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■ 日本語エディタ「褌・エディット」−作文職人−の開発日記 巻之一

 インラインをTSMで行なうユーティリティが出現した。Inline++TSMである。とりあえずは、このエディタでインラインをサポートする必然性はなくなった。まあ、将来的にはサポートすべきとは思うが、あえて必要かどうかは何ともいえない。まだ評価版なので安全には使えないが、実力のあるプログラマが作成したので、将来的には安定すると思う。もっとも、インラインの嫌いな私が使わないのは自明だが。それにしてもInvertRectでキャレットを判断するとは、ずいぶん思いきった発想だと思う。
 エディットメニューをほぼ実装してようやく0.3aになった。あとはSelect Allとダブルクリックの単語選択だなあ。ああ頭がいたい。なんでこんなもの作り始めちまったんだろう。Searchの実装なんて地獄だよなあ。
 表示がどうもあまり速くないように思える。オフスクリーンを使っているからかもしれない。CopyBitsを20数回呼ぶだけでそんなに処理を食うかなあ。表示のための行再評価が重いのかもしれない。だとすれば高速化は原理的に不可能だ。タブとコントロールキャラの表示をサポートしたためだからしょうがないか。Rectの計算に掛け算があったなあ。あれをあらかじめ計算しておくという手も考えられる。でも、80万回のサブルーチンコールでのパラメタをひとつ減らして1秒だもんなあ。意味ないなあ。
 アップデート時の再描画のときにvisRgnをチェックするようにしたら、日本語の入力が劇的に速くなった。変換ウインドウが重なっていたばあい、消えるタイミングでアップデートイベントが発生するなんて....考えればあたりまえか。ああでも、これで描画時に毎回visRgnの判定をするはめになってしまった。これでまたスクロール時のスピードが落ちてしまう。トホホ。マックで高速なエディタというのは夢なのね。
 ウインドウサイズの変更を実装したら、どうも表示される行数がおかしいことに気がついた。よくよく調べると行の高さの計算でleadingを忘れていた。これじゃ合わないわけだ。
 ResEdit2.1でIconを作っていると、やたら落ちる。やはり2.11を導入すべきなのかなあ。THINK Pascalのヴァージョンが上がって、2.11が付属してくれると嬉しいんだけどね。
 KT7.1で変換ウインドウをテキストの上にすると、文字入力で行の移動が発生したばあい、表示が回復されないと気づいた。System6ではこの現象はない。すなわち、System7では変換ウインドウが消えることによるアップデートイベントが、キー入力イベントの後に来る....なんてこった。キー入力時に表示も同時に行なってはいけないということか。こんなのありかよ。どうやらTEでは行移動が発生したばあい、入力位置以降のテキストを毎回画き直しているようだ。ずるいなあ。まあいいやこの問題は放っておこう。明らかにTSMの問題だ。
 まだまだ褌は安定しないなあ。メモリエラー40か。なんだろうねえ。

褌0.3a / 1993.06.09

 Inline++TSMは次のリリースで2 Pixel幅のキャレットに対応するそうだ。なんだかわがままをいってしまったようで、恐縮する。INIT/CDEV開発の苦労をコメントしていたが、なんといってもユーザのねぎらいがあってこそのフリーソフトだと思った。私なんかはINIT/CDEVに手をだす気にもならないもんなあ。トラップのフックなんて考えるのもいやになる。DAでさえ嫌いだもんなあ。まあInline++TSMは十分に報われるユーティリティだね。すでに大評判だ。
 ああ、単語登録したら、セレクトの反転にまだ問題があるとわかってしまった。FEPによるダイアログ表示のときは、ディアクティブイベントは発生しないのね。トホホ。どうやって回避しようかなあ。
 とりあえずプリファレンスの設定ができるようにした。まだ単語選択もSelect Allも実装していないのに、何を血迷っているんだろうね。あとは、フォントの選択と文書の選択を実装すれば、とりあえずは使える状態になる。
 新しいアイコンは結構気に入った。やっぱりシンプルが一番だなあ。オバQのドロンパの模様に似ているのは、気のせいであろう。
 平沢進のアレンジでノリピーに歌わせるとは、NHKのポップジャムは、あなどれない。二人の共通点は「ピー」しかないではないか。そもそもノリピーはP-Modelなんぞ知らなかったろうに、罪なことをするもんだ。でも、平沢のプロデュースで、ノリピーのアルバムがでたら嬉しいなあ(何が?)。
 褌のリリースはまだまだ先だ?

褌0.3a / 1993.06.10

 フォントのサイズを変更すると、やはり怪しい動作がでてきた。ウインドウサイズより大きいフォントを扱えない。まあ、テキストエディタなんだから、事実上の問題はないが、とりあえずそのあたりも、きちんとしておこう。
 ASLEdit+の文書ファイルとの互換をとるために、山田議長にETABリソースについて質問した。ETABの1ワード目はスペース1キャラの幅だそうだ。うーん...いわれてみるとそれしかないんだよねえ。まあ、あてずっぽで作るよりは、質問してよかった。
 文書選択ができるようになったので、複数文書を簡単に扱えるようになった。いままではいちいち、トップのウインドウをどけながらエディットしてたからなあ。
 フォントサイズの「その他」のダイアログで、ESCキーを押してもキャンセルしない。Escapadeは実績があるから、こっちのアプリの問題のはずだ。タブサイズのダイアログはキャンセルする。....Canselって何だ? Cancelの綴りが違う。うわー恥ずかしい間違いだ。ということはこのリソースのもとにした、TEXTjackもCanselになっているということだ。あれえ〜。こんな程度でアップするのは問題があるなあ。でも恥だよなあ。もう枯れてるからTEXTjackはアップする予定はないもんなあ。どうしよう。
 ようやく、文書ファイルのダブルクリックで、アプリが起動するようになった。これで試験の手順が若干減る。若干だけどね。さすがに何度もやってると嫌になる。
 で、またどうでもいい機能を加えてしまった。$11〜$14を^Q〜^Tとするオプションだ。コントロールキャラの中でこれだけは、フォントがあるばあいがある。逆にこれらがフォントを持つとして作ると、幅0のキャラクタだったりするから非常に都合が悪い。このへんもユーザの選択に任せるべきなんだろうね。あと、鬼子である$7Fも'7F'と表示することにした。これで表示できないキャラクタはなくなった。はずだけど、英語のフォントは$D9〜$FFまで幅がない可能性がある。どうしようかねえ。日本語なら埋まってるんだけどねえ。まあこのへんはどうでもいいか。
 コピーの速度改善も必要だなあ。いまのやり方では遅すぎる。

褌0.4a / 1993.06.11

 YMOの再生コンサート最終日に行ってきた。で、いま、インタビュー本を読み終わった。自分の勘を少しは信じて良いと思ったが、かなり音楽的な感受性がおちてしまった点を反省せねばなるまい。反省してどうなるわけではないが。アルバム「TECHNODON」は総じて私は気に入らなかった。ただ、「BGM」の例があるので、毎日飽きずに聴き続けた。聴き続けることができるだけでも、合格のアルバムだが、ピンとくるものがなかったというのも確かだ。もっとも取っ付きやすい作品は「BE A SUPER MAN」と「O.K.」だが、これは過去の作品に非常に近いからだと思う。ただ、1曲だけひっかかっていた作品があった。「WATERFORD」である。
 で、再生コンサートである。彼らの演奏する「WATERFORD」を聴いて、これが今回の再生YMOにとって最も重要な作品だと感じた。ステージ全体の音のトーンは幾らか「ウインターツアー」を思い起こさせるものであったが、「ウインターツアー」の暗く、重い調子ではなく、軽いのだ。「ウインターツアー」がYMOコンセプトの行き詰まりを現していたとすれば、今回のコンサートは、軽やかだった。大人になった(笑)のである。
 「CUE」がわび・さびだとすれば、「WARTERFORD」は軽みである。非常に心強い軽やかさを感じた。再生するまでは、軽みは「浮気な僕ら」のことだと考えていたが、それは間違いであった。真面目に軽やかに音楽を作ることができるのである。
 まあ、客の反応は(私も含め)、昔の作品にのみ総立ちという、予想されたパターンだった。この点も「ウインターツアー」を髣髴させる。私は今回のステージをあえて「サマーツアー」と呼びたい。軽すぎる命名かもしれないが。
 想えば「BGM」も最初はまったくピンとこなかったアルバムだった。取っ付きやすかったのは「BALLET」と「1000 KNIVES」だった。ところが「CUE」が気になってくると、「CUE」こそが重要な作品であるとわかったのであった。
 インタビュー本を読んで、「WARTERFORD」が最も重要な、重要でないとすれば象徴的な作品であるとの確信を得た。「音楽を作る歓び」という。
 とりあえずの確信を、YMOに対する疑問の一部を納得した私は、久しぶりに「TECHNODON」を止め、原田知世の「GARDEN」を聴いている。方法は違えど、心強い軽やかさを持って「音楽を作る歓び」を表現しているからである。

褌0.4a / 1993.06.12

 さてと、ダブルクリックの単語選択を実装したぞっと。私はインサイドマックをIVまでしか持ってない。よって、スクリプトマネージャを真面目に使いこなせないため、独自の単語選択になってしまった。若干、他のアプリでの単語選択とは違うかもしれない。また、日本語以外の2バイト文字にも対応していない。
 それより問題は、画面上にある文字しか見ていない点であろう。実用上さほど問題があるとは思えないが、単語単位での移動を実装するときに問題になるであろう...そうでもないかな。キーボードでの移動時は上下1行ずつ開けるようにしてるから、さほどおかしな動作はしないだろう。意地悪なテキストには対応なんぞするもんか。
 あとは検索置換変換関係と行番号ジャンプだなあ。行番号ジャンプは問題ないとしても、検索置換変換は地獄だなあ。とりあえず、行番号ジャンプの実装で、評価版としてアップしよう。検索の実装前に、可能なかぎりバグ捕りをしなくちゃね。
 そうなるとアバウトのためのPICTをつくらなくちゃだな。あ、16進数値による入力も作らなくては。まだまだいろいろあるなあ。
 まいったなあSystem7でテキストメニューが死ぬという怪奇現象がでてしまった。困った困った。

褌0.5a / 1993.06.14

 思いがけないバグで思いがけない動作をするもんだ。メニューの問題も解決したし、アバウトも作ったし、あとはジャンプかな。
 ジャンプ時のキャレットはどうしようかなあ。やはり目的の場所に持ってくるべきだろうか。どうしようかなあ。
 16進数値による入力もできたし。いよいよロードテストの時期にさしかかってきた。アップのための準備を始めよう。まあ、まだいろいろと微調整が必要なんだけどね。
 externalを使うと階層と無関係にサブルーチンが呼べるとわかった。あんまり多用するのは問題だが、エラー対処のばあいはしょうがない。
 アップ版は0.7aになるのかな。

褌0.6a / 1993.06.17

 さてと、いよいよ評価版がかたまってきた。気になっていたMBBTextをダウンしたが、どうやら目的がずいぶんと違うエディタのようだ。文字単位でのスタイルの変更ができるということは、基本的にワープロ指向のエディタと言える。まあ、私ならワープロを使うところだな。
 Inline++TSMの作者の表現では、VJEのほうがKatana4よりそうとう安定しているとのことだ。もう乗り換えてもいい時期かもしれない。マックワードならSystem6用のVJEも付属するから、ワープロ本体もこのさいダイナウエアにしてしまおうかな。どのみちワルツワードはあまりにも使えないワープロなんだからね。9800円のライトパルのほうがよっぽど使える。ああ、なんでアシストワードはEGBridgeにしたんだろう。ミンソフトファンとしては、ついでにVJEが手に入れば言うことなしだったのになあ。
 ええと、ステップ価格で38000円。近所のマイルストーンでは...あれ、載ってない。まあ税込み4万ってところかな。久しぶりにマイルストーンに行ってみよう。あと、ついでにIMのVも買ってしまおう。多分スクリプトマネージャの記述があるはずだ。

褌0.7a / 1993.06.18

 マックデベジャの創刊号を読むと、AppleEventの基本的な実装が掲載されている。よくよく読んでみると実に簡単なものだった。これだったら褌に、ついでに入れてもいいかなという気になった。で、いざやってみると、インサイドマックの6巻目がないとどうにもならないということがわかった。うーんIM VIを買うのかあ。いたいなあ。IMのVとマックワードを買ったばかりだもんなあ。でもAppleEventは実装したいしなあ。AE対応のエディタなんて持ってないもんなあ。
 そういうわけでマックワードを買ってしまった。直接の原因はライトパルがMr.BusErrorに引っかかる(ヌルポインタアクセスをしている)と判明したからだ。VJEの実力はこれから知ることになるが、System7ではKatana4より体感速度は速い。一覧ウインドウがキビキビ開くのだ。Katana4の変換ウインドウは、どっこいしょと開く。雑誌の評ではKatana4が最も速いなどと表現していたが、まったく当てにはならないとわかった。
 マックワードのパッケージのどこにもレジストカードがないんだよなあ。月曜日になったらダイナウエアに電話しなくちゃ。
 オプションなしのときのダブルクリックの単語選択に、スクリプトマネージャのルーチンを使った。これで通常の単語選択は一般的な形になった。でもこれだけのためにIM Vを買ってしまうとは、哀しいなあ。
 Katana4からユーザ辞書をVJEに変換できてよかった。これで違和感なくVJEに移行できた。具体的には、Katana4ユーザ辞書→ことえりテキスト→VJE原稿→VJE辞書、という中間ファイルを2つ経たものだ。たいがいのデータはすんなり通ったが、一部欠落が生じた。たいしたものではないが。これで晴れてVJEユーザである。もうKatana4などという肩身のせまいソフトを使わないですむとおもうとせいせいした。全国のKatana4ユーザの諸君。VJEに乗り換えた方が身のためですよ。思えばまる2年もこんなソフトに頼ってたんだなあ。反省。

 IM VIを買ったぞー。必須AppleEventはちゃんと動作する。AppleEventのテストのためのアプリが、FinderとJGAwk Interfaceしかないというのは結構寂しい。でもまあ、やっとJGAwkとの連携プレーが可能になった。FSSpcからワーキングディレクトリを得るところの発想がなくて、ちょっと苦労した。結局は低レベルコールを使うはめになるところがファイルマネージャの良くないところだなあ。
 これで、とりあえず、評価版ができた。今晩にもアップしよう。

褌0.7a / 1993.06.20

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OSTRA / Takeshi Yoneki