はじめに
せっかくカツオ(マグロ類含む)を釣っても、処理が悪いために味を半減させてしまっている人が多い。
これではもったいないので、『モチガツオ』状態にさせるための方法を記述する。
モチガツオにこだわらない人でも、味は格段に良くなるので、覚えておくとよいだろう。
※モチガツオ(もっちぃ)
そういった種類のカツオではなく、その要因を持った個体を適性処理した時に初めて、“もちもちとした”食感になる。
脂のない、痩せたカツオは処理が良くても『モチ』になりにくい。
大根のような食感で、通称『ゴジガツオ(ゴンジー)』と呼ばれる。
モチガツオは特に遠州では珍重されるが、「マズイ!」「こんなん食えたもんじゃねえ!」とされる地域もある。
締め方
カツオをシメるときは、釣ったらすぐ後頭部を硬いところでぶったたいて即死させる。
そしてすぐさまエラを引っこ抜いて血抜き。
エラの付け根を切断してもよい。
2キロ以下ならサバ折りのほうが簡単、確実。
ワタやエラを全部取れば、さらにおいしくなる。
(ワタを抜くのは後からでも問題ないので、すぐに2匹目に向けてキャスト。)
またフックを外すのに手間取って、船ベリでバタバタさせても味が落ちる。
その上魚体にキズまで付くので、皮付きで食べたい人は要注意。
できる限り、下には落とさないこと。
食べることだけを考えた手順;
1.フッキングしたら強引に寄せる。(短時間ほどよろしい)
2.タモは使わずゴボウ抜き。
3.魚を絶対に下に落とさないように注意し、エラブタを背側から押さえるようにして掴む。(ここを掴むとおとなしくなる)
4.フックを外す。
5.人さし指と中指の間で尻尾の付け根をはさみ、魚を振って後頭部を叩いて即死させ、エラの付け根を切るか引っこ抜く。
または 後頭部を掴み、反対の手で尻尾を掴んで、テコの原理でサバ折り。
6.水を張ったバケツやタルの中にぶちこむ。
7.次を目指して、即キャスト。
2〜6までは、5秒以内でできれば理想的。
よく後頭部を叩くだけの人がいるが、それだけでは血は抜けない。
ただし職漁では、首を折ると商品価値が低くなるため、叩くだけ。
また死んでから血抜きをする人、急所でもない頭の後ろにナイフを入れる人がいるが、無意味。
ポイントは、即死、血抜き、短時間、落下厳禁、水に漬ける。
保存方法。
クーラーは必ず氷水とし、魚体全部が浸るように。
氷は破片が少量浮いている程度で。
氷が多すぎると温度が下がり過ぎ、鮮度は保てるが『モチ』状態にはならない。
さらに氷で魚が擦れて、かなり傷が付き、味も落ちる。
翌日も刺身で食べたい場合は、氷は多くてもよい。
できれば大きなビニール袋に魚を入れるか、スポンジかお風呂マットのようなものをクーラーのサイズに切って内ブタにすれば、傷はかなり防げる。
新たに魚を入れる時は、その分氷を追加。
また、氷が少ないだけに解けるのも早いので、1時間に1回程度はチェックする。
安定して温度を保つため、できればクーラーは何人かで共同使用が望ましい。
魚が入り切らなくなったら、個人毎に移すという形で。
この時、冷えた魚体に暖かい海水をかけると一発で傷むので、あらかじめ氷水を作っておいて、その中に入れる。
持ち帰り
氷水は血で赤くなっているが、そのまま氷を追加しておくだけでよい。
車に水がこぼれるのがいやなら、ビニール袋に魚を包んでクーラーに入れ、その上に魚が隠れる程度氷をかぶせる。