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 記録に挑戦! 第34回
最近の記録作(3)
加 藤  徹 
詰将棋パラダイス2007年11月号より
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 4月3日、おもちゃ箱掲示板にドうえもんさんの全手順縦移動21手の作品投稿があり、これを契機に4月末までまた記録レースが行われました。

 今回のテーマは、全手順縦移動、横移動、縦横移動の3種類。全手順というのは着手も応手もすべてということ。 これまで全手順斜め移動(平井孝雄さん「斜行」27手)はありましたが、縦移動や横移動は今回が初めてです。

 今回はこの4作と、その発展で創作された初形対称の記録作を紹介します。

 いずれも長手数のため、詳細な手順はおもちゃ箱でご鑑賞ください。
 (「詰将棋おもちゃ箱」で検索)
ドうえもん 全手順斜め移動 41手 全手順斜め移動 41手 ドうえもん
  おもちゃ箱 2007年6月

 全く余分な手がない、くるくる(やさしい趣向詰)の見本のようなきれいな作品。趣向の目的が87桂消去だけというのもシンプルでいい。

 銀ベルトによる斜め移動は良くみかける手順だが、と金の斜め送りは新鮮で、記録作ということを抜きにしても楽しめる。

 注)全手順斜め移動は現在ではドうえもん 67手が記録
岩田俊二 全手順縦移動 39手 全手順縦移動 39手 岩田俊二
  おもちゃ箱 2007年6月

 17龍、27と、28金、36玉、56龍、46と、という左右からの龍の挟撃+金追いによる6手サイクルの縦移動趣向により全手順縦移動の長手数記録を実現した。

 盤面半分をフルに使った雄大な趣向は、もちろんオリジナル。5枚もの駒を移動させる趣向は珍しい。

 収束は左辺の馬の利きを使って、更に手数を延ばす(ここは残念ながら手順前後あり)。
岩田俊二 全手順横移動 67手 全手順横移動 67手 岩田俊二
  おもちゃ箱 2007年6月

作者「箱根細工です。逆に考えていけば、簡単に解けます。」

 と金ベルトによる知恵の輪。知恵の輪を解くキーが順番に連動していて、作者のことば通り箱根の秘密箱を思わせる精密なからくり。

 全手順横移動は最後は岩田俊二さんと本間晨一さんのデッドヒート。本間さんは4手違いの63手だったが、本作発表後67手に改良、タイ記録となった。

 注)全手順横移動は現在では本間晨一 69手が記録
馬屋原剛 全手順縦横移動 139手 全手順縦横移動 139手 馬屋原剛
  おもちゃ箱 2007年6月

 縦横移動も岩田さんが97手の作品を創作し3部門とも制覇かと思ったが、レース最後に馬屋原さんの139手という大作が登場。

 本作は「桃花源」と同様の一手馬ノコで、その切り替えのキーを反対側の馬の移動にしているため、1マス進むごとに玉の左右往復が必要になり、139手の長手数になった。

 構造はちょうど「明日香」を横にしたイメージだ。

 注)全手順縦横移動は現在では馬屋原剛 141手(上記の改良図)が記録
馬屋原剛・山崎健 初形対称 301手 初形対称 301手 馬屋原剛・山崎健
  おもちゃ箱 2007年7月

 馬屋原さんの作品に感動した山崎さんが、馬ノコを往復にして301手の長手数作品に。

 全手順縦横移動ではなくなったが、初形左右対称にしたてあげ、こちらの分野の長手数記録作となった。

 山崎さんは、おもちゃ箱初登場以来4作すべてが300手超えというスーパー新人で、最近では「くるくる(やさしい趣向詰)」にも挑戦。これからも活躍を期待したい。

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