○● 読書感想記 ●○
2010年 【00】
読み終えてから時間が経ちすぎて感想を書くタイミングを逃している作品とかー
できれば後日、感想を書きたいです。

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「小さな魔女と空飛ぶ狐」 南井大介 著 
 好きだな、この作品。
 上手いラノベでは決して無いけど、そこで描かれたことに対して。
 人間はゴミでクズだけど、確かな聖性を持っていると信じた作品。
 そんなモノは無いと疑う現実を描いても、あると信じて物語る。
 そう信じる人間の強さが頼もしく嬉しくなったー。

 リード姉様の最後の告白は、ちと蛇足感があるかなー。
 もちろんハッキリさせるのもひとつの手だとは思うけど、そこはわかったものとして扱っても良かったのではないかなー。
 ドクトルへの婉曲な宣戦布告であるのは面白いけとw

 で、肝心なのは、そうして好き嫌いという軸以外では評価されないだろうなーってトコでしか?
  ライトノベル、物語としては欠点が多過ぎる…。

 南井大介センセの既2作は、つまるところどちらもメッセージ性が強いのかも。
 伝えたいオピニオンがあって、それを具としてラノベの皮で包み込んでいるカンジ。
 受け取り方、楽しみ方が一般のラノベとは異なるような。

「ふしぎの家のアルバイト」 石和仙衣 著
 主人公老婆、ヒロイン家なき子という珍しさ(視点はヒロイン)。
 男は空気。
 割と骨太な設定があるのに、全体のトーンが薄味なカンジ。
 これから?と思いたいのだけど…。
 新味感じる退魔モノ?として見所あるんだけどなー。
 あとタイトル、改題したのに微妙な気がするー。

「伯爵と妖精 永久の想いを旋律にのせて」 谷瑞恵 著
 …これだぁ! いっつもこのふたりは!
 結婚してからの方がラストシーンでの引き裂かれ度が大きくなってね?
 アーミンとケルピーが妙に接近してるのは嬉しいな。
 失恋したもの同士で気持ちが近いのかもだけど(^_^;)

「銀砂糖師と青の公爵」 三川みり 著
 んもう! アンが健気すぎて!(>_<)
 安定した生活に慣れて錆びつくコトを恐れて、困難と引き換えに孤高の自由を選ぶ気高さが素敵!
  対して今回も登場なジョナスの下衆っぷりが対比として見事。
 でも全般にキャラのタイプが一面的に感じられる点が不安かもー。

 アンは初恋に対して正直に積極的になっているのに、シャルは昔の恋をフォルダ保存しているから微妙に消極的。そんな男女間の恋愛差が面白いなーと。

「銀砂糖師と黒の妖精」 三川みり 著 
 決まったね。2010年のがんばる女の子大賞はアンに!
 都合のいい常識にとらわれず、自分の良識を大切にしてる女の子。
 妖精シャルとの関係も、人間の愚かさや醜さが障壁となって難しいものと描かれてるけど、負けない強さを持ってるし! 頑張れって応援したくなる!

「アリアではじまる聖譚曲 征服者は聖女を誘う」 西本紘奈 著
 己の枠いっぱいに力を尽くそうとする主人公アリアは良い子ですな〜。
 元気溢れるポジティブさは見ていて気持ちイイ。
 最後、彼女がクエストを完了できたのは設定にちゃんと伏線があったんですね。

 しかし二千年に一度とかいうタイムスケールには目眩が。
 それは文明の存在が担保できないでしょーみたいな。

「そして花嫁は恋を知る 黄金の都を興す姫」 小田菜摘著
 ああ、後生ブラーナの姫様たちの追い込まれてからのキレッぷりは、イリアティーヌに端を発するのね…という話(違w! 今回は皇妃側の主張にも政治的正統性が半ばあるので、単に現代的人道配慮でヒロイン側を正義とするのも変なんですよねー。
 
「海が愛したボニー•ブランシェ」 緑川愛彩 著
 B'sらしい活動的前向きな女の子が主人公でしたなぁ。とにかく素直で正直で勇気があって、気持ちのイイ子でした。周辺の男性陣が抱える心情も一癖あって考えさせる部分であるし人間臭いわー。でも孫娘と祖父の関係が一番ほんわかしたわーw

「前略。ねこと天使と同居はじめました。」 緋月薙 著
 なんだか軽いなー。ラストシーンからの逆算では変では無いにしても、それだけというか。ドラマ性に大きく欠けてる気がするー。加点が無いのがまさに欠点。オタネタの挿入も今はもう目新しくは感じないし。

「天空のリリー」 千田誠行 著
 書き始めを間違えてるんじゃ無いかなって。努力は「あった」のかもしれないけど読み手の視点には降りてきてないし。あと理想はあるのはわかるけど、現実なコトに意識が囚われすぎだと思う。史実のファンという域を脱してなくてファンジンすぎるというか。

「一天四海のマーガレット」 北沢大輔 著
 世界一周するより大きな大義があるせいで、隣に立つメグとの関係性が遠くて応援しにくい…。続巻あるみたいだし、その辺りの変化は次巻なのかなー。その他のことも含める、もっと序盤から仕掛けたほうがいいと思ったー。

「なれるSE」 夏海公司 著
 物語の構造としては間違い無いものだけど、展開には迫力不足かなー。例えば主人公がやり遂げた感っていうの? あと各所で事実をぼかして秘密めいた演出してるけど、あまり活きてないと思うー。ちとイヤラシサを覚えてしまったわー。

「インビジブルレイン」 誉田哲也 著
 くぁぁぁっ…。駆け抜けた。駆け抜けたんですか、ゴールを迎えても喜びより寂しさが溢れてくる…。組織の生存本能は正しさとは無関係の領域なんですか…。しかしここから姫川主任の復活劇を期待!マジで!でないと、やるせなさ過ぎる。

「メグル」 乾ルカ 著
 んー…。大学の求人掲示板から始まるファンタジックストーリーなんだけど、物語っていうより都市伝説のドラマ性を膨らませた読み物ってポジションから脱けてないような。ノンフィクション的な感覚なんですよねー。だもので「いい話」であっても妙に現実的な冷たさがあるっちうかー。

「DOWN TOWN」 小路幸也 著
 北海道の喫茶店に集う男女と、そこへ新しく仲間に迎えられた男の子。時を止めてしまう大人と、時に押し流される少年の対比が切ないなー。どちらにしても成長することでしか時間を肯定できないのかな。

『コロヨシ!!』 三崎亜記 著 
 ぎゃーっ! 正統派ツンデレをひさしぶりに見たー!(笑)
 「掃除部」って設定やそのほか様々な架空設定が鼻につく嫌いはあるし、また積み上げたそれらが消化しているとも言い難いのですが、それでも見せ場はあったなぁ。
 完全に意図しているとは思えないところがまたアレかもしれませんが……(^_^;)。
 うん、でも、まぁ、要所で描かれる男の子と女の子のやりとりは、まさに今のラノベ隆盛の時代に必見でありましょう(笑)。

『ロスト・トレイン』 中村弦 著 
 廃線マニア! ある種の人は線路の向こうに理想郷を描くのだなぁ……と。
 でも果たしてそこへ行くことが倖せなのかどうかはダレにも分からないワケで。
 ひとつの恋が実ったラスト。
 しかし彼方へと旅立たせないために、現実での戦いは続くのですね。
 共に生きていくために。

『終点のあの子』 柚木麻子 著
 キラキラと輝いていた子供時代が過ぎて、現実へと落とされていく染まっていく少女たちの様が残酷に思えて……。

『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』 岩崎夏海 著 
 説明者に単に人格を与えただけのモノかと思っていたら、実はきちんと物語していたという。
 ちうか、泣かされた! ああ、泣かされたともさ!(つД`)
 ツボを押さえすぎなんですもん。
 マネジメント?知りませんよ、そんなの。
 ただただ女の子の友情と青春スポーツ群像劇であったことがですねえ云々(ダンッ

『吉祥寺の朝比奈くん』 中田永一 著 
 すごい! 恋の終わりと始まりが心の深いところに刻まれるよう!
 かすかに独特で古風さも感じさせる言い回しは、しかしテンポ良くって耳に残ります。
 うわー、好きだわー。
 普通に恋愛小説かと思って読み進めていたら、実はミステリの技法でクライマックスを演出しているところがまた衝撃。
 え!?とか目を疑ったわ!
 方向が異なるジャンルを見事に融合……じゃないか、料理?していると思う。
 主は青春恋愛にあるんですよね。ミステリは味付け。
 こういうライトさが、ほかの一つのジャンルにこだわる人には必要なのではないかなー。

『デパートへ行こう』 真保裕一 著
 もちろん取材をしてフィクションとノンフィクションの狭間で作成されたのだろうけれど、こうもパズル的に事件が組み合わされると疲れた笑いしか出てきません。

『シンクロニシティ・ゼロ』 一の倉裕一 著
 商品としての価値を堪能していたところで物語としての遅延を感じて。
 ペース配分だけなら「ブルースカイ」の方が良かった気が。
 しかしそれも令というヒロインに(隼人ともども)ペースを乱された結果かーw
 群像劇寄りになったことも併せて、2巻に期待。

『さよならドビュッシー』 中山七里 著 
 推理ミステリとしては新進さが足りなくて疑問符。平易というか。
 しかし今作の魅力は音楽という芸術を多彩な表現力で文章にしているところにあると思う次第。
 音ではなく、文字で表される音楽。
 これは衝撃的だったわー。
 あれよあれ。『銀盤カレイドスコープ』で感じられた衝撃みたいなものですよ。

 「このミステリーがすごい!」大賞に適当がどうかは首をかしげますけれど、中山センセという御仁の力量については期待してしまうわー。
 叩く扉を間違えてしまったのではないかな……。

『教室の隅にいる女が、不良と恋愛しちゃった話。』 秋吉ユイ 著
 ブログ?に上げていた日記が書籍化されたもの、でいいいのかな?
 女子高生の生活をのぞき見しているような感覚もあって、こそばゆう(笑)。
 二次では珍しくない組み合わせですけれど、リアルでもそんな出会いがあって、そして倖せであるようなのでなによりなにより。

 しかし横書きの文章というのは、やはり余計なところでアタマを使いながら読んでいるなーと感じました。

『そして花嫁は恋を知る 青の大河をのぼる姫』 小田菜摘 著

『Replace』 柏枝真郷 著
 ふたつのモノの位置を入れ替える「Replace」の能力を持った青年が探偵稼業を始めるお話。
 この能力があまりにスーパー過ぎる使われ方をしているのと、各人のスペックが高すぎるので危機に遭ってもも緊迫感に欠ける点がサスペンスとして致命的な気が。
 だけれど見栄えのするアクションものだと思えば、うん、これはこれでー。

『桜花鬼譚』 天堂里砂 著
 この作品に限らずですけれど、C☆NOVELESの作品とは「世界の枠組み」の描き方について気が合わないところが多分にあるかなー。
 特殊なことに依存しているのに説明が足りていない……という印象が。
 

『失恋延長戦』 山本幸久 著
 「失恋」を扱ってはいるもののそこは大事ではないような。
 むしろ桜庭一樹センセが昔描いていた女の子同士の奇妙な関係性のほうが大きい気がします。
 あと犬。
 むしろ愛犬ベンジャミンとの対話を楽しむ犬物語ですよ、これ。

『トーキョー・クロスロード』 濱野京子 著 
 叫びたくなるもどかしさ。
 あとでしっかり感想を残したいです。

『カルテット!』 鬼塚忠 著
 壊れかけた家族が、四重奏を通じて再生を果たす話。
 筆致に慣れないものを覚えましたけれど、描かれたことは正攻法だったなぁ……と。
 ちょっと平穏すぎて、もすこし抑揚があっても良かったかなー。
 それには主題が大きすぎて、1冊のなかでは扱いきれなかったかもとは思いますけど。

『秋から、はじまる』 喜多由布子 著
 いっぱしを気取っている主人公が少しずつ堕ちていき、どう結ばれるのかなーと楽しみにしていたのですけれどー。うーん……。
 どれだけダメな人間でも取り柄はあって、その取り柄が理由となって倖せへと浮上することはあるのだよー……と、純文系でイヤーボーンされたカンジで、ちょっとなぁ。

『赤いカンナではじまる』 はらだみずき 著

『星間商事株式会社社史編纂室』 三浦しをん 著
 表には出せない会社の歴史の暗部をつづった同人誌を裏社史として作成して冬コミへ参加する話。
 なに言っているのかわか(ry
 んー……。
 三浦センセはきっちりと取材しておられるように感じられますし、物語の抑揚も丁寧につけているとは思うのですがー。
 そのあまりの折り目正しさに、エンターテインメントとして意外性や驚きなどが感じられないのですよね。
 リズムを正確に計ることに主眼を置いた演奏……と申しましょうか。

『地球保護区』 小林めぐみ 著

『レイセン File1:巫女とヒキコと闇少女』 林トモアキ 著

『brother sun 早坂家のこと』 小路幸也 著 
 家族のことを三姉妹それぞれの視点で語られる物語。面白かった!
 大がかりな仕掛けが無くても、人が生きていく道はドラマなんだな〜……と。

『プリズン・トリック』 遠藤武文 著
 うーん……。保険員としての知識と経験に拠る部分が大きいのだなぁ。
 トリックの部分はその「知識と経験」で独創性があっても、視点が定まらず誰の物語なのか不明瞭。
 この人の物語論とは合いそうも無いかなー。

『花咲く丘の小さな貴婦人 荒野へ、心に花束を抱いて-前編-』 谷瑞恵 著

『アスラクライン14 The Lost Files』 三雲岳斗 著

『そして花嫁は恋を知る 大河は愛をつなぐ』 小田菜摘 著

『夜の虹』 毛利志生子 著

『偽物語(上)』 西尾維新 著

 んー……。
 火憐の魅力ってものが阿良々木くんの評価を通して描かれているから、どうにも煮え切らないカンジ。
 やっぱり羽川さんしかいないな!w

『キケン』 有川浩 著
 ちょっと盛り上がりに欠けたかなー。
 物語背景的に部の存続は「絶対」なのであって、守られた箱庭の中でどれだけ過激に見える行為に挑んだところで「児戯」に思えてしまうのです。
 どちらにころぶかわからないというような緊迫感が無いというか。
 モラトリアムの大学生生活にそんな緊迫感など無い!という示唆かもしれませんけれど。

『でかい月だな。』 水森サトリ 著
 かごめが口を開いてからの怒濤の展開たるや!
 菩薩のような…って表現あるけど、かごめは荒ぶる神様。
 人を蹴飛ばし喝を入れてくれるわ。

『シアター!』 有川浩 著
 やぱし物語冒頭での押しにかけては間違いないパワーがあるなぁ。
 反面、クライマックスへの流れには今回、強引さを感じてしまったけど。

『ハング』 誉田哲也 著
 誉田センセの警察小説は、ときに犯人サイドへの主入れが強すぎる嫌いがあって悩みます。
 この世界は壊れるためにあるのではないかと疑い信じてしまいそう。

『紫影の花嫁 山妖奇伝』 夏目翠 著
 シリーズ化なのはわかりますが、1巻から世界が広がったカンジがしないのは問題かと。
 ただでさえ「箱庭」感の強い作風なだけに。

 

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