今夜のオ−ケストラ・アンサンブル金沢(OEK)定期公演PHは、「マルク・ミンコフスキOEK芸術監督就任記念」と銘打ったドビュッシー:歌劇≪ペレアスとメリザンド≫。聞き逃すことはできない。
西金沢駅発17:32の電車に間にあって、石川県立音楽堂へ向かった。
17:40には石川県立音楽堂に到着。ロビー・コンサートを余裕をもって聴くことができた。1曲目は女性二人のFlとVnによるルクレール:ソナタ第5番第1楽章。息の合った演奏。2曲目はFlのみの無伴奏フルートソナタ、ドビュッシー:≪シリンクス≫武満徹の曲かと思っ
たら、ドビュッシー。Twitterでの評判通り、OEKメンバーはソリストクラスが揃っていて、上手い。
さて、クロード・ドビュッシ−:歌劇≪ペレアスとメリザンド≫が始まる。コンサートホール前面には薄い幕が設置されているため明確には判定出来なかったのだが、OEK弦楽5部は8-6-4-4-3通常配置だったようで、コン・ミスは演奏終了後の拍手でヤングさんが務めたと分る。
第1幕第1場は舞台上にゴローと泉のほとりで泣くメリザンド。"Ne me toucches pas(触れないで)"が印象的。尚、舞台上部には映像が映し出され、正に「異次元空間」。メリザンドはゴローと一緒に行くことを受け入れる。第2場は舞台上ひな壇で開始。城
の一室だ。ゴローは異父兄弟のペレアス宛てにメリザンドと結婚した旨手紙で報せる。第3場は水夫たちの合唱も加わり、ペレアスは翌日城を発つだろうで終了。幕間は薄い幕が閉じることもなく、小休止の後第2幕。第1場は庭園の泉。メリザンドは結婚指輪をもてあそび、
泉に落としてしまう。第2場はメリザンドは泣き臥し、「私はここで幸せでない」と漏らす。ゴローはメリザンドが指輪をしていないことに気付き、「すぐに探し出してこい」と強要する。第3場:洞窟の前。ペレアスとメリザンドは音楽堂パイプオルガン席。ペレアスはメ
リザンドの長い髪を腕の中に抱きしめ、自分の首に巻き付ける。第3場は地下窟の出口の丘。ゴローはペレアスとメリザンドの間になにか有りそうだと感じ、ペレアスに「メリザンドに近づかないでくれ、彼女は病弱だし、間もなく母親となる身だから」と言う。第4場は城の前。
ゴローは先妻の間に生まれた息子イニョルドを肩車にのせ、窓越しに城の部屋の中のペレアスとメリザンドの様子をのぞかせる。ここまで、約1時間半。休憩に入る。
休憩を挟んで、第4幕第1場・第2場:城の一室。ゴローは嫉妬の炎を燃やし、メリザンドに手荒く振る舞い、髪をつかんで苛む。ゴローの祖父アルケルが仲裁する。第3場・第4場は庭園の泉。ペレアスとメリザンドは互いに愛を告白する。ゴローが背後に現われ、ペレ
アスを殺す。メリザンドは逃げ出し、ゴローは追う。第5幕:城の一室。メリザンドは瀕死ながら女の子を産む。病状は悪化し、ついにメリザンドは息を引き取る。通常オペラで息を引き取る場面はベッドの上だが、立ったまま息を引き取り、医師が死を宣告する。フランス的だ。
アルケルはゴローを元気づけ、「今や母親に代わって、この子が生きなければならぬのだ」と諭し、舞台は暗転し、終了した。
ノーリス・メーテルリンクの戯曲『ペレアスとメリザンド』をドビュッシーがオペラ化したものだが、OEK芸術監督に就任したマエストロ・マルク・ミンコフスキはフランスのソリストの熱演を引き出すと共に、OEKの特質を活かしたステージ・オペラを指揮した。難を言えば、
せっかく設置した薄い幕。これを各幕の開始と終了に用いて欲しかった。しかし、コンサートホールでのオペラにしては最高の出来であったと言える。今後はモーツァルトの3大オペラに挑戦とのこと。西金沢駅からの帰宅途中、南東の空の大接近している火星を見上げ、
先ずは≪魔笛≫だと思いながら家路を急いだ。マエストロ・マルク・ミンコフスキの今後に期待したい。
Last updated on Jul. 30, 2018.