ガルガンチュア音楽祭2024と名前を変えた音楽祭。イギリスから
オックスフォード・フィルハーモニー管弦楽団が来日し、メンデルスゾーンの《スコットランド》を演奏する。本場の《スコットランド》に期待して石川県立音楽堂へ出掛けた。
コンサート1曲目はメンデルスゾーン:《真夏の夜の夢》から〈結婚行進曲〉。弦楽5部は10-6-4-4-3の対向配置。Tub1、Tp3、Tb3、Hr2で、OEKを少し大きくし
た感じ。お馴染みの祝典序曲は堂々と進行。指揮のマエストロ・マリオス・パパドブーロスは何故この曲を選んだのだろうか?メンデルスゾーンで適当な曲
が無かったのかもしれないが、彼は2曲目《スコットランド》第1楽章序曲の悲壮感を和らげる意図があったと私は思う。この趣旨は2曲目を聞いて実感した。とにかく
〈結婚行進曲〉は目出度く終了した。
コンサート2曲目はメンデルスゾーン:交響曲第3番《スコットランド》。Tub、Tbは去り、Hr5の布陣。第1楽章はAndante con moto - Allegro un poco
agitatto。前述の如く「ミラシドーシレーラシーの悲劇的旋律の序曲で開始」と一般的には書きたいのだが、マエストロ・パパドブーロスは悲壮感をffでな
くfに抑えたため柔らかな悲壮感、即ちffで強調すれば悲壮感溢れる訳だが、fに抑制したため悲壮感が感じられ無い位に低減され、これが聴衆に安心感
を齎したようだ。第2主題を経て序奏を回想し、終了。メンデルスゾーンの指定はAttaccaとなっているようなのだが、マエストロは休止して第2楽章
Vivace non troppoへ。この楽章はスケルツォに相当し、スコトランドの舞曲を動機としているとの事。バグパイプの旋律にも近いそうだ。画像は開演前音楽堂前広場でのバグパイプの演奏画像です。第3楽章AdagioはClに始まる葬送行進曲風。第2主題がCl、Fg、Hrで厳かに提示される。
但し、これも悲壮感は余り感じられない。マエストロはキプロス出身とのこと。彼の性格も出ているのであろう、安心感がある。第4楽章Allegro vivacissimo -
Allegro maestoso assaiは、Hr5によるvivacissimoのミミミミミで開始。活気に満ちた第2主題の後、Codaでは、ラララーファ#ミシド#
ミファ#ミと賛美歌風旋律が登場。私の持っているCDの解説では、「エディンバラ・ホリルドールの旧宮廷礼拝堂の雰囲気を回想したのかもしれない」とある。
一旦pに落とし第1楽章序曲を回想し、高揚裡に終了した。
アンコールは時間の制限から無し。さて、オックスフォード・フィルハーモニー管弦楽団を聞いて分かったのだが、OEKにおける第1Vn2、Cb1、Tb2程度の増員
でフィルハーモニー管弦楽団を名乗る事が出来る訳だ。OEKもいよいよ変身の時到ると感じる。但し、ただがんがん鳴らすことだけは避けて、今回の指揮者マエ
ストロ・パパドブーロスの如く室内楽的綺麗さを随所にちりばめた演奏をする事が条件だが。
Last updated on May 04, 2024.