あさよみね 標高2799m。
北岳のほぼ真北約6kmのところにあり、鳳凰三山から続く尾根上にある。
朝与峰または浅夜峰とも表記されることがあるようだが、
アサヨとカタカナで書かれるのが一般的のようだ。
2001年8月下旬の週末に夜行日帰りで、北沢峠から栗沢山、アサヨ峰に登り、
広河原峠から広河原に下りた。
新宿発の急行「アルプス」は甲府までだと約2時間の乗車時間で、
うとうとしている間についてしまう。
乗車時間が短すぎるのも困ったものだ。
4時半のバスで広河原へ向かう。
広河原から北沢峠へ向かう芦安村村営バス乗り場は、すでに長蛇の行列。
6時50分、5台のマイクロバスに全員をつめこんで出発。
北沢峠には20分ほどでついてしまう。
北沢峠は戸台からもバスが着き、大変な数の登山者、観光客でにぎわっている。
バスが通るようになってからは今回が筆者にとって初めての北沢峠だ。
戸台から歩いた時代の静けさからは程遠いものとなってしまった。
しかし、自然を出来るだけ残そうとの配慮からか、大きな人造物はないので、
大勢の人さえいなければ、昔とそう変わらないようにも思えた。
登山の準備をし歩き始める。
北沢峠から少し下って北沢長衛小屋まで来れば、
昔と変わらない小屋が建っている。
ここからシラビソ主体の美しい森の中を栗沢山めがけて登る。
栗沢山やアサヨ峰を目指す人はほとんどいないようだ。
栗沢山の頂上付近は大きな岩が折り重なっていて、ここまで来ると展望が開けてくる。
間近に仰ぐ甲斐駒ガ岳は、美しくかつ迫力にあふれている。
一方、仙丈ガ岳はゆったりとした大きな山体に頂上が乗っかっているように見え対照的である。
栗沢山で少し休んだ後、ハイマツの混じった露岩を歩いて40分ほどでアサヨ峰に着く。
こちらまで足を延ばす人は少ないようで、40分間頂上にいて、登山者一人が来ただけだった。
ここも北岳、仙丈ケ岳の展望台だが、これらの山を眺めるだけなら栗沢山で十分で、
むしろ甲斐駒ガ岳に近い分、栗沢山のほうが良いかもしれない。
アサヨ峰からは広河原峠を目指して下る。
ミヨシの頭付近ではベニヒカゲが飛んでいるのを見かけた。
クモマベニヒカゲは見かけなかった。
ほとんど人に出会うことのない登山道を徐々に高度を下げていと、途中に早川尾根小屋がある。
翌日の晴天が約束されていれば、宿泊してのんびりすることも考えていたが、
あまり期待できそうもないので先を急いだ。
広河原峠から南アルプス林道めがけて一気に下る。
今回は登山のほかに、キベリタテハの観察を目的にしていたのだが、
昼近くから雲が多くなったせいもあり、キベリタテハは尾根の上で1頭見かけただけだった。
14時少し前に広河原に戻ると、甲府行きのバスがタイミング良く来たのでこれに乗りこんで、
甲府経由中央線で帰京した。
アサヨ峰は、登る前には大して期待していなかったのだが、
歩いてみるとよい山であることが実感できた。
理由として、まず展望が素晴らしいこと、人が少ないこと、
シラビソの林をはじめ、自然がよく残っていて登山道にも余計な表示がないことが上げられる。
歩行記録 2001/08/25 登り2H25m(北沢峠−栗沢山−頂上) 下り2h40m(頂上−広河原峠入口)
右の写真は北沢長衛小屋の脇にある竹沢長衛翁のレリーフ。
栗沢山の頂上近くから見上げた甲斐駒ガ岳。
この後、雲が沸いてきて頂上を隠してしまった。
栗沢山から見た仙丈ガ岳。
双眼鏡で覗くと、たくさんの登山者が視野に入った。
栗沢山からアサヨ峰に続く稜線。 正面がアサヨ峰。
大きな岩が重なり合ったりしているが、良く見かけるペンキによるルート指示などない。
登山者に判断力を使う余地を残してくれているのがいい。
樹林帯に入っても広河原峠までほとんど標識がない。
アサヨ峰頂上からの仙丈ガ岳。
仙丈ガ岳。 この山の雄大さをあらためて実感する。
下に北沢峠へと続く林道が見える。
アサヨ峰頂上からの北岳。
早川尾根小屋。
林の中の小さな山小屋。 このときは小屋の人が屋根に上がって、布団を干していた。