「クレメンス・シュルト×阪田知樹」と題するオ−ケストラ・アンサンブル金沢
(OEK)第505回定期公演PH。透明感と情熱を併せ持つ阪田知樹のベ−トーヴェンとドイツの若き実力派シュルトが描く
《グレート》に期待して、石川県立音楽堂コンサートホールへ向かった。
堂内に入ると室内楽が聞こえてきた。ロビー・コンサートはBor:《Bach at the Double》。コン・マス水谷晃さんを含むVn2、
Cb1の三重奏。バッハをジャズ風にアレンジした曲で、軽快に終了した。
コンサート1曲目は、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番。OEK弦楽5部は8-6-4-4-3の対向配置。Hr2、Tp2。独奏Pfは2016年
フランツ・リスト国際コンクール第1位の阪田知樹さん。第1楽章Allegro moderatoは前奏がなく、いきなり独奏ピアノがト長調
で第1主題を奏でる。続いてオーケストラがのびやかで明朗な間奏を少々長く演奏。独奏Pfは休止。つまり、順序を逆にしたベート
ヴェンの「新機軸」。中間部は木管+Hr+弦楽で、レドーシシッレレードッシと主題を演奏。後半独奏Pfのアルペジオが綺麗。カ
デンツァは誰の曲かは不明なのだが、タタタ ラタタタタと軽快。長いTrでオーケストラにつながり、堂々と終了。第2楽章はAndante
con moto。弦楽合奏のみの重くひきずるような主題で開始。即興的で瞑想的な絃とPfとの対話が効果的。フェルマータを置いて、
attaccaで第3楽章Rondo. Vivaceは、一転してタッタタタタタタと明るく開始。この楽章で初めてTpとTimpが加わり、リズミカルな
主題Aと伸びやかに歌うような主題Bが交互に現れるロンド形式。Finale前に短いカデンツァを挟み独奏Pfが最高音のオクターブへと
上昇し、華やかに終了。アンコールは、シューベルト(リスト編曲) 《連祷》。独奏pfによる静かな祈りの音楽であった。
休憩を挟んで2曲目はシューベルト最後の交響曲、第9番《ザ・グレート》。プログラムノートに飯尾洋一さんが書いているように、
「ベートーヴェンの葬儀では、シューベルトは松明を手に棺んに付き従った」ようで、シューベルトはべートーヴェンへのHommageが
あったようだ。OEKはTb3が加わる。第1楽章はAndante - Allegro ma non trop、ソナタ形式。Hr2のユニゾンによる抑えたファンアー
レで開始。第1主題はターッタタタタと付点のリズムと3連符。第2主題はホ短調で壮大。フィナーレも堂々と終了。第2楽章Andante
con motoはソナタ型式。Obソロによるタータッタラータとのスタッカートが特徴のリズミカルな第1主題。中間部ではHrと弦の対話が
あり、pとffの頻繁な交代で明暗の対比鮮やかに進行。フィナーレでは第1主題の短縮形が再現され終了。第3楽章はScherzo. Allegro
vivace - Trio。巨体をゆするようなベート−ヴェンのスケルツオよりはメヌエットの小3部形式。主部はソソラソラソドッドッドとソ
ラソファ(♯)ーラレーファ(♯)の対比的2つの主題がある。中間部のTrioは多少ベートーヴェン的でもあるが、シューベルトらし
い流麗な旋律で、美しさに満ちた楽章。第4楽章Alllegro vivaceは、堂々たる正にグレートな序奏で開始。ソナタ形式。中間部では
ベートヴェン:交響曲第9番を意識した曲想。シューベルトはベートーヴェンを師と仰いでいた。しかし、Fanaleではシューベルト・
カラーを輝かしく発揮して、堂々と終了。クレメンス・シュルト・マエストロによる強弱アクセントの効いた的確な指揮に応えたOEKの熱
演であった。
さて、交響楽団的演奏力を身に付けたOEK。来シーズンにはマーラー:交響曲第10番(室内オーケストラ版)がプログラムに挙がっ
ている。この前の《緑のうた》の布陣でマーラー:交響曲第1番《巨人》を演奏する可能性が高くなってきたようだ、是非実現して欲しいもの
である。
Last updated on Oct. 28, 2026.