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■ 日本語エディタ「褌・エディット」−作文職人−の開発日記 巻之六

 ヘイ!1994年だ。
 奥山さんからのメールでScrollingを使ってのスクロールがぎこちないとのことだ。ダウンロードして使ってみると確かにぎこちない。追っかけてみると、最下層のテキストジャンプルーチンでの位置判定が甘いとわかった。とはいえScrollingを使わなければ表面にでないうえ、実用上問題ないのにねえ、罪なユーティリティだ。
 褌のスクロールバーの位置とテキストのスクロール位置は行数ではなくバイト位置対応なので、思いがけず大量に移動することもある。これは仕様だ。
 どうやら、奥山さん作の褌の綴れは、アイディアが固まってきたようだ。
 小林 栄さんの環境でIndents...が落ちるという報告があったが、INITとのコンフリクトらしい。ただ、Indents...に問題がないわけではないだろう。綴れファイルにシンボルを入れておくべきだった。
 PowerBambooさんと松下さんから、PB100でコケるとの報告があった。ヤバいと思ったが後の祭。Color QuickDrawを持たないシステムのことをすっかり忘れていた。ウチのPlusでもちゃんとコケた。まあ、これは原因が完全にはっきりしている。マルチモニタ対応のコードの部分だ。シンボルを入れていたおかげで、一瞬でコケてる場所が特定できた。
 0.9b4は非常に寿命が短いバージョンだ。
 石川さんから、名古屋の草の根ネットに転載する旨通知があった。本当に徐々に、褌は広まりつつあるんだなと思う。
 VJE-γのユーザ辞書をMacVJE向けにコンバートしようとしたら、「こんな品詞知らないよ」と叱られた。【学習】にひっかかったのである。VJE-γは動作の効率を上げるため、辞書の互換性を放棄したらしい。放棄するのはかまわないが、コンバータは用意して欲しいなぁ。知らない品詞はコンバートしなくていいからさ。やれやれ。一方通行か。こちとらClassic IIが壊れるまでSystem 6を使おうというハラ積りなのにさ。

褌0.9b4 / 1994.01.08

 そろそろかな、ということで、褌のバージョン番号を1.0にした。もはや、印刷がまだ未実装などとはいわせない。印刷はしない!ってことに決めた。インラインに関しても同様だ。この2つの機能はもし実現したとしても、明らかに自分では使わないとわかっている。変に期待を持たれるよりは良かろう。
 奥山さんからの報告で、プラグインの初期化呼び出しがこない、とわかった。まさかこんなバグがあろうとは。ひどいミスだ。
 挿入系のプラグインを実装した。小林 栄さん、インタフェイスは用意しましたので、褌の綴れよろしくね。ふふふ。挿入系の褌の綴れのサンプルとして、日付挿入を実装。こんな機能、使い道あるのかなぁ。
 2度目以降のプラグイン使用時にダイアログを出させないオプションを実装。今後は最初からまったく出させないことにもなるかもしれないから、Redo要求時の動作を完全に規定しよう。そろそろPreferences...を機能別にサブメニュー化すべきかもしれない。いい加減項目がならばなくなってきた。

褌1.0 / 1994.01.12

 奥山さんからのメールでPreferences...のサブメニュー化を促す話があった。考えることは一緒だねぇ。宮武さんのWith Youは、まだβ版なので、転載は不可のようで残念だ。是非使ってみたいもんだ。
 褌の綴れ仕様書を新版に合わせて修正。多少(でもないか)拡張された。まあ、なんといっても挿入系ができたってのが大きいな。
 ドラマーも決ったし、最初の練習日も決った。あとはライブまで頑張ろう。

褌1.0 / 1994.01.13

 既存の褌の綴れを新版の仕様に合わせて修正。すでに決ってしまった設定での変換にダイアログがでないってのは案外イケるね。
 Preferences...のサブメニュー化をした。直接の原因はコントロールキーバインドの設定を可能にしたためだ。バインドの設定をPreferences...サブメニューの一部におくことで、自然に変更できるであろう。まあ、これも自分では絶対使わない機能なんだけどね。
 Plusで、シフト+アローキーでの選択を実装した。数字キーボードとキーコードがぶつかっているので、IMでは「やったほうがいいならやってね」と弱腰な記述だ。なるほど標準キーボードでキーコードを変えてしまうわけだ。これで、褌は現存するキーボードに依存することになった。まあ、未来にアローキーのキーコードが変更されるとは考えにくいけどね。もはや影響が大きすぎる。
 冗談の一部として、国粋リソースを作ってみた。メニューとダイアログを日本語化しただけだが、アップル標準の用語とは若干違いがある。主に、英語でのメニューにとまどいを感じる初心者向けの配慮とも考えられるが、「ResEditでペーストしてね」と初心者に言うべきではないんだよねえ。矛盾したリソースだ。別リリースするつもりはまったくない。国際版→国粋版へのアップデータでも付けようかな。それもあんがい面倒だよなぁ。

褌1.0 / 1994.01.17

 ディレクトリアシスタントやデフォルトフォルダ等のExtention関係をインストールしていなくても、System7でのHun Plug認識が怪しい。
 通常はシステムフォルダにHun Plugを用意していたので気付かなかったのだが、確かにSystem7では本体のあるフォルダのHun Plugが認識されない。うーん特にNUMの問題ではなかったんだなあ。
 調べてみると、PBOpenWDの問題であった。またこいつか。いつぞやはAppleTalk関係でお世話になりました、はいはい。確実にPBOpenWDはSystem6とSystem7で動作が違う。存在しないフォルダをOpenしてもエラーにならない。これじゃ本体のあるフォルダのHun Plugが認識されないのもあたりまえだ。しかたがない、System6とSystem7を判定して動作を変えよう。FSMakeFSSpecが目的の動作に合うようだ。存在しないフォルダを指定するとちゃんとエラーを返す。まいったなあ。こんなことIMには書いてないよぉ。それとも有名なバグなのかなぁ。

褌1.0 / 1994.01.20

 たまにIIcxをSystem6.0.7で使おうとしたらSadMac様があらわれてしまった。しかたがないので、インストーラを使って再インストールしたが、どうにも起動しない。Grand Vimage関連だと思うのだが「必要なリソースがない」などと怒られてしまう。インストーラを使うなってことかい?
 フロッピーでは起動するので、調べてみると、普通にコピーした6.0.7.1に6.0.7をインストールしたのが悪かったようだ。英語版System7付属のSystem6(DiskTool)をコピーしたシステムだと問題がでない。6.0.7.1はかなり特殊なシステムヴァージョンらしい。Monaco9フォントのコピーもできないしね。数字が上がっているからといってやたらと使ってはいけないようだ。32BitColorQuickDrawのロード時に落ちる。
 どのマシンでも使えるシステムはもはやSystem6ではつくれないってことなんだね。まいったまいった。
 System6でartWORKSを使ったときにメニューが怪しい動作をするのはシステムフォントが本来のOsaka12でないときだと判明した。普段はSystem7で使うから問題はないが、かなり怪しいことにはちがいない。まさか自力でメニューをハンドリングしているのではなかろうな。
 Classic IIではデフォルトのシステムフォントではartWORKSのメニューがギリギリはみでる。キースクリプトのアイコンやマルチファインダのアプリアイコンが邪魔なのだ。使いやすい大きさのシステムフォントである、KT7.1のOsakaを入れると、やはり怪しい動きをする。どうにもならないジレンマだ。モノクロシステムでは使うなってことだろうね。まいったな。
 テクスチャの選択ウインドウの問題は再現しなくなった。なんでだろう。


 褌1.0のコンパイル時間調査報告

09:02 Classic II(内臓HDD)通常 System6.0.7.1
08:17 Classic II なんにもなし System6.0.7.1
08:14 Classic II(IIcx Plusと同じHDD) なんにもなし System6.0.7.1
03:42 IIcx(DayStar PowerCache 50MHz 外付けHDD) 通常 System7.1
03:30 IIcx なんにもなし System6.0.7
03:31 IIcx なんにもなし System7.1
03:32 IIcx なんにもなし System7.1 24Bit
05:00 IIcx なんにもなし System7.1 24Bit Cache OFF
08:02 Plus(BrainStorm 68000 16MHz 外付けHDD) 通常 System6.0.7
07:45 Plus なんにもなし System6.0.7

 ファイルI/Oが多く発生する処理ではあるが、システム的にIIcx+PowerCacheの速度はClassic IIの約2.4倍といえる。「通常」と「なんにもなし」の差はたぶんMacsBugの存在が大きく反映していると見られる。ただ、その比率は1割に満たない。もっと差があると思ったんだが、コンパイルは処理的にToolBoxをさほど多用しないからだろうか。CacheのON/OFF(クロックが下がるわけではない)での比が1.4倍程度なのは、まあ妥当か。体感速度は全然違うけどね。もうじき、このスピードにも不満を感じるようになるんだろうな。やだなぁ。
 もしやと思い、強化型Plusで同じ試験をしたら、Classic IIより断然速かった。本当にClassic IIは68030 16MHzなのだろうか。68000 16MHzシステムの方が速いなんてことがあるとは。まあ、Plusの方は回路に無理をさせているはずなので、安定して動作するClassic IIと比べるのはコクだが。にしても、本当にClassic IIは68030を活かした作りじゃないんだね。まさか内部回路は8MHzで動いているんじゃないだろうな。この速度だとありえるな。68030の速い分が、回路の遅さで相殺されているのかもしれない。

褌1.0 / 1994.01.22

 奥山さんの指摘で、FMACPROのDebug Folderでの発言見落としがわかった。ComNiftyでオートパイロットしたまま忘れていた日があったというわけだ。
 佐藤HIRoPonさんの報告で、文書を一回開いた後、保存せずに閉じると、ファインダで削除できなくなる現象が発見された。追試をすると、確かにSystem7環境では削除できない。System6では削除できる。ということはSystem7関連の機能が怪しい。
 予想通り、System7固有の機能である発行関連で、文書のリソースが開きっぱなしになっていた。エラー時の動作が間違っていて、リソースを閉じるコードを通っていなかった。単純なバグで良かった。
 小林英樹さんからの指摘で、行間を開ける件を考えたら、随分楽に実装できるとわかった。で、とりあえず実装した。この設定を文書単位で記録すべきかどうか迷うところだ。ま、一応ということで環境単位にしておこう。
 で、コマンド+上下キーで移動しているときにステータスが変わるオプションを用意した。多少重くなるけど、今まで要望がなかったのが不思議だ。
 シフト+上キーでアプリエラーが発生するタイミングがあると判明。追いかけると比較的単純なバグが発見された。まだこんなのがあるんだねえ。修正。
 日曜日に1回目のスタヂヲ入りをはたした。初回にしては上出来の演奏だった。1週間前の夢見が悪かったのでかなり不安だったが、これで一安心だ。
 ミニコミ誌「彼方」向けの原稿を書き終った。パソコン関係に詳しい人には陳腐な内容だと思われるだろうが「黒船としてのマイクロソフト・ウィンドウズ」というタイトルだ。パソコンを知らない人にも読めるように、詳細な(独断に満ちた)注釈を付加してある。
 YMO時計が何度かリセットしてしまって、その度に取り替えてもらったが、これは故障ではないと判明した。ライト以外のボタンを全部同時に押すと、リセットしてしまう仕様のようだ。こんなこと取説にはまったく書いてない。私は、いつのまにか3つボタンが押されてしまうような左手の動作をするらしい。なんにせよ、安心して使えない。リセットはもうちょっと複雑な動作を要求しないと、誤ってリセットしてしまう。やっぱり欠陥商品だったんだね。ま、原因がわかれば対策もしやすい。

褌1.0 / 1994.01.28

 2度目のスタヂヲ入り終了。なかなか格好が付いてきた。懸念された「磁力線」もなんとかなるじゃん。「正弦波」のドラムも良くなったし。ザッパ西崎の冗談のまま「モンゴロイドが来るぞ!」はベンチャーズ・スカ・バージョンでやることになってしまった。責任とって完成させるんだぜぃ。
 褌の1.0アップの準備をしようとしたら、小林 栄さんからのバイナリメールが届いていた。試作品(?)の褌の綴れだ。あれ〜、もう少し待ってくれればInsert系の仕様がアップされたのに、タイミングの悪いヤツ。しかたがない、私が直そう。
 宮武さんのWith You(Nifty FJAMESに奥山さんが転載してくれました)を使ってみたが、マルチモニタだとフローティングウインドウがモニタ間にまたがってしまうので、イマイチ使いにくい。コンセプトは最高に面白いので、あとは細かい使い勝手の向上かな。カレントのモニタからはみでないようになってくれるといいんだが、日経MIXには入ってないから連絡しようもないな。はて。

褌1.0 / 1994.01.31

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OSTRA / Takeshi Yoneki