オ−ケストラ・アンサンブル金沢の2021ニューイヤーコンサート。「パリからロンドンへの音楽の旅〜オルガンのひびきとともに〜」と題するコンサート。
ヘンデルのオルガン協奏曲にも期待して石川県立音楽堂へ出掛けた。
金沢は積雪30cmとのことで、車で出掛けたが交通渋滞で13時45分頃音楽堂に到着。従って、ロビー・コンサートが行われたのかは不明。
コンサート1曲目はモーツァルト:交響曲第31番《パリ》。コン・マス・ヤングさんが復帰、うれしい限りだ。OEK弦楽5部は8-6-4-4-2の対向配置、ただしVc、Cbが客席から見て左、Vaが右という変則配置。第1楽章Allegro assaiは堂々
たるファンファーレで開始。Tpが華やかさを演出。マエストロ・鈴木優人は指揮のみ。中間部ではマエストロの力強い指揮に呼応してOEKもエスプレッシーボ。尚、今回気が付いたのだが、譜面立ては従来であれば2人に一台なのだが、
コロナ禍なので一人一人譜面台が置かれている。第2楽章Andanteは、Tpに変わってHrが金管の主役、しかも弦楽と協奏すると非常に綺麗。尚、プログラムには「8分の6拍子と4分の3拍子の稿がある」と書いてあるが、私には4分の3拍子
に聞こえた。第3楽章Allegroは。フーガで喜びを表現。Fgのソロがあり、歓喜に充ち終曲。
2曲目はヘンデル:オルガン協奏曲第4番。オルガンは音楽堂のパイプオルガンではなく東京から運んだそうだ。勿論ヘンデルの時代のオルガンは大型ではなく、小型であった。しかも、指揮兼オルガンのマエストロ鈴木優人は客席
に向かって指揮。これも当時は普通であったようだ。OEKの弦楽は4-4-2-2-1に縮小され、第1楽章Allegroは、少人数ながら、軽快に進行。マエストロのオルガンも中々良い。第2楽章Allegroはオルガン・ソロで開始。コレッリ風。マエ
ストロのオルガンは中々のものだ。楽章終了前オルガン・ソロがある、カデンツアであろうか。第3楽章はAdagio。プログラムには(アド・リビトゥム)とあるが、「随意に」の意味。Attaccaで続く第4楽章Allegroはやはり軽快。室
内楽の豊かさを示し終了。
3曲目はハイドン:交響曲104番《ロンドン》。OEK弦楽は8-6-4-4-2に戻る。第1楽章Adagio - Allegroは多少メランコリー的入場行進で開始。ターン・タターン迄はモーツァルト《パリ》に影響を及ぼした様だが、モーツァルトはす
ぐ軽快に場面転換した。しかし、ハイドンは堂々を続行。ロンドンとパリの違いだろうか。Tuttiになるとハイドンの交響曲としてはサイズが大きいのかもしれないが、それでもヤングさん復帰効果であろうOEKの演奏は素晴らしい。第2楽
章Andanteは、ロンドンの近衛兵の行進であろう、ロンドンを彷彿とさせる。第3楽章はMenuet: Allegro - Trio - 、スケルツォでは無い。Tpが効果的で、一旦停止もハイドンらしく3回程繰り返される。第4楽章Finale: Spiritosoの
第1主題はクロアチア民謡に基づくそうだ。クロアチアはハプスブルク帝国支配下の時代を経験している。ハイドンはこれを知っていて、敢えてGreat Britainを象徴する堂々たるスピリトーゾに仕立てたのであろうか。中間部のFlソ
ロが綺麗。フィナーレは高揚感を演出、堂々と終了。
終了が15:20分を回っていたためであろう、アンコールは無し。さて、マエストロ・鈴木優人流のニューイヤーコンサート。ニューイヤーコンサートには《美しき青きドナウ》、《ラデツキー行進曲》が演奏されなければならないとの規則が
ある訳でも無し、これはこれで一興。しかし、OEK団員から「新年あけましてお目出とうございます」位はあっても良かったと思う。帰りに恒例の金沢市弥生(有)茶菓工房たろう製「どら焼き」を頂いた。今年は「ピーナッツ味」であっ
た。ごちそう様。
Last updated on Jan. 09, 2021.