お  寺  巡  り


− は じ め に −

 今日でもお遍路さんは、白い着物と杖を持って巡礼の旅に出ます。その昔、白い服は、死に装束。杖は墓石の代わりにしたというほど決死の覚悟をもって巡礼の旅をしていました。しかし、現在では観光の一環・物見遊山的になっているのではないでしょうか。お寺に行くのも初詣、冠婚葬祭?ぐらいですね。しかし、お寺を訪ねる旅をしていると、お寺はその土地の風土を未だに抱え持っているような、そんな感覚に陥ります。昔の日本の空間を、そのままかかえているような。そんな空間を訪ねる旅でもあるような気がします。ある人は、自己を見つめ直す旅なんだという人もいます。自己再発見、自己再生の旅とも言われています。お寺を訪ねる旅は、千年以上の歴史があります。私はこの旅で、日本の文化の底流に流れいるものを発見する旅だと最近思えてきました。ひいては自己の発見へと繋がっていくのでしょうか。以前、高野山に参拝した折り、死者・仏様に対してのお経だけでなく、生きるためのお経があると紹介され聞いたことがあります。 寺は、訪れる人の心そのままに、迎えてくれることでしょう。合掌