オ−ケストラ・アンサン
ブル金沢(OEK)恒例のニューイヤーコンサート。井上道義マエストロとマイケル・ダウスさんとの指揮者二人である。本年も良い曲を聞けることを祈念して石川県立音楽堂に出掛けた。
プレ・コンサートは有ったらしい。しかし、到着が遅れて聞けずじまい。従って、曲目は不明。
コンサート1曲目は、ピアソラ。バンドネオンの哀愁を帯び、しかも官能的な音色をマイケル・ダウスさんのヴァイオリンが出せるかである。曲は「ブエノスアイ
レスの四季」で、先ず「夏」。OEKの弦楽五部は8-6-4-4-2の対象配置で、弦楽のみの演奏。イントロはコントラバス。これにマイケル・ダウスさんの弾き振りが加
わる。ヴァイオリン・ソロは綺麗過ぎると感じられたが、途中ヴィヴァルディ:「四季」の断片が挟まれるに至って、これはピアソラの上品版かと納得した次第。「秋」
は、カンタさんのチェロ・ソロが光る。チェロのほうがバンドネオンに近い音色かもしれない。「冬」はマイケル・ダウスさんとカンタさんのデュオが綺麗。最後の
「春」は、聞いたことのある独特のメロディー。ここではコン・マスの松井さんのソロが流麗。今日はソリスト全員上手く聞こえる。コーダでは、ヴィヴァルディ:
「春」を、誰が弾いたか分からないように静かに演奏し、終了。第1ヴァイオリン、コントラバスによるバンドネオン、および鞭に似せた特殊奏法もあり、熱演であった。
アンコールは同じくピアソラの「オブリビオン、
Oblivion」。これは新しい曲なのであろう、ピアソラの独特感が薄れた綺麗な曲であった。
休憩を挟んで、指揮は井上道義マエストロ。最初の曲はJ. シュトラウスU:オペレッタ「こうもり」序曲。トロンボーン、トランペット、ホルン、チューバの3-3-4-1
および木管が加わりボリューム感が増し、しかも切れ味鋭いイントロ。中間部のクラリネット・ソロが華麗。続いて、バルトーク:ルーマニア民謡舞曲。バルトーク、コ
ダーイらしいハンガリーの格調高い舞曲。ポルカあり、「マルンツエル」というハンガリー独特の舞曲で激しく終了。次は、珍しいリスト:「メフィスト・ワルツ第1番」。
少々変わったイントロで、ワルツらしくないワルツ。中間部のカンタさんのチェロ、ピッコロ、ハープ・ソロが綺麗であった。ヨハンU&ヨゼフ・シュトラウスのお馴
染み「ピッツィカート・ポルカ」を挟み、今度はレハール。オペレッタ「パガニーニ」第1幕から「カプリッチョ(奇想曲)」。重厚感たっぷりで、中間部ではマイケル・
ダウスさんが舞台上部、パイプオルガン奏者席の前でソロ。マイケル・ダウスさんはパガニーニが得意らしく、立派な演奏。最後はワルツ「金と銀」。井上道義マエスト
ロの踊るようなワルツの指揮。ウィンナーワルツ独特の間合いも完璧。フィナーレも重厚で、華麗に終了した。ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートと一味違う
OEK独自色を出した見事なニューイヤーコンサートであった。欲をいえば、声楽曲を1、2曲挟んだ方がと思った。贅沢かな。
アンコールは、ブラームス:ハンガリー舞曲集第5番。テンポが目まぐるしく変動する難曲を変幻自在に演奏。二曲目はレハール:喜歌劇「メリー・ウィドゥ」より。
マイケル・ダウスさんのイントロで始まり、フィナーレは華麗なワルツで締め括った。コンサート終了後金沢市弥生茶菓工房たろう製どらやきのプレゼントがあった。
去年は私が頂いたので、本年は妻にお土産。妻は「どらやき怖い」と言いながら「パクッ」。ご馳走様でした。
Last updated on Jan. 06, 2011.