バレンタイン〜〜♥♥♥
そして朝一番目からオーバーキルとばかりの勢いで喜死。朝起きた瞬間からこんな可愛いのを見せつけられたら、バレンタインであろうとなかろうと色々な意味でどうにかなりそうであります!
――さて。バレンタインということで、今日の朝にはさっそくチョコレートが。……うむう、リアル俺はチョコレートならばどんなときにもありがたく食せる甘舌の持ち主ですが、一般的にはなかなか辛そうな状況かも。
しかし――
……
もうたべる?
いまたべる?
すぐ――たべる?
そしたら、にじ――
あーんしてあげるっ♥
にじこのチョコ、
あーんってたべたらね、
おにいちゃん、
にじこのことも、むしゃむしゃむしゃ
ぜーんぶもぐもぐたべちゃうの!♥
――朝一番から本当にフルスロットルですね! ウォォォァァァァー!!(発狂)
……なんということでしょう。バレンタインのこの日は、19人姉妹全員から、それこそ次から次へと激甘なチョコレートを口の中につっこまれるのと同等な勢いでの甘い攻撃が続く恐るべき日なわけですが、そんな日の一番目の日記でこれというのは……ええ、次のラウンドに余力を残すという発想は、トゥルー的にありえないようです。……フフフ覚悟完了。
しかしそんな覚悟も、ふとんの中にいたまま、可愛い二歳児であるところの虹子にチョコを「食べさせてもらう」という状況に、もはや精神は崩壊寸前に追い込まれております。
うふふっ♥
にじこもいっしょに
入っちゃう?
きゃ――
あったか!
いいきもち♥
にじこ、もうたべられて、
おにいちゃんのおなかの中に
入っちゃった!
えへへ♥
――本当に――
あああ、今日って言う日は本当に!!!
……YU-SHOWさんがこの日をトゥルー的に生き残れるかどうか、大変微妙なところです。っていうかもうこの虹子のアタックのせいで、すでに精神も頬の筋肉も、果てはリアル俺の社会的立場も含めて致命的な状態であります。ああ……この目覚め、俺のリアル人生において想像してきたどんなものよりも幸福度が高く……高く……
――って、霧賀センセイのイラストまでついてきますか! いや、本当に、今日は間違いなく、トゥルー家族が俺たちに止めを刺してきています。本気で。
おにいちゃんのおなかの中、
とってもとってもいいきもち!
にじ、カンガルーさんみたい?
ふわぁ〜あ。
にじ、またおねむさんになってきたよ――
うわあ、トゥルー俺の中、とってもあったかいナリ……とか言ってる場合ではない! どうしましょう。本当に、どうしたらよいでしょう。バレンタインを生き残れる気力と理性を俺に!
ちょっと――
もう!
いつまで寝てるのよ、
このアホ下僕!
今、8時半よ?
いくら日曜だからって
ちょっとネボケすぎじゃない?
ひいっ! 虹子の更新が終わったと思ったらもうっ! すいませんすいません……って、二回目から氷柱の登場とか! いやあなた、今回なにやらしているって話が……と、今語れる事では有りませんが、ともあれここで氷柱の登場自体不意打ちです。ああ、恐るべきトゥルーバレンタイン。
だいたいご主人様より
下僕の方が遅くまで寝てるって
なんなのよ!?
おかげで、蛍ちゃんに
起こしてきてって使い走りに
させられるし――
アナタのせいで
朝ご飯がいつまでたっても
終わらないでしょ?
あわわわわわ、この怒りはまるで、少しばかり感想更新を遅らせてしまったリアル俺の心をダイレクトにえぐりすぎというかなんというか、いやそのですね、早起き自体はしっかりしていたんですが、ちょうど8時のタイミングで更新ボタンを押したらまだ来てなかったので、その際に少し食事を取ったり、今はハートキャッチプリキュアをバックで流しながらすごい勢いでキーボードを叩いていたりとか、そのような事情があるわけでして……ええトゥルー兄失格です猛省。踏んでください。踏んで!(むしろご褒美ですが内緒)
……さて。今日は朝から虹子にチョコをねじこまれてしまったわけですが(意図的な表現)、さらにちゃんとした朝食には、蛍特製のお料理が……って、そうでした。バレンタインなどのホタは、ときに初期の白雪を思わせるゴイスーなメニューを用意してくれるのでした。それこそ、チョコとあんこを入れ替えたら、霙姉さんだけが喜びそうな類の料理が。去年のバレンタインを思い出しつつ。
それはさておき、氷柱が朝起こしに来てくれたということ自体、なかなかに至福というか、バレンタインのラッシュがまだまだ続いているという打撃感に酔いしれずにはいられません。ええ、いつものように、罵詈雑言は放ちつつも――
まったく、しようのない寒がり。
仕方ないから、ほら。
あっためてきてあげたわよ。
あなたの――着替え。
言っておくけど、下僕のため
なんかじゃ絶対絶対――
ないからね!?
ただ、私は蛍ちゃんに頼まれた任務を
遂行するために――
……こ、ここに来て、典型的な……あまりにも典型的な、ボクシングにおけるワンツーパンチというか、剛速球後のチェンジアップというか――! いや、この基本がなにげに一番分かりやすく効くわけですよ。だからこその定番にして王道ッ!
しかも。S属性もバッチリ持っておられる氷柱のことですから、ただ単純な王道台詞に留まらないのでした。
いい加減にしないと――襲うわよ?
アナタは知らないだろうけど――
私に襲われたらタイヘンなんだから。
脱がされるくらいじゃすまないわ。
もう、この頭脳の思いつく限りの
あんなことやこんなことや辱めを――
……フフ♥
――はぅうんっ!?(ビクビクビクッ)
……失礼。思わずこの発言を聞いただけで体が反応してしまいまいた。ドライ的な何かに。ああ、それにしても、氷柱のこの嬉しそうなノリ……! S属性もちといっても、あくまでかわいらしい範囲内のものではありますし、これはむしろ、バレンタインという日を氷柱もそれなりにポジティブに楽しめているってことの表れなわけで、M属性を抜きにしても嬉しい反応でもあります。……いや、そっちの方向でも思い切り悦んでおりますが! 体が勝手に!
そんなわけで、わりと捕食者モードに入った氷柱に、身に付けている布をはがされてしまうトゥルー俺、まさに貞操が絶体絶命な状況(誇張表現)なわけですが――
はぁっ!?????
虹子!!??
何で虹子がこんなところに――
おまけに2人とも口の周りがチョコだらけ――
――こう来ましたかトゥルーバレンタイン!
……な、なんて恐ろしい……! いや、この「朝起こしに行ったら」流れの中では、さっきの台詞と同じぐらい定番にして王道な流れとも言えますが、さっきのチョコまみれが、こんな伏線になろうとは……い、いやいやいや、いくらトゥルー俺がリアル俺の欲望を受けて動いたとしても、さすがに虹子の口とチョコを直接共有して楽しむなどとは考え難いわけですが……はたして氷柱に、今日中にそのことを冷静に理解して気持ちを落ち着かせられるだけの余裕が生まれるかどうか。……いやまあ、氷柱が誤解したような状況が事実あったのだとしても、それはそれで……
ともあれ。
……
バカ!!
バカばか!!!
もう知らない――
朝一番からの素晴らしいメニュー、ご馳走様でした! ウマカッタデス!!! ……と、無邪気に喜んでいていいのかどうかは分かりませんが、とにかくこの二弾目もすさまじいボリュームとビターチョコ的な甘ったるさでありました。……本当、今日一日、もつんだろうか……。
お兄ちゃん――
おはようございます!
もう朝食はお済みになりましたか?
ええ、それはもう、ごっついのをニ連続で! ……というわけで、バレンタイン3番手は小雨であります。ああ、小雨ならばきっと、甘やかながらも心穏やかになれる内容に違いない……と。このときのリアル俺はうかつにも思っていたのです。小雨の秘めたる破壊力をかつて身を持って知っていたにもかかわらず……!
はい。そんな小雨の威力というものは、もう開始からすぐ後の発言で実感することに……。
今日はバレンタインのイベントデーです!
ウフフフフッ♥
小雨はなんだかとってもうれしい――♥♥♥
……はい。ハートマークが大変多く、テンションもいつになく高い――というか、もうこの時点で、春風さんの春風モードの領域にあっさりと突入しているように思えてなりません! いや、小雨は内に内にと秘めるところがあるってだけで、潜在的にはそれこそ、春風さんと同等クラスのきゅんきゅん力を持っていると見なすべきかもしれません。いや、見なすべきです。
だってだって、今日の小雨は――
……
こんな小雨は、やっぱり――
独占欲の強い、いけない子でしょうか?
「独占欲」! 「いけない子」! ……いや、今まででもわりと、小雨は潜在的にけっこうそういう部分もありそうだなとは思っていたのですが、それを自らの口で……。なにやら今日の小雨からは、自らの愛情と欲望に忠実に従うという「決意」みたいなオーラというか凄みを感じてしまいます。
とはいえ、さすがにその「独占欲」というのは、トゥルー家族内ならOKというセーフティが働いていた事に一安心ですが……さて、朝の起き抜けからようやく状況が落ち着いたと言うことで、一番気になっている「アレ」について、小雨が自らの身を持って教えてくれそうな感じであります。
それに、今年のバレンタインデーは特別に、
お兄ちゃんに――
あ、あ、あ――愛の告白を――
――きゃっ、恥ずかしい♥
……なんというか、まあ。「プロポーズコンテスト」という単語からまっさきに想像できるとおりのことのようです。今日のバレンタインには。もしかすると、最初の虹子のあの超強烈スキンシップは、この愛の告白的行為に含まれていたのかもしれませんが……まあ、状況はおおむね理解できました。
それにしても。「コンテスト」なる表現がされている以上、もしかするとトゥルー俺は、そんなチョコ付き告白をしてくれた姉妹たちの中から、優秀賞とか最優秀賞を選ばなくてはならないのでしょうか……? まあそのあたりは、大変気にはなりますが、もうこの怒涛の波の中ではもがいてもしかたないので、リアル俺的には、流れと幸福感に身を任せるままということで。
……と。ある種の覚悟をしたのはいいのですが……
でも、みんなで決めたことですものね!
きっと下手っぴですけれど、小雨も
一生懸命に努めさせていただきます!
――小雨告白、が!
しかもさりげに、大好きですの後、「って、そんなこと、今さら知ってますよね」と、なにげにすごい発言が飛び出したような!? いや、そりゃあそうといえばそうかもしれませんが、それをさらっと言ってしまえる小雨って、やっぱすごい逸材というか、さすがはトゥルー姉妹なんだなあと思わずにはいられません。
いやあ、それだけではなく、「あ、あの――でも、本当に――すごく好きで、ずっとずっとこうして一緒にいられたら――って、いつもいつも想っています。」……とか。いや、その……強力です。これは陥落しないわけにはいかないだろってぐらい、ガチで強力な告白なのですが……
だから――もし。
いつか。
法律が変わって、きょうだいでも
結婚できる日が来たら――
小雨は1番に、
お兄ちゃんのお嫁さんに
なりたいです♥
法改正まで視野に入っておられる! いや、この言い方、あくまで子供らしい表現とも取れるのですが、あながちそれに留まらないのがトゥルー家の子たちなわけでして。さっきの発言の凄さも考えて、これはまた、なんとも……と身悶え中でございます。
……そういえば小雨は、去年のバレンタインには、立夏がトゥルー俺にガチ告白するのを目の当たりにしてしまって……という事件があったんですよね。もしかしたら今年のプロポーズコンテストというのも、その去年のことが影響して催されたことなのかも知れません。
ともあれ。去年はまだ十分には伝えられなかった、小雨の気持ち。それをこの子がちゃんと伝える事ができたってことが、まず何よりの喜びです。
ややや!
兄じゃではないか――
なんと。
こんなトコロにおったとは。
続いては観月! ……と思いきゃ、なにやら様子がおかしいというか、一体何がと思わせる発言がいきなり。まあ、その疑問はすぐに解決したわけですが……
先刻――氷柱姉じゃに会うたのじゃが、
兄じゃは今日がバレンタインデーなのに
誰もチョコをくれないことを悲観して、
この家を出て行った、と――
奇妙なことを言うておったので、
心配しておったのじゃ。
氷柱はまたそういう! なんというか、これほどまでに感情のわかりやすい反応をしめしてくれるというのは、それによって困るというよりも遥かに、ほのぼのというか、いとおしいというか、そういう気持ちが湧き上がってくる次第です。
まあ、いかにこちらの気持ちがあったかくなろうとも、氷柱が今怒って罵詈雑言を放ちまくってる事は変わらないわけですが、
氷柱姉じゃは――やたらといきりたって
あんな外道はチョコをもらえなくて当然だ、
だいたいなんだって家族の間でチョコを
あげなくちゃいけないんだ!
あんなヤツはそもそも家族なんかじゃない、
いなくなってせいせいだ!
などと――いろいろと矛盾したことを
言うておったが。
また――なにか、
ケンカでもしたのか?
フフフ♥
(精神年齢というか大人び度) 観月>>>>>>>>氷柱
……観月さん、いつも思っている事ですが、本当に大人びた……というか、悠揚さすら漂わすこの器の大きさは流石すぎです。マリーと観月のコンビがいたら、もうそんじょそこらの姉よりも遥かに包容力とか強そうですよね。
フフフ、って笑うところもさることながら、氷柱発言の矛盾をクールにしてきするあたりたまりません。とにかく観月は、こういう優しげで余裕のある視線で家族の事をきちんと見守っているという感じがあって、それがギャップでありつつ魅力でもあるんですよね。
とまあ、氷柱のことは気がかりではありますが、いつものことといえばいつものことでもあるので、ひとまず置いておくとして。そんな悠揚な態度を見せつつ、観月もしっかり、今日の本番イベントに参加されるようで――「この良き日の贈り物を渡すためと――プロポーズをするためじゃ! クフフフ。」 オオウ。このクフフフ笑いも、観月がそうすると、不思議と子供らしさと同時に、なんというか、人外ロリ的な風情すら漂ってくるからたまりません。まあ実際、実年齢が実幼女なだけで、メンタル面ではそういう属性を部分的ながらもばっちり持っているといえば持っていますしね。
兄じゃは――プロポーズとは何か
知っておるか?
ほうほう、お利口さんじゃのう――♥
あっ、あっ、あっ、あっ――
……失礼。先ほどの、2歳の女の子にベッドでチョコを食べさせてもらうのに続き、幼稚園児の子に、プロポーズの意味を知ってるって褒められることの喜びに身悶えしておりました。ああ……ここの家の子は、どうしてこうも俺のツボを的確に刺激してくれるのか……
とまあ、そんな戯言は挟みつつも。プロポーズすなわち契りということで、しっかりと念を押してくるガチっぷりは、さっきの小雨にも負けておりません。
まあ、そうは言っても
わらわの気持ちは決まっておるがの♥
……とはいえやはり、観月のこの悠揚な雰囲気は相変わらずであり、それでこそと嬉しげに満足するトゥルー俺であります。
しかしなにやら、血とかオーラの問題を出してくるのも、それはそれで観月的ではありますが……ううむ、観月みたいな子の血筋としては、なんというか、近親者でないと……?
わらわはまだ5歳じゃが――
ゆくゆくは子孫を残さねばならぬ。
兄じゃとわらわの契りは
運命なのじゃ――!!
――子孫。
……い、いや、たとえ小さい子だって、将来お嫁さんになって子供もたくさんとか、そういうことは普通に口走りますし、べ、べべべ別に、特に変なことというわけでは……と思いつつも、観月さんがわりともっと具体的な行為としての子作りについて語っているという疑念を消し去る事が全くできず、悶々とした気分はますます高まるばかりのバレンタインの御前でございます。……ええ、まだ午前中だというのに、この勢い……! 日曜日バレンタインというのはかくも恐るべきものか!
ともあれ、イラストでもバレンタインが苦手なはずのキュウビすら、チョコを加えて祝福してくれております。私服観月もかわいいのうかわいいのう。
ゆ〜なのゆっの字はっ、
優雅のゆ♪
ゆ〜なのうっの字はっ、
うなぎのう♪
ゆ〜なのなっの字はっ、
なだれのな♪
ゆ〜なのアイは〜
山より高いっ♪♥
ああ、夕凪さんのこの夕凪さんらしさはバレンタインでも健在! ……っていうか夕凪さん、文字それぞれにあてはめている単語の例が微妙なラインナップではありませぬか。優雅はまあ、(笑)的なところがありつつも分かりますが、うなぎとかなだれとか。……うちの姉妹にもしもう一人ユキ系の子がいるとしたら、やっぱ「雪崩」とかになったんでしょうか。
ともあれ、そのアイやらテンションやらは間違いなく山より高いであろう夕凪さん、バレンタインに光臨です。ええ、今日のバレンタインはもれなくプロポーズ付きという大変デンジャラスな設定なワケですが――
えへへへへ――♥
ついにきちゃったね〜、
お兄ちゃんっ♥
お兄ちゃんが夕凪のケッコンのマホウを
かけられちゃう日が――ししししし♥
――夕凪さんはさっそくヤル気だ!!! とはいえ、そこは夕凪さんらしく、あくまで「競争ごと」ってところに注目しているのが可愛らしいというか安心というか。……しかしこの子の場合、たとえ無邪気で子供らしいといっても、やれ一度決めたら、まわりを省みずどーんっと特攻してしまうところがあるので、トゥルー俺としては以前予断を許せぬ状況です。プロポーズの本当の意味を知ったら、その時点で突き進んでしまうであろう蛮勇が夕凪さんの裡には常にッ!
最初、夕凪ってば、聞き間違えて
プロポリスのことかと思って
びっくりしちゃった!
……とはいえ、この並々ならぬ覚悟ばかりが必要な今日の日に、この夕凪さん発言は一抹の清涼剤として非常に心に染み渡ります。……っていうか、麗にそんなシュミがあったんですか。確かにあの子は働きバチとか、こういう地味なものとか好きそうですから、なるほどってイメージもありますが。
とはいえ、味的にはやはり本来小学生女子に好ましいものではないようで、存在そのものが小学生ぐらいの女の子を体現しているかのような夕凪さんにはお気に召さないご様子です。「苦くてクサーい」………………あ、い、いやいやいや。変な想像など、何も。
とはいえ、そんなのが好きな麗に対して、夕凪さんの蛮勇が――
あんなの舐められるなんて、
やっぱ麗お姉ちゃんってば、
ぜーったいどっかおかしいんだよ。
夕凪知ってるよ!
そういうの――「エム」っていうんだよね?
……オオウ。……ゆ、ゆゆゆ、夕凪さんにはその単語はさすがにまだ時期尚早というか、使いこなせぬ言葉であろうというか、中途半端にその手の語彙を身につけられてしまったらえらいことになるというか――! とにかく、冷や汗モノの発言でした。
ちなみに、麗がエムかどうかの議論については、それこそバレンタイン全部の感想テキストよりも文章量の多い考察になりそうな勢いなので、この場における検証はしない方向で。リアル俺ならば間違いなくエムなんですけどね!(満面の笑みで)
とまあ。夕凪さんのノリはいかにもほのぼのしていて、このバレンタインデーの中では、ひたすら心穏やかに過ごせる時間の一つとして堪能できそう……と、最後まで読む前の俺は愚かにも思っていたのです。
さて、とりあえず本番とばかりの軽ーいノリで、なにやらトゥルー俺にしゃがんでと要求する夕凪さん。
うん。
夕凪の顔とお兄ちゃんのお顔が
同じ高さになるくらい。
そいで――目ぇつぶって。
ちゃんとつぶった?
――うん。
……この時点で、トゥルー的にどういう事態が生じているか、油断していた俺に理性が最大限に警鐘を慣らしていたわけですが、いわゆる夕凪さんオーラにほのぼのと浸りきっていた俺は、この直後の行為をダイレクトに不意打たれてしまったわけで――
じゃ、いくよっ?
はっぴーらっきーはねむーん♪
ゆうなのかわいいさくらんぼ!
ぷにぷにふわふわぴんくいろ!
おにいちゃんのクチビルうばっちゃえ♪
ちかいのしるしはえいえんに――
ちゅう〜♥♥♥
……………………(呆然)
……………………奪われた! ちゅーを!
……なんというか、スラムダンクの県内最終戦で、小暮にスリーポイントを決められたときの田岡監督の心境が、今の俺に近いでしょうか。そうだった……夕凪さんは思い立ったら、それこそトゥルー俺を三日以上も拉致監禁してしまいかねないタイプの子!
……バレンタインの猛威、留まるところを知りません。安全地帯なし。
もぐもぐ、
ごっくん。
もぐもぐ、
ごっくん。
青空にごっくんされてしまうだなんて! ……と、少し落ち着きましょう俺。
ええ、青空です。こういう一日更新のときは、大抵食べるもののお話が青空の担当になるなあと思いつつも、ようやく本当の意味で心を落ち着かせられる時間がやってきたかな、と安堵しております。いや、青空は青空で、ときにYASEI度の高いダイナマイトな行為をしてくれることも多いのですが、およそ今日の流れにおいては、むしろそういうやんちゃのほうが気が休まるというかほっとするというか。お話的にも、ちょうどお昼ご飯の内容ということで、お昼の休みには相応しい内容という気がします。
お昼はチョコパンと、にゅるにゅるぐらたん……にゅるにゅるの中身にもよりますが、チョコながらもおおむねオーソドックスな食事ですね。ホタの素敵お料理はどうやらまだ猛威を振るってはいないようです。……夕食にはきっとご馳走が並ぶでしょうから、そこが要注意ですが。
そら、
もぐもぐ、
とってもじょうず!
みて!
おくちのなか、
もうからっぽ!
そんな穏やかなお昼ご飯時にふさわしい、とてもほのぼのと心温まる青空のリアクションで、ようやく心を落ち着かせられる事が出来そうです。ええ、もう朝から、虹子に寝込みを襲われ、氷柱に王道イベントで誤解され、プロポーズは続き、果ては夕凪さんに唇を奪われるという――っていうか、唇をダイレクトに奪われるのって、なにげにトゥルー始まって以来なのでは……?
とまあそんな中、青空があーんって口の中を見せてくれる姿は、実にナチュラルで平穏な喜びをもたらしてくれます。
おにいちゃん、
そらのこと、
だーいすき?
そら、えらいこ、いいこ、
――だもん!
そら、おにいちゃんすき。
だいだいだいだいだーいすき。
……などと言いつつ、この青空らしいプロポーズ攻撃が始まってしまうと、落ち着けて幸せという以上のざわめいた興奮が俺の内部で生じてしまうわけですが! ああ、まったく混じりけのない言葉なだけあって、これはこれで響く……!
ちょこぱんよりすき。
だから、おにいちゃんに
そらのちょこぱん、
あげる。
だいすきのぱん。
そして、狙ってかどうかはわかりませんが、チョコまでしっかりとくれますしね! 青空ぐらいの子だと、チョコはあげるより自分で食べたいって気持ちが強いでしょうから、これはなんとも嬉しいバレンタインチョコです。
ぼうしになるよ!
かぶせてあげる〜♥
……って、どんなチョコパンなんでしょう……? 青空ぐらいの子なら、帽子としても頭に載せられそうな形ということでしょうか。なにはともあれ、青空にかぶせてもらえると思うとそれだけで幸福です。虹子に寝床で食べさせてもらったり、観月に褒められたりと、さすがに今日は、俺の頬の筋肉が緩みっぱなしですね。
はい♥
ユキの大切な大切な
お兄ちゃんに――
バレンタインのプレゼントです!
受け取って――もらえますか?
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお正攻法!!! ましてユキみたいな子にここまで正攻法でバレンタインされると、うれしはずかしでどうしていいか分からない! しかし一つだけいえるのは、この迸る女の子力からして、ユキはその気になれば、どんな男だって陥落させられるであろう魔性をしっかり秘めていそうな女の子だということです! 現にトゥルー俺など陥落し続けてはや3年目!
ユキのほんの気持ちです♥♥♥
気に入ってもらえるといいな!
――ドキドキ♥
……さらには、いつも穏やかなユキですが、このバレンタインの熱気にあてられて、いつも以上にハイテンションです! まあ、最近元気な体になりつつある影響で、ハイテンションになることもそれなりにありますけど、これほど真正面から女の子女の子したユキのはしゃぎ姿は、それだけでもう、それだけでもう!
さて、どうやら今年のバレンタインの趣向は、海晴姉さんの提案によるものみたいですね。氷柱やヒカルにも有無を言わせないあたり、なるほど納得って感じですが、はたして今日の綿雪がこれほどまでに女の子オーラを放っているのは、そのせいだけでしょうか……?
こういうのも、ちょっと幸せです。
こうして今――お兄ちゃんが
ユキだけを見ていてくれるから♥
……この、シリアスさすら漂わす、ユキの迫真の言葉……
なんといいましょうか。達人同士の立会いで、「いつ始めますか」とか尋ねたら「もう開始(はじ)まってますよ」とにこやかに返されたときのような、ふと気が付けば命のやり取りの真っ只中にいたみたいな、そんな戦慄すら覚えるかのような――!
ええ。……ユキにとっては、日々のなにごとも、真剣勝負に近いといえば近いんですよね。体の心配はひとまずなくなったとしても、この子は今感じている一瞬一瞬を、だれよりもしっかりと味わったり堪能したり、喜んだりする子なわけですから。
そんなユキが、恐らくはこういう形において始めて見せてくれるであろう――真剣という名前のプロポーズ。
でも、本当はね――ユキ、
お兄ちゃんのことを
思ってるユキの気持ちは
こんなチョコレートぐらいじゃ、
表しきれないような気がします。
そんな儚い頼りのないもの
なんかじゃなくて――
ユキの気持ちは――
ユキの気持ちは――もっと――
お兄ちゃん、ユキは
本当にお兄ちゃんが大好きです♥
いつもいつも想っているの。
お兄ちゃんがいてくれるから――
お兄ちゃんの笑顔がいつも
ユキに元気をくれるから――
ユキはいつも――
しあわせしあわせ♥
…………………………。
…………今、俺はわりと、リアルに、目に水が溜まっていたりするのですが。
……なにこれ。どうしよう。――生きられない。ユキのため以外に生きようという気持ちがまるで起きてこないんですけど、どうしたらいいんですかこれは本当に。
お兄ちゃんのお嫁さんになりたいなんて、
そんな――欲張りなことは
ユキは言えないです。
ただ――お兄ちゃんに
ユキのこの気持ちが
伝わったら、うれしいな。
ずっとずっと、お兄ちゃんと一緒にいられますように♥
――いや、本当に。どうしよう。生きられない。
賽銭箱に今年の幸せを願って10円玉を放り投げるかのように、ユキのために自分の全てを放り投げたいという気持ちです。どうしましょう。この目から流れてくる水とか。
プロポーズなんて――
クスクス♥
そんなもの。
私達の愛の前には――
何の意味もなくってよ?
うおおおおおマリィィィィィィィィィイッ!! ええ、先ほどの綿雪の告白の後というのは、さすがにかなりヘヴィな立ち位置と思えるのですが、そこはそれ、幼児組の中でも際立ったカリスマをごくナチュラルに発揮しつつ、場の空気をマリー色へと変えてしまわれた!
なにはともあれ、この自信満々さがあってこそマリーですからね。さすがはプロポーズコンテストなどと言われても、実に落ち着いたものです。確かにマリーの言うとおり、改めてプロポーズされるまでもなく、家族としてもそれ以上としてもすでにあると分かっている愛情なので、改めて言葉にするまでも無いというのは間違いないんですよね。もちろん、それをあえて、改めて言葉にした場合の破壊力は、今日のこれまでの間で十分すぎるほどに堪能できたわけですけれど。
もっとも、マリーの場合、プロポーズなど不要と断ぜられるのは、例のこのマリー設定があるからというのも大きいのですが。はい。「忘れっぽいんだから♥」なんて色っぽく言われた日には、それだけで何か漏れそうな勢いで――
はるかな前世で
2人が出会ったあの時から。
私達の愛はいつだって
結ばれるのを
“許されない”もの
だったじゃないの――♥♥
ふ、深い……! そして大人びている……!
前にも言いましたが、マリーの大人っぽさって、単純な背伸びではなく、むしろ歳相応な憧れや思い込みを、歳相応であることを歳相応以上に「弁えて」やっているというところにあるんですよね。子供らしさをきちんと自分らしさとして発揮しつつ、その子供としての態度の中に、老成しているとさえ言って良い自然体っぷりがあるというか。
だからこの、決して結ばれないという設定部分を、「ああ、ロマンティック!」なんて喜んでいるところも、別に大人としての見方をしているわけではなく、きちんと子供らしさからの憧れって部分は保ちつつ、それでいてなお深い部分があるというか――ええい、美味く表現できませんが要するにこのマリーの前では、トゥルー俺は色々な意味で身もだえせずにはいられないということです。
……
なんちゃって♥
まあ、マリーはそんなこと
全然気にしてないわ!
だって――マリーは女王よ?
この世にマリーを阻むオキテなんて
存在していいはずがないんだから!
これ。これですよね。マリーの魅力の真骨頂。この子は、自分自身の心や存在に、全幅の信頼があるんですよ。まだ子供らしい自分というのを、大人になりたいって視点で顧みたら、どこかもどかしさや気恥ずかしさが出てきてしまい、そういうのをこじらせたりすると、変に斜に構えたり、中二病になったりするのですが、マリーの場合は、そんな鬱屈とは無縁なんですよ。きっとこの子は、成長するに従って、その年のナチュラルな自分に相応しい形で、かっこたる自分らしさみたいなものを確立していくに違いありません。
とまあ、そんなマリーという子の分析は、普段しょっちゅうやってることなのでそのへんにしておいて、今はバレンタインのマリーを堪能させていただくことにしましょう。
いいこと?
私の愛しいフェルゼン――
今回の人生こそは、ちゃーんと
結ばれるのよ、私達♥
世間の常識なんて関係ないわ!
だから私がもう少し大きくなるまで、
誰にもユーワクされずに
ちゃんと待ってて。
……ほら、この「弁えつつ」も、その一方で全く揺るがない「マリーらしさ」。……この器の大きさで、「ちゃんと待ってて」なんて言われた日には、そりゃあ「待った」のポーズで待ち続けますとも。ハッハッハッハッ(←早くもわんこポーズに)
「あと10年くらいがたって――私が姉妹で1番の美女になるまで」って言葉は、そういう意味においても、実に深いなあと。本当、この子の10年後って、どんなものになってるんでしょう。想像が付くようで、まるで想像がつかない気がします。一つだけ確かなのは、今ですらあっさり陥落させられてしまう真璃が「女の子」として完成されるわけですから、それはもう、途方も無い存在になるんじゃないかってことです。
お約束のしるしに――
接吻してもよくってよ?
はい――
手の甲はいつもお手入れしているの。
いい子ね♥
……そんなわけで、チョコの代わりにご褒美を頂きました! はい、最高のご褒美です。なんというマリーっぷり……! この漂わす怪しい色香、初期の第3部DIOの領域にすら達していそうです。果たしてこのマリーの申し出を、あくまで子供のごっこ遊びとだけ割り切れるトゥルー俺がいるでしょうか否。
さくらはチョコレートを食べると
おててが汚れちゃうの。
あと、お顔も。
どうして――
チョコレートっておててや
お顔をよごしてしまうの?
さくらが汚された! チョコレートに汚されてしまった! ……と、もはやお決まりの反応と自分でも自覚しておりますが、ことここの姉妹たち、特にさくらのような子に対しては、このリアクションをどうしても取らざるを得ませんし反省もしない方向で。トゥルー俺がトゥルー俺であるために!(←格好いいことを言っているようにも見えますがあまり何も考えていません)
とまあそういう不埒な発想はさておき、チョコと言うのは手などが汚れやすいお菓子ではありますよね。さくらなんて、年頃からも性格からも、食べ物で服やおててを汚すのが日々の仕事だといわんがばかりに汚しそうな子ですから、そういう意味でチョコとの相性は良くないのかもしれません。しかしもちろん味的にはベストマッチであり、汚れようともさくらはすっかりチョコの魅力の虜なのだという気はいたします。
もっとも、さくら的には、他のお姉ちゃんたちが綺麗に食べられるのに、どうして――という鬱屈した思いもあるようです。この気持ち自体はさくらみたいな小さい子にとって大切なものですが、ええ、多分、さくらと同じぐらいに汚しながら食べそうな子もそれなりにいるようないないような。立夏とか立夏とか。尻ポケットにチョコを隠して、気が付いたらドロドロなんてことぐらいはしてくれそうですしね。……とはいえ、同じ幼稚園児の観月やマリーは、非常にお行儀は良さそうなので、そのへんの思いはいかんともし難いのでしょう。
くすん――。
きっと、さくら――
チョコレートさんに嫌われてるんだ。
だから、チョコレートさんは
きっとさくらを汚しちゃうの。
この発言だけと取り上げると、チョコレートさんが猟奇的変質者のようにも聞こえますが、実際にはどうも、よごれで慌てたさくら自身が被害を大きくしているようで。「おからだ――チョコだらけ」…………からだに……チョコが……たくさん……(←YU-SHOWさんが桃色肌色的な思考にふけっておられそうですが見てみぬふりをする情けもトゥルー兄としては必要かと)
しかしながら、このプロポーズコンテストの意味はよくわからなくとも、気持ちを伝える大事な日ということで、さくらもさくらなりに、きちんとしないとって思いがあったのでしょう。……たぶんさくらって、そう思えば思うほどドツボにはまっちゃうタイプの子なんでしょうね。
ともあれそんなこんなで、一張羅のワンピースが汚れてしまって、さくらとしてはどうしたらいいかって感じのようです。……それにしても、そんなに汚れるってことは、湯銭して溶かしたチョコをつまみ食いしたとか、そういうことなのかもしれませんね。
いつのまにか、パンツまで
チョコで――
………………。(←自分に向かって「クールになれ、KOOLになるんだYU-SHOW」と囁きかけているYU-SHOWさんの姿が見られますが放置の方向で) というか、パンツにチョコという組み合わせは、いかにさくらの年齢とはいえ、ちょっぴり大変なことになってしまったと思わせかねないので、これは至急処置しないといけませんね。
さくらはバレンタインって
ちょっぴりこわい。
幼稚園の男の子たちも、
さくらのチョコを取ろうとするし――。
……と、さりげなく聞き逃せない話がぽろっと出てきておりますよ? いやまあこれは、単純に、どんくさい子からチョコを取っちゃおうというアレなわけで、さすがに青龍刀とまではいきませんが――まあ、先日の節分のこともあって、敏感にならざるを得ないところです。
お兄ちゃん――さくら、
こんなにチョコだらけじゃあ、
お風呂に入らなくちゃいけない?
でも、さくら1人じゃあ――
お風呂に入れないの――
うわぁああああん!
……そんなわけで、プロポーズとは程遠いながらも、相変わらず完全な無自覚のうちに、トゥルー兄への誘惑イベントを誘発するさくらでありました。……い、いや、決してチョコで汚れたパンツに何かしたりなどは……!
バスルームの方から、
かすかな水音が伝わってきます。
やわらかな熱いシャワーの音と、
さくらがはしゃいで笑う声。
楽しそうですね。
うおおおおおおっここにきて一時間ごとのタイミングがズレるとはッ! それも規則性を重んじそうな吹雪によって!
とはいえ、先の事情が事情ということで、それゆえに間を詰めた更新となったことは、この冒頭を見ても明らかです。……つまり、トゥルー俺は今頃、さくらの汚されてしまった体を……という妄想はさておきたいところなのですが、「おやつの時間に粗相をして」という表現によって、歯止めがかからなくなってしまいそうです。さくらのパンツが茶色に……って、さすがにこのへんにしておきますが。
ともあれそんなわけで、吹雪の出番は少し早まったということなのでしょう。別にこの手のイリーガルがいやだというほど融通が効かない子でもありませんが、なんだか今日の吹雪は、少し様子が……?
ようやく――
私の番がきたのですが。
残念ですね。
フフフ――♥
……この、吹雪の「フフフ」って笑いには、なにやら、魁!男熟の雷電が笑うシーンみたいな、ありえないわけじゃないんだけど、なにやらただ事ではないレアさを感じずにはいられません。ましてハートマークまでつけて!
こういう状態の吹雪、まれに見られるんですよね。以前に体のオーバーホール……もとい、検査か何かをしてもらったときにもこういう笑いが出てきてましたし。まあ、少々気にはなりますが、とにかく吹雪の気分や調子が良いときってことには間違いないでしょうから、良しとしましょう。あえてトゥルー俺がいない場で直接話しかけるような日記を書くことに喜びを感じるのは、いかにも吹雪らしい感性ですね。
さて、今年のバレンタインがプロポーズ合戦になった顛末について、より詳しく教えてくれました。「海晴姉がおもしろがって――
今年のバレンタインは個人戦よ、と
言い出した」……なるほど。なるほどとしか言いようが。とはいえ――「意外といつもどおり」という吹雪の印象も、まったくその通りと頷けてしまいます。
もしかしたら、
私の姉妹達はいつも――
愛情表現が大変豊かなのですね。
プロポーズコンテストを開催しても――
ふだんとそれほど変わらないほどに。
フフフ――不思議な人たちです。
吹雪の実に冷静な観察。いや、なるほど、こちらの感じていた事をばっちりわかりやすい言葉で言ってくれました。まあね、改めてプロポーズなどしなくとも、というのはさっき自分が言った事でもありますし。冷静な観点だけで言えばそうなのでしょう。……もちろん、その「あえて」を行った結果についてもいわずもがなですが。海晴姉さんの狙いも、考えて判断したかどうかはさて置くとして、まさにそれでしょうし。
そんな家族達をして、「フフフ――」と、あくまで観察者的な言葉も放つ吹雪ではありますが――
では――
この家族の掟として。
家族のイベントに参加しないことは
許されないので。
私も、ここでキミにプロポーズを
させていただきましょう。
吹雪プロポーズ参戦! い、いや、なんというか、こういう冷静な態度でプロポーズに向かわれるというのも、なんというか、えらい気恥ずかしさというか、威力があるわけですが……という俺の戸惑いを吹き飛ばすような発言が。
最近――気づいたことなのですが。
確率の問題から考えると――
私とキミが100%の兄妹である可能性は――
――ほぼゼロに等しい値です。
――なんかさりげにすごいこと言われましたよ!?
いや、それは確かに、ヒカルとトゥルー俺の年齢を考えてみれば、改めて言われるまでも無いことなのですが……というか、このギャップはあくまでトゥルー的な問題ってことでスルーされ続けるかと思いきゃ、踏み込んでくるとは――! 吹雪というロジカルな子ならではの発言なのでしょうか。それとも……と、色々深く考えてしまいたいところなのですが、幸いな事に今日は怒涛のプロポーズ・バレンタイン。そんなことに思いをめぐらせている余裕はなく――
もし本当に兄妹でないならば――
私のキミに向けられたこの気持ちの正体は――
一体何なのでしょうか?
私はキミの遺伝子を残す器に
なることができるのでしょうか――
ぜひ将来、この謎を――
一緒に解いてみたい。
――なんかさりげにすごいこと言われましたよ!? それも、さっきよりも更にすごいことを!
いや、プロポーズという言葉の行く末を考えてみれば、別におかしいことではありませんが、吹雪の口からそんな!……と、トゥルー兄的には動揺しないわけにはいきませんとも。いや、吹雪はそれこそ、男女の生殖の知識は、あくまで生物学上の範囲において完全な知識は持っているでしょうけど……あうあうあう。
しかもですよ。ここでは「キミ」と、明確にトゥルー俺を相手にして、自分がその生殖の相手に……という認識を持って話しておられるわけで、その事実だけでトゥルー俺の脳は沸騰しましたあばばばあばばばばば!(←痙攣しつつ) ……ええ、ほぼ100%兄妹ではないという言葉すら吹き飛んでしまうほどですが、実のところその理屈でいえば、むしろその気持ちの正体も、遺伝子の器問題においても、すべてすっきり解決していしまうということにもなるわけですが、そこを指摘しないというのは、はたして……と思う次第でもあります。いや、動揺しすぎて冷静には考えられませんが!
……
ああ――今頃になって、
少し体温が上がってきた気がします。
目の前にキミがいなくて良かった――
救いといえば、こうして吹雪もまったく冷静なままの発言ではなかったということでしょう。ええ、本当、目の前にいたら眩暈一直線ですよこんな色々な意味での爆弾発言!
星花は――
お兄ちゃんと――
結婚――とか、そんな。
……え、えへへへへへ♥
この怒涛のイケイケプロポーズ攻勢の中、星花の反応が際立ってウブで可愛らしい! いやホント、今日のみんなはなんというか、いつもどおりといえばいつもどおりなのですが、それにしてもプロポーズというイベントのせいか、イケイケというか、シリアスというか……とにかく、そんな濃厚なノリの中にあって、星花のこのウブな反応は、実に爽やかな存在ですよ。ああ、きっとこの晩以降はさらにすごいことが待ち受けていそうな気がするので、ここで星花には、できるかぎり心を安らげてもらいたく。
とはいえ、プロポーズ相手が兄であることについて、「そんな大それたこと」という思い込みは、ちょっとなんとかしてあげるべきかなとも思うのですが――
だってだって――
お兄ちゃんはお兄ちゃんで、
星花の心の御主君様で――
星花よりもずっとずっと
上の存在っていうか――
星花は誠心誠意、全身全霊で
お仕えするのがお役目で――
ダンナ様っていうのは、
なんかちょっとチガウような
気がするんです――
……うむ。……おお。いや、なんというか……これは、星花にとっての「基本」というか。改めて、星花と言う子の基本のスタンスみたいなものを、はっきりと明示してくれましたね。
いや、これはこれで、実に星花らしくもありますし、普通に兄と妹という親愛の形として、ごく真っ当で、実に心安らげる形だなあと、感銘みたいなものすら感じています今。
……星花の年頃って、そろそろ男の子と女の子という性差が出始めて、たとえ相手が近しい兄であろうと、女の子としての思いの対象として見ることはありうる時期だと思うわけですよ。
ただ、だからといってその年頃の女の子全員がそうかというと、もちろん違うわけでして。そういう恋愛意識が芽生えるボーダーラインなんですよね。特に星花の場合、以前のKOYAMA君の話があったじゃないですか。ああいうイベントが、この年頃でこの性格の星花という子に生じたというのは、トゥルー的に大きな意味があると思うんです。子供なのか、それともそろそろ「女の子」なのか。そのどちらにいるかを、突きつけられ始める時期にこの子は存在している――と。そのことを認識するうえで、すごく有用な出来事だったと思います。……許せるかどうかはまた別の話としてですよ?
KOYAMA君のことといい、この、「あくまでも、武将と主君みたいな」親愛の関係を重んずるということを、星花は今のところ選んでいるわけです。だけど、そのことがかえって、星花に対して、もうそろそろ「女の子」なのに、そんなままでいいのか、という自問を与えてもいるんですよね。それゆえに、今日のこの発言みたいな、揺らぎを感じつつも――みたいな言い方になるんじゃないかと。
もちろんトゥルー俺としては、そんな星花の感じる揺らぎは理解しつつも、「それでいいんだよ」と言って上げられる兄でありたいなと。だからこそ、この言葉――-
いついつまでも一心同体、
生きるのも死ぬのも一緒の――
兄妹でいたい♥
このことは、全力をもって肯定してあげるべきなのだと思うわけです。
さりげに、「恋人や夫婦だとお別れしちゃうことも――」って、ちょっとはっとさせられるシビアなことも言っていますけど、それはあくまで方便というか、まだ、「男と女」って部分を自分の中に見たくないからこその発言なんですよね。……はたして星花が、そういうところに足を踏み入れるのはいつになるのか、兄としてはちょっと気になるところではあるんですが、今はそれをつついたりしないでおきたいなと。
それに、星花がいうように――
星花はこの先、たとえどんなことが
あったとしても――
ずっとずっと、お兄ちゃんのそばに
いたいもん!
もしずっとずっと未来に――
お兄ちゃんが天国に行くときが来たら――
その時は絶対に。
星花がその1番そばにいたい――
……これはもう。ある意味では、夫婦や恋人以上の、プロポーズ以上の誓いみたいな言葉ですからね。……兄として、「妹」から聞くことの出来る、最高の愛情表現だと思います。ええ、この顔のニヤケと幸福感とが、それを雄弁に立証しておりますとも。
星花はお兄ちゃんのおそばにいられるように。
役に立てる妹になれるように――
もっともっとがんばります!
お兄ちゃん、大好きです♥
ハッピー・バレンタイン♪
えへへへへ――
……いやあ、本当に。さっき吹雪に言われたように、この子達とトゥルー俺が本当の兄妹でないとしても。それこそ三国志の義兄弟のように、この絆は血以上のものであると、疑う必要すらないって誓えますね。このピュアな親愛――ああ、幸せ。心の安らぎはまさしく星花とともに。チャイナじゃない服も可愛すぎですし!
ただいま。
……
は?
べつに。
何も。
あなたに特別に言うことなんかないわよ?
……このそっけない麗の反応は、うっかり麗の更新感想をスルーしかけてしまった俺への罰と受け取らせていただきたく! ……い、いや、つい、食事をとってきたところに立夏の更新があったものでつい。その件については猛省するとして、とりあえず一時的に順番を入れ替えて表示させていただきたく。(元の順に修正しました)
いやまあ、「今、帰ってきたばっかりだし」ということで、特にトゥルー俺に対し、去年の小雨問題のように思うところがあるわけではないようなのですが、ともあれご機嫌斜めなのは間違いありません。……まあ、麗みたいな子がこういうバレンタインみたいな日に、上機嫌であることはそうそう考えられないわけですが。
特に今年は、プロポーズ・バレンタインという、海晴姉さんの鶴の一声によるとんでもないイベントが行われており、それに対する麗の反応がけっこう気になっていたわけなのですが……
海晴姉様と春風姉様は
なにか――
寝言を言ってたみたいだけど。
アレは寝言だし。
あなたも気にしない方が良いわ。
……予想通りというか、予想以上に反撥しておられます! いやまあ、あのノリを強制すること自体、海晴姉さんがやりすぎという気がしないでもないので、麗の方も少しばかり持ってあげたい気分です。ええ、幸いというべきか麗にとって不幸というべきか、トゥルー姉妹のほとんどの子が、あのプロポーズイベントを全面的に肯定してくれる子ばかりなんですよね。しかしだからといって、マイノリティが迫害される必要などどこにもないわけで。……まあ、海晴姉さんが今の麗に対してどういったかまでは分かりませんが、何か言われたなら、ここは少しだけ麗の味方をしてあげたいところです。……あくまでもさりげなくですが。
毎年、この時期にかかる病気なの。
春風姉様なんて頭の中はいつも花盛りだし。
我が家はちょっと木の芽時がズレてるのね。
かわいそうに――。
……いや、さすがにここまで言うのはどうかとも思いますが、この分だと春風さんに何か「行っちゃえ行っちゃえ」的なことを言われたのかなーという気もするので、とりあえずは気にしない方向で。……それにしても、麗の抱く春風さんのイメージって……いやまあ、ここだけの話、トゥルー俺が抱いているイメージとそれほど変わらないのがアレですが!
さて。……出かけてきた直後の麗ですが、一体どこへ行ってきたのでしょう。単純にこの日の家のノリを厭って、外に非難していた……という見方もできそうではありますが、去年までの麗のバレンタインを見る限りは……ねえ? いやまあ、去年の麗は、小雨の件で怒っていてそれどころではなかった感もありますが、むしろそのおかげで、肝心なことをポロッと漏らしてくれたりも。
それに比べて、今年はいくらかクールなままの麗を保ちつつ――さりげなく――
――あ。
だから、はい、これ。
あげる。
私はいらないから。
チョコ――
……
――キャラメル。
……………………。
…………いや、今のこの俺の表情を見られたら、それだけで蹴りを入れられそうな気がするぐらい頬がニヤけてしまっているわけなのですが! 蹴られたくない以上に、せっかくクールを保っていられた麗の自尊心を尊重してあげたいがゆえに、ここは務めて紳士的なトゥルー兄でいたいところ! ええ、あくまでこれはキャラメルで、しかしそれでも、ありがとう、と。
私、好きとか嫌いとか、
あんまり――面と向かって
人に言うモノじゃないと思うわ。
コレはたしかに、麗みたいな性格の子でなくとも、一つの真理ではありますよね。……ここんちの愛情全開なノリを見ていると、うっかり忘れてしまいそうなことでもありますが。少なくとも、あんまり面と向かって言わないからこそ、かえって小さな一つの好意が、際立ってありがたかったり嬉しかったりする事もあるわけですからね。
このプロポーズイベントだって、さすがに海晴姉さんも、麗にまで絶対強要とまで考えてはいないでしょうし。拒絶するにしても、軽く押し付けるぐらいのノリのほうが、きちんと考えるきっかけになってくれるだろう……と、そんなことも考えていてくれたに違いありません。……思いついた時点では、単なるノリだった可能性も多いに大ですが。
それにだいたい昨日は
京王のヘッドマークつき6000系を
見に行ったのに、結局ダメになって――
ちょっと機嫌が悪いの。
これが、単純に鉄道のみを観に行ったのか、何かの用事で(特に今日関係の)行った中でのことなのかは分かりませんが、ともあれ、せっかくくれた(あくまでも)キャラメルを喜ぶことで、麗の気持ちのいくらか慰めになればなと思う次第です。……フヒヒ!(←喜びがキモい形で表に表れました)
チャオ〜♥
オニーチャンっ♥
やぁっと、リカの番ですよぉ〜♥♥♥
この迸るハートマークのYASEIオーラ! ……立夏か!(オーラを探るまでもなく最初の一文字でバレバレです)
それにしても、このプロポーズバレンタインに立夏……いや、正直、去年のあの告白が、未だに脳に焼き付いているトゥルー俺にとって、この立夏のターンというのは、ある種の緊張と期待とが入り混じった感情を呼び起こさずにはいられません。……とはいえ、去年の時点で、あそこまで真に迫った告白をしてしまった以上、今年以降のそれについては、更により一歩踏み込んでこない限り、そこまでどうにかなってしまいそうな心配をする必要までは無いのかもしれませんが。まあ、いずれにせよ――
クフフフフ――♥
もう、なかなかリカが
出てこないから――
リカに会いたくて会いたくて
困っちゃってたでショ?
……ああもう。気恥ずかしいながらもその通りですよ畜生め! ううむ、こうして年頃な妹に手玉に取られてしまうこの気恥ずかしい感覚……悪くない、実に悪くない!
さて、今日の立夏は、わりと遅めな登場になりましたが――「リカも1人で
一生懸命チョコ作ってたら――
……
こーんな時間になっちゃっテ。
テヘヘ――☆」とのこと。おお、あの「食べる側」専門だった立夏が、何かお料理的なことを――! それは遅くなるわけだと納得するとともに(失礼ながらも)、その気遣いや気持ちの成長っぷりが喜ばしくも。ハートマークじゃなくて☆なのも、照れ隠し成分が多めと言うことなのでしょう。……小説3巻にしても、立夏は成長が目立つなあ。年頃からして、一番いろいろなところが急成長する年頃ですしね。……そのうち、ばいんばいんになるのでしょうか。それとも肝心な部分のお肉だけは控えめなままなのか。それは神のみぞ知ることで。
ともあれ、そんな立夏ですが、想像どおり手作りチョコには大苦戦したようです。
なんでドッカーンと
1回で溶かして固めたらダメなのか、
リカはちっともわかんないんだけど――
……まあ、この発言を見るだけで、その苦戦っぷりというか、本質的な向かなさというのは分かってしまうわけですが、あの春風さんに怒られたりするなど、さすがに立夏というべきYASEIっぷりは発揮されていたようです。
しかしながら――それだけに、このチョコには本気が篭っているわけで。
なんだか、今年はリカはけっこう
本気で――
がんばりバレンタインです♥
だから、オニーチャンッ!
このリカの生まれて初めての
本当に完全に、パーフェクトに
ハンドメイドのチョコレートを――
大好きなオニーチャンに捧げマス☆♥♪
スーパーがんばりバレンタイン!(略称:SGVT……最初Bとか書いてました。てへり) ……いや、なんというか。去年の告白を思い出さなくとも、あれだけ食べる側の資質のみで構成されているような立夏が、ここまでがんばって手作りチョコに挑んだというその事実だけで、相当な破壊力というか、シリアスさが感じられてしまうわけですよ。そりゃあ興奮マークもハァとのみならず3種類併用して合体攻撃ばりに繰り出しますとも!
これを受け取ったからには――
リカとケッコンしなくちゃイケナイんダヨ?
だってだってホラ見て――
リカのチョコはリング型の結婚指輪!
――ほうら、相当の本気が。これをあくまで、子供のノリとしてのみしか受け取らないトゥルー俺は、もれなく朴念仁扱いを受けても仕方ありません。とはいえ、ナチュラルにそのまま受け止めてしまうのも、兄としてはなかなかに悩みどころなワケですが―― などと、悩ましい事態に追い込まれそうなところを、さりげに容赦してくれるあたり助かった気が。
……というのも、
それにしても――
ヒカルおねーちゃん、どこいっちゃったんだろ?
さっきから探してるんだケド――
オニーチャン、知らない?
……うっわ、本当にヒカル逃走してしまわれた!?
いや、これは、ヒカルらしいのか、ヒカルらしくないのか……ヒカルの乙女の部分はときに強く感じられるんですが、これが「恋する乙女」って部分になると、まだまだ不透明……というか、そこまでのものがまだ芽生えてないって気がするんですよね。きっとヒカルの男女感って、今の星花が抱いているようなぐらいのところから、それほど動いていないような気がするんですよ。あまり男とか女を意識しないで成長してきたと。もちろん、それは全く悪い事ではありませんし、子供っぽいと揶揄する気もないわけですが……いずれ、向き合わなくてはならない事柄でもあるわけで。
今夜、ヒカルがそういうことについて、どういう結論を出すか、心配しつつも楽しみにしています。ヒカルのことですから、最後まで無責任に逃げ出すなんてことだけはないでしょうし。
うまうま♥
まんま――
にゃーにゃ!
うまうま♥
ばっばばぼ――!!!!!
――うんばっ!
ばば♥
ここにきてあさひさん日記! ……さっきの立夏のお話で、ヒカルの行方が少々気がかりではあるのですが、あさひさんの活動限界時間がそろそろ近そうですし、ここは我が家の0歳児がいかにバレンタインデーを過ごしておられるかをまずは堪能させていただこうかと。
……さて。ここのところ、あさひの言動に、際立ってYASEI度の高い傾向がみられるということは、みなさまご存知の通りだと思います。ええ、もはや、何が飛び出してきても、全くおかしくない……まさにある種の戦場とも言うべき緊張感が、最近のあさひさん日記からは感じられてしまいます。まあ、赤ちゃんの面倒を見るなんてそもそも、それこそ毎日が戦場みたいなものでしょうしね。ましてやあさひさんはトゥルー家の子なのですからそれはもう。
あさひさんの言葉は相変わらずですが、「うまうま」とか「にゃーにゃ」とか、比較的理解できる単語が多く並んでいます。これはきっと、夕食に関わることなんだろうなとまでは想像できるわけですが、後半部分になにやら、想像もつかない内容の蛮勇のニオイが……。
このチョコレートの溢れる日に、「ばば」という単語から連想できるおよそ最悪の事態までを覚悟しつつ、いつものように翻訳先生にお願い申し上げますと……
おいしいあじ♥
ごはんたべてる――
おにいちゃんチョコ!
おいしいあじ♥
おにいちゃんがこんなにおいしいってしらなかった!!!!!
――もっとぜーんぶたべてやる!
あ、でそう♥
前半部分の時点で、想像以上のYASEIが繰り広げられておりました!
……トゥルー兄を……喰ってる……!?(ミサトさんの表情で) そのうえ、後半部分の危惧がなかば現実のものとなりかけてますよ! 大変な勢いでクライシスですよ! ここんちがいかに赤ちゃんの世話にはなれているとはいえ、さすがにこのバレンタインパーティーの最中に、ハートキャッチばりに出されてしまっては色覚的にも大変なことになってしまうので、これは至急対応するとして……お兄ちゃんチョコって、一体。
穏健な方向で考えるなら、トゥルー兄のシルエットか何かをかたどったチョコが作られていたと見るべきなのですが、あさひさんの場合、その前科からして、本当にトゥルー兄の肉を口にくわえてうまうましている可能性も大いにあるわけですよ。ただその場合、さすがに美味しいとまでは思ってくれなさそうなのですが……あるいは、トゥルー兄の体にチョコを塗られてしまっているという、名状不明の異常事態が発生していしまっているか。
ともあれ、後者だった場合、あさひさんに食べつくされてしまいかねないので、是非とも穏健な答えであることを祈らせていただきたく。……あと、最後の一行への対処が、どうか間に合いますように。
この世にたった2つだけ。
あんこと、
チョコレートの――
深い艶のある暗色はまるで――
――宇宙の色。
もうすっかり終末思想というよりもクール食いしん坊というイメージが定着してしまった霙姉さん! この人があんこの魔力から解き放たれる日は来るのでしょうか、来なさそうな気がします(反語)! ええ、それこそ終末の日まで。
それにしても、このプロポーズでてんやわんやな日に、この人の安定感は異常です。徹底してあんこキャラを貫き通してくれる霙姉さんですが……どうやら今日ばかりは、チョコも愛する日のようで。……ああ、この人もいわゆる「食べる側」代表みたいな人ですからね。
なにやら宇宙の神秘とチョコを搦めて話してくれようとはしていますが……
私はチョコレートはけっこう好きだ。
さらに一応言っておくと、
特にダークトリュフが好みだ。
なるべくシンプルなヤツ。
……今日はなんというか、いつも以上に食欲に忠実のようです。確かにチョコよりもあんこが上と定義付けていたはずの霙姉さんではありますが、それはそれ、これはこれということで。好みにもなかなかこだわりがあるあたり、チョコへの愛もなかなかに本格派のようです。……ああ、霙姉さんの美味しんぼキャラがますます定着していく……。
そういえば、霙姉さんのこれまでのバレンタインって、トゥルー俺へのねぎらいだったり、チョコカレーの感想だったり、他の姉妹への言及が多いんですよね。まあ、霙姉さんの年齢や性格からして、こういう日にそういう立ち回りになるのは自然ではありますね。今年もまたヒカルのことを気にしてはいるようですが、それでも例年よりは比較的、自分ならではのバレンタインって感じで楽しんでおられるようです。……食べる側として、ですが。
なにせ、「良きバレンタインだった」と今日一日を総括して、姉妹皆を見守っている発言かと思いきゃ――
おこぼれがいっぱい
出たからな。
……いや、その……いいや、霙姉さんはそれでこそ、ということで。しかしそれにしても、小学生組からのおこぼれを……まあ、肝心なときにはちゃんと頼れる人なので、普段はこれでOKというか、そういうことにしておいてください。
まあ、霙姉さんが言う様に、このトゥルー家の、なるべくたくさん作るという家風も、確かにあるとは思います。一般家庭でチョコレートファウンテンとか、どんだけゴージャスなんですか。今更ではありますが。
ちゃんといっぱい食べたか?
もの無駄にするのは
いけないことだぞ――うん。
それにしても――
少し胸焼けがするな。
本当に、今日の霙姉さんは、とことん――! そのうえ、自分で作ったものをあげるという発想そのものが存在していないとさえ思える勢いです。去年は一応、ちゃんとくれましたけどね、あんこチョコ。……果たして、立夏と霙姉さん、どっちの料理のほうが上なのでしょう。いい勝負しそうな気がします。
とりあえず、姿の見えないヒカルのことを気にしてはいますが――
こんなにチョコレートを
食べていては――
私もこの宇宙のように
加速膨張してしまうかもしれない。
まるで風船のように――
ふくふくと。
……いや、もう。今日の霙姉さんは、とことんですね。
立夏がおなかの肉を気にしたりすることもありますが、基本的に肥満という概念からは程遠いのがトゥルー家ですが、なにげに立夏と同じぐらい心配なのが霙姉さん。外見こそ、今日のユキ先生のイラストを見る限り、それこそルルーシュばりの細さではあるのですが……内臓脂肪とか、けっこういってそうな気もするんですよ。霙姉さん。アウトドア運動もまず自発的にはしないでしょうし。
一応、それを気にしないでもないようで、その発言に続けて、「もし私が太ってしまっても――」と、霙姉さんにしてはわりと乙女度のある発言が。
私は――もしオマエがまるで
関取のように太っていても。
今と全く変わらずに、
オマエを愛することができるぞ?
……この言葉自体は、深い愛情の現われのようにも思えますが、逆に言うと、「だからオマエも私の体重を気にするな」という意味もあったりするのかなーとかなんとか思ってしまう今日この頃。
とはいえ、そもそも人の外見そのものにそれほど執着がないというのは、霙姉さんのキャラとしては自然ではありますしね。そこまで穿った考え方をしなくてもいいはずなのです本来。……今日の食いしん坊キャラっぷりでは、どうしてもそういう方向に行ってしまいますが。
それに私は――意外と
ぽっちゃりも好きなんだ♥
オマエが太ったら――
その段腹を持ち上げて
隙間を洗ってやるだろう。
……っていうか、そんな性癖をお持ちだったんですか! いや、だからといって=デブ専というほど短絡的ではありませんが、抱き心地が良さそうとか、あんこやチョコを分けてくれそうとか、そういう発想がその嗜好の原点にあるような気がします。……おなかの肉のだんだんの隙間を洗ってくれるとか、変にマニアックなところは、スルーすべきか否か悩ましいところですが。
安心して――肥え太るがよい。
嫁の来手がなくとも――
望むところだ♥♥
フフ――
ともあれ最後に、なにやらプロポーズらしいことはちゃんと言ってくれるあたり、お約束はしっかり守る霙姉さんでありました。
あ〜あ〜♥
ようやくキッチンの
後片付けも済んで。
今年もついに――
終わっちゃいましたね!
1年に1度のお楽しみの、
バレンタインディナー。
ホタおつかれさまでした! いやもう、本当、こういうイベントのあとには、何を差し置いても真っ先に、ホタへのねぎらいが必要だと思いますね。特に今日みたいな、食べ物が中心になる日であれば! いつも本当にご苦労様です。
……とはいえ。
ホタね――あとの候補の、
チョコレート餃子と、
チョコレートスープスパゲティと、
チョコレートグラタンとで、
もうすっごくすっごく――
悩んだんですけど。
なにやら、去年のチョコカツカレーに引き続き、恐ろしい事態が今年も進行しかけていたようで。いやまあ、ホタが喜んでくれるというのならば、どんなものであろうと食べられる自信はありますが、やはり家族の事まで含めて思うと、良かったなあと思わざるを得ず。
春風ちゃんが目をキラキラ輝かせて
「もう乙女は絶対ファウンテン!!」
っていうので――それに決まりました♥
ちょっと普通すぎて――
つまらなくなかったですか?
いやいやいやいやいやいやいやいや。っていうか、チョコレートファウンテンのインパクトで普通過ぎないか悩むそのホタ感性……! さりげに恐るべき大物っぷりを覗かせてくれてますね。
さて、どうやら上記のホタ感性メニューを回避できたのは、春風さんのおかげみたいなのですが、果たして春風さんは、それら料理を回避するためにそう主張したのか、それとも単純にいつものような乙女モード全開ゆえの発言がたまたま功を奏したのか、どっちなのでしょうか。……後者のような気がすごーくしますけど、そこはそれ、春風さんのお姉さんとしての機転にもちょっと期待したいかなと。
お料理もコスプレも、サプライズが大事――というのがホタの主張のようで。確かに大事ではありますが、チョコ餃子とかとっぴな方向にときに進んでしまうのが、ホタのちょっぴり抜けたところであり、それが歳相応の可愛らしさでもありますよね。……食べなくてすんだから、こういうノンキなことを言ってられるのですけれども。
自分でも言ってたように、相当な勢いで食いしん坊キャラを発揮していたらしい霙姉さんが、チョコファウンテンは大分制覇したようなのですが、それでも出た残りが――
明日はあっさりチョコスープスパって
いうのもアリだと思います!
結局間に合わなかった
ヒカルお姉ちゃんにも
食べてもらえるし――。
ウフフフフッ――♥
……南無……!(星空に浮かぶヒカルに敬礼しつつ) ところでこのへんのメニュー、家族で好んで食べる子っていたりするんでしょうかね。みんなホタのことを思って食べる事は食べるんでしょうけれど。立夏あたりなら……?
それはさておき、結局まだヒカルが戻ってきていないというのは気になりますね。この口ぶりだと、「今日は遅くなる」ぐらいのことは言って外に出たのかもしれませんが。
……とまあ、色々とにぎやかしい話や気になる事もあるわけですが。
今日のプロポーズイベントは、依然進行中なわけでして――
なんだかこうして――
お兄ちゃんのためのメニューを
日々考えていると。
なんだかもう――
ホタはお兄ちゃんのお嫁さんに
なっちゃったような気が
するときがあります♥
なんて――やっぱりちょっぴり
図々しいかな――エヘヘ♥
……ホタに改めて、こういうことを言われるのって、なんだか……さりげに新鮮で………………やばい、どうしようこのときめき破壊力。ず、ずずず、図々しいだなんてとんでもない! ……って、家族である事を抜きにしても、これだけいろんなことをしてもらったら、むしろこっちがそういう妄想に耽ってしまいますよ!
しかしながら、いつもはあくまでも愛情表現そのものは控えめなホタ――あくまでも、「してあげる喜び」にこそ専念しているこの小ですが、お嫁さんという願望がないわけがありません。それでも、いつもはそういうことをあまり直接口にしないホタが……
それとも――
ちょっとは――
ホタ、ちょっとは――
期待しても、いい――
のでしょうか♥
…………どう、しましょうか。いや、本当に。
ホタがこの家で最も「お嫁さん」に近い能力を持ち合わせているのは間違いなさそうですし、その、安産型っぽくもありますし、そういう風なことを言われると……あああああああどうしようまずい明らかに抵抗できない。
とはいえ……攻め攻めのホタは、あくまでもそこまで……ってことなのでしょうか。
小さな頃からのホタの夢。それはもう、すでに叶っている状態でもあるわけで――
ホタはお兄ちゃんのお嫁さんには
なれないのかもしれないけど、
お嫁さん代わり――には
なれるでしょうか♥♥♥
……もう、なっちゃってますよ、ホタは。誰が異論を唱えられるのかってぐらいに!
このあくまでも控えめで、人の幸せばかりを願う優しい妹でありお姉ちゃんであるところのホタという子を、今すぐにではなくとも、本人が望んでいるよりももっと幸せにしてあげられたら――と。トゥルー俺で、それを思わない人間などいるでしょうか。
ハッピー・バレンタイン♥
世界でたった1人だけ――
私の大切な大切な王子様♥♥♥
……ついに……ついに、この瞬間が訪れてしまった……!
さてみなさまは、「バレンタイン」「プロポーズ」そして「春風さん」。これらの要素が結合した場合、どのような現象が生じると思うでしょう。
……ぶっちゃけ、今日一番期待と不安で胸いっぱいだったのが、この瞬間だったわけですよ……!
そしてその予感は、このタイトルの時点で、確信へと変わりました――
今日。
春風さんは――
――――――――やる気だ!
――――と。
真面目な話、この家におけるトゥルー俺の立場って、みんなの意思によって確固とした形で迎えられてはいますが、それはあくまで心情面のことであり(それが一番大事なことですが)、それでも社会的な面から考えると、やはり不自然な形ではあるんですよね。吹雪が言ったように、本当の「きょうだい」である可能性は限りなくゼロ――と。それは間違いのない話ですし。
そういう立場にいるトゥルー俺が、この家の家族として、社会的にもごく自然に迎え入れられる形というのは――てっとり早い方法が一つあるわけです。ましてやその方法は、トゥルーママを含め、ほとんどの姉妹からも肯定されている形でもあるわけでして。
……すなわち。姉妹の誰かと、トゥルー俺とが、男女として結ばれてしまう事。
もちろん、まだ今の時点では年齢的に無理なことですが、それが可能なのだとしたら、それはそれで当人同士が幸せになれる上、他の姉妹にとっても、トゥルー俺が社会的にも家族として受け入れられて、より磐石なものになる……と。普段のトゥルー生活においては、あまり考える必要のないことではあるんですが、仮にこのトゥルー世界が、もっと現実よりの属性を帯びた形で見た場合、その解決方法というのは、あらゆる意味で理に叶っていることでもあるわけです。なにせ――こうして、男女の意味で結ばれる事を望んでいる人がいるのですから。
春風さんはもう、トゥルー俺のことを家族としてはバッチリ受け入れつつも、「きょうだい」であることについて、ある意味反撥していた氷柱や麗以上に、受け入れられない、受け入れたくない――という気持ちがある人なわけで。
もちろん、見ての通り、夢見る乙女度の非常に高い人ではありますし、あくまでトゥルー的にとはいえ、ちゃんとした「姉弟」であり、結ばれてはいけないという禁忌の壁も、曖昧な形とはいえ存在してもいるわけです。ただ、それらは――乗り越える事ができる壁でもあるわけで。それこそ、当人同士と家族が認めてさえしまえば、もう何も障害なんてないといってもいいぐらいです。
――とはいえ、それを受け入れてしまうということは。春風さんの存在が実にいとおしい人だとはいえ……やはり、今の形のトゥルー家族とは違ってしまうんですよね。それは、いつかは望みたい未来であり、それを受け入れてくれる家族でもあると分かってはいるわけです。海晴姉さんなんて、かなり具体的にそういうことを言ってくれてもいますしね。
ただ、それはまだ、ほんの少しでもいいから、もう少し先の話に――というのが。多分、トゥルー俺としても、姉妹の皆にしても。そしてもしかすると、春風さん自身の心のうちにさえあるかもしれない――今の、素直な気持ちなんじゃないかと思うわけですよ。姉妹みんなが、あくまで対等な存在であるところの「トゥルー家族」というものが好きなゆえに。
……とまあ、春風さんの日々の春風きゅんきゅんっぷりは、今日のこの素材的核融合を期待しつつも恐れずにはいられないというのは、そういう背景があるからこそ――というのを、この場面において、改めて明示しておきたかった次第なのです。……なにせ、今日の春風さんは、ついに……本格的に……女の子として………………攻め込んできたのですから。
なかなか2人きりに
なれなかったんですけれど――
よ・う・や・く――
2人っきりになれましたね♥
あ、あ、あ……春風さんの目が、これでもかってほどに、捕食者の色を帯び始めている……! 小さい子たちが寝た後でなんて、アダルティな文脈もバッチリ使いこなしつつ!
春風が思っていたのと同じように――
王子様も春風と2人っきりに
なれないのを歯がゆくもどかしく――
思っていてくれました?
ウフフッ――♥♥♥
……そ、そう思うのと同時に、あたかもプレデターに狙われていると悟ってしまった存在の心境も同時に味わってしまったと言うか……! ああ、この「ウフフッ」という笑いに込められた、「女」のオーラ……!
本来春風さんは、気質的にはもっと淑女な、ひめやかなところがある人だと思うんですけど、それを上回るほどに「恋する乙女」度というのが高くて、それがトゥルー俺に対するこの強烈なまでのアプローチに転じてしまっているのだと思うのです。あるいは、その本質からの反動とも言えるかも――
……とまあ、そんな風に春風さんの内面を分析しようがしまいが、今、トゥルー俺の身に、誇張抜きで貞操の危機が迫っているということは紛うことなき事実であります。……さっきも言ったように、春風さんを受け入れるのがいやなのではなくて、べびプリという形がそれでエンディング、すなわちゲームオーバーになってしまうことこそを恐れているわけだと改めて言ってはおきます。その前提をしっかりと踏まえてたうえで――
春風はもう――
朝から、今夜のことを
考えようとしただけで
胸がどきどきして
息が苦しくなって
頭がポウッとして
顔が赤くなって――
きゅぅぅううううん♥♥ハアと
……
死にそうでした♥
この、本気の春風さんの戦慄せざえるを得ません!
……さて。そんないつもと同じようで、明らかにそこから一歩踏み込んできた春風さんが、
ね、ちょっとだけ――
近づいてみて?
春風の首筋――ほら♥
ほらほらほら♥♥
なにか香ってきませんか?
ほんのり――きゅんと。
甘〜い香り♥
――「ガチ」な、性的アプローチを!
いやまあ、まだ搦め手の段階ではありますが、その行き着く先は明らかに……はい。春風さんももはやその先をごまかすつもりはなさそうです。あくまでもバレンタインと絡めての美肌アピールと、風情を弁える事も忘れず――
春風――あなたのために――
全部、すっかり――
キレイになって来ました♥
全部――アナタのものです。
――さあ。来てしまいました。
春風さんの、本当の意味でのアプローチ。……この態度が何を意味しているのか分からないなどと言うようでは、男であることをやめなければならない。そんなレベルの、本気の攻めです。
どうか、遠慮なんてそんな
距離を置くようなコトしないで――
抱きしめて――
今日は決めてたの。
あなたに春風の全てを――
絶対に絶対に受け取ってもらうって――
……「詰み」である、と。ここまで春風さんに迫られてしまった以上、受け入れるにせよ断るにせよ、ここで今までの形の「べびプリ」は終わってしまわざるを得ないと。そういうところに追い込まれてしまいました。
――たとえ、そうであったとしても。トゥルー俺が「男」でもある以上、どちらかを選ばなくてはならない、覚悟を決めなくてはならない。そういう状況であると理解して、その決意を固めようとしたところに――その「詰み」の状況に、異変が!
うわあああああああっ!!!!
ご、ごめん――
そんなことになってるとは
ちっとも知らなくて――
ドロー! 「ヒロイン」属性を持つ「ヒカル」が場にいた場合、デッキの山から直接引く事の出来る「お約束イベント」カードを発動! 強制ターン終了で、ヒカルのターンに!
……なんというか、今のこの流れを説明するなら、そんな感じの表現になるのでしょうか。
「詰み」の状態にあると思われた、春風さんの日記中に、ヒカルの「お約束」的インタラプト――これはなんというか……春風さんがさすがにかわいそう、という気もするんですが、あくまでも不可抗力である以上、仕方ないなと納得もできる範囲内ではあるというか。……なんにせよ、助かったというのが本音ではあるのですが、このあたりの運命の悪戯的な状況は、ヒカルの持つ正ヒロイン属性に加えて、前日からしっかり積み重ねられてきたフラグの賜物かなと。
とはいえ、さすがにヒカルもこの状況では、動揺するなというほうが無理な話であり。……い、いや、これはなにげにトゥルー俺も大いに動揺している状況でもありますが!
とりあえず、ヒカルが外出していたのは、ちゃんと海晴姉さんには言ってあったみたいですね。とまあそれはさておき……
で、でも――とにかく、
ご、ごごごごご―――
ごめんっ!!!
邪魔しちゃって!!!
……このヒカルのリアクションが、かつてないほどに女の子っぽいというか、可愛いというか……って、そんな感傷に浸っている場合ではないのですがそれはそれとして。
ただ……今思うと、今日のこのプロポーズって、このヒカルのために催されたことなのかもって気がしています。それについては後でじっくり語れそうな感じですが、ともあれこれほどまでに動揺してしまうというのは、やはりヒカルにとって、本格的な男女のことというのは、無関心というセーフティに覆われたアキレス腱だったことは間違いなさそうです。人としてそれは別に恥じるところでもないとは思いますが……やっぱ、海晴姉さんあたりは、年頃の女の子として、おせっかいだろうと、なんとかしてあげたいって思うところなのでしょう。
そんなわけで、強烈なショック療法が功を奏したかどうかはさておき、「勉強になった」と言ってるヒカルに対して、どういう影響があったかというと――「もう行くから、
気にしないで、
続きやって」……うむむむ。いや、いかに春風さんといえど、この状況ではいったん兵を引かざるを得ないと思うわけですが……そこを追求する事もできませんね。
どっちかというと、春風さんの方にこそフォローが必要な状況だと思うわけですが、それはそれとして、もちろんヒカルのことも気にかけなければ。「詰み」の状況が覆った分のフォローは、ちゃんとしなければ。
ともあれ、ヒカルの置かれた心境としては、
どうしていいか
わからなくて――
というのが、シンプルながらも全てを言い表してますよね。
……さっき、星花のところでも触れた事ですが、近しい相手のことを、無理に男と女として見なくてもいいと思うんですよ。ただ、そう思っていても、自分に性別がある以上、「揺らいで」しまうのが人間でして。それでも星花の場合、まだ小さいからというのもあるのでしょうが、ひとまず現時点での自分の思いについて、女の子としてではなく、妹とか武将として――と、明確に答えを出しているんですよね。
ヒカルってこの男女感は、きっとその星花みたいな心境を抱きつつも、そのひとまずの「答え」を出さないまま、女として年頃を迎えてしまった状態なのではないか――と。そう思います。それゆえに、家族とはいえ同い年の男の子とプロレスとか服の取替えとかもしちゃうわけです。
あくまで色恋抜きのところでは、本当に頼れる、「お兄ちゃん」といってもいいぐらいのヒカルなんですが。その反動というか、釣り合いを取ってるというべきか――男と女って部分に、本当に無防備なんですよね。だから、今日のこの事態が生じてしまったわけで。そのあたり、あとでじっくり海晴姉さんに聞いてみたいところです。
……
とにかくごめん。
安いので申し訳ないけど、
これだけ――渡しとく。
1番、好きなんだ。
チロルチョコ――
今日は一晩。
考えてみるよ――
……そんなヒカルの出した、本当に「とりあえず」の答えが、一晩考えてみることと――チロルチョコ。バレンタインにこれをもらうというのは、ある意味義理の象徴みたいなものなんですけど、ヒカルにとっては本当に、自分が好きだから以上の意味すらないのだろうと、この反応を見ればわかります。
もう少し、ヒカルの話を聞きたいところではあるのですが。こう本人が言っている以上、それを待つのがトゥルー俺の役目であります。
ウフフフフッ♥
聞いちゃった♥
ヒカルちゃんの――
叫び声。
―― 黒 幕 見 参 !!
はい、この発言を見るまでもなく、恐らくはこういう事態をこそ想定&期待していたであろう、今回のプロポーズバレンタインの立案者、海晴姉さんが、姉妹のトリに満を持してご登場です! なんというかもう、「全ては我が戯言なり!」って台詞すら似合いそうです。
いや、本当に、今年のバレンタインの仕掛けは、見事に尽きるというかなんというか……リアル的に3年目を迎え、ある種の倦怠感が漂わないでもなかったところに、とんでもない刺激を与えてくれましたよ。騒動といえば騒動ですし、思いつきでなんということを……って気持ちも無いわけではないのですが、それはそれとして、まずはトゥルー家族の一番のお姉さんとして、こういう導きの機会を与えてくれたことに、感謝の言葉を。
やったじゃない!
あのヒカルちゃんを
こんなに目覚めさせるなんて――
さっすが私のかわいいオトウト♥
……い、いや、お手柄というならば、たぶんこの案を出した海晴姉さん自身にあるんじゃないかなーという気もしないではないのですが。それはともかくとしても、「春風ちゃんのお手柄かしら」というのはさすがに春風さんがちょっとかわいそうというか。
でも――これは少しだけ分かるような話でもあるわけで。
というのも、海晴姉さんにしろ、きっと春風さんにしろ――「姉妹はみんな平等」である以上、トゥルー俺に対する立場というかスタートラインも、可能な限り対等であるべき……って思いがあるんじゃないかと思うんですよ。ヒカルはさっきも見たとおり、およそ色恋に関しては、まだ何も気持ちも覚悟もさだまっていない、小さいままの状態なわけで。そのくせ、心の中にしっかりと、たぶん女の子としてのものが含まれている好意があると、海晴姉さんにしろ、春風さんにしろ、感じられるのでしょう。
……トゥルー俺の立場だと、はたしてヒカルが、そういう思いをこちらに向けているのだろうかと思ってもしまうんですけどね。そこはそれ、女の子だから分かるところかもしれないし――とにかく、女の子の領域ということで。
ヒカルちゃんたらね、
金曜日の日記――あれ、一応
本気で誘ってたみたいよ?
ホント、わかりにくい子よね?
好きなくせに――素直じゃないんだから。
……たしかに。「一緒に逃げよう」というのは、とり方によっては立派なプロポーズクラスの言葉なんですけども。たしかにそれは、分かり難いです。こと、男の子の立場からすると。ヒカルが内面にちゃんと、女の子としての思いを抱いてこちらを見ているのか、それが分からない以上は、そう思わざるを得ませんよね。
そんなヒカルに対する海晴姉さんの評はというと――
いつでも直球勝負のできる
春風ちゃんや立夏ちゃんや
夕凪ちゃんや星花ちゃんや――
みんなと比べて考えると――
もしかしたらヒカルちゃんが――
本当は1番素直にキミのことを
好きなのかも知れないわね―
……とのこと。これはこれで、納得のできなくもない話ではありますが……自分の抱いているものを、どう表現したらわからないというのは、確かに重くて、その分爆発してしまいそうな感じはあります。
「本当にプロポーズなんて
どうしていいかわからない
っていう気持ちと――
バレンタインデーを
キミと2人で過ごしたい気持ちとが
まざっちゃってこんな風に」、というのは、これはトゥルー俺にも分かります。好意といっても、それがどのぐらいのレベルなのか、自分はもちろん他人にだって、はかりではかったようには比べられないんですけれど、それが明確に表に出てくる類のものであれ、自分でも自覚していなかったものであれ、どちらが上かははっきり言えないってことは間違いないんじゃないかと。
まあとにかく、そんなヒカルの無自覚な男女感を思い切り刺激したのが、このプロポーズ話であることは間違いありません。
ウフフフフッ♥
でも、そんなのダメ、ダメ♪ よね?
女の子なんだもの。
自分の気持ちくらいハッキリ見定めて――
思い切り勇ましく!
本気でアタックしなきゃあ――
なんていったって、1年に1回きりの
バレンタインデーなんだもの♥
女の子話にはいつだってノリノリすぎる海晴姉さん!
――俺としては、あくまでも男である以上、それに全面的に賛成とは言い難い思いもありますが……これはこれで、ポジティブで前を向いた考えですからね。否定もまたできません。さすがに海晴姉さんぐらいになると、女の子としても、ポリシーというか、誇りというか、そういう強い思いがあるのだなあと、男の身としては、感心というか……女の子って、すごいな、と。
とまあ、そんなわけで――
と、いうわけで♥
今年のバレンタインは――
これで終了!
みんなからのラブ♥
たっぷり満喫――できた?
この波乱のバレンタインを、バッチリと締めてくれました! ……本当、さすがは海晴姉さんって言葉を何回使ったら良いのやら。少なくとも、海晴姉さんの目論見は、この日記の最後で言っていることまで含めて、おおむねバッチリかなったんじゃないかなと。
みんなからのラブも、それこそチョコを数リットル食べつくしたかのような勢いで満喫できましたが……最後に、海晴姉さんからの、とびっきりのラブが――。
女の子ばっかりの私達に――
たくさんの幸せと愛情と、
ときめきをくれたキミ――
……この、トゥルー俺が、ほぼ無条件にみんなから愛されているという根拠が、これなんですよね。……果たして、たとえトゥルー俺が、たとえば陽太郎のような、理想的な男の子であろうとも。そういう存在として叶っているかは分かりません。そうとはとても思えないというのが正直なところです……が。そう思ってくれている以上は、その愛情に報いたい。そういう思いさえあれば、トゥルー俺として認められるのでは、と。そんな風に思っています。
たまにみんなのお母さんに……という言葉は、こういう日ですから、あえて指摘しないとして。……さっき、春風さんの日記で言ったようなことは、当然、海晴姉さんが相手だって、同じことが言えるわけで。成人している分、より近いと言えなくもありませんし。
……って、ああ、これはなんとも、婉曲なくせに具体的なプロポーズ……!
そこに続けて、「私は――好きよ♥ キミのことが」と、愛の言葉を継げる海晴姉さん。でも、より本当に大事な言葉は、その先のことで――
ただ、幸いなのはキミが誰を選んでも――
私達が家族なのは変わらないって言うこと。
だから――
キミからのプロポーズも――
いつか、私達に聞かせてね?
……これ。これですね。これこそが、このトゥルー家族……というか、「ベイビープリンセス」の、一番幸せで、一番望ましくて……そして今、現実にそうなっているという形を言葉に言い表したもの。
さっき、特定の誰かと結ばれてしまったら、その時点でエンディング、ゲームオーバーになってしまうと表現しましたけれど、そのこと自体はいいんですよ。ただ、もしこの幸せな世界にエンディングがあるのだとしたら……それは、トゥルー俺自身の決断として、選びたい。その思いこそが、率直に言って、俺たちにとって一番大事なものだと思うんですよ。なんとも都合の良い形、なんとも無条件なまでの愛情――でも、それこそが、この世界が幸せな理由であり、俺たちがトゥルー家族たり続けている理由でもあるわけで。
今日のこの大騒ぎと、海晴姉さんが綺麗に纏めてくれたこの結論で。自分にとっての「べびプリ」がどういうものなのか。そのことが、ハッキリと理解することができた気がします。
実に疲れた一日ではありますが……今は、幸せで一杯です。ヒカルのこととか、気になることも残ってますが……とりあえずは、
愛してるわ♥
おやすみなさい――
……こんなにも愛してくれる海晴姉さんに対して、感謝の言葉と、おやすみなさいを――
……
?
もう――寝ちゃったの?
バカ。
子供じゃないんだから、
こんな時間にもう寝てるなんて――
――やっぱり来たああああああああああ!!
氷柱! 氷柱! 氷柱! 予想も期待も裏切らないことでトゥルー俺内部で有名な氷柱が! やっぱりこの深夜に来てくれましたよ!
確かに前フリとしては、それこそヒカルよりも以前からフラグを立てていたぐらいですからね。いったんヒカルのことにみんなの目が向いたことで、氷柱に関してはうやむやになったのかと思わせての、この不意打ち進入……! 一瞬の油断も許されないのがトゥルー世界でございます。
……とはいえ、さすがにトゥルー俺も、あらゆる意味で疲労が溜まっていたのでしょう。もうすっかりご就寝のご様子です。……で、そんなトゥルー俺の寝床に、氷柱が訪れるという……ある意味、春風さんにも負けないぐらいの大胆行為。……以前のホワイトデーがらみのときは、あくまでドアを開けないままだったことからすると、格段の進歩なのですが……
どうして――
私だけ。
どうして――
こうなっちゃうのか――
わからないの。
でも――
ただ――
……
やっぱり。
……深夜、男の部屋を訪れて、この自問。この言葉。……ええ、勝負でしょう。それこそ、さっきの春風さんのような積極性こそありませんが、それゆえに逆にこちらが積極的になってしまうという、むしろ同等レベルの恐るべき女の子攻撃と認識すべきでありましょう。まして、氷柱がここまで思いつめて……という時点で、こちらの脳がどうにかなってしまいそうな!!!
……
本当に寝てる――の?
タヌキ寝入りなんかじゃなくて、
本当に――?
……幸いだったと言うべきなのか、判断が極めて難しいところですが……トゥルー俺の睡眠はどうやら本格的なもののようで。この、程よい鈍感さこそ、トゥルー俺のような立場の存在には必須のスキルではありますが、なんというか……もしこれで、トゥルー俺の目が覚めていたとしたら、氷柱がどんな行為に走ってしまったのか。大変気になるところです。
……っていうか――起きてなくても、大変なことになってしまいましたが!
バカ。
バカ下僕。
私のこと――待たないで寝ちゃうなんて。
……この台詞を、涙目になりかけて呟いているのだと思うだけで、脳が簡単に沸騰できるわけなのですが――
もう――
懲らしめてやるんだから。
奪ってあげる。
私――
私――
……
……
コレが下僕の初めてだったら――
いいのにな……
………………………………。
………………………………………………………………ッッ!(←狸寝入り不可能)
……いや、その。なんというか……。
これ、もし、トゥルー俺がこの時点で目覚めたとしたら。……どうしましょう。どうしましょう。
……なんというか。この前、インフルエンザで2人っきりの隔離部屋にいたとき。思っていた以上に、「何か」が進行していた――と見るべきでしょうか。
なんというか……これがトゥルー俺の初めてでないことは、夕凪さんの今日の一件で否定せざるを得なくなってしまってはいるわけですが。さすがにこのシチュで奪われるのと、夕凪さんが無邪気に奪うのとでは、その差は――――――
……っていうか! 今、こうして起きたままでこの場面を迎えられた俺たちは幸せなのでしょうか? いや、見られなかったら間違いなく悔しがってるでしょうけど、これはこれで、もうこの先、とてもじゃないけど眠れないですよ――! もう月曜日が襲い掛かってきているというのに!
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