仙ノ倉山(新潟県/群馬県)

せんのくらやま 標高2026m。

 谷川連峰の最高峰で、谷川岳より63m高い。 
 筆者はこの仙ノ倉山に2回登っていて、1回目は1996年、2回目は2009年である。
 1996年のときは、8月末に新幹線利用で日帰りしたのだが、 上部はガスで覆われ、風も強く、満足に景色も見られなかったので、 不満足な結果となった。 再挑戦する機会がやってきたのが、2009年である。 ここで紹介するのは、そのときの記録である。
 2009年の体育の日は10月12日の月曜で、10、11、12日と3連休となった。 この連休を利用して、当初1日目か2日目に登ろうと目論んでいたが、 新潟の天気が悪くて、先延ばしにした。 ようやく3日目になって、上越の天気が良くなりそうだったので、 でかけることにした。
 東京駅7時発の新幹線で越後湯沢に向かう。 東京は雲が広がっていたが、高崎あたりから雲がなくなって、 青空になった。 越後湯沢からはバスに乗り換える。 スキーシーズンでないせいか、早朝の駅前広場は人影がまばらである。 バス停に並んだ20人くらいの人たちは、 ほとんどが登山の格好をしていた。 平標登山口に着くと、 大半の乗客はここで降りてしまった。 帰りのバスの時間を確認すると15:50の越後湯沢行がある。 これを逃すと次は17:15で帰宅がかなり遅くなるので、 15:50を目標に歩くことに決める。
 コースは、松手山経由で平標山に出た後、 仙ノ倉山まで足を伸ばし、帰路はいったん平標山まで戻ったあと、 平標山ノ家経由で平元新道を使って平標登山口バス停に下山するというもの。
 9時に登山開始。バス停から舗装道路を少し歩くと右手に登山口があり、 いきなりの急登が待っている。 ザックは日帰りなので軽量だが、 肩にはCANON 5DUという重量級のカメラをかけているので、 身軽というわけにはいかない。 登山道はよく整備されているので、ところどころぬかるんでいる箇所はあるが、 比較的歩きやすい。 まだ紅葉には少し早い樹林帯の中の道を一歩一歩進む。 小一時間の登りで鉄塔に下に出る。 視界が開けてくる。 背後には苗場スキー場のゲレンデが見渡せる。 ここで小休止したのち、松手山を目指して高度を上げる。 標高1614mの松手山まで来ると、背の高い木もなくなり、まわりの灌木も鮮やかに 紅葉している。平標山まで良く見通せる。 平標山の頂上には11時半着。 ここは1984m。 割と広い頂上には、10数人の先客が休んでいる。 ただ残念なのは、このころになると、雲が広がって、太陽を覆ってしまったことだ。 仙ノ倉山までは、標高差はないがかなり距離があるように見える。 登るべきかどうか一瞬迷ったが、雲はあっても風はないし、雨の心配もなさそうなので、 仙ノ倉山まで行くことにした。 広い尾根の上の道である。 いったん下った鞍部は、風食裸地が広がっている。 前回1996年夏のときはガスで周囲が見えず、 地形などわからずに足元を見ながらひたすら歩いただけだった。 そのときも南風がずいぶんと強く感じ、 帰りに平標山ノ家経由で下山することをあきらめたのだったが、 その強い南風こそが、ここの風食地形の原因だと知ったのは、 1998年発売の「山の自然学」(小泉武栄著)によってである。
 平標山から仙ノ倉山までは大した登りはないのだが、 足にかなりの疲労がでてきて、歩くペースが落ちてしまった。 7月末の蝶ガ岳登山以来、まともな登山や運動をしていなかったせいである。 なんとか12時すぎに仙ノ倉山頂上着。 ほかに3人がいるだけの頂上は静かだった。 広い頂上の片隅に腰をおろして昼食にする。 雲が空のほとんどを覆っていて、少し陰鬱な雰囲気になってきた。
 一休みした後、平標山に取って返し、 平標山ノ家めがけて、尾根を南に下る。 この道は今回初めて歩くのだが、 木で段が作られているよい道だ。 山ノ家は、近年新しくなったようで、快適そうである。 まわりの紅葉もきれいだ。 ここからの下りの道の多くの部分が木で段が切られていて、 石段ならぬ木段とでも言ったらよいのだろうか。 とにかく歩きやすい。 やがて砂利道の林道に降りつくと、あとは坦々とした道を下るだけ。 15時20分に登山口に着いたので、余裕でバスに間に合った。 朝と同じ経路で新幹線を使って家に帰りついたのは、 18時40分だった。
 今回の山行の最大の目的は写真を撮るためなのだが、 平標山に着いたころにはすっかり雲が広がって、 青空と紅葉の組み合わせを写真にすることができなかったのは残念。 やはり青空を期待するなら、午前中早くに山の上に登っておくべきである。
 1996年の記録を見ると、仙ノ倉山までの登りは2時間40分になっている。 今回は40分も時間が多くかかっている。 途中で写真を撮っている時間を考えても、登りのペースが以前より遅くなったいる ことを認めざるを得ない。
 それに今回の山行後の2,3日は、足の筋肉痛に襲われた。 前回の本格的な山歩きから2カ月も空いていて、 その間に満足な運動をしていなかったせいである。

 歩行記録 2009/10/12 登り3h20m 下り2h40m

 松手山付近からの平標山。頂上は中央右寄り奥のピークである。 紅葉が全山を覆っているわけではなく、斜面の一部分である。
 写真はすべて、Canon 5D U・EF24-105mm F4L IS USMで撮影。

 紅葉の松手山越しに見えた苗場山。 このころまでは、青空が広がっていた。

 平標山の頂上から見た仙ノ倉山。

 平標山から仙ノ倉山への登山道から振り返って見た 平標山。 鞍部の登山道より南側(向かって左側)に、茶色の風食地形が広がっている。 冬の北風ではなく、無雪期の強い南風がここの風食地形を作っているらしい。

 平標山ノ家と背後は大源太山。このあたりは紅葉が見ごろだった。

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