4日目(12月31日) |
1.ボルドー駅前の朝 |
ボルドーの朝も、やはり遅い。
相棒を部屋に残し、駅前からガロンヌ河畔まで、探査の足を広げる。 今日は大晦日。 まだ薄暗い中を駅に向う人々は、どこを目指しているのであろうか??
駅地下のコンビニでボルドーのバス路線図もゲットしたし、トラム乗車券の自動発券機の操作方法も、フランス人の動きを後ろから覗き見てマスターした♪
さぁこいボルドー! もう怖いものはない♪♪ |
2.カンコンス広場と、その周辺 |
9時過ぎにチェックアウトをしたが、「15時まで荷物を預かって」とホテルに頼み、ボルドー征伐に出陣。
まずはトラムの一日乗車券を購入。 この一日券は4.1ユーロで手に入れることが出来、バスにも乗車可能なのでお買い得である♪
乗車したら、扉の近くに標準で二機設置されている機械で、自分で刻印するのがボルドーの流儀のようだ。
多分この行為もバリデーションと呼ぶのだろう??
ただ、一日券は白い面を上に向けて機械に差し込むので、直感的には間違えやすい。
差し込む方向は券に書いているので間違えないのだが、どうしても意匠印刷面を上に向けてしまうので機械が飲み込んでくれず、ジモティおばさんに
手伝ってもらってしまった。
さて、カンコンス広場。
事前情報通り、ジロンド記念碑が聳えている。
足元の噴水のブロンズ像は、勇ましい像があるかと思ったら、苦悩に満ちたお兄さんも水と戯れていて、勝ち組と負け組みが同居している。
広場の近くには、何かの催し物を準備しているような会場があり、年越しイベントでも行うのかと思ったが、どうやらそうでもないらしい。
カンコンス広場のすぐ近くのロータリーに面したワインショップを襲撃。
ワイン通には生唾物のワインもあるのだろうが、粋ではない私にはわからない。この店は輸出手続はとってくれないらしいので、別のショップを目指すことに。
この近くに、仮設ショップあり、メリーゴーランドありの興味深い通りを発見。
この後の予定がなければ、丸一日だって退屈しないで過ごせそうな一角である。 |
3.CHパプクレマンへ |
しかし我々には、ボルドーのワイン醸造所を目指すと言う重大な使命があるので、バスに乗って先を急ぐことにする。
目指すはCHパプ・クレマン。 相棒が日本から襲撃予告を入れている。
CHはフランス語のシャトーの略語で、通常は城を指す言葉であるが、ここボルドーでは敷地内で、「ぶどうの栽培」「ワインの醸造」「瓶詰め」までを行う
製造所を意味する。
実は、ボルドー観光局が主催している二泊三日のホテルつきツアーに申し込むつもりであったのだが、我々の滞在が年をまたがることから観光局の準備が、
整わず、08年12月23日に同局の受け付け体制が整った時にはすでに、セルフ手配を進めていたのだ。
省みれば、自分たちで手配を行ったことに今も満足している。
11時30分に予約したCHパプ・クレマンまでは15分くらいかかる見通しだったので、11時10分にカンコンス広場近くのMusee d Aquitaineバス停から乗車。
この後、辿りつくまでに色々とあったが、ここでは割愛する(笑) 見るに見かねて車に乗せてくれたフランス人老夫妻に感謝の意を表して止まない。
ともあれ一定時間の後に、我々はCHパプ・クレマンの正面口に立ち、綺麗な内部も、本シャトーのぶどう園も楽しんだ上で、ここのロゼワインを購入できた。
このワインはパリで過ごす最後の夜に餌食としたが、日本で手に入れるよりも遥かに安価な買い物だったらしい。 |
4.月の港 ボルドー |
昨日の朝に発ったモンサンミシェルも、これから目指すサンテミリオンも世界遺産だが、このボルドー自体も2007年に世界遺産に登録されている。
まさに世界遺産尽くしの様相を呈してきている気まま旅である。
このボルドーも、街を歩いていると次々と写真に残したい建造物が現れ、メモリーを強化したデジカメでなければ対処が難しい。
登録名が、「月の港」ということだが、これは三日月型に蛇行するガロンヌ川を挟んで広がったボルドーの通称だと「歩き方」に記載。
私は、ガロンヌ川左岸に最も拓けた一帯が半月型をしているからだと思っていたのだが、真相やいかに?? |
1.ボルドーからリブルヌへ |
約束の15時にホテル ロイヤルサンジャンに戻り、預かってもらっていた荷物を受け取って、ボルドーサンジャン駅からローカル列車でリブルヌ駅を目指した。
今日の国鉄乗車はこの区間だけなので、パスは使わない。
パスを4日間タイプにするよりも、この区間だけ、別途に切符を買ったほうが安く上がるのだ。
切符の購入は駅の窓口で「リブルヌまで二枚」と言えば良いだけなのだが、私は未だに「リブルヌ」だったか「リブヌル」だったか混乱が続いているくらいなので、
3回言い直した。。。 まぁ、、、筆談にも英語にも頼ることなく、無事に購入できたので良しとしよう♪♪
先ほど、”ローカル列車で”と書いたが、この列車はサンジャンの次の停車駅がリブルヌ駅だったし、チケットにも発着時刻が記載されているので、
特急か急行クラスの列車だったかもしれない。 トーマスクックにも掲載されている運行だから、舐めてはいけないかも??
目指すホテルはサンテミリオンに有るのだが、サンテミリオン駅まで行かないで、リブルヌ駅までの鉄道利用としたのは、「地球の歩き方」「個人旅行」などの
ガイドブックに、「サンテミリオン駅はタクシーがないので、リブルヌ駅でタクシーに乗ろう」と勧めているからに他ならない。
ならば、リブルヌで下車すれば難なくタクシーを捕まえることが出来ると考えるのが人情と言うものである。
ところが、駅前に降り立っても、タクシー乗り場らしい場所も、待機しているタクシーも見当たらない!!
当初の作戦では、駅舎から出た我々をサンテミリオンタクシー協会が赤絨毯を敷いて待ちうけ、下にも置かぬ扱いで車に導いてくれるハズだったのだが。。。
我々と同様に、タクシーを当てにしているっぽく見えていたのが、女性3人が一組と男性単独が二組で、すべて西洋人(多分フランス人)。。。
しかし、女性三人組は知り合いらしい車が迎えに来て颯爽と走り去り、男性一人もどこかに行ってしまった。
時刻はまだ16時半くらいだから、あせるほどではないが、何か策を講じたほうが良い。
とりあえず前方50mくらいに通りがあるので、そこまで歩いて出てみた。 車の通りは少ない。 普段からそうなのか、大晦日だからいつもと違うのか。。。
近くに[EUROPCAR]なるレンタカー事務所があり、中でスリムな女性と小太りの男性が話しているのが見える。
『ここなら英語が通じるだろう・・・』と中に入り、「タクシーを拾うのはどうしたらよいの?」と聞いてみた。
女性が、「駅前にいるでしょ?」と言うので、「10分待っても一台も来ないよ」と答えたら、「明日は祝日だからねぇ・・・」と事態を把握してくれる。
「電話で呼べませんか?」と聞いてみると、「そうね、ちょっと待ってね」と快くダイアル。
が、、、フランス語で話していても様子がわかった。 やはり大晦日の夕方ということで、働いているタクシーが少なく、つかまらないようなのだ。
受話器を置いて「いないみたい」と言う彼女。 すごく困った顔をする私。
心優しきフランス女性は分厚い電話帳を手に、別のタクシー会社を当たってくれる。
(その間に仕事の電話が入ったのに、嫌な顔ひとつしないで親身になってくれる)
少しやり取りが会った後、「一台つかまったから5分後にここに来るよ」と彼女。 大感謝する我々。 パリ初日のメトロ切符売りの女性とは大違いである。
たまたま私のスーツケースに入っていた丑の干支飾り(フランス語での干支の説明付き)を、最大級の謝辞とともに進呈すると、すごく喜んで受け取ってくれた。
きっかり5分後にタクシーが現れ、手を振ってレンタカー屋を後にする。
どなたか、このレンタカー屋を訪れる機会があったら丑が飾られているか見てきて下さい。
タクシーに乗り込んで、「やれやれこれで一安心」と息をついたとたんに、タクシーの運転手の口から爆弾発言!
「明日は祝日だから、ボルドーに戻る列車は走っていないよ。 SNCF(フランス国鉄)に勤めている友達が言ってたから間違いない。」
「えぇ~っ!!」と、驚くも、この期に及んではどうしようもない。
「もいっぺん聞いてみるわ」と運ちゃんが車載電話でどこかに電話。 後部座席からも見える電話モニターに[SNCF]と表示が出ている。
フランス語での会話は理解できなかったが、電話を切ってから運ちゃんは振り返り、「やっぱTGV以外は止まるってさ」とあっさり。
国によっては、『これは明日の仕事を確保するためのタクシー運ちゃんのハッタリか?』と勘繰るところだが、今回は、その可能性はない。
「ホテルで相談してみる」としか言えない私。 「まぁそれが良いな」としか言わない運ちゃん。
とりあえず、このあたりからボルドー駅までタクシーを走らせると、90ユーロくらいかなぁという情報は聞き出しておいた。 |
2.サンテミリオン CHフランメイヌ |
今朝、ボルドーからバスで襲撃したCHパプクレマンと同様、このCHフランメイヌ(CH Franc-Mayne)も、シャトーと銘打たれるワインの醸造所である。
なおかつここは宿泊客を受け付けているのだ。
ワインの生産地として世界遺産に登録されているサンテミリオンのブドウ畑の真っ只中にあるシャトーで新年を待ち受ける♪♪
21世紀をアフリカ南端の夜行特急の中で迎え撃った時に匹敵する素晴らしい年越作戦である♪♪
このシャトーも、日本からE-Mailで事前に数回のやり取りをしてあったので、チェックインはきわめてスムース。
早速、「明日は国鉄が止まるとタクシー運ちゃんが言っていたけど本当?」と聞いてみたが、はっきりとした情報は持っていない様子。
「調べておくわ」と言ってくれたので、お任せすることにして、部屋とシャトー内を探検。
20時に予約しているレストランの迎えが来るまで、まったりとした時間が楽しめる。
ここはシャトーに最低限度の宿泊設備を増設した程度と思っていたのだが、ナカナカの施設である。
ビリヤードプールや宿泊客共用のリビングがあり、自由にワインが楽しめるようになっていた。
これは通常のホテルの室内ミニバーのように、チェックアウト時に自己申告するらしい。
奥に行くとプライベートガーデンが広がり、少しジャポンティストな庭石なんかもあったりして、長期滞在したくなる気持ちのいい環境である。
部屋の窓からはホテルの門の向こうに広がるぶどう園が展望でき、世界遺産に抱かれて眠る幸福感を視覚的にも高めてくれるのだ♪♪
ハロン湾級の光景かも知れない。
門から入ってまっすぐ手前に来ると宿泊客用の棟につながり、左に行くとレセプションがある。
宿泊棟の入り口は暗証キーが守っているが、番号は定期的に変更するのかな?? |
3.ニュー イヴ ディナー |
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CHフランメイヌの予約を確定した後、ディナーの案内を受け取っていた。 曰く
We are pleased to inform you that the restaurant
< Le Vieux Presbytere> (situated only 5 minutes away from the hotel)will be open for New Eve’s dinner. |
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一人52ユーロとの事なので、メニューを取り寄せた後で申し込んでおいた。
メールではホテルからたった5分と書いているのに、今日は車で10分だと言う。 まぁ構わないのだが、変なところでサバを読まないでもいいのにネ。。。
ともあれ、19時45分に迎えのタクシーがやってきた。
「レストランの名前を知らないのだけど。。。」と言うと、「大丈夫だ」と一言。
後からよく見ると、メールにレストラン名は記載されていた。
ぶどう園の中をタクシーは猛烈な速度で疾走し、サンテミリオンの中心部?を通過して、LE VIEUX PRESBYTEREに10分で到着。
「フランメイヌから予約をした」とか、色々と言わないといけないのかなと思っていたが、名前を告げると、スムースに二階に案内してくれる。
綺麗にセッティングがされている。 我々を含めて4組が予約をしているっぽいが、先客はおらず、Mise en boucheが来る頃までは我々だけだったので、
遠慮なくストロボを発光させて写真を撮らせていただいた♪
写真ページの右下がウエルカムデコレーションだが、テーブルクロスの黒い点々は、金の星である。
乾杯のシャンパンはGossetで、その後に相棒がチョイスした白ワインはCH TURCAUDの2007年ものらしい。。
無粋な私の人生の中に、こんなワンシーンがあるとは想定外
だったが、持つべきものは相棒である♪♪ |
4.撃沈 |
ディナーは満足がいく内容だった。 部屋の雰囲気もよく、店員の振る舞いも上品だった。
フランス料理の本格的なコースを堪能できたし、52ユーロという価格は安いくらいかもしれない。
しかし我々は小さな失敗をしていた。
ホテルで予約時刻を決める際に、20時から21時の選択肢の中から20時を選んだのだが、これはニューイヴズディナーなのだ。
途中で気がついたが、フィニッシュタイムを深夜0時に設定しているので、20時から始まった我々の食事は、30分に一品が運ばれてくるというスローペースだ。
他の客は20時半過ぎに一組が、21時くらいに二組が到着したが、だんだんと料理が我々に追いついてくるのがわかった。
一階も22時くらいから賑やかになってくる。
我々はすきっ腹にシャンパンを流し込んだし、ポツリポツリとしか料理が運ばれてこないこともあって、食事中は睡魔と闘い続けた。
と言うより実際に寝てしまっていた。
店員はなんと思っていただろうか??
それを見かねたのか、私が精算を申し出たからか、我々は23時55分にディナーを完了して迎えのタクシーに乗り込んだ。
来た時は客がまばらだった階下(多分、コースではない客が食事をしている)も、ほぼ満席になっていたが、5分後にはキスの嵐になっていたのだろうか??
タクシーは再び世界遺産の中を疾走し、1月1日の午前0時10分に、CHフランメイヌに生還した。 |