奥多摩・南秋川矢沢 熊倉沢左俣東沢〜西沢下降


2008.9.10 佐々木(単独)


 ゲリラ豪雨で荒れまくったこの夏の天候もようやく落ち着き、絶好の沢日和となった。私的事情で、朝8時に出かけて夕方7時前に帰宅できる近郊の沢は? それは奥多摩・南秋川流域である。小さな沢ゆえ一本だけではさすがに物足りない。そこで隣の沢を下降することで、ささやかな充実感を味わえる。14年前の夏には「来るんじゃなかった」と捨てぜりふを吐いたものだが、その後なぜか5回もこの流域に通ってしまうほど、ヨレヨレオジサンのためのワンダーランドと化している。

9月10日(晴れ)
 武蔵五日市駅前9時50分発の数馬行きバスは10時30分に南郷に着く。一段下りた所の食料雑貨屋のブチ猫は、山里の猫にしては警戒心が強く、デジカメを構えると逃げ出してしまう(逃げられるというのは、こちらの修行が足りないことでもあるが)。林道歩きをゆっくり40分で熊倉沢左俣二俣。手前の木橋は新しくなっており、イヤな予感がする。上部で伐採が入っていると倒木だらけか。いや、この一帯は東京都自然保護地域の特別区域だし、ひどいことはなかろうと疑心暗鬼。

 左俣東沢は過去2回(1994年8月、2003年7月)とも下降しており、点在する滝はどうということもないのだが、少しとまどいを感じる。3年のブランクですっかり初心者モードだ。外傾したスタンスに体重を乗せきれない自信のなさ。二段10m滝では下段を左から、上段は右から越える。5m滝では左からシャワーを浴びる。トイ状ナメに続く4m滝は階段状でやさしい。

 奥の二俣で右に入る。やがて水は消えるが、倒木はなくすっきりしている。詰めに近くなると岩盤が露出した溝状の急登となる。このところの大雨でえぐられたようだ。藪こぎも全くなく稜線へ出て、5分とかからず熊倉山頂上。休んでいると突然、トレイルランナーが現れ、浅間峠方面に消える。長谷川カップのトレーニングか。

 5分下った道祖神(明治37年)と山之神(明治39年建立)の石碑が西沢下降点の目印。急斜面だが、あっさりと沢床におりる。5m滝は左岸から、次の5m滝も左岸から巻いて下る。それぞれ岩が乗っかったような見た目の悪い滝だが、登った記憶は全くない。4mCS滝は左岸凹角のクライムダウンを試みたが、ふんぎりがつかず戻る。巻いて下りるのもずるずるしそう。せっかく30mロープを持参したので、左岸の木を支点に肩がらみの懸垂下降で下りる。

 左岸から1対1で枝沢が入るまでは伏流の荒れ沢となっている。再び水流が現れ、6m、3mの二段ナメ滝(写真)を下ると二俣は近い。手前の木橋から左岸の道を二俣下の橋に出て終了。

 西沢はガレでかなりのナメが埋まってしまったようで、東沢を登りにとって正解だった。毎年の豪雨で沢の様子はどんどん変化していくのだろう。

 帰途、雑貨屋の猫がまたいた。今度はあまり近づかないで数枚。大丈夫かと一歩踏み出したら、やっぱり逃げた。武蔵五日市駅前にバスが着くとき、ふと右手を見やると「カフェ・やまねこ亭」が目に入る。次に来るときは立ち寄ってみよう。

 【コースタイム】(9/10)南郷10:30 熊倉沢左俣二俣11:00〜11:30 上部二俣12:15 水消える12:20〜30 稜線13:12 熊倉山13:17〜20 下降点13:25 4mCS滝下14:15 二俣14:40 東沢出合下15:00〜20 南郷15:55


HOME1970年代の沢1980年代の沢1990年代の沢2000年代の沢