10月13日ORGAN FESTIVAL - J.S. バッハ & ウィドール
10月13日ORGAN FESTIVAL - J.S. バッハ & ヴィドール
エドガー・クラップ
石川県立音楽堂コンサートホール
酢谷琢磨
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「ORGAN FESTIVAL - J.S. バッハ & ヴィドール」と題するコンサート。石川県立音楽堂柿落しオルガン・コンサートを聞いたが、凄い迫力に圧倒されたこ
とを思い出す。本日はバッハの「トッカータとフーガ」も演奏される。これに期待して石川県立音楽堂へ出掛けた。
コンサート前半はJ.S. バッハの曲で、1曲目は「トッカータとフーガ」。スピード感溢れるお馴染みのタララ-ン〜で始まる。Toccataはプログラムにもある通り、
イタリア語で「触れること」の意。第2主題のアルペジオでは、パイプオルガンは繊細な音を出す。大音量のみではない。Fugaはベート−ヴェンでその威力は実証されているが、
本来の意味は逃走。従って、遁走曲と訳するらしい。一旦pに落としCrescend。圧倒的和音の連続で終了。エドガー・クラップさんの熱演である。
2曲目は「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」。テノールが歌うと同時に、バスとのDuoも綺麗。
3曲目の「幻想曲とフーガ」は確かに幻想的。幻想曲と言えばベルリオーズを思い出す。しかし、この曲はオランダ民謡らしい。横道に逸れるが、ベルギーはフラ
ンス語、ドイツ語圏と思っていたら、オランダ語圏らしい。日本の近代化に助力した、17世紀隆盛のNederland(Netherlands)民謡はバッハにも影響を与えたようだ。
4曲目はコラールで有名な「主よ、人の望みの喜びよ(Herz und Mund und Tat und Leben)」。und(and)の多い題名だが、オーボエの音色らしい。三連符の連続に合
唱部分も挿入され、荘厳さが際立つ演奏となった。
前半最後は「パッサカリアとフーガ」。Passacagliaとはスペイン起源の3拍子のイタリア舞曲とのこと。余り舞曲的には感じられなかったが、変奏の妙には感心。厳格
なバッハの世界を堪能できた。
休憩を挟んで後半はC.M.ヴィドールの作品。「オルガン交響曲」第6番である。ヴィドールは日本では余り知られていないが、セザール・フランクに師事したフランス
出身のオルガニストだそうだ。第1楽章Allegroは、いきなり重厚な和音で始まる。次いで主題が奏でられる。この主題は第5楽章でも再現される。第2楽章Adagioはpで
終始する。Gamba(イタリア語、足)、Voix celeste(フランス語、天の声)指定だそうで、綺麗である。第3楽章Intermezzo : Allegroは間奏曲。付点が効いた古典的なフ
ランス音楽。第4楽章Cantabileは、フルートの伴奏、オーボエ・ソロらしい。繊細でパイプオルガン曲とは思えない楽章。ところが、第5楽章Finale : Vivaceは凄かっ
た。重厚な和音で始まり、中間部は超絶技巧らしい。これをエドガー・クラップさんは難なく演奏。フィナーレは将に輝かしいコーダで終結。サン・サーンス:交響曲
第3番を連想するフランス生まれのオルガン曲は、石川県立音楽堂で高らかに鳴り響いた。
アンコール1曲目はチャイコフスキー:「悲しい歌」。2曲目は、ボエルマン:「ゴシック組曲」第4曲 トッカータ。ボエルマンも聞いたことが無い作曲家だが、
彼の曲も壮大であった。さて、石川県立音楽堂に折角設置されたパイプオルガン。1時間のコンサートでもいいから、もう少しパイプオリガン・コンサートを増やしたらと思うが
如何だろうか。
Last updated on Oct. 13, 2016.