丹沢・金目川春岳沢


2003.8.24 佐々木(単独)


8月24日(晴れ)
 「春岳沢は夏向きの沢」とガイドブックに書いてあるが、本当のところどうなのだろう。昔登ったお隣の大山川は水チョボチョボの沢だったから、半信半疑ででかけてみた。

 秦野から蓑毛へのバスに乗るのは上京したての頃、表尾根を登りに来て以来で30年ぶりだろうか。懐かしいというより全く覚えがない。

 8月上旬以来の炎天で絶好の沢日和。ヤビツ峠への道を春岳沢に沿って行くのだが、豊富な水量は本当だった。このところ雨続きだったことを割り引いても、意外に感じるほどの流れである。

春岳沢の滝 ヤビツ峠への道が春岳沢を渡るところで、さっさと沢に入ってしまおうかとも迷う。すぐ堰堤があり、続いて金目ダムもあるはずなので、資料で確認していると、休憩中のおじさんが「春岳沢かい。この道の先に髭僧ノ滝への道標があるからそっちから入るんだよ」と親切に教えてくれる。その通り道標に従って髭僧ノ滝に下りる。通常はこの滝の上まで進んで沢に入るらしい。

 髭僧ノ滝は春岳沢最大の10m滝だが、右の乾いたリッジを快適に登って落ち口にトラバース。すぐ河原になっていて数人が沢仕度をしていた。小さな堰堤を左のザレから超えようとしたら、パン!と手を叩いてしきりに右だと指図する人がいる。さっきのおじさんだった。その気迫に押されて、すごすご戻って右の踏み跡から巻き直す。すぐ後ろにいた別のおじさんなどは、手を叩く音にびっくりしてコケてズブ濡れになっていた。左右どちらでも同じで、安易に従った自分が腹だたしい。チクショー。

 すぐ上でモミジ沢が右岸から合流しており、堰堤を左から越えるとそのままモミジ沢に引き込まれる恐れがあるからという、おじさんの余計なお世話だったらしい。内心、間違うわけないじゃんと思うが、あのおじさんは毎週のようにこの沢に来て、他人に指図するのが趣味なんだろうな。名づけて「春岳おじさん」。よく岩ゲレンデには、そこの主みたいな人がいるけど、こんなおせっかいじゃない。

 沢はいきなり小滝のオンパレード。小滝の階段ともいうべきで、水が踊り、はねて、躍動感に満ちている(写真)。緑に被われて、ただでさえ涼しいのに、シャワーを浴びるとブルルとくるほど冷たい。これはきっと源頭には湧水があるからなのだろう。確かに夏向きの沢だ。涼むだけなら小川谷廊下などよりお手軽でよろしい感じ。

 右から小堰堤のある小沢を入れると陽に輝くナメ状の滝。なおも小滝は続いて三俣状になると、その先は傾斜が増している。真ん中は涸れ沢、本流は左俣で二条の滝が落ちている。登っていくと、二条と思っていたのは間違いで、左側の水流は斜面からの湧水だった。ボロボロで落石に注意して越えると、水は急激に減って、ルンゼの中に突然消えてしまった。急なルンゼ状を息を切らして登っていく。まだ稜線まではだいぶありそうで早々にヤブ漕ぎになると大変そう。CS涸滝を右から越えてさらに50mくらい登ってから、右の小尾根に取り付く。単独の人がさらに急なルンゼをそのまま詰めていった。

 小尾根に上がると踏み跡があり、大岩を二つ右から巻く。踏み跡が不明瞭となっていよいよヤブ突入かなと思っていたら、ちょうどいい具合に仕事道が横切っている。杭が打ってあり、水源巡視道らしく左に下っていく。

 あまり歩かれてはいないようだが、春岳沢右岸尾根の鹿柵に沿って下り、春岳沢に近づいたところでガレ沢を降りると、ちょうど最初の二俣(堰堤のある小沢)だった。水と戯れながら下降して涼味を二度楽しんだ。

 計画では大山川下降だったが、稜線に出て暑い思いをせずにすんだ。

コースタイム】 (8/24)蓑毛9:05 髭僧ノ滝9:40〜55 三俣10:45 左岸の小尾根取付点11:10〜20 水源巡視道11:35 春岳沢12:05〜15 出合12:40〜50 蓑毛13:15


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