宿題「夏」　　　　竹内　八重　選
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秀吟

　夏祭り浮かれた金魚掬われる　　　　利光ナヲ子
　老いらくの恋だ夏パテなどはせぬ　　上嶋幸雀

入選

大胆にボタン外せる夏が好き　　　　 　　寺川弘一
生きのびてやろうじゃないか夏がくる　　大東豊子
木石の目へ恐るべき若い夏　　　　　　　上嶋幸雀
暑中見舞虎の不振に愚痴ばかり　　　　河津寅次郎
夏空を一気飲みする缶ビール　　　　　井本清山
亡き人もいてにぎやかな盆踊り　　　　天根夢草
ばい菌が千匹増えて夏になる　　　　　金築雨学
いびつだが今もぎたての夏野菜　　　　菱木淳一
UVと書いた帽子の価格無視　　　 　　勝本冨美子
夏の革いのちいのちと伸びてくる　　　谷口節子
落とし穴の中が涼しい頃となり　　　 　金築雨学
喜寿の母河内音頭で背が伸びる　　　　油谷克己
年賀状ほどには出さぬかもめーる　　　秋貞敏子
夏だ夏だと朝から蝉が大さわざ　　　　中村　和
かき氷崩れどこかへ消えた恋　　　　　上嶋幸雀
夏祭り肩で船こぐ豆絞り　　　　　 　　 　笠田幹治
アルプス席の母が冒深に夏帽子　　　　倉　周三
カラフルに生きております夏野菜　　　　三村　舞
図書館で眠れなくなる夏休み　　　　　　永井玲子
墓参りには井戸の西瓜と母が待つ　　　永藤弥平
鰻食べて今年も元気夏祭り　　　　　　　西内朋月
クーラーとテレビのリモコン妻が持つ　　山田義則
夏痩せに食べるうなぎは日本産　　　　西内朋月
お昼から洗濯しても乾く夏　　　　　　　　秋貞敏子
風鈴のやさしい昔に騙される　　　　　　嶋澤喜八郎
よそ見している間に伸びる夏の草　　　谷口節子
お祭りの家族の浴衣しわ伸ばす　　　　勝本冨美子
夕立を相談してるような雲　　　　　　　　森　廣子
夏野菜いっぱい持って従姉くる　　　　　西原珠眞瑛
屑籠にティッシュが溜る夏の風邪　　　西内朋月
水遊び水と一緒にはしゃぐ夏　　　　　三村　舞
境内は昔のままの噂しぐれ　　　　　　油谷克己
ひと夏の恋向日葵が燃え尽きる　　　　倉　周三
夏が好き汗は弁解しないから　　　　　嶋澤喜八郎
八月やケロイドの背に汗流る　　　　　永井玲子
老いて今サマータイムで昼寝する　　　井本清山
夏帽子ルンルンルンとペダル踏む　　　前田孝亮
打ち上げ花火昔だけ聞いて妻と酌む　　両澤行兵衛
花火消え疑惑ますます深くなる　　　　　鴫澤喜八郎
きっぱりと夏を押し出すところてん　　　菱木淳一
左前浴衣娘がよく笑う　　　　　　　　　　両澤行兵衛
一年分もうけなくては　海の家　　　　　天根夢草
日帰り旅行たっぷり遊ぶ夏時間　　　　足立千恵子
陸奥の旅お化けが遊ぶ蚊帳の外　　　　神野宇乃子
缶ビール百本あれば夏越せる　　　　　　松谷大気
浅漬けに今朝とれとれのナスキュウリ　　足立千恵子
真っ赤だと信じて西瓜真っ二つ　　　　　　神野字乃子
梅漬けは夏の日差しを待ちわびる　　　　西原珠眞瑛
物言いの土俵に上がる夏羽織　　　　　　倉　周三
それなりに猫の額の夏野菜　　　　　　　　利光ナヲ子

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