石川県立音楽堂開館25周年記念オ−ケストラ・アンサンブル金沢(OEK)
スペシャルコンサート《森のうた 〜岩城宏之没後20年メモリアル〜》が開催された。《森のうた》は金沢二度目の公演だが
、これに期待して、石川県立音楽堂コンサートホールへ向かった。
プレトークは、石川県立音楽堂芸術監督野村萬斎さんと山田和樹マエストロ。故岩城は故山本直純と芸大で出合い、オーケ
ストラでは岩城が打楽器、山本は指揮者であった。又野村家は加賀百万石前田家よりサラリーを貰っていたという話を聞けた。
コンサート1曲目は、L.V.ベートーヴェン/山本直純"変"曲:交響曲第45番《宿命》。何故45番かというと、ベートーヴェン
の交響曲1から9まで全部足すと45とのこと。又、宿命とは「前世から定まっている運命(『広辞苑』)であり、英語では"fate"。
運命は「人間の意志にかかわりなく、身の上にめぐって来る吉凶禍福(『広辞苑』)で、"destiny"である。
さて、音楽はLargoに変速されたベートーヴェン:交響曲第5番《運命》から始まる。OEK弦楽5部は10-8-6-5-5の対向配置、Hp1、
Hr4、Tp3、Tb3、Tub1の大編成。又、コンマスは客演としての松井直さんである。曲はバラエティーに富み、確認できた曲は、
交響曲第3番《英雄》、第6番《田園》、第9番、《エグモンド》、《ソーラン節》、モーツァルト《魔笛》、ヴィヴァルディ《四季》、
《フニクリ・フニクラ》、ハチャトリアン:《剣の舞》等多彩。更に、石川県知事山野之義さんのSax演奏、御陣乗太鼓のゲ
スト出演があった。Finaleは、《運命》の第4楽章に御陣乗太鼓が協演し、華やかに終了した。
休憩を挟んで2曲目はD. ショスタコーヴィチ:オラトリオ《森のうた、ПЕСНЪ О ЛЕСАХ》。ЛЕСАХはЛЕС(森)
の複数前置格。ゾリストはTen宮里直樹さんとBas加藤宏隆さん。合唱は、150名位の東京混声合唱団とOEK合唱団。更に、4曲目に登場する
「森のうた」児童合唱団、終曲にはバンダ:「森のうた」バンダ隊が登場する。OEKはHp2となる。この曲は、第2次世界大戦のス
ターリングラード攻防戦で荒廃した国境地帯に植林するという計画にショスタコーヴィチが興味を持ち、練り始めた曲(工藤『ショ
スタコーヴィチ全作品解読』)であり、第1曲は「戦いの終わった時」。Basソロ加藤さんがパイプオルガン席で「今や緑なす森は
ひらけゆく」と切々と歌う。野村さんの語りで岩城の思い出を挟み、第2曲は「祖国を緑化しよう」。序奏の後SopとAltの女声合唱で
「あれた地にいどみて 人々は叫ぶ 祖国の大地を 森で埋めよ」。cresc.し合唱4部となり、ffで「明るい希望よ 祖国の大地を
森で埋めよや」と高揚する。第3曲目は一転して「過去の思い出」。Basソロはレーシ(♭)ソラファミレと「いざ 若者よ たて
嘆きすてて 我らの大地育てゆくため」と歌う。第4曲目「ぼくらは木を植える」は児童合唱が登場。「ポプラ ポプラ はやくの
びてくれ」とSop2部、Alt2部の熱演。第5曲「若者たちは前進する」は、fで合唱4部。中間部のTen宮里さんのソロは「緑の帯のよう
に 森は畑をつつむ」と歌う。第6曲「未来への逍遥」は、AdagioでTenソロ「しじまにさえずるは うぐいすのうた」が歌われ、
OEKによるObソロ、Flソロが綺麗。attacca気味に終曲「栄光」は石川県ジュニアオーケストラメンバーであるTp10、Tb10の「森
のうた」バンダ隊がパイプオルガン席に登場。曲は合唱4部fで始まり、ffとなり「ゆくてをはばむ 何ものもあらず」から、Fanale
「森はふかくしげり ロシアに歌みちる とわにはえあれ われらに祖国 われらたたえよや ああ!」とバンダ隊も協演し、熱狂
的、感動的に終了。圧巻の《森のうた》であった。アンコールは、「森のうた」児童合唱団を前列にして《歌えバンバン》。子供達
と女性合唱団が右手を高く上げての熱演であった。
さて、客演を含む交響楽団的OEKの弦楽5部10-8-6-5-5、Hr4、Tp3、Tb3、Tub1体制は以前不自然な箇所もあったが、今回はアシス
タント・コンダクター伊藤心さんの指導及び山田和樹マエストロによる入念なリハーサルの所為でもあろう、完璧。OEKの室内管弦
楽団と交響楽団の二刀流が完成したようだ。
Last updated on Oct. 22, 2026.