室生寺(奈良県宇陀市) 2010年 12月
 真言宗室生寺派の大本山。
 山号は宀一山(べんいちさん)。
 長らく女人禁制だった高野山に対し、女性にも門戸を開いていた室生寺は女人高野と言われた ことでも知られている。
 筆者が最初に室生寺を訪れたのは2002年の5月連休のときである。 このときは、レンタカーを利用して倶留尊山(くろそやま)という 三重県と奈良県の県境にある山に登ったあとに立ち寄った。 シャクナゲの花が五重塔の美しさを引きたてていたのを覚えている。 2度目は2010年の年末で、うっすらと雪化粧していた。 写真家の土門拳が雪の室生寺を撮るために何日も待ったという有名な話を思い出させる天気だった。 ここで紹介する記録は、そのときのものである。
 奈良県といっても三重県の県境に近い山奥のため、平野部とは気候がかなり違うようだ。 この日も奈良盆地は雪が舞う程度だったが、室生口大野駅に降り立ったら家々の屋根が白くなっていた。 駅からバスに乗り、室生寺バス停で下りると道路も雪で覆われていた。 滑りやすくなった道を注意しながら歩いて、朱塗りの太鼓橋を渡ると仁王門がある。 仁王門をくぐると、鎧坂という石段があり、その先に金堂がある。 ちょうど「十二神将勢揃い金堂特別拝観」が行われていたので、堂内の十二神将を拝観した。 (2020年には新たに完成した寶物殿に、十二神将像のうち6体などが移されている。)
 次に金堂の横にある弥勒堂で、弥勒菩薩立像とどっしりとした釈迦如来坐像を拝観。 そのあと、坂を上がって本堂である潅頂堂に向かう。 ここには、独特のポーズの如意輪観菩薩座像が安置されている。
 潅頂堂からさらに坂を登り奥まった場所に室生寺のシンボル的存在の五重塔がある。 近づいて見ても素晴らしいが、坂の下からの眺めも良い。 階段を一歩一歩登るごとに塔が近づいてくる。 やはりこの五重塔が室生寺の伽藍の顔だろう。 仁王門を除けば、主要伽藍は色彩に乏しく質素な感じを与えるのだが、 この五重塔には、朱と白の配色が織りなす華やかさがある。 絵になる塔だ。
 国宝で五重塔としては法隆寺の塔に次いで2番目に古いなどという説明を抜きにして、 単に見るだけでも魅力的な存在だ。 いろんな角度から何枚も写真を撮ってしまった。
 最後に奥の院だが、五重塔の先、急傾斜の石段のはるか上にある。 鬱蒼と茂る大木の間を登ることになる。 同じ境内でも奥の院は高い場所にあるために気温などの条件が違うらしく、 格段に雪の量が多かった。 初冬というより真冬の雪景色で、御影堂を見学してそうそうに奥の院をあとにした。
 写真は、CANON 5D Mark U・EF-24-105mm F4L IS USMで撮影。


 仁王門をくぐり少し歩くと左手に鎧坂と呼ばれる坂が現れ、 その先に金堂(平安時代)が見えてくる。
2010/12/25撮影

 金堂から見た弥勒堂
 鎌倉時代の建築
2010/12/25撮影

 潅頂堂(本堂)
2010/12/25撮影

 潅頂堂の屋根
 屋根には雪がかぶっていて、屋根の作る曲線が美しい。
2010/12/25撮影

 五重塔
 800年ごろの建立と言われる。 各層の軒下を縁取る白の彩色がアクセントになっている。
 こういう角度で見上げると、石段の延長上に五重塔が 乗っかっているように見える。
 石段の両側は石楠花である。 2002年の5月に来た時は、花が咲いていて明るかったが、 今回は凛とした雰囲気に包まれていた。
2010/12/25撮影

 五重塔と潅頂堂の檜皮葺の屋根は雪で真白。
 五重塔は小さくかわいらしい。 何枚も写真を撮ってしまった。
2010/12/25撮影

 石仏群
 五重塔の近くにある。
2010/12/25撮影

 奥の院へは、急な石段を登らなければならない。 石段に薄く積もった雪で滑りやすくなっていて、注意しながら一段一段登った。
 この日はスニーカーを履いていたのだが、意外とスニーカーの靴底は滑りやすく、 慎重に歩かなければならなかった。
2010/12/25撮影

 奥の院 御影堂
 原生林に囲まれた石段を登りつめて、奥の院に達する。 気温が下の潅頂堂あたりとはだいぶ違うらしく、雪の量が多かった。
2010/12/25撮影

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