青蓮寺(鎌倉市) 2014年 4月
青蓮寺(しょうれんじ)の正式名称は、飯盛山仁王院青蓮寺(はんじょうざんにおういんしょうれんじ)である。 高野山真言宗に属している。
9世紀に空海によって開山されたといわれ、長い歴史を持っているが、江戸時代には衰微し、 関東大震災では大きな被害を被っている。
筆者が青蓮寺のことを知ったのは、NHKの仏像の番組で取り上げられたのがきっかけである。 その番組では、青蓮寺の愛染明王坐像の修復の様子を紹介していた。 関東大震災で頭部や腕がバラバラになっていた愛染明王坐像が修復され、89年ぶりに寺に戻ってきた話である。
青蓮寺について調べてみると、本尊の木造弘法大師坐像(重文)が、 鎖大師という名前でも知られていることがわかった。 両膝などの関節を動かすことができるという珍しい仕掛けからつけられた名前で、青蓮寺の別名にもなっている。 この本尊は、年に数回の公開日を除いて、普段は非公開である。
どうせ訪れるなら本尊も含めて拝観したいので、2014年の4月19日に出かけた。 この日(4月第3土曜)は、鎖大師正御影供大祭にあたっていて、本尊が公開され、お稚児さん行列がある。
場所は鎌倉市手広で、鎌倉の市街地中心部や駅から離れている。 大船駅からバスを使い、「鎖大師」停留所で下りれば、青蓮寺は目の前だった。
着いたのがお稚児さん行列の出発時間の少し前で、境内では行列に参加する人々が隊列を組んでいるところだった。 山門の前で待っていると、見物人の人だかりの中、銅鑼、太鼓などに先導されたお稚児さんの一行が出てきた。 これから町内を一巡するのである。 華やかで、なかなかに見ごたえのある行列だった。 周りに集まっていたご近所の人たちの立ち話によると、昔はもっと賑やかで、屋台なども出ていたそうである。 この日は、同じ鎌倉市の満福寺を中心にして義経まつりが行われていたので、 観光客はそちらのほうに集まっていたのかもしれない。
行列が戻ってくるまでの間に、本堂に上がって本尊などを拝観した。 正面の奥まったところに、木造弘法大師坐像が安置されている。 すぐ前まで近寄ることができる。 像には衣装が着せられているので、肝心の関節の部分がどうなっているのかまでは見えない。 顔の表情からは、若々しい弘法大師のように見えた。
この像について興味深いのは、江戸時代までは鶴岡八幡宮にあり、 明治時代の廃仏毀釈の影響で青蓮寺に移されたことである。
愛染明王座像のほうは、むかって左手にある。 修復の跡はわからないが、修復前の写真を見ると、大変な作業だったことがうかがえる。
写真は、PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影。
山門
右側奥に見えているのは鐘楼。
2014/4/19撮影
本堂
本尊の木造弘法大師坐像や愛染明王坐像が安置されている。
2014/4/19撮影
太鼓や法螺貝などで賑やかなお稚児さん行列の一行が、山門を出るところ。 これから町内を回る。
2014/4/19撮影
鼻高履を履き、きらびやかな衣装の僧侶の一団。
お稚児さん行列が境内に戻ってきた際の一コマ。
2014/4/19撮影
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