(E)(R)実測:マルチエフェクター MS-50G / G3 の周波数特性
久しぶりの更新になります。
ZOOM ギター用マルチエフェクター MS-50G / G3 の周波数特性を実測したので確認してみましょう。
人気、評価ともに高いエフェクターで Uncle-EG も MS-50G を愛用しています。
(E)(R)結果の早わかりまとめ
最初に回路シミュレーション結果から分かる結論をまとめておきます。 詳細を確認したい場合はさらに読み進んでください。
  • エフェクトをすべて OFF にしたときの周波数特性を測定した。
  • MS-50G 周波数特性:10[kHz]以上の高音域で少し周波数特性が低下しているが、 周波数が高く目立たない領域なので、聴覚上はほとんど差が分からないと思える。
  • G3 周波数特性: 周波数特性の低下がほとんど無い。
  • エフェクト OFF での基本周波数特性が優れていて、こういった点もよく考慮されているようだ。
(R)測定条件
測定回路(R)
測定したのは、エフェクトをすべて OFF にしたときの周波数特性です。この測定により エフェクターの基本的な特性が分かります。 (エフェクトを ON した場合には、求める音色に応じて周波数特性が様々に変化するので、 簡単な比較はできません)
使用機器(R)
WaveGene により生成した WAV 波形をエフェクターに入力、 WaveSpectra により周波数特性を分析。
PC:Recorder 前のエフェクター(Digital delay)は、 パソコンのマイク入力インピーダンスの影響を受けないようにするために接続しています。

RM_Freq_Setup2
Link to WaveSpectra / WaveGene
測定条件(R)
周期スイープ波形: 1周期のサンプル数4096
(R)測定結果(周波数特性)
音源と Digital delay の周波数特性
まずは MS-50G / G3 を接続しない状態で、音源とDigital delay の周波数特性を確認しておきましょう。 これが今回使用した測定器の基本特性になります。 後の測定結果は、この特性を差し引いて判断する必要があります。
Ef_DelayOnly_RM
[図] 音源とDigital delay の周波数特性

MS-50G 周波数特性
エフェクトをすべて OFF にしたときの周波数特性です。 また MS-50G のエフェクトである "LinSel" ユニットを OFF設定で経由させています。
(赤)MS-50G を含めた周波数特性
(青)測定器だけの周波数特性

10[kHz]以上の高音域で少し周波数特性が低下していますが、周波数が高く目立たない 領域なので、聴覚上はほとんど差が分からないと思います。

メーカーWebページによると、サンプリング周波数は「44.1kHz」、
A/D 変換および D/A 変換は「24 ビット128 倍オーバーサンプリング」なので、 22kHz付近までの周波数特性に対して問題無いはずです。
なのでこの高音域部分は意図的に取り除いているのかも知れませんが、 G3 ではこのような低下がな無かったのでちょっと謎です(?)
また公開されている周波数特性「20Hz 〜 20kHz +1dB - 3dB(10kΩ負荷時)」と今回の測定結果は 一致していました。

参考
メーカーWebページ
http://www.zoom.co.jp/products/ms-50g/spec/
Ef_MS-50G_RM
[図] MS-50G 周波数特性

G3 周波数特性
エフェクトをすべて OFF にしたときの周波数特性です。
(赤)G3 を含めた周波数特性
(青)測定器だけの周波数特性

G3 による周波数特性の低下は、ほとんど無いことが分かります。
メーカーWebページで公開されている周波数特性「20Hz 〜 20kHz +1dB - 3dB(10kΩ負荷時)」とも 一致しています。

参考
メーカーWebページ
http://www.zoom.co.jp/products/g3/spec/

Ef_G3_RM
[図] G3 周波数特性

まとめ(MS-50G / G3 の周波数特性)
エフェクト OFF での基本周波数特性が優れていて、こういった点もよく考慮されているな、 という印象を持ちました。
Uncle-EG も MS-50G を使用していて、コンパクトで実際に使えるエフェクトが多くあり、 気にいっています。 個人的には一世代前の G7.1ut と比べエフェクターの音質が自然で、進化しているように思います。