ピッキングフォーム

 ギターを構える位置については・・・高すぎず、低すぎずといったところで、基本スタイルをしっかり守ることが重要である。70年代に流行ったジミーペイジのような低い位置では絶対にRB節のピッキング再現は不可能である。右腕の内角は95°直角強程度の位置がRB風、かつ、最適なピッキングポジションであろう。低い構えは70年代はクールと捉えられていたが、弾きずらい上ヘタレな風采だと当時も思っていたので、苦笑の的でしかなかった。ブラナイ(BN)以降は更に10センチ程度、ギターの位置は上がり、右腕の角度は85°直角弱といったところか。2016年6月に行われたRainbowの公演でも同様の位置である。故バタヤン程ではないけいけれどもね。

                    
   

 ピッキングフォームについては、通常じゃんけんのグーを軽く握った状態をとっている。が、速弾きやトレモロ等のときはピックを握らない残りの3本の指については開き気味、もしくは伸ばした状態となることが多いようだ。下図最右翼のフルピッキング画像に関しては、恐らく堅固なべっ甲による弦との反作用によるピックの落下を予防すべく、右手人差し指の補助として中指を添える結果、中指だけ折れ曲がるフォームとなるのであろう。べっ甲でカッティングを演ってみるといい。かなりピックへの衝撃が強く、生半可な握りだとピック落下の憂き目に逢う。その上実際プレイし続けた経験から付加するならブリッジ側でのピッキング時、トレモロアームの取り付け部からアームの出っ張りが邪魔になり、そのせいで人差し指親指以外を伸ばさざるを得ないとの物理的な観点からの心象を実務者として述べておきたい。

    
 
 またピッキングは通常センターピックアップ部分あたりで行っているが、極端にフロント側で行いピッキングトーンを変化させたり、トレモロピッキングあたりはブリッジ側に移動させたりする。まれにハイボジションフィンガーボード付近で行う場合もある。過去にセンターピックアップがピッキングの邪魔だということで、ピックガードと同等の位置まで下げている旨インタビューに答えていたが、ネックが薄かったせいもあるが、80's年代にメインとしていたストラトのフロントもかなり低く下げている。つまり、弦やブリッジに右手を固定したピッキングだと不可能である。ピックを持っていない右手の中・薬・小指の先はピックガードに置くこともなければ、触れることすらほとんどない。
 ピックガードに指を置いてピックを持つ親指・人差し指の指先だけでクネクネと弾くスタイルでRB風を主張されても視覚的な違和感は大きく、一笑に付さざるを得ない。そもそもそのスタイルではRBらしさの象徴であるシャープかつアタッキーなトーンを得られまい。このことは、冒頭で紹介した教本にも書いてあり、初級レベルだった13歳頃からクセづけていたため、比較的弾きはじめ初期にマスターしてしまった。もっとも現況のフィンガーピッキングにおいてピックガードに置く映像が時に散見されるが、フラットピッキングでは有り得ない・・・・・・・
 実際には多少低音弦部分には触れてしまう感じだが、どっかり固定はしない。右腕部分をストラトのボディに固定し、その先は浮かしてプレイする感じだ。マスターするとハイポジション付近でのピッキングも朝飯前になります。
 BNのアコギフレーズでは、音色を変化させる重要なテクニックに位置付けられ、その使用頻度はストラトの比ではない。

            

 そのアコギのピッキング法は、メインのエレアコ使用時は大半がピックによるピッキングのようで、フィンガーピッキングの曲の場合は、サブのギターに持ち替えることが多い。曲によってはフィンガーピッキングとピックと両方のバージョンがあり、楽曲よりも使用ギターや、本人の気分次第(つまりインプロヴィゼーションだ。)によりピックとフィンガーによるピッキングを使い分けている。Morning StarSpanish NightsQueen For A Day Part2Faerie Queenあたりはフラットピッキングでないと無理であろう。
 21世紀になってからはフィンガーピッキングがメインとなっているようである。

      

 Q:アコースティック・ギターはレコーディングの時には指で弾いていても、ステージではピックを使う時がありますね、7年前よりも指で弾くことが多くなったとはいえ、やはりピックも時々用いていますが・・・・
 RB: 場合によるね。曲のテンポによる、と言おうか。勿論エレクトリック・ギターであればピックを使うけれど、今は基本的にはアコースティックであればステージでも指でプレイすることが多い。但し、曲のテンポにより、アコースティック・ギターでもステージでピックを使う時は確かにあって、そういう曲では事前にかなり練習しなければならない。普段はアコースティック・ギターはピックではプレイしない。だが、ステージでは、テンポの速い曲はピックを使わなければならないことがあるので。そういう時はピックを使ってそのスピードでプレイ出来るように事前にリハーサルをする。いつも指でプレイしているからね。(2004年10月来日時のインタビューより抜粋)

              

  '97年11月2日中野サンプラザBe Mine Tonight(←音源は11/3名古屋をコピー)では、前半のバッキングアルペをフィンガーピッキングで弾く。ピックは冒頭からずっと口にくわえたままだ。ギターソロ直前で本来ならGコードをアルペジってなければならないところを例のごとく2・3秒演奏中断、その間に口からピックを取りソロを開始する。ソロの後は前半と同様のバッキングアルペをそのままピックで忙しく押し通している。

               

 最後に特異なピッキング法について検証してみたい。ピックを握らない残りの右手中・薬・小指の3本を活用したフラメンコ風ピッキングだ。特にBNのアコギ演奏においてたまに飛び出すようだ。’99年SofiaではSpanish Nightのメインフレーズを低音弦でピック弾きしつつ、合間に挿入するF#コードを小・薬・中指の順番に爪の甲部分でフラメンコピッキングしている。ピックでも十分に対応できるが、曲が曲だけに精神的な昂揚から来たものだろう。
 同様に2000年のライブビデオでも下記のとり実施しているが、Spanish Nightsの当該フレーズはピックで済ませていたことからキメ打ちではなく、正しくインプロヴィゼーションの一例に過ぎないことが検証できる。意表をつかれたのは、30年前にWring That Neckで、当時の手癖ラン速弾き独演ソロ中、プレイを一旦ブレイクさせるキッカケのスタッカートコード部分を小・薬・中指フラメンコピッキングにてプレイしていたとは、映像を見るまで予想すらできなかった。