○● 読書感想記 ●○
2003年 【7】
27 | 『Mr.サイレント4 心象世界の幸せな景色』 早見裕司
著 じつはこのシリーズを読んでみようかなって思ったのは、今作のオビのコピーに目を惹かれたからなのでした。 「祝!結婚!? ハートに火を点けるシリーズ第4弾!!」 ――が、そのコピー。 ライトノベルで結婚話ってあまり聞かないなぁ……と思ったもので。 それで今週は1巻から読んできたわけですけれども、シリーズは気に入っちゃいましたし、そして期待していた第4作目も面白かったし、嬉しい嬉しい。 今回はトリックより人間周りにウェイトが置かれてましたねー。 まさに晋一郎が苦手としている分野(笑)。 それでも9件も事件に携わっているうちに、恋愛の機微というものを分かってきた模様。 ニヤリ。 晋一郎も真理香も、2人とも互いを想う感情に決着を付けていないんですけど、もうそろそろ覚悟してもいいんじゃぁ……(^_^;)。 見ていて面白いんですけどね〜。 第2話の事件は、ちょっとわたくし的にイタタタ……。 そうですね。甘えちゃいけませんね。 がんばります(^_^;) |
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『Mr.サイレント3 夢現世界の熱い予感』 早見裕司
著 作者の地元を舞台に……。 資料とか探すのに便利なのでしょうけど、東京は小平市から沖縄へ引っ越すって……(苦笑)。 寒いのが嫌いだからって、そこまでしますか?(笑) そういう割り切りかた?、晋一郎に似ている気がします。 今回も3編収録されてますけど、またこれがスマートなんですわ。 トリック的にはどうもしてない第1話は、ちょっとした生活の中にも物語のネタは潜んでいると思わせてくれます。 第2話と第3話は、トリックを別のトリックで覆う、複合タイプの話ですしー。 説明されれば「ああ」と納得できて嫌味がないんですよねー。 聖信にも行動動機が示されてきましたし、物語も動いてきてますヨ〜! 楽しみ楽しみです。 |
25 | 『Mr.サイレント2 自律世界の愛しい未来』 早見裕司
著 今作も短編集なワケで。 この形式、ミステリなのに気軽に読んでいけるので、ホント楽しいです。 昔、クリスティを読んでいた頃は、読む前にけっこう覚悟を持たされたものです(笑)。 とりあえず、表紙をめくって口絵カラーにビックリ。 晋一郎が真理香をお姫様抱っこしてるーっ!!! 真理香の手が首に回されている晋一郎はちょっと困った顔で、真理香のほうは安心しきってる表情で!(笑) いやもう、本編読む前から興奮デスヨ。 本編のほうも、短編ながらも(短編だからこそ?)小気味良く展開していきますし、凝りすぎたトリックでもないですし、読んでいて気持ちが良いです。 分類すると安楽椅子探偵の晋一郎なので(ですよね?)、その周りでバタバタしている真理香の様子が面白いのかもしれませんけど(笑)。 そんな晋一郎も、真理香の交友関係が気になってきたようでもありますし、そーゆー方面からもこれからがたのしみです。 人名とか場所とかブランドとか曲名とか、そういう実際にある固有名詞を嫌味無くちりばめているので、わたしにはそこからリアリティを感じることができるというか、親近感が湧いてくるんですよねー。 「昔、福永恵規ってアイドルがいたそうです」 ……で、苦笑です(^_^;)。 |
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『Mr.サイレント 仮想世界の優しい奇跡』 早見裕司
著 うーん。最近、わたしの中で富士見ミステリー文庫の株が上昇中です。 やっぱり出会いが悪いと、全てを否定しちゃうようなクセは治さないとー。 今作には気軽で分かりやすいトリックを活かした短編が3話収録されてます。 うんうん。こういう形式、読みやすくって好きです。 特にミステリーはトリックの数だけ物語が産まれるというか、1つの大掛かりなトリックを活かすために組み立てられた重厚な人間関係を見せられるより、身近な人間関係をライトに描いていただいたほうが、わたしは読みやすいです。 そういう意味では、今作の晋一郎&真理香のコンビが織りなすドラマは、見ていて飽きませんです。 幼なじみで、バイトの雇用者と被雇用者で、女の子のほうが年上で……とか、そういういろいろな「微妙な関係」も、かーなーりっ!好みです(笑)。 本当にトリックはシンプルで、物語にも過不足無く活かされてますし、読後感は「へぇ〜(^_^)」ってカンジで気分良いです。 本格とか新本格とか、ミステリについては詳しくないですけども、ちょっとオススメです。 わたし的には1話が面白かったです。 |
23 | 『ルナティックムーン』 藤原
祐 著 物語に必要なトコロは押さえていて、そして読みやすい文章なのは確かかなと。 ただ必要最低限のラインは超えているんですけど、そこから先の上積み分が――ありていに言ってしまえば「萌え」?(きっと違う)――が足りない気がしました。 世界設定、キャラのバックボーンなどは説明されるのですけど、読み手であるわたしには感情移入できる部分が少ないというか。 あくまで『物語』としてのスタンスを保っていて、わたしとは距離感があるかなぁ……ってカンジです。 主人公の1人、イルの行動理由は理解というか教えられているワケですけど、それに共感するまでには至らず……でしょうか。 最終的には1つの筋に収まるにしても、イルともう一人の主人公(ですよね?)のシオンの今作上でのウェイトのアンバランスさも気になるところ。 『スクライド』のカズマと劉鳳の2人の視点を組み込んで1つにまとめようとすると、そりゃさすがに1冊では厳しいかもー……というトコロでしょうか?(えー) いや、それ以前に最近わたし、キャラが初めからバシバシ次々に沢山登場する作品が苦手になってきているだけかも。 うわー、歳とったー(苦笑)。 それとライトノベルにセクシャルな場面が入ってくるのには抵抗感をおぼえてしまうのは、かなりコンサバですか? 文章の丁寧さから読後感は良かったので、このままシリーズ化するならキャラの個性も描かれてくるので楽しみですし、また新しい作品(別なジャンル)も読んでみたい作家さんでした。 |
22 | 『レディスクウォッター
3 雷雲のライフライン』 都築由浩 著 折り込みカラーのアル、格好良すぎじゃない!?(笑) ……っていうか、あれ。アルですよね? あまりの格好良さに自信がなくなってきました。 SFクライシス物っていうんでしょうか。 その危機的状況に挑む様と、そこからの解決方法・脱出方法をテンポ良く描いている当作品は、やっぱりとても良作だと思うんですけど、あまり評判は聞きませんねー。 ちょっと残念。 昨今の『萌え』ポイントが足りないからでしょうけど。 前作からの登場を果たしてくれたケイトリンは、見事アルとディーの仲に割って入ってきてくれてますけども、やっぱり無理?(苦笑) 終盤、2人の会話(船長も含めて3人?)に疎外感を感じてしまったのは仕方が無いですよねー。 シーオッター号の乗組員は、命を預けての作業を行う間柄なんですしー。 ……ハッ! 報われない恋を応援するスタンスとしては、ケイトリンを!? いや、まだ恋してるって宣戦布告してませんしー(笑)。 でも、そんな2人の仲も、一方的ながらちょっとだけ進展? アルに身の安全を考えて転職を勧めるディーの姿は、すでに奥さんのようです。 ま、アルと一緒に居られれば、何だっていいんでしょうけど、ディーは(笑)。 ところで今回、純珪一さんの挿絵が無かったのは……どうしてでしょうか? 折り込みカラーだけでは寂しすぎますよ〜(TдT)。 |
21 | 『DADDY
FACE メドゥーサU』 伊達将範 著 うーん……。 なんだか間延びしちゃってる気がするのは、わたしだけですか? 「メドゥーサ編」としてあとで読み返せばそんなことないのでしょうけれど、何だかこれといって進展のないまま予定通りに話が進んでいるだけ……というふうに感じてしまうのですけども。 わたしがこのシリーズに期待しているのはオビにも書かれているとおり、「年の差9歳の父娘が贈るラブコメアクション」なので、アトランティス講釈では無いんですよね〜。 まぁ父娘だけではなくて、美貴ちゃんとか樫緒くんとかとの絡みと言いましょうか。 広義には結城家のことも含まれますから、瑠璃人くんのことも何を目的としているのかなど気になっているんですけどー。 ……この巻では解消されず(TдT)。 とりあえず、「メドゥーサ編」の早期解決を待ってます(苦笑)。 締め方に妙があるシリーズだと思ってますので(^_^;) |
20 | 『ブラインド・エスケープ』 樹川さとみ
著 富士見ミステリー文庫の先生ラインナップは、本当に多岐に渡ってますねぇ。 樹川センセの作品、コバルトで数年前読んでましたけど。 えーっと、白状しますとイラスト買いです。 イラストは藤田香センセなり。 理不尽にも誘拐・逃亡ゲームに強制的に参加させられた主人公が、巻き込まれたヒロインをかばいつつ、何故自分がゲームの参加者に選ばれたのか、その理由が死んだ父にあることを知りながら、ついにはゲームに生き残ってゲーム主催者に一矢を報いる……というお話? 主人公が相手の用意する危機的状況を、機転と行動力でくぐり抜けていく様が気持ち良いのデスヨ。 頭がいい不良は、本当にカッコイイです。 そしてそういう状況を彼と共にくぐり抜けていく過程で、親に奨められた現実の婚約者を忘れて彼のことを好きになっていくヒロインというのも、これまた定番といえば定番なんですけど、共感を得るには充分で――。 何しろ、婚約者は白いフェラーリに乗ってるお金持ちさんですからね。 同情はできません(笑)。 でも、この婚約者が賢くはないだろうけれどイイ人だという設定はいかがなものかと。 どうせ読者の共感を得られない存在なら、いっそのこと身分に即したプライドの高さで嫌なヤツ演出をしたほうが素直だったように思います。 いい人演出は、この婚約者ではなくて、現場を知る警察の人にすべきだったかなぁ……と。 ラストシーンは、ものごっつ好きになりました。ラブ。 可愛い!(≧▽≦) オビにも書いてありますけど、「とかして 恋のナゾ」ですから。 ええ、ミステリーよりこっち寄りです(笑)。 |
19 | 『拝啓、姉上さま1』 川口大介
著 富士見ファンタジア文庫って、10年ぶりくらいに買ったような……(苦笑)。 ドラゴンマガジンの短編から続いているお話なんでしたか……。 ちょっと失敗しちゃったかも……。 現在の流れであるそちらでは、ヒロインの性格が大幅に違うらしいですし。 わたしはこっちの性格も好きなんですけどねー。 アクション部分より、もっと苦学生らしい描写がほしいなぁと思いましたけど、それって富士見ファンタジアが主旨とする部分じゃないし……と自省したのでした。 |
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『ランブルフィッシュ
亡霊殲滅編<下>』 三雲岳斗 著 張ってきた伏線をバシバシ使っていきます。 読んでいて、「ここは!? ……あ、こっちも!」と思うこと思うこと。 実際ミスティファントムにしても、以前雑誌スニーカーで読み切りの形で書かれた番外編?に似て無くもないですしー。 あー、でも、やっぱりRFが動いてこそランブルフィッシュだと思った次第。 沙樹さまー、沙樹さまー(笑)。 都合良すぎるくらいにパワーアップしたガンヒルダですけど、やっぱり沙樹さまとガンヒルダはメチャメチャ乱暴でカッコイイのでした。 あと、今回は借りを返しにきたまりあが――っ! 電話での会話のところは、グッときました。 そして初めてであろう、自分の持ち物に名前をつけたという事実とか。 こうして伏線を消化していく様はつまり、折り返しのところの三雲センセのコメントにもありましたけれど、「あと少し」で最後なんでしょうか……。 史くんもそうですけど、みんな成長してるんだなぁ……って実感させられます。 うん。立ち止まってない。 サバイブの試合形式になったおけげで、自分が戦っているとき瞳子がどんな表情をして見守っているのかを沙樹も知ることができたワケで。 ウキャキャ!(≧▽≦) 当たり前と言えば当たり前なんですけれど、実習機でどれだけ高い性能を誇っても、G1レベルと比較すれば見劣りするんですね。 凡才の闘騎手でもG1ランクのRFに乗れば、実習機に乗る天才と互角に戦えるという現実を忘れない三雲センセの姿勢には賛同。 そうしたリアリズムがあるから、作品の緊張感もあるわけで。 ちなみに最近めっきり活躍の場の無い要っちは、雑誌スニーカーの番外読み切りに登場してますですわよ(笑)。 今回、つとに気になったのですけれど「迷子になった子供のような不安げな表情」という表現、この作品って多くないですか? 沙樹や瞳子の生い立ちや育ちにもつながるトコロがある気がする言葉ですし、作品のテーマなのかな?? コンセプトというか。 余談。 「温室育ちのA班のスタッフでは絶対に真似できない、でたらめなやり方で不可能を可能にしてみせたのだ。」 ――の箇所。 『でたまか』を思い出しました(笑)。 |
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『第六大陸』1・2巻 小川一水
著 小川センセの代表ジャンルであるところの、最先端技術現場モノ(?)。 センセの作品の中では、わたくし的には現実を逸れた感のあるSF系作品より、現実の延長線にあると感じられるような近未来系の作品のほうが好きです。 そのほうが理解できるというか、現場で起こる苦悩の数々を身近に感じられる気がするので。 今作でも「月に人が住める基地を作る」ということを、ちゃんと現実の技術を(もちろん今から先、延長線上にある技術も含まれますけど)用いて描くことによるリアリティはさすがです。 まずは当然、それが可能かの検討から入って、その後も技術的に問題が山積で……。 でも、そうした窮地にも、小川センセの作品の登場人物は諦めることをしらないんですよね。 決して奮った末の蛮勇などではなく、挫折に負けたりしないというか……。 諦めたら人類の進歩は終わり……っていうんでしょうか。 自分がここにいるのは、諦める理由を探すためではなくて、前に進む方法を見つけるためだと言っているような。 それでもって、ほんのりLOVEが入っていたりしてーっ! いやもう、妙ちゃんと走也の歳の差……えーっと、12歳?カップルには、もうドッキドキー!(≧▽≦) 保泉さんとかの話もねーっ。 ただ、全般としては目の前に出される障害の質というか大きさが、これまでの作品に比べると存在感薄い気がしました。 まぁ、基地を作る理由は妙ちゃんの気持ちが大きなウェイトを占めていますし、確かに人類として遥かなるフロンティアに思いを馳せることはできますけども、それで誰かが窮地に陥るわけでも無し……。 むしろ途中に起こる最大の障害(軌道上で起こったアレ)なんかは、計画を進めたが故の災厄ですから、この物語が無ければ起こる必要の無かった類の障害ですしねぇ。 んー……。でもですね。 そうした緊張感の物足りなさはあっても、小川センセはいつもの通り「夢」を描いてくれたんだと思います。 あとがき?にもあったように、現実の世界にフロンティアは無くなって、誰も未来に夢を持てなくなっている中で、この作品から夢を、希望を、感じ取ってくれる人がいるなら、わたしも嬉しく思います。 OVAで6巻くらいで制作されないものでしょうか?(笑) 10年計画なんですから、1巻で2年くらい進んでいくスパンで……。 え? てことは、Aパートで1年ですか? それはさすがに無理かぁ……(^_^;)。 |
15 | 『∞伝説 MEGAミックス』 三井秀樹 著 |
14 | 『ネザーワールド −カナリア−』 東
左紀 著 一目、見ただけでは分かりにくい面白さだと思いました――。 書店で平積みされていても、手に取られにくいような。 定型の萌えキャラがいるワケで無し、読者に取っつきやすい題材でも無し……。 でも、読み進めていったら、それぞれのキャラクターの関わりというか言動が丁寧に描き込まれているので惹かれていくカンジがしました〜。 冒頭、作品への入りも、「?」な切り口ですし。 プロローグの前に何で話があるの?みたいな。 でも、読み終わると、当然その意味が分かるんですよね〜。 これが楽しかったデス。 まぁ、読み始めて、そして最後まで読む気があるのなら、分からないところは分からないままで飛ばして読み進めていっちゃったほうがいいんですよね。 ……『ベルガリアード物語』で学びましたよ、それは充分に(TдT)。 当初、後ろ向きな主人公ナオキが前向きに転換する過程は、ちょっと急かなぁ……とも思いますけど、それは必然だから、良し、デスカ? ローザは唇を固く結び、こちらを睨みつける。そんな彼女は、とてもきれいだ。 ――の主観の箇所。 ナオキってバカだー! ローザにメロメロだー! ……とか思ったのですけど、そんな彼を、ここだけで大好きになりました(笑)。 Mですよね、彼(えー?)。 音楽を題材に敷いてるのだったら、もちっと展開に関わりを持たせて欲しかったかもです。 迷路?を通り抜けるシーンとか、アッサリしすぎかなぁ。 あと、ローザとのアンサンブルは、ピアノの連弾ではなくて、教会に残されているようなボロボロのヴァイオリンで響かせてほしかったなー。 弘法、筆を選ばず……の気持ちで。 ともあれ、音楽を題材にしてるだけで、+10点なのですけど、わたし(苦笑)。 それにしても当作品といい、『銀盤カレイドスコープ』といい、スーパーダッシュ新人賞は長編ぞろいですね。 スーパーダッシュ文庫って、もっと軽めなイメージがあったのですけれど、これからは読み応えを期待させる人を育てていくのでしょうか? ちょっと楽しみです。 帯の審査員コメントは、高橋良輔さんのモノでしたから、『ネザーワールド』って映像向きの作品として評価された……と見るのはうがってますか? ところで。 ローザって『サモナイ3』のベルフラウなイメージがあったんですけども。 読んでいる途中、彼女のシーンはかなりの割合で脳内イメージ変換がされてました(笑)。 もう、ローザ、めちゃ可愛い!(≧▽≦) 「ナオキが・クイーンに・キスしてる」 この台詞で意地悪な笑みが込み上げてくる人は、この作品を楽しんだことになるんじゃないでしょうか。 |
13 | 『風水学園』 夏緑
著 うーん……。 萌えキャラ揃えてて、わー、面白そー……なのですけど。 台詞回しで、どーも引っかかる印象をうけて、興を削がれてしまっている気が。 あくまで、ここに気に掛かるのはわたしの場合でして、知人に話したら「気になるんだ?」と返ってきましたし。 1ページ目の―― 「うう、害虫なんてやだわ。あたし、ハエとかゴキブリとか爬虫類って苦手なのよね」 ――が、いきなり気になっちゃって。 説明的すぎるきらいが……。 あと21ページ目の―― 「余計なことすんな、ムダな殺戮したかねえんだよ!」 ――も、話口調としては堅いというか、なんというか……。 風水に基づいた魔法建築士という生業や、それを学ぶための専門学校とか、設定はとても好みなんですけど……。 続刊、予定されてるんでしょうかね〜? 岩那が小角を大切にする理由も公にはされてませんし(されてませんよね?)、あの終わり方は1冊でまとまるにしては急すぎると思うので〜。 期待半分で楽しみにしてます。 ところで! 頭に芋虫乗せている女の子っていうことで、『悪魔のミカタ』の二葉亭由真ちゃんを思い浮かべてしまったのですが、しょうがないですよね?(苦笑) |
12 | 『Astral』 今田隆文
著 電撃hpに掲載されていた短編をまとめた作品って、どうも同じ印象を受けるのですが――。 一言で言い切れる、特殊な設定。 あまりアッパーではない、どちらかといえばダウナーな雰囲気。 ――そうしたものが、短編としての必要条件なのかも。 hpの読者の賛同を得るためには……という意味合いで。 反面、読み心地は良くても(賛同は得ても)、それ以上でも無い気が(あとに残るものが無い気が)していたのですが、今作品はちょっと違うカンジを受けました。 最近の他の短編集と違って、主人公がわずかばかりでも前向きであるからでしょうか? 自分が特別な力を持ったからといって、関係の薄い死んでいった女の子たちに何かをしてあげようとはなかなか思わないものですよね? それって、やっぱり、自分にしかできないことを悟っているからこその覚悟が主人公にはあるのだと思う次第。 昼行灯でも、こういう覚悟をもっている主人公には好感です。 あー、でも、唯一存在する特殊な状況を浮かび上がらせたいが故の比較手段として、主人公のことを章が始まるたびに「何の特徴もない普通の高校生」と繰り返すのはどうかと(^_^;)。 すでに普通じゃないワケですし、そもそも普通って何?なワケで。 ま、そんな細かいトコより、主人公の妹である柚ちゃんなワケで(笑)。 主人公の特殊な能力よりも、彼女の存在一つが、この作品の中心に柱を通しているカンジを受けました。 表紙も彼女のほうが良いんじゃないかって思ったくらいです。 この雰囲気で続刊を読みたい気もしますけど、どうかなぁ……。 すでにここまでで停滞気味な印象も受けるので。 そんな読者を裏切る展開で、これから頑張ってほしいです。 |
11 | 『ポストガール
2』 増子二郎 著 前作はシチュエーションを描くことに重点があったように思うのですけれど、今作は主人公シルキーの心情に力点があるような……? 人間でない自分を強く意識するようになった気がするんです。 彼女が置かれるシチュエーションも、そのことを考えさせられる場面ばかりが用意されていたような。 そういったことでストーリーラインが整理され、シンプルな視点で描かれるようになったことが、この作品の物語としての意味づけを高めるようになっている……のではないかと思います。 こんなカンジで、ゆっくりと続いていってほしいシリーズかも、です。 |
10 | 『魔法遣いに大切なこと
2』 山田典枝:監修 枯野瑛:著 この一連の作品って、新たな作品が発表されるごとに世界に欠けたピースが埋まっていくカンジがあるのですけれど。 正直、TV版は、不完全すぎる世界であったなぁ……と。 今作は小説版の2巻であるわけですけれども、新しい設定やユメの心情など、またまたピースを与えてくれている次第。 小山田先生のモテぶりには、正直驚きましたヨ!(笑) そして作品としても、『魔法遣いに大切なこと』という世界をこれまでになく巧みに活かしていると思います。 ふつーに、物語として面白かったです。 魔法の遣いどころも、遣った魔法も、すごく「らしいなぁ」と思えました。 |
9 | 『深青都市』 紗々亜璃須
著 う……。続きが気になる〜っ! ここで終わりだなんて、そりゃ、あんまりですよ〜(笑)。 主人公に仇なす勢力の布陣とか、世界観とか、面白い設定ですよね〜。 いろいろと楽しめそうです。 こら、竜毅! やるときはもっと覚悟を決めて、ガバッといきなさい!(笑) ……なんだか風月、華京と結ばれそうで、不安です。 華京、好きですし、風月とはお似合いにも思えるのですけど、竜毅の相手には風月しかいないと思うので、どうかなんとか、そこを一つ……(^_^;) ……でも、あれかなぁ。 キャラの名前の付け方(というか、漢字の用い方)は、ちと恥ずかしいかも(^_^;)。 あ、主人公「風月」の名前には理由があるって後書きに書かれてましたけれど、これって「風月 → ふづき → 文月」で、『十二月』の一員ってことなんでしょうか? むむむ……。 |
8 | 『世界の中心で、愛をさけぶ』 片山恭一
著 以前、立ち読みで読了していた本を、あらためて買って読んでみました。 んー……。 良作だとは思うんですけれど、やっぱり、ここまでの反響を受ける作品とは思えないなぁ……。 同様の衝撃は、すでに『LAST KISS』で受けているから? 悪い言いかたをしちゃえば、この程度の純愛ならライトノベルでも見受けるというか。 こっちは文学的評価を受けて、ライトノベルでは取り上げられないことへの不満……みたいなものが、この作品への評価にも影響しちゃっているのかもしれません、わたし。 でも、物語の結びには誠実さが感じられたので、良し。 例えば『イリヤ』の最終巻などは、決して誠実な終わり方だとは思えないんです。 たとえ物語としては高みに辿り着いていても。 主人公、朔とアキの純愛には、最大の障害のほかにはこれといって葛藤が無かった点が不満でしょうか。 『LAST KISS』では血縁や恋敵が登場していましたし、だからこそ愛を貫くことの清らかさが描かれていたと思うんです。 また、『キミを守るために僕は夢を見る』では、恋する2人の前には時間の流れという絶対の存在が障害となって、様々な問題を浮かび上がらせつつも、最後には2人でそれを越えていく姿が描かれています。 この作品では、ただただ1つの愛が皮肉にも素直に生まれ、そして無意識のうちに育まれ、それは昇華される……というような、言ってみれば波風立たずに進んだなぁ……というわけで。 アキの物分かりの良さが問題なのかなぁ……とか思ったり。 優しすぎるというか。 ……というか、2人の雰囲気なのかな? 小学生〜中学生の期間を描いたものだと思えば納得できるんですけれど、高校生の話には思えないんです。何故か(苦笑)。 うーん……。 いえ、面白かったですよ? 1つの作品としては。 ライトノベルとの比較を意識しすぎですね(^_^;)。 |
7 | 『時空のクロス・ロード
最終譚 一番列車は朝焼けに』 鷹見一幸 著 某所で「一番殺したい作家」とか酷評されている鷹見センセですが、わたしは好きかなー。 そりゃ至らないところはあると思うけど、作品として評価できるところはもちろんあるわけで。 なにも、そんな言い方しなくても……とか思うのでした。 で、『クロスロード』のシリーズも最終巻なワケです。 すでに三日熱の件は解決済み?なので、この巻はつとめて前向き前向きな方向で安心しました。 まぁ、向こうの世界の混乱ぶりは例によって描かれていますし、ヒロインはシリーズ中、最大のピンチにもなっていると思いますし、終始穏やかであったかといえばそうでもないんですけれど。 しかし、これだけ長丁場のシリーズになると、再登場してもキャラクターの印象がおぼろげだったりして……。 瀬見さんって、忘れてましたよ〜(^_^;)。 前巻で登場できなかった楠本樟くんは、重要な役割をもって登場を果たしますが――端役だったかなぁ(笑)。 でも、楠本くんをはじめとして、少しだけ「その後のみんな」の姿をかいま見せてもらえたのは嬉しかったですね。 これぞシリーズ物の醍醐味!みたいなカンジがしました。 とにかく、世界がちゃんと前向きに進んでいることが嬉しかったです。 結局、このシリーズを通して鷹見さんが言いたかったことはなんなんでしょうか? 「選ばれし者」に代表される暴徒側が反面教師になっているとは思えず、さりとて主人公たちを見習えと教唆しているようにも受け取れないのですが……。 そんな偉ぶった姿勢ではなく、もっと自然な、ありのままの人間の姿を見せて何かを問いかけているような気がするのですけど……。 物語の送り手である鷹見センセも、読者と一緒になって考えていこうという姿勢というか……。 ……で、そういう曖昧なところが、一部の読者には嫌われるのかもしれません(苦笑)。 ところで。 海の匂いがする or しないで言い争っている和彦と美鈴の姿に、メイとチャマーを思い浮かべてしまったのはわたしだけですか?(笑) |
6 | 『ルナティック・ドリーマー』 桜庭一樹
著 さっすがですね、桜庭センセは。 女の子の友情を書かせたら、天下一品ではないかと思います。 信じられるって、カッコイイですね。 あー、でも、本編の内容は、あまりすっきりしてないかもー。 いろいろと説明不足というか、勢いだけで進んでいるカンジがしました。 |
5 | 『灼眼のシャナ
W』 高橋弥七郎 著 うーん……。 前巻と合わせて1冊にしてくれたほうが良かったかも。 せっかくのアクションシーンなのに、ちょっとテンション上げるのに時間が……(^_^;)。 千草さんの台詞引用も、1冊であったほうが効果的だったような。 マージョリーの一時転進の状況説明も、ちょっと分からなかったです……。 まぁ、いろいろあっても、シャナvs吉田一美ちゃん!なワケで(笑)。 それ以外の出来事は、この件へのフラグでしかありません(えー?)。 ……一美ちゃん、性格変わったかなぁ(^_^;)。 相手が相手だっただけに仕方ないのかもしれないですけれど、囚われたシャナに対する描写。えちぃ……。 こういう展開を入れていくんでしょうか、これからも……。 あまり好きくないなぁ……。 いや、本当にそっち系で書かれた本に比べれば、ぬる過ぎる描写だとはわかっているのですけれどもっ! |
4 | 『悪魔のミカタ It
/ スタンドバイ』 うえお久光 著 よっし! 待ってました! これでようやく物語がつながるというか、動き出すというか〜。 綾先輩! 無防備すぎですよ〜!(≧▽≦) 恕宇相手に、その駆け引きはヤヴァイです! 2度目は無いですよ!(笑) 久々登場?の「赤毛の美しい女」菜々那は元気で可愛かったv コウとは離れているポジションのせいか、これまでとこれからも、物語の中核を担ってきそうな雰囲気には無いんですけども、頑張れ! そして「アウグーリ!」。 結びの雰囲気がとても良かったですねっ! あぁ〜。それにしても、イハナちゃんは可愛いですね〜。 呪われてしまいなさい、コウなんて!(笑) 日奈の存在が皆の意識の中に刻まれているのは、今作でなんとなく、そして改めて分かったような気がしますけども、反対にサクラちゃんの存在感はますます薄くなっていったような……。 存在感というより、ポジション? 現状、日奈のライバルにもなりえず、さりとてイハナちゃんよりコウを好きだと表明出来ているとも思えず……。 どうなんでしょ? ……嗚呼。それよりも、ジィ・ニーですか(TдT)。 少々安易な展開とも言えなくもないですけれど、かなり心配。 戻ってきてーっ! |
3 | 『イリヤの空
UFOの夏 その4』 秋山瑞人 著 ……うっ……ッッ。終わってしまったわけです、夏が。 電撃HPで本編は知っていたので衝撃は無かったですけれど、こうして1冊の本にまとめられると、襲いかかってくる現実としての重みが、その……。 正直、ツライです。 帯のコピー、「そして感動の完結……!」とありましたけれど、感動は……しなかった、かなぁ。 素直な気持ちで、良かったね、とは思えなかったので。 変えようのない現実とは異なって、これは物語なんですから、もっと他に描きようはあったなかで、あのように完結させたことには、理解は出来ても納得できないファン真理……みたいな。 多分、『秋山瑞人センセのファン』なら納得できるのかもしれませんが、わたしは『イリヤのファン』なのでー。 倖せって形は1つじゃないって分かりますし、あのとき、あの瞬間、空を飛んだ自由な伊里野はきっと倖せだったんだろうと思います。 けど、別なかたちの倖せを彼女にはつかんでほしかったと願う気持ちは偽らざるものでわたしの心にはあるのでした。 ……それは伊里野がようやく手に入れた倖せを汚すようで、傲慢なのかもしれませんけれど。 ちょっと、もう、思い返しただけで泣きそう……。 哀しいから泣くんでも、嬉しいから泣くんでもなくて、ただ彼女のことを知っているから泣けてくるカンジ。 つらいなぁ……。 こんな気持ちにさせるあたりが、秋山センセに人気があるところなのかもしれません。 とにかく、この作品はライトノベルのなかでは一歩抜きんでているんじゃないでしょうか。 納得はできなくても、秋山センセには、拍手です。 |
2 | 『レディ*スクウォッター2 〜灼熱のロングショット〜』 都築由浩
著 2巻が出ていることに、最近まで気が付きませんでした〜(^_^;)。 しかも来月には3巻が出るそうで。 わーい。 前巻は人類の天敵、今回はテロリストですか。 アルとディー、そして船長たちはこれらの危機を撃退していくわけですけども、その過程がなかなかに緊迫感をもって描かれているというか。 そりゃ多少の運もあるでしょうけど、しかし一番大切なのは、アルもディーも、危機に対して決して諦めないことですよね。 生きて帰る、大切な人を守る。 そういう気持ちがあるから、必死になって解決策を探ろうとする。 そんな姿勢が好感なんだと思います。 敵役の造形が弱い気もしますけど、この作品形態だとそれも充分なんでしょうか。 敵役の背景よりも、アルやディーの行動のほうが大事なわけで。 アルやディーに関わりないところでの話というのは、助長になりますか。 うんうん。 でもまぁ、アルにモーションかけたケイトリンとか登場してきて、なんとなく嬉しいです。 このままレギュラー化してくれないかなぁ……。 そしてディーを困らせてほしいです(笑)。 いかんですよ、アルは。鈍感で(^_^)。 |
1 | 『アルシア・ハード 翼を継ぐものたち』 鈴羽らふみ
著 冒頭からの、ほうき?に乗って夜空を飛ぶシーンとかは気持ちよさそうだったんですけど、そういうのって後半に進めば進むほど少なくなっちゃたかな〜。 残念。 少女の青春物語で進んでいけばかなり好みだったのかもしれません。 |