チェコ・フィルといえば昭和45年頃
大阪フェスティバルホールでブラームスの交響曲第1番を
聞いて非常に感銘を受けたことを思い出す。金沢市
観光会館でも聞いたことがあったと思うのだが、演目は覚えていない。本日は前N響音楽監督のシャルル・デュトワが指揮し、しかもプロコフィエフのバレエ音楽ロメオと
ジュリエットとチャイコフスキーの交響曲第4番を演奏するということで、石川県立音楽堂に足を運んだ。
最初の曲プロコフィエフのバレエ音楽ロメオとジュリエットでは、チェコ・フィルの弦楽の綺麗さにびっくり。
ただし、バレエ音楽ロメオとジュリエットは組曲に編成された版を使用したようで、エピローグキャビュレット家の地
下墓地が短くてまたびっくり。しかも、プログラムにあった「清らかな余韻を残しつつ曲を閉じる」にはちょっと似
つかわしくないエンデ゙ィングであり、2曲目に不安を残した。
休憩を挟んでの2曲目チャイコフスキーの交響曲第4番は、一曲目のもやもやを払拭するかのごとく金管の完璧な
演奏で始まった。金管が静かになると、弦楽がロシヤ民謡であろうか綺麗なメロデーを演奏する。しかし、この綺麗
さはロシヤ臭さをぷんぷんさせる名演であり、以前N響で゙聞いた綺麗さとは異なり、これこそチャイコフスキーと思
わせる演奏であった。第3楽章はピチカートによる楽章であるが、単調なピチカートではなく、クレッシェンドとディ
ミネントによる音のふくらみが綺麗で感心。最終楽章はマエストロ シャルル・デュトワの独壇場であり、それに良
く応えていたチェコ・フィルの演奏が印象に残った。
アンコールはチャイコフスキーの白鳥の湖からのワルツであった。くるみ割り人形の花のワルツを選択しなかったのは
いかにもマエストロ シャルル・デュトワらしいが、白鳥の湖からのワルツは衒ったところが無く、端整で模範的な演奏
であった。クラシック音楽を買う時「迷ったらデュトワを選べ」が常識らしいが、その理由を理解できた。マエストロ
シャルル・デュトワは正統派である。
以上のようなコンサートであった訳だが、外国のオーケストラが來日する場合、一般的にA,B,Cプログラムを準備する。
このプログラムを選択する場合、金沢ではいつもAプロが選択されている。ところが今回チェコ・フィルはAからF
プロまで準備し、金沢はいつものAプロを選択せず、Cプロを選んだようだ。これは「いつもAプロ」から脱却した
訳で結構なことだが、私個人としては皮肉にもAプロのプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番が聞きたかった。そこで、
提案だが、今後外国のオーケストラを招致する場合、インターネットでオ−ケストラ・アンサンブル金沢(OEK)会員等にアンケートを取り、希望の多いプログラムを
選択しては如何だろうか?
Last updated on Nov. 14, 2005.