励磁型(電磁型、フィールド型)ダイナミックスピーカー

現在使われているスピーカーの御先祖とも言えるものです。
最近では永久磁石を使ったスピーカーしか見かけませんが、当時は励磁型ダイナミックスピーカー、パーマネント・ダイナミックスピーカーと区別していました。
マグネチックスピーカーより、大きな音が出せ、かつ低音が出るので高級ラジオに使われました。
フィールドコイルに直流を流し、センターポールを電磁石にします。
大型のものは専用電源を持ったものもありますが、ラジオ用ではB電源の平滑用チョークコイルの代わりに使う例が殆どです。
この為電源トランスのB巻線は、フィールドコイルでの電圧降下を見込んで80〜100V高くしてあります。
6インチ半(16cm)のものはフィールドコイルの巻線抵抗は2500オーム程度で、電流は30〜40mA流します。

スピーカーの口径や出力が大きくなると巻線が太くなると抵抗も低くなり、1500オームや1000オームのものがあります。
より強力に励磁するため、電流は60〜130mAと大きくなります。
小型のものは日本では昭和20年代後半、電磁石に代わり永久磁石を使ったパーマネントスピーカーに移行します。
マニアの間では人気があるのですが、壊れると代わりを見つけるのに苦労します。

ダイナミックスピーカーはマグネチックスピーカーと違い、ボイスコイルの巻数は少なく、インピーダンスが数Ω〜数十Ωです。
出力管の負荷として直接接続するのは難しいので殆どの場合 出力トランスでインピーダンス変換をして使います。











ミカサ無線 1952年


パーマネント・ダイナミックスピーカー(未完成)

電磁石の代わりに永久磁石を使ったもので、当時はパーマネント・ダイナミックスピーカーとして区別して呼んでいました。
セットメーカー製ラジオで沢山使われるようになったのは昭和25年頃からです、それまでは励磁型の物が多いです。
最初は16cm口径の物がほとんどでしたが、段々大口径の物も生産されるようになりました。
ボイスコイルは最近では8Ωの物が多いですが、古いものでは1.6Ωとか3.2Ωなど半端なものが有ります。
出力トランスが断線して交換する時、同じ数値の物は入手でき無いことが多いです。
現在入手できる出力トランスの2次側インピーダンスは4Ωか8Ωです。
ボイスコイルのインピーダンスが1.6Ωの場合、出力トランスの4Ω端子に接続した場合、1次側のインピーダンスは表示値の半分以下になります。
インピーダンスの比は巻線比の二乗ですから、トランスの巻線比を考慮した上、応用ください。


永久磁石型のダイナミックスピーカーでは例外的にインピーダンスが数百ΩのOTL(出力トランスレス)用のスピーカーがあります。