デトニの部屋特別分室

憧れの欧州鉄路・2

【終着駅】の街から

:高速電車編

残念ながらテルミニ駅には、所謂「近郊電車」というものはほとんど運転されていませんでした。比較的長い時間滞在していた記憶がありますが、写真に残っていたのは以下の3系列だけです。それでも、昔からの憧れの「セッテベロ」と当時最新の強制振り子式電車に会えたのは幸運でした。

↓憧れのETR300系「セッテベロ」!かつて、弊サイト表紙を飾りました。ここに再び7両連接車体の全容をお目にかけます。反対ホーム側からは、終始列車が入っていたので撮れませんでした。しかしこのようにホーム側からでも、すっきりした写真が撮れるのは低いホームの有り難味です。

バッファーとライト、更には空気取り入れ口?(非常用連結器格納場所には見えません・・・)が一体となった先頭台車カバーのデザインは、同時期の2シーターレーシングカーに合い通じるものがあります!正面中央にある突起は、日本ならさしずめ「ヘッドマーク掛」???

当初から最高速度は180Km/hの性能を持っていたが、その後の近代化改造で200Km/hでの走行が可能になった。展望室からの眺めはさぞ、迫力があったに違いありません。

↓編成反対側の正面がちに見た同編成。よく見ると「空気取り入れ口グリル」の形態が違います!流麗なスタイルとは対照的に無骨な手動式(閉まるのは独特の「半自動」だと思います)のドアが目立ちます。「ゼブラマーク」は、テールサインか「ホーム滞留中」を表すものだと思います。

ホーム柱と階段柵部分に巧みにデザインされた「ベンチ」が誠に心憎い!老いても中むつまじいカップルがこれまた、いい雰囲気です。

↓「SETTEBELLO」(7人の美女)・・・トランプの「切り札」を描いたシンボルマーク。ローマ〜ミラノの南北大都市間を結ぶオール1等の正しく「特別急行」です。床下のボディマウント構造が良くわかります。

最近の情報でも格下げされた編成が一部健在であることが確認されています。


↓突如、姿を現した最新鋭の強制振り子式試作電車ETR400。オールアルミ車体で全長26mを超える長大な全電動車編成。量産されたETR450との大きな外観上の差は、ヘッドライト周辺(450は「ツリ目」)です。塗装部分は確か、ダークブルーだったと思います。

↓この中間車は、「調理設備」併設であろうか?短編成の電車列車では、専用の食堂車をもたずに、シートで食事をとる形式が多い。とくに「TGVタイプ」の列車が増えた現代のヨーロッパでは主流です。「食事」にはウルサイお国柄故・・・・「エサなし特急」は許されないでしょう!

イタリアの幹線では、直流3000Vが一貫して採用されていますが、こちらのパンタグラフは降下しています。パンタの数は「必要最小限」が原則なのは、ヨーロッパ共通です。この頃の「日本国鉄」とは、余りにも対照的です。低い車体のために、異常に高い取り付け位置が目をひきます。パンタ以外屋根上には何もなく、車端部も空気抵抗を減らす努力が見られます。

新しさと古さが、不思議な調和を見せる前頭部。「FIAT」の銘板が誇らしげです。日本で言えば「富士重工」でしょうか?ヒコーキ、クルマ&でんしゃもつくります!中間車より・・・確か1m以上延長(27.5m!)され、運転席は「オーバーハング」部分に位置している。多くのクルマが、オーバーハングが非常に短い(これも、乗り心地の良さの秘訣)のとは対照的です。

注目の台車は当時、在来線のみで高速運転を行なっていたヨーロッパ新型車の象徴であった「電磁吸着式トラックブレーキ」を備えた、軸梁式コイルバネ台車です。一目見て、長いホイールベースに比して車輪径が小さく、床面高が低いことが判ります。「砂撒き管」らしいものも見えます。

↓ほとんど、車体と同じ高さがあろうかという「デカパン」!その台座を、この角度から見ると・・・一目瞭然!

台車と直結して、車体傾斜時にもパンタをレール面と平行に保つ機構です。やがて、我が国でも「制御振り子式電車」で本格的に採用されます。

※イギリスの試作車「APT」同様に、強制式車体傾斜装置が実用化されたという情報がありません。この編成も、営業運転では振子装置は、作動させていなかったとの記事を見たことがあります。


「近郊形」のALe800系電車。海外ファンのHP解説によれば、4両での総出力は約1800KWで、最高速度は140Km/hとなっています。これも、かなり車体長が長いゆったりとした2扉車。編成はMcTTMc。独特の形態の正面貫通?扉とパノラミックウィンドウとの組合わせは「ビーバー」を想わせる。しかし・・・連結器は見当たりません。日本でも見慣れた「二段窓」ですが・・・下側は固定です。アルプスの北と違い、ローマの夏はかなり暑いですが、冷房などはありません。似た形態の「ALe600」は1M方式の長距離電車で、最高速度は160Km/hとのことです。このときは、クリームにオレンジのツートンだったが、現在は違うようです。

「ETR」は勿論「電車」で・・・固定編成の「特急」用電車です。「ALe」は、何を表すのでしょう?

1980年3月10日撮影

アサヒペンタックスSPF SMCタクマー35、55、85ミリ  プラスX(Microdol-X 1:3 21℃ 11min.)


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