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カリジェから、高畑ハイジが借りたもの



 アニメ・高畑ハイジは1970年代に制作されました。

 当時は、外国にいくのも思うようにいかず(円は安く、持ち出し制限がありました)、また海外の情報は非常に限られたものでした。
 ネットのある現状とは、まったく違う環境で、手探りといってもよい時代だったのです。

 高畑ハイジは一年を通して描かれる大河番組でしたが、製作スタッフにも予算にも時間にも余裕がなく、使える資料は乏しく、調査は困難でした。

 そのため、手近なスイスの資料は、もれなく参照され、高畑ハイジにそそぎこまれました。

 世界的画家、アロイス・カリジェの絵本群は、内容もビジュアルも格調高く、すぐれたもので、現地の生の情報が豊富に含まれていました。

 その内容が、高畑ハイジに反映されたのは、当然だったのです。

 どうか、ハイジと共に、以下の作品群を楽しんでください。


1969 マウルスと三びきのヤギ

 やぎ飼いの生活 エピソードがハイジに使われている。
 ふもとの村の様子と朝のヤギの集め方 誘導方法 
 山の牧場のモデリング 
 山の嵐 ヤギのまいご 塩の味の岩 丸太の橋 
 ヤギ小屋の構造 山の上のうしかいトマシュの名前 あらゆる要素が流用されている。


1970 ナシの木とシラカバとメギの木

 野生の小鳥の巣の描写が参考にされている


1971 マウルスとマドライナ

 ロバの背にのって山道をつれられる子供 
 マーモットの登場 
 汽車でやってきた都会のいとこの女の子と山をのぼる 
 女の子は花をつむ 


1965 大雪

 女の子が雪の日モミの木の下に集まった動物たちに干草などのえさをあげる
 女の子の家掃除 
 大雪のなか遭難した人を助けにいき、おぶって帰る男の子
 子供が集まってのそり遊び(行列で、競争ではない)


1971 フルリーナと山の鳥

 女の子が小鳥を助け、育てる
 鷹に襲われるのを女の子が助ける
 鳥が鳴いて女の子を朝おこしてくれる 逃がして野生にかえす 仲間と一緒に飛んでいく鳥


1971 ウルスリの鈴

 夏の間、山小屋でくらす男の子 
 子供によるヤギの乳搾り
 わらのベッド


T.Sakurai 2016/2/8