平成11年6月19.20日に裏磐梯の野鳥の森をメインに周辺をバードウォッチングした。今年は、空梅雨だと思っていたが数日前から梅雨に入った。もう少し空梅雨でもよかった気がしたが、やはり梅雨は雨が降った方がいい。当日は、雨が降っても通常の天気と思っていくことにした。今回は、現地の人が、宿の手配、案内をしてくれたので快適な探鳥会となった。朝、8時つくば集合出発。11時過ぎに現地の高速道路出口で待ち合わせて、そば屋で昼食をとった。いかにも昔ながらと言った造りの蕎麦屋で、昔そば、普通のそば、田舎そばの盛り合わせをたのんだが、干し柿の唐揚げと変わったものもあったので食べてみた。味は、ご想像にお任せする。昔そばは、夏向きのさっぱりしたそばだった。
最初は、裏磐梯・野鳥の森に行った。細野口から入り、まわりを草木に囲まれた木道を歩く、小川もあった。森の中を歩く感じだった。雨模様のこともあり、水量も結構ありきれいな流れだった。高原のせいか草花も種類が違うようだ。途中開けた場所にはベンチがあり、池を眼下にできる静かな空間があった。ここから上は、結構急な坂が続いた。野鳥の森はもっと平坦だと思いこんでいたので、この急坂は意外だった。途中、ヒガラの巣が大きな木の幹下にあり、親鳥が行き来をしているようだった。ホトトギスはオスだけ鳴いて、メスは鳴かないことも知った。雨は、ほとんど降らなかった。しかし、降っても木々に囲まれていて雨が直接あたらないので気にならない感じだった。今回のみんなの目的の鳥がアカショウビンであることを知った。キョロロロ。キョロロ・・・と鳴く鳥だ。初日はとりあえず全体の様子を知るだけで早めに引き上げることにした。途中16時12分ごろ事件がおきた。私は、前から3番目を木道を歩いていたが、なんだなんだという声と同時に、黒い大きな物体がまわりの景色と一緒に迫ってきた。一瞬そう感じたが、それは木道にぶつけるようにして、必死にどこかに逃げた。錯乱状態にも思えるほどだった。犬ではなかった。もっと大きい。黒い物体だった。静かな景色が一変して、嵐のようになり瞬く間に過ぎ去っていった。熊だという結論になった。後ろの列の人は何があったかわからなかったと思う。思えば、ほんの一瞬だった。帰りがけ細野口の看板の前で、記念写真を撮った。その後ろの案内板には、”ツキノワグマが足跡から生息が確認されている”と書いてあった。(写真の最終行)熊はほんとうだった。危なかった。突然なので、襲われたら逃げようがないと思った。襲われる人の気持ちがわかった。 宿に向かったが案内板が一つも出て無くて、奥まっているのでわかりずらい場所にあった。宿は、ログハウスだった。しかも、大きな建物で、事前に見た宿のホームページだと、夜の照明がきれいだった。実物も印象と違いなくよかった。大きなカワセミが迎えてくれた。宿の主人に聞くと、ログハウスを作る職人らしい。カナダ人を1.2ヶ月家族ごとよんで、日本人15人程で教わったという。こっちからカナダへ出かけていくと、言葉、現地生活で疲れてしまい。効率が悪いのでそうしたそうだ。夕食は、コース料理で十分に食べた気がした。この宿は、インターネツトで見つけたらしいが、宿に着くまで看板が一つも無かったがこれを売りにしているらしく、雑誌などで、隠れた宿として取り上げられ人気があるそうだ。ただでさえ、ログハウスでインパクトがあるのでもっともだと納得した。
夕食後、夜は外でトラツグミが鳴いているというので行ってみた。ヒーヒョー。ヒーヒョー。と怪しげに鳴いていた。幽霊が鳴いているようでもある。冬は、平地でも見られるそうだが、冬は鳴かないそうだ。夏らしい、印象的な鳴き声だった。そこいら中で鳴いていた。晩はみんな寝るのは早かった。9時には寝ていた。明日、3時起きのためだ。わたしも、9時30分には寝ていた。
3時に目覚ましと共に起きた。3時は朝ではなかった。まだ夜だった。外は、トラツグミがまだ鳴いていた。それでも、野鳥の森に着く頃には、すこし明るくなってきた。夜が十分に明けないので10分ほど待って、桧原口から入山した。野鳥があちこちで、きれいな透き通る声で鳴いていた。名前の通り野鳥の森に入り込んでいった。急坂のせいか歩くとすぐ暑くなった。しかし、急に雨が降り出すとすぐ寒くなり、服を脱いだり、着たり忙しかった。
歩いていると突然、木をへし折るような大きな音がした。全員、すぐツキノワグマだと直感した。熊の他に何も考え及ばなかった。怖さが広がっていった。足取りが少し速くなったような気がした。熊が叫んだという人もいた。・・・・・・。ジュウイチ、ツツドリが鳴く、木の葉で鳥が見えないので、声でこれは何という鳥だと説明を受けながら進む。アカショウビンが盛んに変わった声で鳴いている。曇り、雨模様の時はよく鳴くらしい。道のない、谷底で鳴いているので姿を見に行けないのがもどかしかった。結局姿は見られなかった。アカショウビンを出るのを少し開けた場所で待ったが現れない。待っていると目の前を鳥が横切った。マミジロだった。近くに止まったときは、双眼鏡でじっくり見られず、60−70M鳥を追ってやっとじっくり確認することができた。結局、朝飯を食べたのは9時だった。きょうはもう6時間も活動してしまった。朝ご飯もおいしかった。
朝食後は、中瀬沼に行った。釣りをしている人がいたが、池の中を木が小さい円をたくさん描いて、釣りにはいい場所だった。駐車場ではコムクドリをじっくり見ることができた。きれいな沼だった。ここまで来たので五色沼を見て帰ることにする。池沿いをぐるっと回ったが、アカゲラをじっくり見ることができた。次は、青沼に向かった。駐車場から距離があり歩くこととなった。五色沼で見かけた団体にまた会った。がんばって歩いていた。帰路、木のてっぺんに、オオルリがとまっていた。だれも、スコープを持っていなかったので小さくしか見えなかった。駐車場では、ニュウナイスズメが木に数羽騒いでいた。じっくりと確認できた。日本には、普通のすずめとこれと2種類のみということだった。カワラヒワも望遠鏡で見せてもらった。
車中では、託卵する鳥についての話になった。カッコウなど体に窪みがついていて、他の雛を追い出しやすい構造になっているという。昼前にもう一度、野鳥の森に行ってアカショウビンを見るという。3度目の正直はかなうか。付近は、霧がかかってきた、しかも霧が移動して来る様子が手に取るようによくわかる、木に吸い込むように広がっていった。こんな状態を初めてみた。アカショウビンは結局見ることはできなかったが、声を聞けただけでもよかったという人がいたので、みんな救われたかもしれない。何より、3度目チャレンジしたところがえらかった。しかし、収穫もあったスコープがなくてじっくり見られなかったオオルリを近くで見ることができた。若鶏とつがいの3匹見ることができた。池の岸には、森青蛙の大きな白い卵が見えた。
時間は12時をとっくに過ぎていた。昼は、喜多方ラーメンを食べに行く。40分前後の行程だが、途中車中から鳥を見つけると止まるので、なかなか進まない。行き着かないかもしれないと思った。オオジシギが電柱にとまっていた。シギと電柱はどう考えてもミスマツチだが、図鑑を見ると電柱にとまっているところが写真に載っていた。定番だった。昼は結局3時頃になった。人気ラーメン店は、それでも行列していた。店は3時までだったようで、食べて出ると店終いをはじめるようだった。カルガモが飛んでいた。頭を下げて飛んでいた。マガモの場合頭が上がるらしい。高速のパーキングで鳥合わせをすると64種になった。今回の探鳥会は、大成功に終わったようだ。帰途、晴れて青空がみえた。ひさしぶりの太陽の光は明るかったが、長くは続かなかった。突然、強い雨が降ったかと思うと、霧が出て視界が悪くなるなど変な天気になった。梅雨の探鳥会だった。