解説・全短評
香歩問題としてはシンプルな形で、集客度は83。香歩問題61歩型の原型に65桂と56桂を追加した図です。
香歩問題の主な詰筋には、A:63桂、B:72歩、C:83桂の3通りがありますが、本作は上部脱出を防ぐ駒が配置されていないので、
ちょっと香歩問題を知っている人なら、C筋しかないとひと目でわかります。
83桂不成といけば、92角合までは定跡手順。
ここで同香成と81歩成の二つの手がありますが、どちらでも同じ形に還元するので大丈夫。
74角成に91玉は、82角、81玉、72金、同玉、73馬以下。
したがって、74角成には81玉です。
ここで、63馬、74馬を繰り返しては千日手。
72角も有望な手ですが、いまひとつ足りません。
56桂の活用を見越して、72金と捨てるのが好手。
金を桂に置き換えて、なんか利きが弱くなるだけのようで不安になりますが、73の地点が空いたことが大きいのです。
これにより、64桂、81玉、63角、91玉、73馬という手が生じて詰み形になります。
73馬には、横に利かない駒では81角成から72桂成があるので、金合か飛合。 取られたとき手数の長い金合が正解です。
本作は、コンピュータの支援で創作(発見)した問題で、eurekaは、私のコンピュータ支援作品用のペンネームです。
いったいどんな風にコンピュータを活用したのか、興味のある方は、詰将棋創作プログラミング 6 大道詰将棋を作る をごらんください。
それでは解答者のみなさんの感想を。 解答到着順です。
- 永島勝利さん:
- これって、新作なんですか?デジャブがありますが・・・
シンプルな形にオーソドックスな手順なので、既視感はありますが、データベースで「v71玉、65桂、56桂」配置を調べたところ、1作も見つかりませんでした。
といっても、上記の創作プログラミングのページでは2月に図面を出しているので、それのことでしょうか。
- 市原誠さん:
- たしかに、オーソドッグスですね!
- 佐藤司さん:
- 今日はまだ6月5日、にも拘らず何と暗算で解けてしまいました。
昨日は、将世のサロンが30分強で全題解答、要するに、どちらもかなり易しかったのですね。
700号の前祝いで、大サービスしていただいたのでしょうか?
全国大会も、宜しくお願いします。
全国大会では大道棋の大きな盤が二つも並んでましたね。
- 加賀孝志さん:
- 角問題は昔新宿で、手を出しました。収束に工夫アリ。
- 小山邦明さん:
- 11手目で同香成や13手目で92香成、同玉、74角のような手順だと2手長くなりそうです。
56桂配置で、72金捨てと82金合いが出てくる収束の手順の感触は良く、また22手目71玉の変化では、64桂からの 成り捨ての手順もあって、とても良い作品だと思いました。
64桂に71玉は、93角、81玉、72桂成以下。気持ちのいい手順ですね。
- 岡崎行晃さん:
- 余り駒なしのスッキリした詰上りでした。
今回は易しかったので助かりました(ありがとう!)
- 山下誠さん:
- 金捨てから桂跳ねの辺りが考えどころ。懐かしい手触りの一局。
- 前田知弘さん:
- コンピューターでの創作が悪い事だとは思いませんが、私は全てを委ねる気にはなりません。
他人が作ったのと同じですし、何より自分で考えた方が楽しいですから。
コンピュータは、まだ全てを委ねられるほど賢くないので、当分は心配いりません。
- 大下進さん:
- 6手目角合(93角)10手目角合(92角)2度の角合が発見出来て良かったと思いました。
よかった問題です。
- 長谷繁蔵さん:
- 56桂1枚で面白い収束になっています。最初から角角合の筋で考えました。
長谷さんなら、すぐに角角合筋とわかったことでしょう。
- 井上賢一さん:
- 初形が良いし、作意も割り切れて、これはひとつの発見ですね。
- 竹中健一さん:
- このようなシンプルな形が未発表ということが信じがたい!
しかもコンピュータでの作図(発見?)というのも意外です。
シンプルな形は組み合わせの数が少ないので、コンピュータが活用しやすいジャンルですね。
- 占魚亭さん:
- すっきり素直な手順。数十年後にはコンピュータの大道棋屋が出現する?
- 鈴木彊さん:
- 連続角合、馬をつくり金を捨て64桂で筋に入る。見事な手順でした。
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