最乗寺(神奈川県南足柄市) 2010年 12月
 神奈川県南足柄市にあり、山号は大雄山、曹洞宗の寺である。 開創は14世紀末と伝えられる。 寺の創建に貢献した僧道了は、天狗に身を変えて最乗寺の守護神となったと言い伝えられている。 そのため、最乗寺は道了尊とも呼ばれている。
 筆者が訪れたのは、宮城野から明神ガ岳に登った帰りで、2010年の年末のことである。 明神ガ岳登山の目的は富士山の撮影が目的だったが、期待したほどの写真が撮れずに最乗寺へと下山した。 最乗寺の境内を歩いてみると、ずいぶんと大きな寺であることがわかる。 山の斜面の鬱蒼とした杉林の中に堂宇が点在しているのだ。 俗世界を離れて山懐深く、霊気のみなぎる空間といった趣である。
 まず本堂に入ると、本尊は釈迦牟尼仏であった。 そのあと、他の伽藍を一通り見て回り、最後に奥之院に向かった。 これが、大変長い階段のはるか上にある。 一瞬躊躇したがここまで来て登らないのも悔いが残りそうなので、 登ってお参りした。 途中で、階段にたまった木の葉を掃いている女性がいたが、 これだけ広くしかも大木に囲まれた境内では、清掃だけでも大変な労力だろうと察しられた。
 帰りは、バスで大雄山駅に向かい、伊豆箱根鉄道大雄山線の電車で小田原に出た。 この大雄山線は、もともと最乗寺に参詣者を運ぶために計画されたもので、 大正時代に開業している由緒ある鉄道である。 初めて乗った大雄山線は、車両も近代的で明るくきれいで、地方のさびれたローカル線というイメージ ではなかった。 今では参詣客を運ぶというより、沿線住民の足としての利用がはるかに多そうだ。
 写真は、CANON 5D Mark U・EF-24-105mm F4L IS USMで撮影。


 本堂
 建物は1954年に再建されたもの。 このときは、お正月に備えて門松が立てられていた。
2010/12/29撮影

 金剛水堂
 道了尊者が井戸を掘ったところ、霊泉が湧出したと言われる。 以来金剛水と称して珍重されている、と説明書きにあった。
2010/12/29撮影

 多宝塔
 1863年建立。他の寺院の多宝塔では朱色に塗られていて、派手な印象を受ける例が多いように感じる。 ところが、この多宝塔では、もともとの色彩はどうだったのかわからないが、今はしっとりとした色彩と大木に囲まれているせいか、自然のなかに溶けこんでいる印象だ。
2010/12/29撮影

 結界門および御供橋と圓通橋
 中央に見える柵で囲われた橋が御供橋で、普段は通行できない。
2010/12/29撮影

 御真殿
 本尊として道了大薩を祀っている。 建物の脇には、天狗の羽団扇と高下駄が奉納されている。
2010/12/29撮影

 十一面観世音菩薩を祀る奥之院
 長い長い階段を登りきってやっと奥之院にたどりつく。 あまりに長いので、下から見上げただけで諦める人も多い様子だ。 このときも家族連れが来ていたのだが、両親は下で待っていて、小学生らしき女の子は元気に 奥之院を往復していた。
2010/12/29撮影

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