2007年8月27日
『僕んちは教会だった』
(陣内大蔵/著、日本キリスト教団出版局、
B6変形判、2007、\1000+税)
「空よ」「僕は風 君は空」などのヒット曲で知られるシンガーソングライター、陣内大蔵さんの本が出ました。ご自分の少年期青年期を振り返ったエッセイで、91年〜93年に「月刊カドカワ」に連載されていたものに、本書ではその後の歩みを新たに書き加えています。
ユニークなのは、彼が牧師の家庭に生まれ育ったと言う点。日本では、クリスチャンと言うだけでじゅうぶん少数派なのですが、まして牧師の家庭というのは一般の家庭とはかなり違った生活を送っています。そのあたりを著者は軽妙な文章で書きつづります。
読んでいて、笑えます。でも、笑えるだけじゃない。軽さの中に、しっかりと人生やら世の中やらを考えさせたり、キリスト教信仰の機微が伝わってくるのです。
すぐれた表現者は、どんな形でも見事な表現ができるものです。表紙の絵をはじめ、本文各章につくイラストもすべて陣内さんの作品。文章同様、肩の力の抜けたものに仕上がり、彼の歌のようにさわやかです。陣内さんはミュージシャンとしての活動を続けつつ、さらに今年、伝道師(牧師)として就任。ますます多才に、ますますユニークに発展する活動に注目していきたいと思います。
この仕事も楽しく進めることができました。実は陣内さんは、ぼくの通う教会で05年3月まで神学生としてご奉仕くださっていた関係で、2年間親しく交わらせてもらいました。教会で彼の歌を間近に聴かせてもらう機会が何度かありましたが、聴く人の心を一つの世界にぐっと引き込む力は、さすがアーティストのオーラだと思いました。
カバーデザインでは、思い出の絵がどこかからふと見つかって、テーブルか何かの上に無造作に置かれている、そんなイメージを出してみました。子ども時代を思わせるように、タイトルは手書きにしてみました(この文字はぼくが書いたものです)。
CDサイズの楽しい読み物。ぜひ皆さんも読んでみてください。
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