○● 読書感想記 ●○ 2008年 【1】 ※ 書影画像のリンク先は【bk1】です ※
「己を捨て、民意の代弁者となるのが政治家だ。好き勝手に、無責任に自分の意見を口にしたければジャーナリストにでもなるがいい! 主義主張を口にせず、ひたすら民意に盲従してきたからこそ、我々は常に政権与党たり得たのだ。どうしてそれが理解できん!」 (中略) 「良い政治と皆が望む政治は異なる。民主主義を信じるなら、どちらを選ぶか間違ってはいかん」
うっひゃー、辛辣ー、でもって毒舌だわー。 ただ、まぁ、これが現実なのかもって思わせられるだけの真実味を感じたり。 民主主義はただのシステムであって、そこに善悪の別は組み込まれていないのよ、と。 その別はシステムを扱う側の「人間」にあるのだと。 今作は今作で人間の業を描いていたと思うのですけれど、これで物語が終わってしまうのだとしたら悲しすぎると思うのです。 人は愚かであるかもしれない。 でも、人は愚かさから学ぶことのできる存在でもあると、この物語に続くゲーム本編は教えてくれます。 そこまで進めてみないと、諒が、美樹が、あの空に散っていった生徒たちが悲しすぎます。 あー……。 またプレイしたくなったー。 そう思わせるノベライズは、勝ち、ですねぇ(^_^;)。
ふたりが織りなす、ひと夏の恋と空戦の物語である。
この言葉がすべてを表していました。 願わくば――願わくば、ふたりに……。 ふたりの、未来に――(T△T)。
「では……ご乗船、ありがとうございました」
――の台詞を残して彼女がとった行動に拍手ですよ! すがすがしいったらないわ!! 次はどのような新天地を見せてくれるのでしょうか。 センセの次回作を楽しみにしております♪
「学生として勉学に勤しみながら、なおかつお仕事までしているあなたのご苦労は、わたしなりに理解しているつもりです。この世の中は、至る所に闇だらけ。迷いや誘惑は、さぞかし多いことでしょう。心が揺れたことも、何度かあるはずです。でも、大事なことを忘れてはいけません。それは我が家で、十分に学んだはず。そうですね?」 「はい、もちろんです」 「では真九郎さん。わたしが最初に教えた、人生の指針となる言葉は何ですか?」 「えーと…………年上の女房は金の草鞋を履いてでも探せ」 「偉い、その通りです!」
夕乃さんの嬉しそうな笑顔が目に浮かびます(笑)。 真九郎の人格形成のうち何割かは、絶対に夕乃さんに依るものですなぁ。 いまの真九郎を創り上げたといっても過言では無いっちう。 そんな夕乃さん以外にも銀子やもちろん紫との交流のなかで、真九郎の「倖せ」が描かれているだけに――。 物語が動き出した中盤以降が思いっきり落差を生んで。 「倖せ」から切り離された「非日常」。 こうした描き方が片山センセの魅力なんですよねぇ……。 優しく引きつけておいて、ズドンと落とすっちうか。 にしてもここまで明確な真九郎の敗退って初めてな気が。 これまでは「勝てなかった」ことはあっても、勝負それ自体はノーコンテスト扱いまでに誤魔化せていたように思うのですよ。 んでも今回、≪個人要塞≫星噛絶奈との対決は、完全に負け。 あーもーっ! この最大の窮地からどうやって逆転してくれるのか。 分冊構成が憎い! 早く続きを!!!(≧△≦)
「幸せにするから!! 幸せにするからね!! 本気だよ!! 絶対だから!!」 「それはひとにしてもらうもんじゃなくて、私が勝手になるものだし、あなたもそれは自分でがんばってよ!!」
自助する人……っていうのでしょうか。 誰かに助けられたままでいることを是としない矜持を持っているワケで。 でも、だからといって自分のことばかりを考えているワケでもなく、むしろその逆で、ほかの誰かのために自分にできることを探しているという。 大切な人のために役立てる自分であろうと自助していく。 みんながそう考えていくから、その行為は尊い連鎖となって世界を正しい方向へと導いていく。 野梨原センセが描く世界は、そういう輝かしい未来をカンジさせる世界なのですよねー。 にしても界から界を渡り歩く魔王とスマートは、水戸黄門的漫遊記な雰囲気を漂わせ始めているような……。 たとえば今作での主人公のポジションにいるのは魔王やスマートではなく、この世界の住人であるミジャンとジェンなわけですし。 魔王やスマートは、二人が関わる事件に手を貸すという観察者としてのポジション。 『ちょー』シリーズとの関わりを持つ二人ですけれど、あまり表に出てこないことで新シリーズとのバランスを取っているような? とまれ、表に出ずとも物語は二人を巡って進んでいくワケで。 別の魔王に目をつけられたスマートの明日や如何に!? 楽しみ〜♪
どうせ無力ならばすべてを捨てろ。 騎士としての、人としての、女としての誇りも何もかもを捨てて乞え。
みっともない、情けない、あさましい……。 彼女の行為はそう映るものかもしれません。 なるほど、たしかに彼女は弱い。 でもね。 彼女は自らのその弱さを受け入れる強さを持っている、知っている。 それをわたしは崇高なことだと思いますし、彼女の行為にしても美しいものだとすら思うのです。 彼女は弱い。 でも、それは、彼女はこれから強くなっていくであろう証左でもあるような。 なんといっても、これは物語なのですから。 そしてもし彼女が真の意味で「強く」なれるのであれば、彼女と同じ視線を共有できた読み手であるわたしたちにもその可能性があるハズ。 だから、わたしはこの物語に楽しみにしていますし、三浦センセに期待しているのです。 ……って、あれー? 「今作は小粒」って論調で冷めた見方をしようと思って書き始めたのに、なに、この大絶賛論調は?? ここまで語っておきながら MyFavorite!に認定しないとウソでしょ(笑)。 やぱし三浦センセの作品にはなにか惹かれるモノがあるのかなぁ。 というワケで、次も大期待しておりまする〜(^-^)。
『戦闘城塞マスラヲ vol.3 奇跡の対価』 林トモアキ 著 聖魔グランプリ、ついに開幕! 前巻の引きであまりにも気になってしまったもので、思わずザ・スニを買い求めてしまったほど。 そんなグランプリの展開は、期待を違わぬ熱さでもって繰り広げられて! 孤独なレースという形ではなく、相棒がいるラリー形式に近いスタイルが功を奏しているカンジ。 もともと聖魔杯自体がパートナー制であるわけですけれど、今回のレースがいままででイチバン相手との信頼関係を重要視していたような。 もうね、もうね、ヒデオとウィル子の絆が、ねーっ!(≧▽≦)
そうとも、邪魔をするなら殺してやる。 だってヒデオは、今しもエリーゼの手によって殺されようとしているのだ。そんな絶命的状況下で、気にせず自分を殺せと言ったのだ。自分はこれほどにパワーを使い続け、彼を殺そうとしているのだ。 それでもなお一位を取れと! それでもなお、彼は必ず戻ると! 自分はこの現世に生まれ出でてたった一人、信じるべき相手を殺そうとしているのだ! ならばそれ以外の何千何万を殺したところで、何の問題があるものか!!
悪とは100人のために99人を犠牲にする人のこと。 そして正義とは、たったひとりの大切な人のために100人を犠牲にする人のこと。 そんなふうに言い回したのってなんの作品だったかなー。 とまれ、ウィル子は「たったひとりの大切な人」のためにその他のすべてのことをうち捨てて勝利を目指すわけで。 それは、もう、彼女たちの正義。 ゆるぎない正義の前に、半端な思いは砕け散る……ということを証明したお話でした。 まぁ、そんな熱さでもって終えた聖魔グランプリで今巻は半分。 残り半分はまた聖魔杯ルールでの勝負なのですけれど、こちらのほうは今回、ちょーっと蛇足感が……。 前半で盛り上がった気持ちが、静かに引いていくっちうかー。 歌合戦という勝負は目先が変わっていて興味深くはありましたけれど。 で、ラストは恒例のリュータが中心のANOTHER ROUND。 どこかポジション的に浮ついた感が漂っていたリュータにも、これでようやく覚悟完了ってカンジ? お遊びめいたところが消えて、真剣さが純化されたっちうかー。 それを誘ったのが、パートナーのエルシアっていうのには驚き? 彼女がそういう「面倒見の良さ」を表すとは……って。 んでも作中でも触れられてましたけれど、彼女の内面も当初よりはずいぶんと変わってきているみたいですし、これもまた良きかな良きかな(´Д`)。 ツンデレ属性はエリーゼのものとなりましたがー。 真性のお嬢様属性をエルシアは保持しているので、ワタシの中では最強だわ(笑)。 とまれ、これで聖魔杯も折り返し。 背後でうごめく存在たちの思惑も見え始めて、いよいよ佳境へ――!? 新シリーズも上梓されるようですけれど、こちらの展開も遅くなってほしくないなー……と思ったりします(^_^;)。