○● 読書感想記 ●○
2003年 【10】
30 | 『わたしのファルコン4』 夏見正隆
著 古書店巡って、手に入れました〜。 宣伝ぺージにもあるとおり、本当に進まない物語ですね〜(笑)。 ようやく<究極戦機>の姿も見えてきましたけれど――。 さしせまっての危機が感じられないことが、物語が進んでいるにもかかわらず、どれだけの距離を進んでいるかが分からない原因……なんでしょうか? 個々人の目的は分かってるんですけれど、その達成までに迫るものが無いというか……。 里緒奈が会社で上司にぶちまけるのは勢いは感じられるんですけど、爽快感はなかったかも……。 そもそも彼女は、物語的には間違った場所へ「自らの責任で」迷い込んでしまった状態なので、自業自得というか。 というか、こうした社会の極図めいた場所・人物においては、夏見センセの身を切るような自虐的コメディと認識してしまっているので……(苦笑)。 社会をデフォルメ化している……という程度では、まだまだ甘いと思います(^_^;)。 アクションシーンは例によって身を乗り出すような緊迫感があるんですけど。 グラウンドループの場面とか、川崎駅前緊急着陸の場面とか。 とくに後者は、里緒奈を迎えに行くという場面でもありましたし。 次の巻で本当に完結……するんでしょうか? どううやって? まだファルコンにも乗ってないんですけど――?(笑) |
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『GOSICK -ゴシック-』 桜庭一樹
著 新装刊後、ここまで読んだ中では一番面白かったです。 桜庭センセのファンという欲目を省いても、魅力的な作品になっていると思います。 まー、なんといいましょうか。 冒頭でとにかく、キャラクターが次にどんな行動を見せるのか、どんな目に遭うのか、などなどを期待させる展開を分かりやすく用意しないとダメですよねぇ……。 もちろん好き嫌いがあるので一概には言えないと思いますけど、えーっと、つまりは今作はかなりのところでキャッチーに考えられていると思うのですよ。 でもってミステリとしては、クリスティ先生のあの名作のオマージュ……になってますよね? なっているような。……なってませんか? わたしはそう感じたんですけど。 もっともクリスティ先生のあの作品も、当時の別作品……というか風潮に対してのオマージュなわけですから――。 構造をおおざっぱに分類すると、やっぱりボーイミーツガールなんでしょうか。 でも主人公の久城一弥の行動的なところは良いですね〜。 そうそう。こういうキャラ像をわたしは望んでいました!(≧▽≦) この子が事件を経験しながら成長していく様を、桜庭先生、丁寧に描いてます。 んで、探偵役のヴィクトリカ。この子がもう、キャッチーこのうえなく(笑)。 ヤヴァイ。ヤヴァイですよ! 武田センセのイラストと相まって、そらもうスゴイ存在感を発揮しております。 ルリタニアテーマですし、ボーイミーツガールですし……と、ちょっとわたしの好きな要素が満載で、鼻血が出そうです(笑)。 そんな次第で、はげしく続刊希望、シリーズ希望です。 |
28 | 『囁く百合
レンテンローズ』 太田忠司
著 よかった〜。『レンテンローズ』は普通にミステリしてて(苦笑)。 ただ、まぁ、やっぱり種明かしの箇所をもう少し読み手側に寄ってきてもらいたいなぁ……という気が。 犯人が動機を語ったり、この世界の住人でないアカンサスに負わせるのは反則っぽく感じてしまうんですけど。 まあ、これまでの中では、主人公の皆瀬早紀はがんばっていた、真実に近付いていたと思います。 しかし、謎解きの部分を別にすると、アカンサスやプリムラの側の世界が前面に来たのは面白いと思いました。 こういう背景があってこそ、アカンサスの立ち回りも理解できるというもので。 ……今まではただの美味しいトコ取りの奇人→都合の良い狂言回し、にしか思えなかったんデスヨ〜。 でも正体まで明かすことは無かったような気が……。 サービス精神、多すぎかと(笑)。 |
27 | 『めがねノこころ』 ゆうきりん
著 オビには「めがねっ娘学園コメディ」ってあるんですけど、そんなライトなものではなくて――。 ゆうきりんセンセの本って初めて読むんですけど、もしかしてそういうタイプのかたなんでしょうか? 一見、ライトな見せ方をしつつも、根底にはかなり重い主題を置いておくような。 そいう構造、嫌いじゃないので、他の作品にも興味が……。 メガネを着用すると起こる展開については、どこかで見たような気もするけど、斬新な気もします。特に対象をメガネに限ったことではないガジェットにしているところは、考えてるなぁ……と思いました。 メガネはあくまで従であって、主ではないというか。 しかし主人公(とくに男子の場合)が後ろ向きな思考というのは、もういいかげん食傷気味を通り越して、その……。 ペルソナとしての味をつけていますけど、どうにも物語の転がり方に同調できなくなってしまうのですが――。 ……でも今作に限って言えば、他のそれとは違って心情の表裏を表しているようにも思えなくも無いですか? ほら、メガネの着脱で人が変わると言いますし、ガジェットに符号しているような……。 穿ちすぎでしょうか? あと、「好き」という気持ちに気が付かずに嫉妬してしまうヒロインというのも……。 これも「気が付いていない」ではなく、「その気持ちを知らない」でしょうか。今作では。 う〜ん……。それでも……。 作品は好きになれたんですけれど、キャラ造形にちょっと気になってしまった作品でした。別にゆうきセンセのせいじゃないんですけど――(^_^;)。 |
26 | 『マルタ・サギーは探偵ですか?』 野梨原花南
著 新装刊として再出発の富士見ミステリー文庫ですけれども……。 …………やっちゃった?感が。 ミステリが愛だとかLOVEだとかうたっているわりには、それは無かったですしー。 で、ミステリが謎だと言うなら、ちょっともう、どうにも言い訳できないといいますか……。 いや、わたしは野梨原センセのファンですから買い!ですけど。 ところどころに見られる、野梨原センセらしい筆致は嗚呼とか思いますもん。 でもねぇ――。 正直、あの推理披露シーンは無いと思うんですけど……。 ……あ。コメディならOKなのかも。 いや、でもそれなら何故にミステリー文庫?なわけで――。 しかしまあ「探偵ですか?」なんですよね。 「ですか?」と疑問系なのは、つまり、そういうことなのかなぁ……と。 作中の言葉に頼れば――「名探偵」ではあるけれども、探偵ではない――となるのだと思います。 |
25 | 『シックスボルトV』 神野オキナ
著 前巻までの流れから、物語の力点がずらされているようなカンジ……。 それが神野センセが言うところの「カメラを引いて、世間を見せている」ようなトコロなのかもしれません。 たった4人の小隊で乗り込むところなどは、こう、熱いモノを感じたのですけど、他に大きく動いた部分はなかったかも――。 由宇もヒサカも、なんとなくですけど、物語に関わってないような気がするので。 というか、舞台から下りたがっている、あるいはすでに下りてしまっているような。 今作ではスポットを浴びているのはアイラだったり蛍センパイだったりするわけで。 でも彼女らすらも物語の中では一兵卒という観念から脱してないと思いますし。 ……うーん。これが「シックスボルト」という世界なのかなぁ。 なんとなく不完全燃焼の気持ちになるのは、由宇よりもヒサカ先輩のせいだと思うんですけど。 あそこでスオウを選ぶ心情も分からないではないですけど、だとするならば、2巻ラストから3巻序盤までの心情は何だったのかという気持ちが。 由宇にしても、状況証拠だけで「フラれた」と判断するのは、ちょっとアッサリしすぎやしませんか?ってなもので――。 物語、大局的には何も変わってないし進んでないので、もしかすると続刊があるのかもしれませんけど――。 このモヤモヤ巻を払拭するためにも、少なくとも由宇の物語には終わりが欲しい気がするのですけれど、「シックスボルト」としてはもういいかなぁ……って気もします。 |
24 | 『天華無敵!』 ひびき遊
著 ファンタジーに科学を持ち込むのは、なんと難しいことかと……。 描きたいことを書ききった勢いのようなものは感じるんですけど、読み手を楽しませる意図での物語の起伏に関しては少なかったような。 しごく真っ当に気持ちよく進んで大団円……って、どうにも読後には感動より物足りなさを感じてしまいました。 もう少し天華に負い目というか、世界に対しての反抗心のようなものがあれば、わたしも感情移入できたのかもしれません。 すべてを受け入れてこんな正直者に育っているなんて、その出自を考えてしまうと受け入れがたいといいますか……。 ……まぁ、自分が汚れてしまっているだけなんでしょうけれど(^_^;)。 |
23 | 『Astral
U childhood's end』 今田隆文 著 霊視できる相手が女性ばかりということでマンネリ化しそうな雰囲気を感じていたのですけれど、今作では「生きている」人を渦中にして、そんなわたしの危惧を打破してくれています。 うんうん。こういう雰囲気は好きー。 前巻はあまりキャラが見えてなかった妹の柚も、今作にてようやく人となりが分かってきたカンジがします。動き出したというか。 杏奈ちゃんは、ヤヴァイ気がします。 いろいろな意味でー。 狙っている大学生もいるみたいですし……。 そして前作を読んでこその展開もあって、読み手を意識しているなーと思わせるサービス仕様(?)。 あのラストの桃香ちゃんの話ですけど。 あれは、その……嬉しいのと切ないのと、半分ずつですね(TдT)。 面白いシリーズになっていると思うんですけど、主人公・明の性格だけは好きになれないかなー。 なんか、こう、優しくされることを期待して他者を遠ざけているような雰囲気が。 ……まぁ、それがこの作品には必要な要素なのでしょうけれどもー。 関係無いですけど……。 サブタイの childhood's end って、TMネットワークの曲にあったかなとか思ったりして。好きな曲でした。 |
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『ばいおれんす☆まじかる 〜核の花咲く日曜日』 林トモアキ
著 表紙からして由香利ちゃんの本でした(笑)。 脱衣麻雀のシーン、さいこー!(^_^;) あ、このシーンに限って言えば、トラになった緋奈ちゃんのほうがすごかったですけども。 「それは、履いていた方がいい」 ――には、もう、アナタ!(笑) ただテトラ関係を考えると、やっぱり由香利ちゃんかなぁ。 言い負かされてしまいましたけれど、ホワイトとのやりとりは共感できますし。 でもって、そのホワイトの大衆の良識的文言を、きわめて利己的な文言で言い負かす……というか、ぶち壊す?、緋奈はやっぱり緋奈だと思いますし、またこの作品のコンセプトなのかなぁ……と思います。 世の中には、それが正しいことだと思えても、譲れないということはあるもので――。 「由香利はあたしの、生涯に1人の友達だ。例え他の誰が天秤にかかったとしても、あたしは由香利をとる……だったら、顔も知らない何百万の人間なんざ知ったことかよ」 そうしたことがあるということ、それを守るということは正しいことではないのかもしれないけれど、大切なこと。 |
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『ばいおれんす☆まじかる 〜恋の呪文は修羅の道』 林トモアキ
著 相変わらず冴え渡る筆致……。 なんて読みやすくて勢いのある……。 キャラが生き生きしているというか、心情も、言動も、そのものを感じたり思い描けたりするんですよね。 う〜ん。楽しい。 前巻で想いが通じ合ったかのように思えた緋奈と圭一なのに、緋奈ってばあっさり 「うそだ」 ――ですもんね。 あと、追い打ちで「粗末だな」。 あー、笑った笑った。笑わせてもらいました(^-^)。 ここ、ページ構成もうまいですよね〜。 思うんですけど、この作品ってすごくアニメ化しやすいと思うんですけど。 というか、映像演出を意識している……のかな? 先述のシーンも、その場面を思い描けるんですけども。 緋奈とユキの戦いは、周囲にいた人の気持ちも含めていろいろと考えさせられるものであり――。 こういう主張があるから、この作品はあなどれません。 みうちゃんの主張は受け入れられませんでしたけれど、後日のマリアクレセル様のフォロー?が心憎い演出といいますかーっ! みうちゃんの主張も、受け入れられなかっただけで、間違ってはいないんですよね。とくに彼女の立場を考えれば。 それを完全に否定してしまえば、ユキが緋奈に言て、そして緋奈も同意した「人にはそれぞれ考え方があって、それを押しつけるのは正しいことだとは思えない」という考えに反してしまうわけで。 どちらが正しいか?では世界は成り立っておらず、どちらが生き残るか……なのだと思います。 なんだか緋奈の影響があるのか、任侠の世界っぽくなってしまいましたけども(笑)。 主張といえば、緋奈と川島先生の舌戦は面白かったですね〜。 九重第二には、個性的な先生が多いなぁ(笑)。 |
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『ばいおれんす☆まじかる 〜九重第二の魔法少女』 林トモアキ
著 お……おもしろーい!(≧▽≦) 久しぶりに何度も読み返す本に出会っちゃいましたっ! (一昨年に刊行された本ですけども) 文章は読みやすくて丁寧ですし、キャラも色付けを間違っていないというか、それぞれ個性的ですし! まぁ、とにかく丁寧でテンポある筆致が好感ですよ〜! 愛媛みかんサンのイラストもグーッ!(≧▽≦b イラストの配置もヒネってありますし、トータルで見ても良く練られた作品だなぁ……という印象です。 終盤、校舎に入ってからの戦いは、ちょっと急ぎすぎかなぁ――とも思うのですけど、内容については読み応えあるものばかりなので気にならない……というか、むしろもったいない気が。 特にエルシフとの戦いは、もっと膨らませることのできる話だと思いますし。 ……再登場希望です、エルシフ。 川島先生がサムズアップしたとこが、いちばん燃えました(笑)。 |
19 | 『レンテンローズ 笑う月』 太田忠司
著 容疑者への導き方が巧みだなぁ……と思いました。 Aという人物に疑いを見せつつ、やがてBという人物への疑いにフェードしていくというか。 さすが、太田センセ。 1つ納得がいかないのは、小島仁美さん殺害に関して、確たる理由を明示してないことでしょうか。 もっと、こう、パーソナルな部分で関わってこないと、物語として穴が空いているようなカンジを受けたのですけども? 単に数合わせで殺されたんじゃ、あんまりです。 見開きでイラストもらってるメガネッ子なのに(もったいない)。 |
18 | 『炎のダイエットと姉上さま 拝啓、姉上さま Letter
set1』 川口大介
著 大怪盗の姉上と騎士見習いの弟という設定は面白かったかなぁ……。 ただ、そこ以外に、こう、興味を引くポイントは無かったので……。 物語自体は割にしっかりしているので、そういう「萌え」とかいう観点で捉えるのは、この作品には間違っているのかも。 本編中で、期待したようなイチャイチャするシーンはなかったですし。 ……何を期待したのかは、秘密ですけど(笑)。 あまりに都合がよい大怪盗の活躍ぶりには、この巻だけで食傷気味かも。 結局、弟君も姉の凶行?を知りつつも、それに対して何をするわけでなし。 これではわたしは同情はしないかなぁ。 どれだけ破天荒なお姉さんに振り回されていようとも。 お姉さんのほうも、弟を大切に思っているとは書かれていても、それを示すような行動は(今のところ)していないですし。 境遇には同情できますけど、そこから先の生き方には共感できるところが少ない……のではないかと思いました。 |
17 | 『レンテンローズ』 太田忠司 著 富士見ミステリー文庫の中でも天広直人センセがイラストを描かれているために、ひときわ目立つ作品……のような気がします(苦笑)。 天広センセのトーンワークって、初めて見たような。 2話目の「裁く十字架」ではグレースケール処理に落ち着いちゃいましたけど(^_^;)。 表題作「レンテンローズ」と2話目の「裁く十字架」では、結び方の違いが気になるんですけれども? というか、「レンテンローズ」のラスト、どうして3人そろっているのかが不思議というか理解できないのですけども。 それが「許されること」ならば、「裁く十字架」のほうでもそうしてほしいっていうか。 アカンサスもプリムラも、二人の説明はいいので、そちらの説明が欲しいところです。 トリック自体はすごく誠実だと思います。 わたし的には「レンテンローズ」のほうが好きかなー。 動機はともかく、トリックは極めて短編向きかと。 ラジオで語られたということが、きわめて恣意的くさいので。不自然というか。 そこも絡めていただけたらなと思う次第です。 「裁く十字架」のほうは、もうそういうものだと理解するしかないので、ミステリの読み手としてはあまりドキワクしないトリックかなと。 読み解く、整理する楽しみはあるんですけどねー。 |
16 | 『くるりくる! 〜でする来襲〜』 花田十輝 著 ウジウジして落ち込んでいる男の子と、とにかく前向きな女の子の話。 特異な状況設定など面白かったですし、主要人物の動機なども分かりやすく描けているんじゃないかと思います。 先日読んだ『大嫌いなあの空に。』にも思ったんですけど、すごく素直な物語を描く人なんじゃないでしょうか、花田センセ。 主人公、室戸康大の心の傷がまた、こう、わたしの琴線にきたといいましょうか……。 あ、でもやっぱり結び方というかラストシーンが強引な気が。 それが楽しい結び方であるのは分かるんですけど、そこまでの流れと反しているように感じる部分もありますし。 「仲間がいるからこそ、人は傷を背負っても前へ進める」 ――という考え方の持ち主なんでしょうか? |
15 |
『たたかうニュースキャスターU B型暗殺教団事件』 夏見正隆 著 表題に偽りあり……かもですよ。 「たたかうニュースキャスター」としてではなく、普通の夏見正隆作品として読んだ場合には、ほどほどにまとまっているのではないでしょうか? 問題解決にもっと無茶があってもいいような気がしますけども〜。 わたし的には『僕はイーグル』の3巻あたりが好きなので(笑)。 結局、よしみがニュースキャスターでいられなくなるなら全ての枷から解き放たれられてしまうワケで、その状態を是としてしまうとこの作品の根幹自体が不確かなモノになってしまうような。 ニュースキャスターと正義の味方を、ギリギリのところで天秤の釣り合いがとれるようにしていくことがこの作品の命題のような気がするのですけど、どうなんでしょ? TV業界にしがみつくことが、イコール、ニュースキャスターであることと代替する立場だとは思えないというか。 もちろん1作の中での起伏はあっても良いというか、この作品では当然でしょうし、でも、それでもですよ? 今回はニュースキャスターとしての桜庭よしみはほとんど描かれないわけで――。 ニュースキャスターであることが彼女の夢であることは分かりますし、そのためにはどんな形であれ業界に残っていたいということも理解できます。 でも、それと作品としての構造は別だと思うんです。 よしみがニュースキャスターでなくなれば、もっと色々な展開が待っているはずなのに、それを成さないことが不思議に映るんです、わたしには。 今回、よしみには仲間?が増えて良かったですね。 やっぱり、今のままじゃ辛すぎますもん、彼女(TдT)。 |
14 |
『大嫌いな、あの空に。』 花田十輝 著 ごくごく素直な仕上がりの作品かと。 良く言えば受け入れやすい物語ですし、悪く言えばありきたり。 嫌いな人には「何これ?」でしょうし、好きな人には「うんうん!」でしょうね。 ちなみにわたしは後者(笑)。 あまりにもこの作品らしい独自性が感じられないのはどうかとも思いますけど、それでもやっぱりこういう話は好きですし。 むしろ先の展開が読めるだけに、読み進めていくことが切なくなっていくというか。 でも、ラストで全員があの場所に行くっていうのは、さすがに不自然すぎると思うのですけど? 結び方としては綺麗なんですけど、綺麗なのはわかるんですけど、あまりにも理想的すぎて嘘臭いというか――。 正直、みんなをあの場所へ同行させるときにかける言葉が思いつかないんです。 どうやって広海は、みんなに来てもらったんでしょうか?? そこが、ちょっと……。 |
13 |
『エアリアルシティ』 川上稔 著 うーん……。 前作で感じられたような爽快感が無いんですけど……。 「全て文字で表されれる異境、倫敦」という設定も、あまり活かされているとは思えないですし。 天を落とすという危機も、だからどうなる?といった因果の部分で説明が足りてないのか、それともわたしの理解力・想像力が足りていないのか……といったトコロ。 それでも、設定を除いた部分での物語の終始はしっかりしていると思いました。 あの締め方は素晴らしいんではないかと。 ……でも、やっぱり、その素晴らしい終末に、設定の部分が何ら関与していない(ように見える)のは、どうなのかなぁ……とか。 うーん……。 |
12 |
『神様家族3 桃色貯金』 桑島由一 著 1巻の頃にあったようなパワーは感じられないんですけど(むしろ惰性のようなものを感じてしまうカモ)、その減ったパワーの分だけ、物語の中は示唆に富んできているような気がします。 うーん。こう言っては失礼なのかもしれませんけれど、桑島センセの中で「神様」という存在の物語位置付けが、ここにきてようやく固まってきたのではないかと。 ぶっちゃけ、1巻の頃は「神様家族」という言葉だけで引っぱって書かれていたような気もするのです。 ママさんの―― 「ここは神様の家なんだよ? 助けて欲しい人がきたら、誰だって助ける。それが神様のおうち。わかった?」 ――という言葉に衝撃を受けて、上のようなことを考えたのです。 あのママさんが、そんな聡いことを言うなんて、何か違うデショ!?(笑) 小森久美子ちゃんとか橘愛ちゃんとかも登場して、物語に一本通った感じがします。 ここから始まるような感覚。 あるいはここで終わってしまうのも収まりは悪くないのですけれども――。 やっぱり、このキャラクターたちの次の物語が読みたいですネ!(^-^) |
10 11 |
『たたかう! ニュースキャスター』 夏見正隆 著 (ソノラマ文庫版&ソノラマノベル版) 鈴木雅久センセって、絵の雰囲気が変わらない人だって印象があってんですけど、文庫版と新書版を並べて表紙を見てみると、けっこう変わってますねー。 昔はちょっとキツイ印象です。鋭角的というか。 今はもっと丸みを帯びてるかな……と。 文庫→新書の順で読みました。 もし今から読む人がいるんであれば、新書だけを押さえておけば良いと思います。 文庫で表されているものは、全部新書に収められているので(多分)。 加筆もされているので、全体の構成がまとまっている感じがします。 章ごとのつながりとかがスムーズというか。 続刊を考えていたであろう文庫版は、終わりかたが突然でもありましたしね。 うー……。でもなぁ……。 主人公・桜庭よしみの報われ無さには、同情してしまうというより、納得いかないという気持ちになってしまうんですけど……。 払った犠牲に対して彼女が得たモノが、とても等価だとは思えないんです。 というか、何かを得たのだろうかと首を傾げてしまうくらいです。 もうちょっと倖せにならないと、わたしは納得できないかなぁ……。 この物語に対して。 中盤までの障害(?)である山梨涼子の行動原理にも共感は出来なかったです。 理由はわかったんですけど、結局は自己保身じゃないですか。 自分の価値を高めるために何か行動したわけでなし、そもそも冷や飯食いになってしまった原因だって彼女にあるのに、その件を省みている様子はうかがえませんでしたし……。 なーんとなく、スッキリしないんですよね。 こう、読後感が悪いっていうか――。 よしみは頑張っているんですから、それに見合っただけの倖せを!(笑) それにしても、この作品も夏見センセの作品世界を共有しているんですね。 水無月美帆さんですかー。 もしかしてTV局も、『僕はイーグル』に出てきてたかしらん?? |
9 | 『八月は一夜限りの心霊探偵』 霧舎巧 著 うわーい。このシリーズは本全体を使って伏線を(ともすればトリックまでも)張ってくるので気が抜けません。 いやはや、『ヤングマグナム』にはまいりました(笑)。 壁紙もダウンロードしてきましたよー(^_^)。 二冊同時発売にも意味があったんですねー。 すごーい。 今も確かめてみて、なるほど〜とか思いましたもん。 でもって、またもやトリックははっきりしてて分かりやすいですし。 好感、好感です。 けっこう複雑になっていそうなんですけど、説明の仕方が整理されているので分かりやすいんでしょうか。 このあたり、見習いたいです。 琴葉と棚彦の中も、この二巻の間でそらもう急接近というか。 どちらも嬉しい終わり方をしています。 次は秋ですもんね〜。 学園祭シーズンです。二人に何が起こるのか、楽しみ楽しみ。 それと、あの人も戻ってきますしねー。 |
8 | 『七月は織姫と彦星の交換殺人』 霧舎巧 著 この本が本格ミステリーだと説明したところ、表紙を見た知人は驚いてました(笑)。 短冊が付いていたり、イラストでアイテムを見せたり、見た目にけっこう凝ってるんですよねー、このシリーズ。 実際に作中で登場している短冊が手元にあったりすると、臨場感がまるで違うために引き込まれていくというか。 こういう演出方法、すごく好きー。 トリックも変に持って回った手順を踏んでないですし、納得納得。 ああ、でも今回は頭木先輩、キレが悪かったですか? 毎回こんなものだと言われれば、そうなのかも……とも思うのですけど。 登場自体が少なかった印象です。 あと、弓絵にはムカつきます(苦笑)。 彼女をどうにかできないで琴葉のそばにいようなんて、甘すぎですよ、ナオキ! |
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『わたしのファルコン 3』 夏見正隆 著 目に見えていろいろと展開していくものですから、これが本当に『ぼくはイーグル』の作者と同じ人なのかと疑ってしまいます(苦笑)。 ま、本当にいろいろあるわけですけども。 いきなりの美月さんの進言はドキリとさせられました。 「戦闘機パイロットの仕事は、飛行機を飛ばすことなのですか?」 ある意味、当作品の命題の一つでしょうか。 このあと、どうやって解決されていくのか楽しみです……って思っているうちに、いきなりその状況が美月さんに突きつけられてます。 苦労を背負い込む人ですね、美月さん。 運が悪いとしか……(笑)。 里緒菜にはイジメも始まっちゃうしー。 お決まりの展開とはいえ、がんばれー……って、この巻で里緒菜はー……。 忍の活躍と成長を目の前にしては、どうしても自分を比較してしまいますよね。 自分がおまけで連れてこられたと知ったとき、どうなっちゃうんでしょう。 心配です。 あ。羽生恵空軍作戦部長(中佐)、かわいいですね。 峰剛之介統幕議長といい雰囲気です(笑)。 美月さんとも話が合いそうですし……大変ですね、統幕議長(^_^;)。 吉野少尉と士郎大尉も、あれですしーっ。 面白すぎます。 何これ。地球の命運を賭けている話ではなかっ……たの?(苦笑) ネオ・ソビエト側の話にけっこう比重を置かれ始めているので、その点はちとツラかったです。 あまり向こう側の話は好きくないみたいです。 『レヴァイアサン戦記』を読んでいると面白く読めるのかもしれません。 |
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『わたしのファルコン 2』 夏見正隆 著 いよいよ、テイクオフ! ……と、その前に。 試験は受けたものの本当に自衛隊に入隊するかどうかの覚悟を見せられるシーンがあるわけですけれども。 忍の物言いには、正直、うらやましくもありました。 ああ、そこまで言える人って……なカンジ。 どちらかというと、里緒菜の心境のほうが近かったです。 自分の未来を想像して気持ち悪くなるという……。 美月さんのやり方も、きわめて真っ当というか――。 そりゃ破天荒で型破りであることには違いないのですけどもね(笑)。 でも、その型破りっぷりが、自分たちには時間がないという切迫感にもつながっていくので。 読んでいてドキドキですよーん。 転任のときの光景も、美月さんの人柄を表しているようで微笑ましかったです。 <究極戦機>に搭乗できる2人目まで搭乗しましたが、愛月大尉も、これまたクセのある人で……。 えーっと、よろしいんじゃないかと(笑)。 |
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『わたしのファルコン 1』 夏見正隆 著 うーん。 空軍へ誘われる女の子を書かせたら、夏見センセに並ぶ人は……(笑)。 飛行機の描写などは、まず他の人の追随を許さない気がします。 女の子の描写……というより、周囲の動静に揺れ動かされる人間像を描くのが巧いというか、「周囲の動静」の取捨選択が巧みというか。 ちょっとだけ過剰なリアルさ加減とでも言いましょうか(^_^;)。 しかし、このお話、要約すると…… 「元アイドル歌手の売れない女優がF16ファルコンに乗って外宇宙から飛来した物体を倒すまでの話」 ……とかになるんでしょうか? なんかすごいですね(笑)。 あ、ファルコンじゃないんでしょうけど。 |
4 | 『おおきくなりません』 白倉由美 著 この本、新刊ではなくて『グレーテルの記憶』と同じ頃の刊行なんですね。 ハズカシー! ええっと、本編のほうは……自叙伝、に近いのかもなーとか思いました。 麻巳美の背景というものに白倉センセを感じたのですけども。 不思議というか特異な設定で進んでいくので、読者を選ぶなぁ……とか思ったりするのですけども、わたしはやっぱり好きですね、この雰囲気が。 読んでいると感情移入するわけではなく、登場人物(とくに主人公と)一緒になって考えていくことを誘われるような雰囲気が、ですね。 そして精神科医の三木・元幸・エリクソン先生、登場。 うわー。 だから、こういう仕掛け、好きなんですってば(笑)。 |
3 | 『パンツァーポリス1935』 川上稔 著 うわーい。空戦活劇だー!(≧▽≦) 都市シリーズは前から興味あったんですけど、この1巻がなかなか見つからなくて……。 おもしろーい! なんか、こう、ワクワクしてきますよね。 亡き父が遺してくれた物を目にするために、軍事色いちぢるしい国家を向こうにまわして大立ち回り。 近代兵器の流れのなかで失われていく「騎士道」みたいな精神を守って、ゆずれないことのために命を賭けて戦う――。 ああっ、もう! ただ明確な敵という存在が居ないので、夢が達成される瞬間のカタルシスが不足しているのかなぁ……という気がします。 あと、わたし的にはヒロイン像の弱さかなぁ……。 ヒロインである意味が皆無というか。別に男性でも構わない役割なわけで。 とりあえず、都市シリーズ、読み進めていきますデスヨ。 |
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『悪魔のミカタ IT/ザ・ワン』 うえお久光 著 いろいろな点から、わたしには興味薄だったわけですが――。 コウが(主人公として)登場しないお話だったり、表紙がサクラで中身もサクラだったり、そりゃ「ザ・ワン」だから仕方がないですけど吸血鬼ネタだったり――。 んでも、読み始めたら、あらあらまぁまぁ。 かつてない面白さでした。 これだけドキワクしたのは『グレイテストオリオン』以来かも。 たしかに同等の分量、ありますもんね。 何が共感できるというか引き込まれるのかと言えば、弱者が強者に憧れるのは当然として、「強さとは何か?」と考える前に驕奢に同化してしまう本当の意味での「弱さ」を、社会的には弱者とされる者/存在が「弱さ」を理解した上で「強さ」に変えていく、その意志――に引き込まれたのではないかと。 コウという絶対の存在に憧れる昇。 お決まりの展開ですと、コピーはオリジナルに勝てないということから、「昇」は「コウ」になれないどころか届くことすらかなわないわけですが――。 昇はコウにるわけではなく、もう少しだけ強くなった昇……になっていきましたね。 コウのコピーではなく、オリジナルの昇。 奇跡の意志のもとに集った面々。 ここから始まる大逆転劇。 すごく楽しみな引きになっております(≧▽≦)。 次回予告も興味そそられたしーっ! |
1 | 『シックスボルトU』 神野オキナ
著 生き方ひとつの問題だと思うわけですよ。 <聖痕者>を待ち望むにしても、「何故」にあたる部分の違いによって、その人の生き方というか生きていく価値が決まっているような。 目的は一つであっても、それに関わる理由は無限にあるわけで。 結局は人格者でない者には権力を持たせてはならないということ? 時間と場所を太字で記して人目に付くようにして進めていくスタイルでは、どこかで日時がねじれているのではないかと思って、けっこう意識をしちゃうんですけど? ミステリの読み過ぎデスカ?(苦笑) 人と人との感情のもつれもなぁ……もう……。 この世界でなければ、青春の1ページで済むかもしれないなと思うのですが――。 もつれた感情の行き先が、人の生き死にに関わってくる世界なので、これまた切ないといいますか……。 といっても、共井和沖たちがやったことは、幼稚で卑劣で悪辣であることに違いはありませんけども。 とくに自分たちが法の適用外であり、最後の一線からは守られていると自覚した上での行為であるということが、非常に気分悪いです。 ラスト、由宇はちょっとだけですけど安らぎに出会えましたけど、それで相殺されるのかなぁ……。 わたしは納得できないんですけど、もしかしたら由宇にとっては自分が持つ全ての尊厳と等価であったのかもしれないなぁ……とか思ったりもします。 次巻でラストですか〜。 どういうふうに結ぶのか楽しみです。 御鏡旅土とか財団とか、「シュレイオー」との作品とのからみも出ましたしー。 こういう展開、すきー。 ……一見さんお断りの雰囲気を持ってしまう可能性もありますけど(^_^;)。 あ。 折り返しのところのあらすじに誤字があるのは、ちとショック……。 一番の顔ってわけじゃないにしても、ここを読んで購入の判断をする人もいるでしょうに……(わたしか)。 |