4日目(8月13日) |
1.カトマンドゥの朝 |
カトマンドゥ最初の朝は、午前5時25分に活動をスタートした。
ロビーに下りると、昨日約束した空港までの出迎えがソファーに横たわって待ってくれている。
夜明けの街を空港へと急ぎ、わずか15分後の5時40分には国内線の建物に到着。
この時間帯でもマウンテンフライトだけではなく、ルクラ行きのチェックインが行われていた。
小さなショップも開いていたが、170Rsの空港税を納める銀行のシャッターはまだ閉じており、人によってはチェックインカウンターに現金を払い込んでいた。
私もそうしようかと、チェックインカウンターに並びかけた時に銀行がオープンしたので速攻入金。
そのすぐ後に長蛇の列ができる。
ここで170Rsを払って、引き換えにもらう入金証明と航空予約券をチェックインカウンターに提出し、ボーディングパスを獲得するという流れなのだ。
今日はマウンテンフライトは3便が飛ぶらしい。 |
2.マウンテンフライト |
6時を少し回って、まずはルクラ行きの搭乗が始まり、少し遅れてマウンテンフライトの搭乗が開始。
ネパールでは、ボーディング時にも軽い(いい加減な?)ボディーチェックがあるが、係員がいれば男女別に区別して実施される。 |
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ヒマラヤ山脈へと向かう飛行機。
(これは私が乗ったイエティーエアの30人乗り)
高度9000mまで上昇するというのに、プロペラ機ということにビックリ!! |
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乗客席は27座が用意されているが、乗客は18名。横3列×縦9席だが、窓側しか割り当てていない。
スチュワーデスは、ネパール人とは思えない白人系の顔立ちの美人で、ニコヤカに飴を配ってくれた。(英語発音も綺麗だったし、ハーフなのかな?)
左右のタンクには、なぜか乗客が乗機してから給油が始まる。
まずは右側から給油され、給油車が左に移ると、右側のプロペラが爆音を立てて試運転を始めた。
やがて左側の給油も終わったらしく、両側のプロペラが起動する。
南米で、リマからイカに飛んだ時より少し大きい程度のプロペラ機だが、今回の方がはるかに綺麗だ。
6時40分前後に飛行機は軽やかに離陸し、ほどなく安定飛行。山はなかなか見えてこない??
と、感じたが、実際には離陸後20分くらいから、左側遠方に白い山が見えてきた。 |
3.サガルマータ(エベレストのネパール名)(チョモランマは中国名) |
機体は徐々にヒマラヤ山脈に近づきながら東北東へと向かう。往路は左座席の乗客が、復路は右座席の乗客がヒマラヤを満喫するという仕組みらしい。
サガルマータが左前方に大きく見えてくると機長が放送でガイドを行い、美人スチュワーデスも各シートを回り、訛りの無い英語で山の名前を説明してくれる。
十分に山が迫ってきたところで、乗客一人々々がコクピットに招待される。
これは嬉しいサービスではないか!!
まずは、まだ景色が楽しめていない右座席の乗客から・・・。
旋回して右座席にヒマラヤが見える時には、左座席の乗客がコクピットに行くという順番になるのだろう。
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合理的で良い配慮だが、旋回中にコクピットに居合わせることが出来る乗客は
飛び切りラッキーではないか!
と、考えていたら、その飛び切りラッキーな乗客は私になった。
この写真は、私の順番になり、スチュワーデスに案内されてコクピットに行った際に、
機長が私に「旋回するから、ちょっと待って」と断って、機体を大きく傾けた瞬間である。 |
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天空に白く聳えるこの山に足で登頂する人類ってすごいなぁ~と、改めて感心。
8850mの高みに到達するには、高い身体能力も必要だろうが、より重要なのは
高い知力だろう。
鳥とは違い、重力に拘束される生命体でサガルマータ山頂に到達できる動物は
人間しかいないのだ。 |
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空からのヒマラヤ山脈を満喫した後は、一旦ホテルに戻った。
空港駐車場に向かうと、私のフライトの間、車で待機していてくれた運転手が笑顔で出迎えてくれたのだが、彼もまた会話が成り立つレベルの日本語を操る。
英語の発音も正確だし、すごいなぁとも思うが、仕事で母国語の他に数ヶ国語を必要とするというのは、厳しいことだとも思う。
彼が言うには、昨今はガソリン価格の高騰に歯止めがかからず、それどころか極めて入手しにくくなっているので、高騰した価格の二倍くらいの金額を払って、
ようやく確保しているとのことだ。(それですら、一昨日になってようやく手に入ったとか。。。)
空港から市内へのタクシー料金がガイドブックの1.7倍だったことを告げると、「そうでしょう」と頷く。
今はメーターで走ってくれるタクシーは無く、もしあるとしたら、その車はメーターを改造しているに違いないとも付け加える。
ノーガバメントだと嘆くので、「税金はどうなっているの?」と訊ねると、それはしっかりと取られているらしい。
中心部から各地に行くときのタクシー代の相場を聞いてみたが、概ね、[歩き方08]の2倍程度の金額を言っていた。
([歩き方]は、日本でのガソリン価格が130円くらいの時に刷られている。)
ネパールは今春に王が退位して、今は無政府状態にあるとのことだが、この二日後の8月15日に新大統領が(驚くべき事にマオイストから)選出されたので、
今後、少しはマシになることも期待できる。(のかな?) |
4.ボダナート |
次はボダナートを襲撃すべく、ホテルで軽装に着替えてから、再びラニポカリの北側にある路線バス乗り場に向かう。
14~5歳の若い車掌がバスの行き先を早口で連呼しているがジャパニーズには聞き取れない。
「ボダナート?」とバスを指差してたずねると、二台目のバスの車掌が「早く乗れ」という風に招き入れる。しかしすぐには発車しない。
『これ以上は乗れないよ~』とため息が出るくらいに詰まってから、さらに3人くらいを押し込んで出発する。
頻繁に乗降があるので、落ち着かないが気は紛れる。非常に短い区間だけ乗り込んでくる人もいるが、料金に差はつけているのだろうか?
インドだと男女が車内で密着することを嫌う傾向にあったが、ここではそんなことは気にせず(できもせず)、引っ付きもっつきバスに揺られていく。
やがてバスが上り坂にかかり、小さなストゥーパーが見えてきたので私が落ち着かないそぶりを見せると、斜め前のビジネスマン風のオジサンが英語で、
「ボダナートじゃないよ」と教えてくれる。 「ボダナートはもっと大きい」とも。
そこからさらに数分で、今度は車掌が私にボダナートだと告げてくれてバスを降りる。
料金は18Rs? 降りる際に20Rs札を払ったら、価値が良く判らない硬貨が2枚戻ってきた。路線バスには概ね現地人しか乗っていない。
ボダナートの入り口では、入ってすぐのところで外国人は100Rsを支払いチケットを受け取る。 |
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中に入ると真正面にネパール最大の仏教ストゥーパーが鎮座しており、
周囲にはストゥーパーを取り巻く様に小さな町が形成されていて、
店がドーナツ状に軒を連ねている。
ここはチベット仏教の寺なので、五体倒地で回る巡礼者が一人、ストゥーパーに祈る巡礼者が数名。
常に右手にストゥーパーを見ながら時計回りに参拝するのがここの流儀であるので、
それに従って左手の店を順番に冷やかして回る。 |
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店は土産物屋からレストラン、礼拝小物の取扱店などが混在しており、
土産物屋にしても、外国人観光客目当ての一般受けする小物(Tシャツやステッカーなど)の店から、少し手の込んだ手工業製品専門店、
より宗教色の強い参拝記念品を扱う店などが入り混じっている。
私は、ほどほどに手の込んだ工芸品を飾っている店で、片言のネパール語?で銀製品土産をゲットした。
そこそこに値引いたつもりだが、もっと時間をかければ、半額くらいには成るのかもしれない。。。
店に混ざって時折、礼拝が出来る寺が扉を開けており、敬虔なチベット仏教徒や、東洋文化に染まってみたい風の白人が参拝をしている。
(ダライラマの肖像が祭壇の中央に飾られている)
ストゥーパー側も、数段上までは上れるようになっており、1~2ヶ所は参拝できるようになっていて、マニ車も置かれている。
これを一周回せば、お経を一回となえたのと同じ御利益があるというのは、別の機会に耳にした怪しげな知識。 |
5.カトマンドゥ盆地に徒歩で帰還 |
小一時間ほどボダナートに染まったので、一旦、カトマンドゥ中心部に戻るべく寺院から脱出。
外に出るとすぐにタクシーが声をかけてきたが、丁重に逸らしてバスを探す。
元来なら、タクシーを逸らす場合はもっと軽く扱うのだが、陰でガソリン入手の戦いをしているのだと思うと、少し丁寧にならざるを得ない。
バスを探すといってもラニポカリで乗車した時の様な始発ではないので、これがナカナカ難しい。
ドアから身を乗り出し、大声で行き先を連呼している車掌に、「カトマンドゥ?」と聞いても、期待する反応が戻ってこない。
多分、もっと細かく通りの名前を言ってあげないといけないのか、カトゥマンドゥ行きはことごとく、すでに満員であり、ドアから人があふれ出しているバスは
私も敬遠していることから、発見できないのかもしれない。 いまさらタクシーに頼るのもしゃくなので、徒歩で中心部に戻る事にする。
盆地の中に下っていくだけだし、距離も4km弱しかないし、地図も傘も持っているので問題は無い。
歩き出してすぐに、赤ん坊を抱いた母親らしき人に英語で、「この子のミルクをスーパーマーケットに買いに行くのだけど、お金が無いの」と呼び止められる。
これはインドでも出会ったし、そしてこの後にも遭遇する。英語がほとんど同じであるし、言っている事に違和感がある。
(お金を持たずにスーパーマーケットに向かって、その途中でたまたま遭遇した外国人に頼ること自体が不自然である)
そりゃ飛行機に乗って他所の国に遊びに来る人は、余分なお金も多少は持っているに違いないが、みさかいなくタカれば良いというものでもない。
私は半年に一度国境なき医師団に、個人レベルでは少し多いくらいの寄付をしているが、その他の街頭募金やバクシーシには滅多なことでは応えない。
今回もスルーした。
と、次に若い男が擦り寄ってきて、「あなたは良い靴を履いている」「私のと交換しないか?」(←主語が良く判らなかったが、おそらくは靴vs靴の交換だろう)と
迫ってくる。 歩くとこんな苦労があるかぁ・・・と思ったが、ボダナートの入り口を少し離れると人通りも減り、気分良く異邦人気分を楽しめた。
途中から雨が降ってきたが、気になるほどでもない。前方を、おばあさんに連れられた女の子が一所懸命に歩いている。
この二人に限らず、雨が降っていても傘を差していない人が多い。貧しくて傘がないというのではなく、濡れることをさほど気にしていない様に見て取れる。
一時間強で王宮跡に生還し、タメル地区を物色して、昼食として4EVERというレストランでモモ(とネパール風カレー)を食する。
ここのモモはチベット風で餃子型だったが、ネワール料理本来のモモはシュウマイ型であるらしい。
店名の4EVERは、もちろんForeverにかけているのだろうが、こういった言葉遊びが流行っているのかな?
別の場所では道案内の看板に、「U.R.HERE」と書かれていた。 |
6.スワヤンブナート |
ここでエネルギーを充填し、タメルから徒歩30分見当のスワヤンブナートに向かう。
スワヤンブナートは、規模はボダナートには敵わないが、カトマンドゥ盆地最古のストゥーパーであるとも聞く。
川を渡って少し歩くと、目の前の丘の上から仏陀の目が見下ろしているのに気付く。
ほどなく東参道の上り口。ここからは延々と階段が続き、上部に行くほど傾斜がきつくなってくる。
「あと10mで頂上だ!」と思ったら、不意に呼び止められる。
先ほどもあった、[押し売り「あなたに幸運を」]かと思って無視したら、なおも強く呼びかける。
振り返ると、そこは外国人の入場料徴収場所になっていた。 |
山頂の展望台からは、カトマンドゥ盆地が一望できる。
なんだか、高尾山の展望台から八王子市街を眺めるのと
感覚が似ているかもしれない。
乾季だと、ここからもヒマラヤ山脈が遠望できるのだろう。
ここにも土産物屋があったが、目立つのはサルである。
[歩き方]でも、
「ここで物を食べようとすると襲われますよ」と警告しているが、
確かに、こちらの隙を伺っているようでもある。 |
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ここでも小一時間ほどのんびりしたが夕日が望める天気でもないので、登ってきた東参道の階段を下り、タメルの西端のチェトラパティチョークから
ダルバール広場を目指した。
カトマンドゥ盆地の地理はわかりやすく、細い路地にさえ迷い込まなければ、新参者でも地図をチラ見する程度で歩き回ることが出来そうである。
この広場の周りにも、興味深い店が多い。
今日も適当にフルーツを確保してホテルに帰還。
毎日のようにスコールがあるが、最近は日本でも同じ様な気候になってきているので違和感が無い。 日本の気候は着実に熱帯化しつつあると思う。 |