One Hundred Men and a Girl
Leopold Stokowski

 

  あの "Philadelphia Sound" を作り上げた Leopold Stokowski(Antoni Stanislaw Boleslawowocz Stokowski 1882-1977) に敬意を表して。



Discs and Films


Falla : Orchestral Works 
 米Sony Classical Essential Classics SBK89291(Available on CD, 2000)
 米CBS Masterworks Portrait MPK46449 (C)1990 (CD)
 (1)El amor Brujo(1960), (2)Nights in the gardens of Spain(1961), (3)Three Dances from The Three-Cornerd Hat(1968)

 Leopold Stokowski/The Philadelphia Orchestra(1)
 Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra(2),(3)
 Shirley Verrett(ms)(1), Philippe Entremont(p)(2)

  お盆休みに突入しましたが、皆様如何お過ごしでしょうか?暑い夏は Falla の情熱的なスペインの音楽はどうでしょう・・・ということで、Fallaの音楽を取り上げたいと思います。このCDはなんといっても演奏陣が豪華です。Stokowski,Ormandy,Philadelphia Orchestra,Verret,Entremont と役者が揃っています。私が持っているのは、Masterworks Portrait盤ですが、入手が容易なのはEssential Classics盤で内容は全く同じです。なお、このMasterworks Portrait盤で、表示が MONO/STEREO になっておりますが、録音年代からして monoural ということはあり得ないし聴いた限りは紛れもないステレオなので、単なる表記ミスと思われます。
  さて、まずは Stokowski による「恋は魔術師」を。これは、Stokowski/Philadelphia Orchestra の数少ないステレオ録音になります。オーケストラの色鮮やかなタッチは流石 Stokowski 。速いテンポで進められる「火祭りの踊り」などなかなかのものです。彼の変化に富んだ指揮に破錠無くついていくオーケストラも流石。Verrettの力強い声も雰囲気を良く出しています。Gil. Johnson の切れの良いトランペットが心地良く、熱い夏に一服の清涼剤といったところでしょう。
  お次は、Ormandy/Phladelphia と Entremont による「スペインの庭の夜」を。ormandy/philadelphia は1969年に Rubinstein と RCA に再録音しておりそのLPを私は持っているのですが、まだ封を開けていません。(お恥ずかしい)Rubinstein Collection の方でCD化されていると思いますが、私は残念ながら持っておりません。ということで両者を比較してはいませんが、そのうち聴き較べようかなと思っております。さてこの曲、私は余り馴染みがないのですが、如何にも曲のタイトルに相応しい雰囲気が醸し出された演奏だと思います。これまで知らなかった曲ですが、好きになってしまいそうです。ormandy/philadelphia の演奏は技術的な問題が全くないので、知らない曲の初体験には好適と私は思っています。 Entremont のピアノもオーケストラとピッタリ息のあった見事な演奏を聴かせてくれます。
  最後は、Ormandy/Phladelphia による、「三角帽子」の二部から三つの舞曲を。(これは第2組曲ということになるのかな?)この曲は全編素晴らしい旋律美にに溢れているので、出来れば全曲録音で聞きたかったです。録音がこれだけしかないというのは惜しいことですが、とは言えこれだけでも録音してくれた甲斐はありました。終幕の踊りなど興奮します。「三角帽子」には、Ansermet/Suisse Romande, Dutoit/Montreal の全曲盤の名盤がありますが、さらに一つ名盤が加わりました。(あくまで個人的な話ですが)1979年にMuti/Philadelphia が第1・第2組曲を録音しているので、そちらの方も後ほど聴くことにしましょうか。(2002.8.14)



Anna Moffo & Leopold Stokowski / Chants D'Auvergne
 BMG Japan/RCA BVCC-38012 (C)1998 Produced by Peter Dellheim, recorded 1964
  Canteloube : Songs of Auvergne(Selected), Villa-Lobos : Bachianas Brasileiras No.5(Selected), Rachmaninoff : Vocalise
  
  Anna Moffo(s), Leopold Stokowski/American Symphony Orchestra

  Stokowski の Orchestra Builder としての傑出した手腕と音に対する並々ならぬ感性、そして恐らく絶頂期の Moffo の美声を堪能できる至福の1枚。冒頭の L'antouno から溌剌としたサウンドが飛び出してくるし、音の豊かさ(特に弦の豊かさ)はさすがStokowski というところか。アメリカ交響楽団も腕達者の集まりであることがよく分かる。Moffo の艶やかでボリュームのある声も素晴らしい。初めて聴くとき、彼女の声はこのオーヴェルニュの歌には重すぎるのでは?と思ったが、 Stokowski の脂っこいとも言える音作りにぴったりであり、彼女を起用した見識は見事だ。ブラジル風バッハとヴォカリーズも見事の一言。曲目解説は Stokowski 自身。

  ところで、オーヴェルニュの歌の Malurous quu'o uno fenno(女房持ちはかわいそう)について。
     不幸なる者、それは女房を持つ男
     不幸なる者、それは女房すらもたぬ男
     持たざる者は持つことを望み、もつ男は持たざることを望む
     幸福なる者、それは良き亭主を持つ女
     しかしさらに幸福なる者、それは亭主を持たぬ女
という、非常に意味深い内容が明るく軽やかな旋律とオーケストレーションと共に唄われます・・・が、こういうことは万国共通なのかもしれません・・・が、この歌で一番不幸な「女房すらもたぬ男」(こりゃ私ですな)と「ろくでもない亭主をもつ女」とどちらが幸福・・・でしょうか?余計なお世話かもしれませんが、Stokowski の波乱に満ちた人生とともに考えさせられる1枚でもあります。それにしても、「昔の人は良いことを言う」(2002.2.13)



Leopold Stokowski & The Philadelphia Orchestra 1962-1963
 Bella Voce BLV107.235 MCPS(C)1999 I.M.C. Music Ltd. Made in Portugal (2CDs)
・Philadelphia January 20, 1962
    Wagner:Lienzi Overture, Introduction by Stokowski, Mozart:"Non piu andrai" - Le Nozze di Figaro(London)
    Borodin:"No rest, no peace" - Prince Igor(London), Gounoud:"Vous qui faites l'endormie" - Faust(Lonon)
    Puccini:"Vissi d'arte" - Tosca(Nilsson), Verdi:"Ciel mia padre" - Aida duet ActIII(London/Nilsson)
    Wagner:Lohengrin Prelude ActI, Wagner:"Strake Scheite schichter mir dort" - Gotterdammertung(Nilsson)
・Philadelphia January 26, 1963
    Verdi:La Forza Del Destino, Giordano:"Un di" - Andrea Chenier ActI, Puccini:"Recondire Armonia"(Corelli)
    R.Strauss:Dance of the seven veils from Salome, Donizetti:Mad-scene without cabaletta" - Lucia di Lammermoor(Sutherland)
    Enescu:First Rumanian Rhapsody
・Hollywood Bowl July 22, 1946(Bonus Tracks) 
    R-korsakov:"Marfa's aria" - The Czar's Bride and "The rose and the nightingale"
    Musorgsky:"The Fair at Sorotchinski"-Parassia's reverie, Rachmaninov:Georgian Melody
・Hollywood Bowl July 11, 1946(Bonus Tracks)
    Bizet:Carmen
     "Quando je vous aimerai?" - ActI, "L'amour est un oiseau rebelle" - Habanera
     "C'est toi!... C'est toi!..." - ActIII
  
  Philadelphia January 20, 1962(Stereo)
     George London, Birgit Nilsson
     Leopold Stokowski/The Philadelphia Orchestra
  Philadelphia January 26, 1963(Stereo)
     Franco Corelli, Joan Sutherland
     Leopold Stokowski/The Philadelphia Orchestra
  Hollywood Bowl July 22, 1946
     Mariana Koshetz & Leopold Stokowski
  Hollywood Bowl July 11, 1946
     Mariana Koshetz, Ramon Vinay & Leopold Stokowski

  Bee-Yan'gさんのなんたってストコフスキーの紹介文でこの盤の存在を知りましたが、Tower や HMV の店頭に無いし 米Tower のデータベースにも無いので、地元の Tower に注文したら2週間足らずで入荷しました。ライセンス関係のはっきりしない盤とはいえ、涎の出そうな内容のディスクです。ホントに、当時の philadelphians が羨ましい〜〜!!! Ormandy によって維持され、さらに磨きのかけられた philadelphia Orchestra と Stokowski が豪華なゲストと饗宴するコンサートを聴けるなんて。
  リエンチ序曲の冒頭から、ヴィブラートを強く効かせた Gil. Johnson のトランペット から始まり、しなやかで量感のある弦が入ってくる辺りは正に Stokowski/Philadelphia Sound!! ローエングリンの第1幕への前奏曲も弦が美しい。金管は音響がデッドな分ちょっと荒さが目立つかな?といったところ。 Nilsson の ブリュンヒルデの絶唱(神々の黄昏のフィナーレ)はやはり凄い。 Stokowski は楽譜に手を加え、金管をぐっと押さえて弦の音を前面に出した音作りをしている。トロンボーンが本来鳴る部分を鳴らさなかったりなど、はっきりと分かるほど変えているし、曲の最後はなんとも言えない美しい弦の音で閉じるのは Stokowski の独壇場だ。このフィナーレは18分の長さにまとめられているが、恐らくそれも含めて Stokowski の手によるものだろう。
  録音は 1962年の方が 1963年のものより良いようだ。運命の力序曲以降の曲は録音が落ちる。「運命の力」はテンポは遅めで、Toscanini/NBC SO の突進テンポとは対照的。十八番のエネスコのルーマニア狂詩曲第1番は、philadelphia とのステレオでの商業録音が無いので貴重。やっぱりストコ節が随所に顔を出す演奏であり、最後まで退屈しない(ただし、チェロのソロはいまいち)。曲のカットもRCA Victor響 との録音(1960年)とほぼ同じ。(個人的にはRCA Victor響 との録音の方が出来が良いと思いますが・・・)Stokowski ファン や Philadelphia ファン は聴いて損のないディスクでは無いでしょうか。
  おまけのハリウッドボウルでの録音は年代からしてSP録音と思われるが、丁寧に処理してあるのか、音は明瞭でノイズは殆ど無いので聴きやすい。(実はフィルムのサウンドトラックによる録音だったりして・・・)しかし、オケに関する記述が無いのでどこの団体かは不明。(2002.2.11)



Deanna Durbin in "One Hundred Men and a Girl" with Leopold Stokowski
  CIC・ビクタービデオ株式会社 USL40221(VHS)
   (C)1937 Universal Pictures Company inc. Renewed 1965.(B/W 84mins)
   (C)1996 Artwork & Design cinema international B.V.
  
  今から60年以上前の娯楽映画がこうして手軽に家庭用ビデオ(今はDVD?)で見ることが出来るということは考えてみれば凄いことだ。驚くべきは60年前とは思えない画像の美しさであり、昔の白黒フィルムの保存状態の良い物は下手なカラー映画をはるかに凌ぐ。「風と共に去りぬ」はカラーだが、あれは当時のテクニカラーが色を3原色分解してそれぞれの色彩を個別のフィルムに記録する方式だから、白黒フィルムと同じ鮮明さがカラーで再現出来ていた。
  冒頭から流れるチャイコフスキーの5番交響曲のフィナーレを指揮するストコフスキの姿は1938年(昭和13年)にこの映画を見た日本人に大きな衝撃を与えたようで、「いまだにストコフスキの姿は強烈に焼きついており、箸を持つと思わず手を振りたくなる・・・」(ストコフスキはノンタクトですが)という方もいらっしゃるようだ。
  内容は他愛のない物語で Deanna Durbin の演技も見ている方が赤面してしまうような部分もあるが、クライマックスの彼女の歌はなかなかのものだ。この映画のヒットがユニバーサル映画を破産の危機から救い、ストコフスキのレコードの売り上げも伸ばしたそうだ。なお、この映画の音楽の演奏はフィラデルフィア管弦楽団だが、映画に登場するのは全く違ったアンサンブルであり、色々なタイプのハリウッドの俳優が音楽家を演じているとのことなので、フィラデルフィア管弦楽団のファンとしては少々残念ではある。それにしても、タイトルの「オーケストラの少女」は名訳だとつくづく思う。(2002.1.19)



Walt Disney's Fantasia with Stokowski
  Walt Disney Home Video/パイオニアLDC PILA-1112 LD CAV/CLV 3Discs アンコール版
   (C)1939 Walt Disney Production , Renewed late 1990s (Colour 119mins)
  Sound Tracks Buena Vista STR101 (C)1957 (3LPs)

      
  (left:1940 Ad., center:Philadelphia Orchestra 1940, right:Fantasia LP)

  半世紀以上先へ時代を飛び越えてしまい(当時は)そろばん勘定が合わなかった壮大な超大作。批評家からは「音楽を冒涜する代物」との非難を浴び、観客からは「高尚すぎる」と敬遠された、不幸なこの Fantasia も20世紀後半から21世紀になる間際にようやく世に認められ、続編の Fantasia2000 まで製作された。
  Philadelphia Orchestra のファンとしては 1940 年当時に在籍していたプレーヤーの映像を見てみたいと思うのだが、ご覧のとおりシルエットになっていて顔は確認できない。また、 Fantasia2000 は philadelphia orchestra ではなく Chicago Symphony の演奏になってしまったのも残念だ。
  Fantasia は Fanta Sound という Multi Channel による Surround System による再生を想定している。この LD は2ch にトラックダウンされているので残念ながら Fanta Sound の忠実な再現という訳にはいかないが、DVD の Surround System(THX) によりようやく家庭で Fanta Sound が再現出来るようだ。しかし、それが実現出来るのはアメリカ盤の方のみであり、国内盤はどうもそうではないようだ。また、国内盤では収録されていない部分もアメリカ盤では収録されているということで、Region Code の弊害が一番嫌な形で現れてしまったようだ。内外格差がこんな形で現れるとは・・・。(Fantasia の DVD化については、風雅さんのようこそ"風雅"の部屋へに詳細情報があります。)
  それにしても、この当時だからこそこれだけ人手とお金をかけた作品を制作することが出来たのだろうが、現在では恐らく不可能だろう。 Fantasia2000 も見たけど、スケールの大きさは到底この Fantasia には及ばない。
  なお、映画公開の20年後に Stereo LP が発売されているが、レコードジャケットやイラスト等かなり凝ったものだ。(2002.1.19)




Informations

  Ormandy/Philadelphia の Discography ,Filmography, Books Informations に Stokowski に関する本もまとめてありますのでご覧下さい。


Links of Leopold Stokowski

  Stokowski に関するLink集 です。



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