5月3日ガルガンチュア音楽祭20260503C32

5月3日ガルガンチュア音楽祭20260503C32
指揮:ミヒャエル・バルケ、ソプラノ:レーカ・クリストフ、テノール:ルチアン・クラズネツ
バリトン:マティヤ・メイッチ、ミュンヘン・ゲルトナープラッツ州立劇場管弦楽団、
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

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 「ミュンヘンのマイスタージンガー達!」と題するミヒャエル・バルケ指揮ミュンヘン・ゲルトナープラッツ州立劇場管弦楽団によるガルガンチュア音楽祭20260503C32。ウェーバー、ワーグナー、 R. シュトラウスの歌劇序曲、前奏曲とアリアを演奏する。タンホイザー:《おお、我が優しき夕星よ》に期待して、石川県立音楽堂へ向かった。

 コンサート1曲目は、ウェーバー:《魔段の射手》序曲。ミュンヘン・ゲルトナープラッツ州立劇場管弦楽団の弦楽5部は10-8-6-6-5の通常配置(だったようだ。但し、VaとVcの位置が逆)。Hrは4、 Tb2、Tub1。厳粛な曲想で開始。その後、Hr四重奏による有名な「ソーミードミレーファミレ」。その後悪魔ザミエルの歩み来る姿が現れ、マックスはザミエルから魔法の銃弾を授かる。悪の支配とそ れへの戦いを経て、愛の勝利となり、迫力在る演奏で終了。

 2曲目はテノール:ルチアン・クラズネツさん登場のウェーバー:《魔段の射手》より、マックスのアリア〈Durch die Walder, durch die Augen 森を抜け、野を越えて〉。「森を抜け、野を越えて  我は楽しくさすらった。しかし、ザミエルが密かに背後に忍び寄る」。「天は我を見捨てたのであろうか?絶望が我を捉えたか?」と歌う、有名なアリア。管弦楽団の音量が過大な箇所もあったが、 流石、テノール・クラズネツさんの熱唱で素晴らしいアリアに仕上がった。

3曲目はバリトン:マティヤ・メイッチさん登場のワーグナー:《さまよえるオランダ人》より、〈Die Frist ist um 期限は切れた〉。さまよえるオランダ人の寓話は、決して港に辿り着くことなく、 何十年も海をさまよっている呪われた船の話である。バリトンにとっては若いマエストロ・ミヒャエル・バルケによるオーケストラの音量過大が気になっただろう。それにもめげずの熱演であった。 マエストロ・バルケはオーケストラ・ピットと舞台上でのオーケストラの響きの違いを考量すべきではなかったかと感じられたのは私だけかもしれないが。
 
 4曲目は同じくバリトン:メイッチさん登場のワーグナー:《タンホイザー》より、〈O du, mein holder Abendstern おお、我が優しき夕星よ〉。《タンホイザー》第3幕第1場では〈巡礼の合唱〉即ち、 〈Begluckt darf nun dich, o Heimat ich schauen 故郷よ、喜びもてわれはなんじを見る〉が歌われる。慈悲を得てローマから帰ってきた巡礼者の一行である。エリーザベトは巡礼者のなかにタン ホイザーを探すが、彼の姿は見当たらない。絶望の裡に彼女はウォルフラムの同行を拒否して、ワルトブルグへと上がって行く。残されたウォルフラムは死の予感に包まれながら歌う歌が〈おお、我が 優しき夕星よ〉なのだ。短い歌だが、メイッチさんは切々と歌い好感。歌が終わった後のCodaであろうか、弦楽の演奏も綺麗であった。

 5曲目はR. シュトラウス:《4つの最後の歌》より、〈Im Abendrot 夕映え〉。マエストロが何故この歌を選択したかは、前曲の夕星を意識したのであろう。Joseph von Eichendorffの詩らしい。" Wir sind durch Not und Freude gegangen Hand in Hand. 我々は手に手を取って進む苦しみと喜びを通して存在する。" で始まる。ソプラノ:クリストフさんはコロラトゥーラなのであろうが、歌詞は 地味。"wie sind wir wandermude - ist dies etwa der Tod? 我々はさすらいに疲れている−これはおそらく死なのであろうか?"で終了。

 6曲目はワーグナー:《ローエングリン》より第3幕への前奏曲。ウインド・オーケストラを思わせる金管楽器の咆哮の前奏曲であった。

 アンコールは無し。さて、バルケ指揮ミュンヘン・ゲルトナープラッツ州立劇場管弦楽団の壮大さとそれに負けないマイスタージンガー達の歌唱力には感心した舞台であった。尚、金沢では歌劇《さまよ えるオランダ人》は上演されたのだが、ワーグナーは一度も聞いたことがない。オ−ケストラ・アンサンブル金沢もなんとか マーラ−を演奏することができたのだから、ワーグナーの数ある歌劇の中でせめても《タンホイザー》クラスの上演を期待したい。 


Last updated on May 03, 2026.
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