独鈷山(長野県)
 太郎山(長野県)


とっこざん 標高1266m。
たろうやま 標高1164m。

 2005年のキナバル555の定例山行はMさんが幹事で、 長野県の独鈷山と太郎山に登った。 両方とも「信州百名山」(清水栄一著)に選ばれている山である。
 10月22日(土)、東京駅から長野新幹線で上田駅に向かう。 上田駅からは上田電鉄の電車に乗り継いで舞田駅へ。 舞田駅は田圃の中の無人駅で、 駅前にお店一つない。 一日で何人くらいの利用者があるのだろうか。 ここで山に登る8人全員が顔をそろえ、出迎えてくれたマイクロバスに乗り込んだ。 舞田駅に降り立ったときには雨は降っていなかったが、 いつ降りだしてもおかしくないほどどんよりとしている。 でも雲は独鈷山の頂上にまでかかるほど低くはないらしく、 ふもとから特徴的なギザギザした頂稜部がはっきり見渡せる。 いったんこの日の宿の「竜の湯」に寄って、 登山に不要な荷物を置いてから、 西前山登山口までマイクロバスが送ってくれた。 天気がよいと、さあ登ってやるぞという意欲がわいてくるのだが、 こんな天気では、 まったく気分が盛り上がらない。 ただ上を目指して足を出し続けるという感じである。 最初は沢沿いにつけられた道をたどり、 沢の水がなくなるあたりから、 沢筋を離れて向かって右手の斜面へと登る。 イヌブナ交じりのミズナラの美しい林が現れ、 多少気持ちがなごむ。 ただ紅葉には少し早く、色づき始めた程度。 普段運動不足気味のメンバーがゆっくりと歩いているのをよいことに、 私は手の届く範囲の木の枝を観察しながら歩く。 ここは北向き斜面の広葉樹林なので、 もしかすると蝶の卵が見つかるかもしれないと思ったからである。 すると運のよいことにゼフィルスの卵を1個発見。 下山中にも1個見つかったので、 思いがけない成果に気分を良くする。 ミズナラの斜面を登りきると尾根の上に出る。 尾根の上につけられた道をたどって頂上に着くと、 小さな石の祠が待っていた。 残念ながら北アルプスは雲があって見えないが、 上田盆地は見渡せる。 朝に比べ雲も少し薄くなったようで、 天気予報から想像する以上に眺めがよい。 しばらくすると、 六根清浄を唱え、ほら貝を吹きながら登って来た白装束の一団が到着。 子供が一人混じっているうえ、 みな年齢が若いのが意外だ。 ご先祖から伝えられた信仰と慣習を守っている人たちなのだろう。 祠の前で儀式を執り行っていた。 間近でこのような儀式を見るのは初めてだったので、 興味深かった。 頂上一帯の時代が100年も前に戻ったような雰囲気になる。 下りは往路を戻った。 時間があるので、 登山口の近くにある中禅寺の薬師堂(重要文化財)を見学してから、 舗装道路を宿の「竜の湯」へと歩いた。
 翌23日は快晴。 宿からもうっすら雪をまとった四阿山と根子岳が見える。 「竜の湯」周辺では夜に雨が降ったが、 山は雪だったようだ。 朝食後、宿のマイクロバスで太郎山の表参道登山口へ移動。 登山口に着くとすでに多数の車が路上駐車している。 表参道は太郎山から南東に延びる尾根につけられた道である。 登山道は乾いていて、雨が降った様子がない。 直線距離で10km程度した離れていない「竜の湯」では、 晩にかなり強く雨が降ったというのに、 ずいぶんと違うものだ。 登山口のすぐ下には上信越自動車道が通っているので、 騒音が激しいのがこの登山道の欠点だ。 その騒音もしばらく登れば消えて、のんびりとした山歩きを楽しめるようになる。 すでに下りてくる人たちや家族連れで登る人たちがいる。 林の中の道は景色があまりよくなく、 頂上がどのあたりにあるのかもわからない。 石の鳥居をくぐってなおも上り続けて、 太郎山神社に出会うと頂上は近い。 頂上はちょっとした広場になっていて展望があり、 方位盤がある。 やってきた人たちはまず周囲の景色を眺め、 方位盤で山の名前を確認している。 我々も山座同定をしばらくやった後、 草の上の腰を下ろして昼食。 柔らかな太陽の日差しを浴びてのんびりする。 前日とは打って変わった上天気で気持ちいい。 下りは表参道を戻り、 登山口でタクシーを呼んで上田の街中のお蕎麦屋さんに向かった。 ここでビールを飲んでお蕎麦を食べ、 2005年のK555の定例山行は無事終了した。

歩行記録 2005/10/22 登り2h05m(西前山登山口ー独鈷山頂上) 下り1h30m(頂上−中禅寺)
 2005/10/23 登り1h40m(太郎山表参道)  下り1h15m

 上田駅で、新幹線から上田電鉄に乗り換えた。 乗った電車は、「まるまドリーム号」と名付けられていて、 窓の一部が丸窓に装飾されている。 かって走っていた旧型電車のデザインを模しているそうだ。 この電車に乗って無人の舞田駅へと向かった。
 写真はすべて、KONICA MINOLTA DiMAGE A2で撮影した。

 独鈷山の西前山登山口。 大きな案内板がある。 我々はここから歩いたが、 しばらくは車が通れる道路が続いている。

 独鈷山の頂上。 六根清浄を唱えて登ってきた一団が、ここでなにやら儀式を執り行っていた。

 独鈷山の頂上から上田の市街地方面の眺め。 正面に翌日登る太郎山が見えている。

 独鈷山から下山後、中禅寺の薬師堂を見学。 茅ぶき屋根の建物で、屋根のゆるやかな丸味が絶妙だ。

 晴天の10/23の朝、宿泊した「竜の湯」の前で記念撮影。 参加者は9人。

 太郎山の頂上でくつろぐK555の面々。

 空が大きく広い。 太郎山神社から千曲川の流れる上田盆地を見下ろす。 右奥に八ヶ岳連峰と蓼科山のピークが見えている。

 太郎山神社から、前日に登った独鈷山(正面)を見る。 太郎山より高いはずなのに、写真では低いように見えている。

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