電波型式の新表示


2004(平成16)年1月13日より、アマチュア局も電波型式が新表示になります。この電波型式の新表示は、WARC79においてその表示方法が提案され、日本でも1983(昭和58)年から一般無線局に採用されていたもので、下記のように3桁の記号で表示されます。アマチュア局については局数が多いことから新表示は適用せず旧表示のまま放置されてきました。しかしコンピュータの普及によるデジタル通信等の発達で旧表示では対応できなくなってきたことから、このたび20年遅れでアマチュア局についても新表示にすることになりました。


(例)抑圧搬送波SSBの場合
主搬送波の
変調の型式
主搬送波を
変調する信
号の性質
伝送情報の
型式


新しい電波型式の構成
第1文字 - 第2文字 - 第3文字
主搬送波の変調の型式 主搬送波を変調する信号の性質 伝送情報の型式
分類 記号 分類 記号 分類 記号
無変調 変調信号なし 無情報
振幅変調 両側波帯 副搬送波を利用しないデジタル
信号の単一チャネル
電信(聴覚受信)
単側波帯 全搬送波 電信(自動受信)
低減搬送波 副搬送波を利用するデジタル
信号の単一チャネル
ファクシミリ
抑圧搬送波 データ伝送・遠隔
測定・遠隔指令
独立側波帯 アナログ信号の単一チャネル
残留側波帯 デジタル信号の2以上のチャネル 電話(音響)
角度変調 周波数 アナログ信号の2以上のチャネル テレビジョン(映像)
位相 1以上のアナログ信号のチャネル
と1以上のデジタル信号のチャネル
の複合方式
N〜Fの組合せ
振幅変調及び角度変調であって同時に
又は一定の順序で変調するもの
その他
上記に該当しないもので、振幅、角度
又はパルスのうち2以上を組み合わせ
て、同時に、又は、一定の順での変調



 
一括記載コード

今回、アマチュア局については、免許状表記の簡素化を図るため、多数の電波型式を一括して記載できる電波型式の「一括記載コード」を導入しています。これは通常発射可能な変調方式、伝送内容の電波型式のグループを操作資格や発射周波数帯別にまとめた3桁の記号で表したものです。

 
注意: 一括記載コードは電波型式そのものを示すものではなく、あくまでも免許状表記を簡素化するためのものです。この一括記載表記は日本独自のもので国際的には通用しません。よって業務日誌やQSLカードへは一括記載コードを記入しないよう注意しましょう。
なお、この一括記載コードは、工事設計書には適用されません。工事設計書への記載や通信設定、QSLなどの運用面では、一括記載コードではなく上記の新表示で扱いましょう。

 
申請するアマチュア無線局側は、工事設計書には新しい表示方法の電波型式で記載しますが、交付される無線局免許状には、電波の型式をグループにまとめて記号を割り当て、そのグループに含まれる電波の型式が一つでもあれば、割り当てた略記号で記載(指定)されるようになります。
アマチュア局側が申請書類の「希望する周波数の範囲,空中線電力,電波の型式」の電波の型式欄を記入するときも、新しい電波の型式ではなく、この略記号を使用することになります。この、新旧電波の型式と略記号(一括記載コード)の関係は、下記のとおりです。
一括記載コードの例
当該型式の電波
を発射可能な無
線従事者資格の
最下級ランク
主要周波数帯
(HF、VHF、SHF)
の頭文字
一括表示される
電波の型式の
分類種別


一括記載コードと電波型式との関係
- 2HC 2HA 3HD 4HD 3HA 4HA 3VA 3VF 4VA 4VF 3SA 3SF 4SA 4SF
旧表示 新表示 1.9
MHz帯
10
MH帯
14
MHz帯
3.8
MH帯
3.5MHz帯 28MHz帯 1.2GHz帯
7MHz帯 52MHz帯 2.4GHz帯
18MHz帯 - 145MHz帯 5.7GHz帯
21MHz帯 435MHz帯 10.1GHz帯
24MHz帯   10.4GHz帯
A1 A1A                
A2 A2A                          
A2B                          
A2D                          
A3 A3E            
A3A R3E            
A3H H3E            
A3J J3E            
A4 A3C            
A5 A3F                          
A5C C3F                          
A5J J3F            
A9 A8W                          
A9C C8W                          
F1 F1B              
F1D        
G1B              
G1D              
F2 F2A                      
F2B                      
F2D              
F3 F1E              
G1E                      
F3E              
F4 F3C            
D3C            
F5 F3F            
F9 F8W                      
F7D                          
G7D                          
- D7D                          
(注)電波型式のうち伝送情報の型式の記号がBとなるものは、自動受信を目的とする電信のうちモールス符号によるものを除く




 

電波型式の表示の新旧と変調・通信方式の対比
旧表示 新表示 変調方式・通信方式の詳細
A1 A1A  キャリアの断続によるモールス符号の送信
A2 A2A  AM, DSB, トーン信号を使用してモールス符号を送信
A2B  AM, DSB, トーン信号を使用(副搬送波)を使用するRTTYまたはPSK31
A2D  AM, DSB, トーン信号を使用(副搬送波FSK, 副搬送波PSK)を使用するパケット通信
A3 A3E  AM, DSBの電話
A3A R3E  AM, 低減搬送波、SSBの電話
A3H H3E  AM, 全搬送波、SSBの電話
A3J J3E  AM, 抑圧搬送波、SSBの電話(一般的なSSB)
A4 A3C  AMのアナログFAX
A5 A3F  AM, DSBのATV(映像のみ)
A5C C3F  AM, VSBのATV(映像のみ)
A5J J3F  静止画TV (副搬送波AM-PM、主搬送波SSB)
A9 A3E  抑圧搬送波DSBの電話
A8W  AM, DSBのATV (副搬送波で音声を同時に送出)
A9C C8W  AM, VSBのATV (副搬送波で音声を同時に送出)
D3C  FAX (副搬送波AM-PM-VSB、主搬送波SSB)
F1 F1B  RTTY (FSK, 副搬送波FSK, 主搬送波,SSB)
F1D  パケット (FSK, 副搬送波FSK, 主搬送波 SSB)
G1B  PSK31(副搬送波PSK, 主搬送波 SSB)
G1D  パケット (PSK, 副搬送波PSK, 主搬送波 SSB)
F2 F2A  FM, トーン信号を使用してモールス符号を送信
F2B  FM, トーン信号 (副搬送波) を使用する RTTY または PSK31
F2D  FM, トーン信号 (副搬送波FSK、副搬送波PSK) を使用するパケット通信
F3 F3E  アナログ音声
F1E  デジタル化音声、FSKでの送信
G1E  デジタル化音声、PSKでの送信
F4 F3C  FAX (副搬送波 FM, 主搬送波は SSB, FM どちらでも)
F5 F3F  SSTV (副搬送波 FM, 主搬送波は SSB, FM どちらでも)
 FM のATV (映像のみ)
F9 F3C  FAX (副搬送波AM-PM-VSB、主搬送波 FM)
F8W  FM のATV (副搬送波で音声を同時に送出)
● これまでは、周波数変調、位相変調を区別していないところがあり、FSKもPSKも同じくF1としていましたが、FSKはF1、PSKはG1と区別するようになりました。
● モールス符号による通信は、受信側で符号をコンピュータ等により解析して表示、印字することも可能ですが、伝送情報の型式の分類では自動受信とは考えないことになっています。したがって、モールス符号の送信を自動的に、また高速でおこなう場合も、第3文字目は “A” とします。
● この表に掲げたものは一例であり、これがすべてではありません。
※ 「無線局事項書及び工事設計書」 の「工事設計」 の 「発射可能な電波の型式,周波数の範囲」 の欄には、この新表示記号で記載します。

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