Bouquet Paray, French Composer & Conductor

  
  Paul Paray Reharsing The Detroit Symphony Orchestra

 ポール=パレーは、日本では知る人ぞ知る・・・という指揮者(作曲家でもある・・・というかどっちが主体かは知らんよ)のようで、その実力のわりにはCDが出ていないのが惜しい。レコードはそう多くないが、1951年から1962年まで音楽監督として就任していたデトロイト響とマーキュリーに結構な録音を残しているのは嬉しい限りである。

 ちなみに、ポール=パレーについて調べてみると結構多くのサイトがある。WikiPediaやそのものズバリのwww.paulparay.com、「知られざる近代の名匠たち」というサイトにPの作曲家という分類で「ポール・パレー」の紹介があったり、BRENDAN WEHRUNG'S HOME PAGE の HISTORIC CONDUCTORS ON COMPACT DISC に Paul pary -THE LIFE AND WORKS OF A FRENCH MASTER- があったりと。興味があったら見てくださいな。


Paul Paray Conducts Ravel & Debussy
 Mercury Living Presence 434 306-2
  M.Ravel:Daphnis et Chloe Suite No.2, Valse nobles et sentimentales, Bolero
  C.Debussy:Nocturnes for Orchestra, Petie Suite
   
  left:booklet, right:CD Labeel

  Paul Pary/Detroit Symphony Orchestra
  Wayne State University, Women's Glee Club conducted by Malcolm Johns

 このCDにの演奏は1958年から1961年にかけて収録されて。録音会場や日時、使用したマイクやテープレコーダー、初出LP番号、スタッフのリスト等、簡潔で要を得た記述が1ページで、これは他社も見習って欲しいところ。解説も充実しており、パレーとオーケストラとのセッション写真もあり、手抜きの無い作りとなっている。

 肝心の音だけど、これが50年前の録音と演奏か?と耳を疑うほどのクオリティーで、当然、テープヒスやドロップアウトはあるが、あまりの音の生々しさに仰天すること疑い無い。生々しい音の存在(Living Presense)、まさに自分が録音会場にいる(You are there!)に偽り無しの録音でびっくりする。音はデッド気味で残響を抑えた音作り。これは他のマーキュリー録音でもそんな傾向があり、ディレクターの方針だろうか?

 演奏も素晴らしい、ダフニス・・・はオーマンディ/フィラデルフィアのコロムビアステレオ録音と双璧と言っていい出来栄え。両方どちらの演奏を取るかと選択を迫られても困る。高貴で感傷的なワルツ、ボレロ、夜想曲、小組曲・・・どれもこれも本当に素晴らしい。小組曲の最初のフルートなどその音色にうっとりとしてしまう。木管の音もどことなく当時のフランスのオーケストラ(レコードで聴く限り)に共通する音色を感じる。自動車の街に突如現れた(と勝手にこっちが思っている)フレンチ・サウンドは驚異的だ。パレーがフランスから奏者を引っ張ってきたのか、地元アメリカの奏者を鍛え上げたのかどうかはよく分からないが、とにかくこの音色は特筆ものだと思う。

 パレーの音楽の進め方は、ストレートであっさりしてテキパキ進める・・・という塩梅で、マーキュリー独特のデッドでリアルな録音と相まって、一聴するとそっけない印象があるけど、良く聴くとそうではないから不思議なもんである。

 現在発売されている国内盤も音はこれと同じということで、安心してお勧めできる。中のブックレットはオリジナルCD(というのも変だが)のレベルを期待するわけにはいかないだろうが、1,200円なのでそこまで求めるのは酷か・・・。ファン(どれだけいるか知らんけど)には朗報であろう。50年前にタイムスリップして "YOU ARE THERE!"を体験するのもまた一興。(2008.8.27)


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