私事で恐縮だが、最近ブリテンのヴァイオリン協奏曲改訂版に感服し、よく聞いているのだが、本日のコンサートは文字通りクラシック中のクラシック、モーツァルトの
時代すなわち18世紀へ急遽遡る。1曲目の交響曲第35番ハフナーはザルツブルグ・モーツァルト・フェスティバル管弦楽団を主にした編成で、オ−ケストラ・アンサンブル金沢(OEK)を一回り小さくした編成であったが、第1ヴァイオリンも良く聞こえ、コントラバスも2台のせいか
低音も良く聞こえ、特に第2楽章は綺麗であった。
2曲目の協奏交響曲変ホ長調はOEKの演奏であったが、第1ヴァイオリンの数が増え、コントラバスは同じ2台ということで、低音が良く聞こえないため、第1曲目と
比較すると透明感というより煌びやかで、華やかな感じがした。ソリストについてはオーボエとクラリネットのソリストが目立ち、OEKのファゴット
奏者柳浦さんの音が良く聞こえなかったが、第3楽章の魔笛の原型か変型のような軽快な音楽を含む全体的印象は非常に良かった。
休憩中モニターに映し出された舞台上は、両オーケストラが合同して演奏するのであろう60人規模の編成にセットされていた。私はいかにモーツアルトの交響曲第41番
ジュピターでも少々大きすぎるのではと友人に言いながら座席に戻った。第3曲が始まったが、その心配は無かった。即ち第1,2,3楽章は問題なく、私はこれならOEKの増員
も可能だとの思いを強くした。しかし、第4楽章のドレファミになるとさすが少々うるさくなり過ぎた。やはりモーツアルトはOEK規模が最適であることが分かった。つまり、60人
規模のオーケストラであればベートーヴェン、ブラームス等の曲を選択すべきでなっかたかと思えてならない。なお、このジョイントオーケストラは素晴らしく、即金沢交響楽団
として発足したらと思うほどであった。
アンコールのモーツアルトのディヴェルティメントK.136は、弦楽部門だけなので合同演奏でも十分素晴らしい演奏であった。つまり、金管が増えたため、
交響曲ジュピターの第4楽章が少々うるさかったのではと思われる。もう1曲のアンコール曲レオポルト・モーツアルトのアルペンホルン協奏曲も面白く、最後まで聞いて
みたい気がした。
以上のようなコンサートであった訳だが、岩城マエストロも回復し、OEKもシュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭
に参加して以来実力もついてきて、これからが楽しみになってきたと実感するコンサートであった。ブリテンもいいけど、OEKのモーツァルトも聞かなければ!
Last updated on Oct. 08, 2005.