いずれにしろ良かれと思ってしたコトでしょうが、
結果的に、不調の原因となってしまったお話です。
冬の寒い時期は、とかくバイクの利用頻度が少なくなりがちです。 バイクの状態を維持する目的で、時折エンジンを始動させて始動具合をチェックしている方も多いのではないでしょうか? でもそこに、ちょっとした落とし穴が潜んでいるかもしれません。 2例ほどご紹介してみます。 |
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〜症例1.バッテリーのトラブル〜 |
[訴え] セルの回りが悪く、ついにエンジンがかからなくなった。 (セル回しすぎ?) |
[作業前の聞き取り調査] 数ヶ月前に他店でバッテリーを交換。 事情により最近は乗る頻度が少なく、月に数回程度。 (チョト少ないな) セルの回りは元気がなかったが一週間前はエンジンがかかっていた。 |
[点検1] バッテリはまともなメーカー品。 バッテリ開放電圧は約12V未満。 (単純放電か?) [点検2] 作業用の良品バッテリに換えてエンジン始動後の充電状態点検。 アイドル時12.3〜12.6V、エンジン回転5000rpmで14.4V。 2000rpm超えると13Vを超えて充電を開始。 (ま、一般的な範囲) |
[再度聞き取り] バッテリ交換時に店員から教えてもらったらしい 「乗る頻度が少ないなら、時々エンジンだけでもかけたほうがいいですよ」 「で、暫くかけておいておけば充電もされるのでおすすめしますよ」 (・・・ま、一般論はそうだな。 ん、いや、まてまて。) で、その通りに実行していた。 (これだ、これ) |
[考察] この車両はエンジンをかけているだけではろくに充電されてないばかりか、ヘッドライトが常時点灯なので逆に電気の持ち出しがある状態でした。 そもそも、前回作業をした店のアドバイスが機種に即した的確なアドバイスではなかったことが原因。交換時に充電状態をチェックしていれば判ったことかと。 まぁ贔屓目に見てもしちゃんとチェックしていたとしても、ホンダのキャブ車は冷間始動するとオートチョークが効いてエンジン回転がかなり高く上がるので、充電状態チェック結果を見誤ったのではないでしょうかね。 (注:最近の機種はアイドル状態でも充分に充電してます) |
〜症例2.エンジンが始動しなくなった〜 |
[訴え] エンジンが全くかかる気配がない。 (あー、あれだろうか?) |
[作業前の聞き取り調査] 新車から約2年半経過。オイル交換は定期的に実施。 以前は通勤に使用していたが、最近は買い物に使用する程度。 数日前はいたって普通にかかった。 (あー、やっぱりあれか?) |
[点検1] 4スト原付スクーターにたまに見受けられる症状。 まずエンジンコンプレションを測定。約14MPa (お、びみょー。やっぱりあれだろ) ちなみにメーカー推奨値は16MPa〜20MPa。 [点検2] 作業用の良品バッテリに換えてエンジン始動後の充電状態点検。 アイドル時12.3〜12.6V、エンジン回転5000rpmで14.4V。 2000rpm超えると13Vを超えて充電を開始。 (ま、一般的な範囲) |
[再度聞き取り] 最近はあまりに寒くて殆ど使っていなかったが、エンジンがかからなくなると嫌なので、時折エンジン始動だけはしていた。 (そうだよね。 ん? 始動だけ?) 最初: エンジンかける>かかった>安心>とめる。 数日後: エンジンかける>かかった>安心安心>とめる。 数日後: エンジンかける>かかったかかった>安心>とめる。(これだな) ・・・(続く)・・・ 数日後: エンジンかける>かからない>HELP の構図。 |
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[考察] エンジン「かけて止める」の繰り返しがかえって良くなかったようです。エンジン内に発生したカーボンの堆積・バルブへのカーボン噛み込みが始動困難の原因です。 一般に冷間時のエンジンには通常よりも多くのガソリンが必要とされます。 キャブ車のオートチョークではおもむろにエンジン回転が上がるので判りやすいですが、コンピュータが適正燃料を調整するFI車でも極端なアイドルアップをしないまでも多量のガソリンを送り込んでます。なお且つエンジン自体の温度もなかなか上がらないので燃焼自体も促進されにくいので、エンジンを始動してあまり時間をおかずに止めるのを繰り返すとカーボンが発生しやすい状態になってしまいます。 なおいったん症状が出たバイクは再現しがちです。 対策をお考えの場合は・・・。 店にいいものがありますので。。。 |