阿弥陀二十五菩薩来迎像

[amida 25 bosatsu raigou statues]

極楽往生を願う者の臨終に際し、阿弥陀如来や諸菩薩が迎えにきて浄土に導いて行くさまは、絵画化されて阿弥陀如来迎図などに表されているが、そうしたさまを彫刻群像でつくりあげた珍しい遺例。阿弥陀如来は手に来迎印を結び、後光を表す放射光を負い、蓮華座上に立つ。二十五菩薩は、いずれも円光背を負い、観音菩薩が手に往生者の魂を乗せる蓮台を捧げ、勢至菩薩が合掌するほか、楽器や幡蓋などを執り、にぎやかに如来に従うさまを、動きのある姿態で表現している。

大部分の菩薩像は漆箔仕上げであるが、頭をまるめて尼丘形に表された菩薩像は彩色仕上げとしている。衣紋線などに形式化された硬さがあるが、小像ながら変化に富んだ群像表現は見事であり、光背や宝冠、持物、装身具などの欠失も少なく保存状態も良い。

なお、阿弥陀如来像と二十五菩薩は、一具ではなく、阿弥陀如来像が鎌倉時代末期の造像であろう。後補の漆箔の下には当初の切金紋様が残っている。

「NHK衛星放送 平成古寺巡礼展ー奈良・大和路に秘められた仏像を訪ねて」
©1998 NHK大阪放送局、NHKきんきメディアプラン

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