奈義のフライマン NZ南島釣行&家族旅行記
NZを初めて訪れたのは4年前でした。家族5人でクライストチャーチからオタゴ、サウスランド地方を19日間かけ、途中何日か釣りをしながら、行き当たりばったりの旅を楽しみました。自然の豊かさ、KIWI(NZ人の総称)達の大らかさ、それまでいくつかの自然豊かな国を訪れる機会がありましたが、『住んでみたい』と思ったのはNZが初めてでした。
そして2005年1月、仕事のほうがなんとか調整がついたので、思い切って2度目のNZ旅行に行ってきました。またまた家族5人での旅行ということもあって、釣り三昧とはいきませんでしたが、オタゴ地方、サウスランド地方の湖川釣行について書いてみました。
誤字・脱字は大目に見てください。
【1月20日】
待ちに待ったNZ出発の日、出発時刻は関西国際空港17:30だが、その前に大事な仕事がある。その仕事とは、CITIBANKワールドキャッシュカードを手に入れておくこと。以前つくったカードは期限切れ、年末に手続きしておいた郵貯共用のワールドキャッシュカードは出発までに手元に届かないことが先日判明。このワールドキャッシュカードなるもの、日本でお金を振り込んでおけば、現地の街角やスーパーにあるキャッシュコーナー(ほんとどこにでもある)で24時間いつでも現地ドルが引き出せるスグレモノである。とにかくこのカードがあれば非常に便利なのである。
直接CITIBANKに行けば即時発行できるということで、ちょっと早めの10:00に家を出発、昼前に梅田支店に到着、近くにパーキングがないので、妻にJR大阪駅周辺をクルクル周回しておいてもらう間に(田舎モノには結構ツラかったはず)手続きを行なった。カードを手にした途端、一気に気分が楽になった。旅の準備は余裕を持ってしておこうといつも思うのだが、なぜか毎回こうである。進歩なし。時計の針は13:30、時間はまだ十分あるが、余裕を持って空港に行って、すこし遅い昼食兼日本食をゆっくりと味わって食べておくことにした。
腹ごしらえの後、搭乗手続きの列に並ぶ。子供連れは私たちだけ、あとはゴルフ目当てのおじ様一行、トレッキング(NZ風にいえばトランピング)目当てのおば様一行、みんな目的は違うけど、NZは釣りだけでなく、いろんなものの天国なんだなぁ〜と感心。皆さん、NZ思いっきり楽しみましょう!
その後、ニュージーランド航空の機体を背に、おのぼりさん撮影を行なった後、機内に入った。後は寝て起きたらそこは憧れのNZ、斜め後ろの席に座っている長女と長男は機内でもらったキッズ用ぬり絵を仲良くしている。私は買っておいた英語版NZフィッシングガイドブックの“思い込み翻訳”を少しして、いつものように爆睡をかました。
【1月21日】
現地時間9:00頃、北島オークランド国際空港に到着、国内線に乗り換えて、昼過ぎにクイーンズタウン空港に降り立った。クイーンズタウン空港はいかにもNZらしい牧歌的な風景の中にあって、つい『飛行場』と呼びたくなるような空港なので、こっちも“のんびり行こうぜ”みたいな気分になるが、そうもしていられない。なぜなら私にはどうしてもしなければならないことがある。
釣りである。
最低限することだけしておいて、早くフィッシングライセンスを手に入れて、魚に会いに行かなければいけない。空港のロビーにいた地元の初老のおじさん...よく見ると被っている帽子のロゴは...SAGE。 あ〜早く釣りに行きたい〜。
はやる気持ちを家族にはなるべく悟られないようにしながら、レンタカーの調達からモーテルのチェックインまでテキパキと済ませた。荷物を降ろして、スーツケースから日用品など頻繁に使うことになるものを取り出すなど、これからの旅の準備をする。準備もひと通り終わり、それではとスーツケースから釣り道具を取り出していると、妻が...
『ワカティプ湖の方にみんなで行ってみよ〜』
『行こう 行こう !!』 (子供達)
『.........(沈黙)』(わたし)
この一言で日中の釣りはスッパリあきらめ、ゆっくり家族と過ごすことにした。せっかく家族全員で来たんだからと自分自身を納得させる(こっちの日没は21:30くらいなので、どうせイブニングだけはできるし...。)。
その後、家族みんなで街ブラしながら、子供達のこっちで着る服を買ったり、スーパーで明日の朝の食材を買ったりした後、レストランで晩ゴハンを食べてからモーテルに帰った。
さて、おまちかねの釣りである。晩ゴハンを食べたレストランでも、アルコールをすすめる妻をうまくかわし、釣りに備えていたのだ。時刻は20:30。時間があまりないので、クイーンズタウンのはずれ、空港近くの丘陵地にあるLAKE JOHNSONに行くことにした。ここなら車で10分も走れば行けそうだ。すばやく釣り道具を準備して、車に乗った。
LAKE JOHNSONはクイーンズタウンから空港方面へもどり、空港へ曲がる三叉路をそのまま直進、左側に見える未舗装路に入って数100メートル進んだ先にある。フットアクセスの標識のあるフェンスを乗り越え、牧場の中を歩くとすぐに眼前に見えてきた。
大きさは大山池(例えがローカル。)くらい、当たり前だが護岸がない。自然のままだ(NZの湖川にはほとんど護岸がない。大都市の川にはあるのかもしれないが、とりあえず私は見たことがない)。たどり着いた場所は湖面から10メートルほど高台だったので、魚を探しながら左側へ廻ってみる。風が強く、ライズはない。ブラインドでキャストしても埒があかないので、低い場所まで降りて、ライズを待つことにした。
薄暗くなり、風が少しおさまると岸際10メートル以内の浅瀬でライズが始まった。ハッチの種類はわからない(とゆうかハッチがあるのかさえわからない)。とりあえずカディスフライ(を使ったような気がする)をライズしているほうに向けてキャストする。あちこちで不規則にライズするので、こっちもあちこちにキャストする。
釣れない。
またあちこちにキャスト...でも釣れない。
時間がないので焦る。ライズを探し、首をキョロキョロさせる。少し大きなサイズのフライ(種類は忘れました)に変えたりしながらキャストをくり返していると...ヒット!
フライを水で揉んで、水面直下で少しアクションを加えたら出た。
この際釣り方はどーでもいい。とにかく私のフライを食った。
NZ1匹目の魚は25センチのレインボーだった。サイズもどうでもいい。前回のNZ釣行はブラウンしか釣れなかったので、NZ初のレインボー、サイズはともかく非常にうれしい。記念写真を撮ろうと思ったが、新調したデジカメはモーテルに置いてきていたので写真はない(失敗!)。(上の写真は翌朝撮影)
《本日の釣行》 時間 21:00〜22:00 釣果 レインボー 25センチ 1匹
【1月22日】
5:30頃(?)起床。チェックアウトまでの数時間、釣りをすることができる。今朝は昨日とは反対側、グレノーキー方面に少し走った、山(丘陵)の上にあるMOKE LAKEに行くことにしている。私の思い込み翻訳によると、ここはいいサイズのレインボーとブラウンが岸際を回遊するらしい。
本線から右にそれ、山を上っていくと牧場内の未舗装路になり、それからガタゴトガタゴトと走ること数キロ、手前に小さな湖(池?)LAKE KILKPATRICKがあり、その少し先にMOKE LAKEがあった。ここも湖と呼ぶほど大きさではなく、こじんまりとした感じ。道路のすぐ脇にあるので、釣りもすぐに始められそうだ。タイムリミットまで2時間。
天気はどんよりとした曇り、予報ではこのあと雨らしい。風もある。湖面には風によるさざ波が立っていて、魚は見えない。回遊する魚を見つけて釣るため、風裏で、なおかつバンクになっている場所を探す。バンクの上からだったら私にも魚が見つけられるかもしれない。
岸際を歩いていると、よさそうなポイントがあった。岸際が背の低い草の生えた斜面になっていて、斜面の少し上からなら魚も見つけられそうだ。水深は深いところで1メートルくらい。さざ波も思いのほか立っていない。絶好のポイントだ。システムをチェックし、ボディがブルーティンセルのブラックハンピー(牧場近くで効くと言われているハエフライ)を結んで、魚を待った。
来た! 60センチくらいはある。沖からこっちに向かって近づいてくる。それも真っ直ぐに。私に挨拶に来るのかと思うくらいホント真っ直ぐ来るのでキャストどころではなく、とりあえず“石化け”した。目だけは石にせず魚を観察していると、岸から5メートルくらいのところにある大きな沈み石を過ぎた後、左にゆっくり曲がってそのままどこかへ泳いでいった。
『うわっ...ビックリしたぁー!』である。
湖の魚は“回遊”か“行ったり来たり”することが多いので、そのまま同じ場所で待つことにした。待つこと数分...また来たあぁ〜!! ほぼ同じコースを通って近づいてくる。たぶん同じ魚だ(と思うが、確認するほどの余裕は当然ない)。フォルスキャストは1回だけにして、沈み石の向こう側やや左にキャスト...“いい!” 何故だかわからないが思ったとおりのところにフライは浮いている。 あとは魚がフライをパクっと食べてくれるのを待つだけ。
『あと3メートル』
『よしよし、真っ直ぐ来てる』
2メートル ... (こい!)
1メートル ...(こい こい!)
『この辺でフライ見つけて、浮いてきて...』
50センチ ...(喰え〜!)
『..........。』
直立(?)不動のまま、よそ見もしない非常に行儀のいいブラウンでした。
結局、その後もバンク際を回遊してきたブラウンに#18〜20くらいのニンフで挑んだが、スカ連発のうちにタイムオーバーとなりました。
『うぅ 釣れないぃ〜』
モーテルに帰って、『また釣れんかったん。』と追討ちをかける子供達に『いやっ、ほんとムズかしんでぇ〜。』と“伝わるはずもない”ムズカしさを説きながら、チェックアウトの準備をする。今日はこの後グレノーキーというワカティプ湖のインレットにあたる小さな町に行った後、逆戻りして次の拠点となるテアナウまで走る予定だ。
ワカティプ湖沿いの景色のいいワインディングロードを走る。途中何度か車を路肩に止め、風景写真を撮ったりする。天気が良ければ最高なのだろうが、あいかわらずグズついた天気である。グレノーキーには昼前に着いた。
この町は人口200足らずの非常に小さな町だ。車で界隈を一周したが、すぐ元いた場所に戻ってしまう。レストラン?カフェ?お土産屋?らしき建物がそれぞれ1軒づつ確認できる程度だが、のんびり過ごす時間があればとても有意義な時間を過ごすことができるだろう。町に入った頃から予報どおり雨が降り出しており、だんだん雨あしも強くなってきていたので、レストラン(?)で雨宿り兼昼食をとったりしながら、雨が弱まるのを待った。グレノーキーは自然豊かな長閑な町として、有名なルートバー ントラックなどトレッキングコースの拠点の町として有名(?)だが、一方で釣りの拠点としても第一級の場所でもある。町の前にはリーズリバー、ダートリバーが流れ、少し先に行けば、ダイアモンドクリーク、ルートバーンリバー、グリーンストーンリバーなど素晴らしい川が数多くあるのだ。今回は日程の都合もあってこれらの川には入渓できないが、その近くまで行ってみることにした。町を出て数分も走ると、これらの川へ通じる曲がり角があり、そのすぐ先のダイアモンドクリークにかかる橋で記念写真をパチリと撮った。今度訪れることがあったら、数日間滞在して、日毎に違う川をぜひ釣りまわってみたいと思わせる場所だった。
あとは、来た道をクイーンズタウンまでもどり、テアナウまで走らなければ行けない。3時間ちょっとの行程である。いったんクイーンズタウン郊外の大型スーパーNEW
WORLDで食料等の買出し、一路テアナウまで車を走らせた。グレノーキーを出る頃から天気も徐々に回復し、ドライブはとても楽しいものになった。この辺りは南島らしい風景が続くエリアで景色がとても素晴らしい。小高い丘陵地がどこまでも続き、所々木々が帯をなしている。この木々(柳っぽい)は必ず水辺にはえているので、遠く離れているところからでも川(小川)のあるところがわかる。川にかかる橋をわたる度に、看板で川の名前を確認、釣りに思いを馳せながらのドライブとなった。
テアナウには18:00頃到着、これから2日間泊まるモーテルにチェックイン、モーテルはテアナウ湖沿いのメインストリートに面したウッド調のお洒落な建物、子供達も気に入ったらしく、晩ゴハンは庭の木製テーブルで食べるとはしゃいでいる。私は晩ゴハンの調達をした後、また釣りに行く予定である。街中のイタリアンレストランでピザをテイクアウト(TAKE AWAY?)し、スーパーで買ったソーセージを焼いて出来上がり。早速、イブニングに出かけた。
イブニングのポイントはテアナウ湖のアウトレット、アッパーワイアウリバーに決めていた。4年前のNZ釣行時、ワナカ湖のアウトレット、クルーサリバーでカディスのスーパーハッチに遭遇したことがあったので、今回もよく似たポイントでと思ったからだ。現地ガイドブックによると、街中から数分のところに川沿いを走る地道らしき道があったので、とりあえずその方向に行ってみた。テアナウの南にある町マナポウリに向けて少し走ると、案の定、右に曲がる分かれ道があったので迷うことなくハンドルを切った。少し走ると砂利道になり、ところどころ川のほうに降りられそうな脇道がある。凸凹なうえ、ぬかるみがありそうなので、レンタカーを傷つけてはマズイと思い、その先へは歩いて降りてみる。程なくすると広場らしきところにでた。どうやら川沿いのキャンプグラウンドになっているみたいだ(といっても、水道もトイレもないただの広っぱだが…)。若者キャンパーがいたので(釣り道具は持っていないみたいだったが)、一応『ここで釣っていいか』と確認し、松林の間から川へ降りた。
川幅は50メートル以上あり、流れも相当太い。イブニングの時間にはまだ早いので、降りた場所から50メートルほど下ったところにある大きな瀬の巻き返しがつくる淀みに、セミフライなどを浮かべて時間を過ごす。辺りが薄暗くなる21:30頃から浅瀬で(はじまると思う)ライズを探すが、見つけられない。22:00頃になってもカディスのハッチはほとんどなく、あたりもだいぶ暗くなり少しビビリがでてきたので、『今日もダメだぁ〜』と意気消沈のまま、上がり道のところに戻ってきた。
ゴボッ! (ウン?) バシャッ!(エッ?) ゴボン (オオ〜!!)
ライズだぁ〜!!
音のする方を凝視すると、岸から5メートルくらいのところでライズしている。10数秒毎にライズをくり返しているようだ。月明かりのもとなので、暗くて魚は確認できないが、ライズフォームとその音からして相当デカい。とりあえず、結んであったカディスフライをキャストした。
.....反応なし。 ピックアップ。
ゴボッ!
.....。(ウゥ〜)
またキャスト
.....また反応なし。 ピックアップ。
バシャッ!
.....。(キイ〜)
またまたキャスト
.....やはり反応なし。 ピックアップ。
ゴボッ!
.....。(腹立つ〜)
懲りずにキャスト
バシャッ!! (ヨシッ!) スカッ (喰ってなぁ〜い)
《いったい何喰ってんだぁ〜??》
あたりはほとんど真っ暗、ライズの場所も音で見当をつけるしかない。フライを大きなセミフライに交換、ボディを水で揉んで、少し水面下に入るようにして最後のトライ。
気合を入れてキャスト
バシャッ!! (ヨシッ!) ヒットォ〜!!
途端、魚が一気に走る。太い流れのほうに向かって一気に。
ギュ ギュ ギュゥ〜ン
(おいっ こらっ!どこまで行くっ おいっ おいっ!)
ギュ ギュ ギュゥ〜ン ... プツン!
(あぁぁぁ〜 やっちまったぁ〜 ........。)
《本日の釣行》 時間 7:00〜
9:00
釣果 0匹
21:00〜22:00
釣果 0匹
【1月23日】
今日は5:30起床、6:00にモーテルを出発する。東へ約70km、ラムズデンの町で7:00にガイドと待ち合わせをしているからだ。今日は1日釣りに専念できることになっている。妻と子供達は午前中はテアナウ湖岸で絵を描くらしい。学校の宿題はしなくていいかわりに、NZでいっぱい絵を描いてかえることにしているからだ。また、午後からはテアナウ湖対岸の洞窟に『土ボタル』を見に行くツアーに申し込んでいるので、どちらも1日忙しくて、楽しい日になりそうだ。
ラムズデンの町まで制限速度100km/hで車を走らせる。朝日が昇ってくるにつれ、眼前の空が明らみ始め、朝霧と相まってとても美しい。今日は1日いい天気になりそうな予感がする。予定通り7:00ちょうどにラムズデンの中心にあるガソリンスタンドについた。待つこと5分、ガイドのスチュが遅れて到着した。挨拶をすませると、スチュが「どこか行きたい川はあるか?」と聞くので、「オレティリバー」と即答した。すると、「天気も良さそうだから問題ない。ただし、もしかしたらNo Fishかもしれない。それでもいいか?」とまた聞くので「(ホントに釣れなかったらシャレにならないと思いながら)No Problem」と答え、早速スチュの車に荷物を載せかえ、ポイントに直行した。
オレティリバーはテアナウと待合せの町ラムズデンのちょうど中間点、CENTRAL HILLの上方より流れ出し、ラムズデンの町裏を通って南下、インバカーゴ(サウスランド第1の都市)で海に注ぐ大きな川で、上流部はモンスターブラウンの生息域として有名な川である。昨年、スカパーの番組「釣りビジョン」でも紹介されていました(杉坂 研治氏が74センチのモンスターブラウン釣ってました)。
車で走ること数10分、丘陵地に向かう曲がり角を右折、5分ほど走ると牧場内に入っていく。数ヶ所のゲートを抜けて目的の場所へ行ってみるが、すでに先行者あり。どうやら前日から入っているみたいだ。仕方ないので、数100メートルもどり、別のルートから川岸に降りた。
夢にまで見たオレティリバーだ。川はゆっくりと蛇行しており、護岸は当然、自然のままだ。あまり深みがあるようではなく、瀬とプールが交互に続く感じだ。ガイドのスチュに言われるとおりに、スチュオリジナル『POGOニンフ(16番くらい)』を結び、右岸をゆっくりゆっくり上流に向かって進む。
50メートルもいかないうちにスチュが手で私を制止する。 Fish!!
どうやら、早速魚を見つけたようだ。指差すほうを凝視するが、ぜんぜん見つけられない。
「見えるか?」
「えっ?・・・」
「茶色い石の横だよ、見えるだろ」
「・・・全然。」
こんな感じで押し問答しているうちに、私の偏向グラスを取って、自分でかけて確認する。
「No good!」(なんでだよー!おニューのサイトマスター、しかもサイトに一番いいらしいセレンカラーのレンズなのにー。)
結局、スチュの持っていた予備の偏向グラス(イエロー)に換え(させられ)て、もう一度凝視する。
「見える、たぶん」(やっぱり晴天時はイエローかも・・・。)
魚は底にべったりついて、時折左右にレーンを変えている。ニンフを喰っているらしい。
結んであるニンフのまま、3メートルほど上流にキャスト、喰わない。結局、その後も幾度となくトライしたが、終いには底に張り付いたまままったく動かなくなった。やはり、最初のキャストが肝心みたいで、何度も流すと、途端に警戒してしまうみたいだ(朝一からいい勉強になりました。)。
同じシステムで同様に進む。流れ込み付近ではブラインドで岸から1メートル間隔で数本のレーンを流す。私がブラインドで流しているうちにスチュは前方を歩いて魚を探す。これが今日の釣りのパターンのようだ。
数100メートル進んだ時、スチュが前方から手招きして呼んだ。駆け足で行ってみると、目の前の水深50センチくらいの瀬でライズがあるという。16番くらいのラスティカラーのメイフライがいっぱい流れているのはすぐ確認できたが、肝心のライズがわからない。ジーっと見ているとやっとライズが見えた。日本のヤマメやアマゴのようなパシャッというようなライズではなく、モコーッと頭と背中が水面にでてくるような(表現がムズカしい)ライズなので、慣れていない私には非常に見つけづらい(ライズが終わらないかと気持ちが焦っているものあるし・・・。)。フライを同系色のダン16番に換えて、慎重にキャスト、逆光もあってフライも非常に見にくい。
数投目、スチュが「%&?<#$&」 何か言っている。よく聞くとどうやら今フライを喰ったらしい。
スチュ 「今フライを喰った。どうしてロッド立てないのー?」「あーっ。」
私 「まったく見えません、フライもライズも!」
結局、10分ほどでライズはパタッと止まり、その後はいくらキャストしても無反応、この頃からもしかして今日も釣れないんじゃないのーと少しビビリ始める。ほんとヤバイぞ、これは!
その後、ブラインドでのトライはやめて、魚を見つけてトライすることになり、ズンズン先に進む。岸が少し高くになっているところは念入りに探していく。やはり魚を見つけるには高いところからのほうが探しやすい。魚の絶対数は決して多くはないようだ。所々で魚を発見するが、下流へ戻り、バンクから降りて、キャストするポイントに行くまでにどこかに去ってしまうことが多い。
正午を過ぎると、オレティ特有の風が出てきた。次第に強くなってくる。スチュが言うにはこれでも弱い方らしいが...。雲も出てきて、さらに魚が見つけにくくなってきていた。
ランチもとらず、もくもくと魚を探していると、左岸のバンクの上から数匹の魚が見えた。ビッグチャンス!じっくり観察して、どの魚が狙いやすいか考えることになった。大きな流れ込みから緩やかな瀬が下流に70メートルほど続く絶好のポイントだ。どの魚も決まったところに定位しておらず、場所をすこしずつ変えている。バンクは高さ2メートルくらいで、イバラが密集していてとても動きにくい。イバラのなるべく少ないキャストポイントで、なおかつ定位する魚までが7メートルくらいの場所に移動した。ターゲットは上流から2匹目、水深50〜70センチくらいの底に定位している。ラインの結び目や傷の有無をチェックし、気持ちを落ち着けていると、スチュが言った。
「ランチにしよう、もう2時だ!」 (マジです、これ。)
私 「えぇ? ランチイ?」
スチュ 「イエス! ランチ!」 (相当腹が減っていたらしい)
私 「......、OK」 (いったん落ち着いて、釣る釣る光線全開で釣るよりはいいかもと自分を無理やり納得させて、スチュの奥さんのつくったサンドイッチを食するのだ。)
※ 一応フォローしておきますが、スチュアート トリプニーはグッドガイドでした。
スチュ念願のランチを終え、再度トライする。ランチ中も魚の居場所はスチュが度々確認しており、依然同じ場所付近にいる。岸際から離れた場所で必要なだけラインを出し、気を落ち着ける。狙いは魚の前方2メートル。キャスト!
狙い通りの所にフライは投入されたが、フィーディングレーンよりやや手前にドリフトした。
今度はもう少し沖目にキャスト。
うまく流れる。
1メートル...。
50センチ...。 喰え!喰え!
喰ったぁ!!!
魚がより深みの中央の流れに向かって走る。
一瞬でラインが出て行くが、ドラグは少しゆるめにしているので問題ない。
イバラの密集するバンクの上からなので、魚の動きにうまくついていけず、ラインはドンドン出て行く。
ジャンプ、ジャンプ、またジャンプ!そのうえテールウォークまで。(おいおい、ブラウンだろ?)
川の中に飛び込んだスチュの手を借り、ロッドにテンションをかけたまま、私も川に飛び込んだ。
魚は下流に向かってドンドン走るので、それに合わせてこっちもバシャバシャと下っていく。派手なジャンプをなんとかクリアしながら60メートルほど下っただろうか。岸際が河原になっている場所でランディングにかかる。ドラグを少し絞って魚を疲れさせる。
手前に誘導する...魚はまた沖へ向かって猛烈に走る。何度か試みているうちに魚もだいぶ疲れてきているのがわかった。スチュがネットで掬おうとするが、途端に元気を取り戻して走りだすので、ゆっくりゆっくり浅瀬に引きあげることにする。魚を暴れさせないようにゆっくりゆっくり...
無事キャッチ!
スチュと固い握手をかわした後、歓喜の雄叫びをあげた。緊張が解けたせいか、その後しばしの放心...。
気を取り直して魚をじっくりと観察した。
体長63センチ、それ以上に背中の盛り上がりがスゴい超合金ブラウンだった。
10回近くのジャンプも、テールウォークもコイツなら納得できる。オレティブラウンの名に恥じぬ逞しい魚体にしばし目を奪われた。
その後も厚い雲と一層強くなった風に邪魔されながらも釣りを続けた。フッキングまで持ち込みながら、水中の障害物にティペットをまかれて切られるなど...結局、魚を追加できないまま釣行終了となった。
オレティは聞きしに勝るタフな川だった。キャスティング技術の未熟な私にはなおさらのこと。一発でフィーディングレーンを流せるかどうかが大きなポイントになる。なにせスプークしてしまうのが早い...。後はやはり運も大きな要素だと思う。限られた時間のなかで、天候や水量など“自然を味方につけた者が勝ち”みたいなところが多分にあるような気がした。結局1匹しか釣れなかったオレティだが、次の機会にも是非トライしたいと心から思える素晴らしいフィールドだった。今度は特製ハエフライで70センチオーバーといきたいものだ。
テアナウの町に戻ってきたのは19:00頃。帰ったと同時に『今日の成果』について妻に話した。その時の私は、楽しかったことを子供がひたすら喋るのと同じような口調だったことは容易に想像できるが、面倒くさがりもせず、ずっと聞いてくれた妻に感謝、感謝!
一方、妻と子供達もテアナウ湖の対岸にある土ボタルの洞窟に行くとき、ボートに乗って行ったのが気持ちよかったこと。土ボタルは本当に綺麗だったことなど、今日のことをとても満足そうに話してくれ、お互いとても有意義な1日を過ごせたようだ。その後、イブニングは家族全員で行ってみようということになり、みんなハイテンションのまま、またまた車で出発!
向かった場所は昨日の晩バラしたポイント、テアナウ湖のアウトレットーアッパーワイアウリバー。子供達でも手をつないでやれば十分川に下りられるので、みんなで下りてみた。子供達は浅い岸際で無邪気に遊んでいる。NZ(特にサウスランド)は夏でも夜になれば冷え込むのだが、半袖短パンで水遊びする我が野生児たちにはホントびっくりする。
さて、釣りのほうはというと、昨日と同じようにポイントを荒らさない程度に遊んで時間を待つ。日が傾き、嫁さんと子供達も車に戻ってしばらくすると、昨日はまったく反応のなかった水深50〜70センチほどの流れで、ライズが始まった。今夜は非常に活性が高いみたいだ。岸際の浅い大きな溜まりみたいなところにまで魚が入ってきてライズしている。ライズの場所から考えると、10メートル位の範囲内に少なくとも5〜6匹くらいはいる。昨夜と同じく特定のハッチは確認できないので、昨夜の経験から迷わずフライを選択した。今晩はマドラーミノー8番!色がセミフライより白っぽいので、私と魚、両者に見つけやすいという“ビギナーの発想”で『ビギナーズラック』を狙うという魂胆である。一番派手にガバガバとライズしている魚に向かってキャスト。
数投目、ガバッという派手なライズに合わせ、ロッドをあおる。
ヒットォ〜!
川の流芯に向かって鋭いダッシュを見せて走る。
流芯に入られたら、昨夜の二の舞になるのでロッド操作でなんとか阻止、強くテンションをかけながら下流へ誘導する。下流手前が大きなゆったりとした巻き返しになっているので、ランディングしやすい。
何とか押さえ込みながら、浅瀬にゆっくり引きずりあげキャッチ!
ちょっとスレンダ−ながらも、またまた63センチの大物だった。
子供達に見せてやりたいと思い、ネットに入れて上がり口まで移動、車で待っていた妻と子供を呼んで一緒に記念写真をとった。(左の写真、腹ビレのところにフライが刺さってますが、ちゃんと口で釣ってますー。)
今日は生涯忘れられない1日になるだろう。苦労して苦労して、やっと釣ることができたオレティの超合金ブラウン、ネットで手に入れたNZのフィッシングガイドブックを手に、自分で探したポイントで釣ったワイアウのブラウン、限られた時間のなかで手にした魚だけに特別の思いが残った。
《本日の釣行》 時間 8:00〜
17:00 釣果 1匹 ブラウン63センチ
21:00〜
22:00 1匹 ブラウン63センチ
【1月24日】
朝6:30頃に起床、のんびり支度をして7:00頃に釣りに出かけた。昨日いい釣りができたので、今日はのんびりとした気分でいられる。やっぱり釣果があるとないとでは気分が全然違う。テアナウの町のはずれにウプケロラリバーという川がある。町の中心から車で数分のところでテアナウ湖に流れ込む川で、気軽に楽しめる川らしいので行ってみた。
テアナウ湖に沿って北上、町を抜けて少しすると、橋がかかっており、『UPUKERORA RIVER』の標識がかかってあった。川沿いの未舗装路へ折れると、『FISH&GAME』の標識があったが、よく見ると『OUTBREAK CONTROL』の張り紙が...。マラロアリバーなどで北米原産の藻が大繁殖していて入川禁止になっていると聞いていたが、ここもそうかもしれない。外来の藻が発生したのは釣り人のウェーディングシューズが原因という話も聞いた(実はこの後買ったNZの釣り雑誌にこの藻の件が写真つきで大きく取り上げられていた)。ここでの釣りはあきらめることにした。
この後、昨夜のイブニングポイントに移動、天気は朝から快晴で、ぬける様な青空と心地よい風がとても気持ちいい。竿も少し出してみたが、なんだか必死で釣りをする気分にならず、少しのあいだ川辺でのんびりしてからモーテルに帰った。
今日は午前中に名河川エ(グ)リントンリバー沿いを北上した先にある『ザ ディバイド』というトレッキングコースの入口まで行き、実際に短時間でも散策してみることにしている。テアナウからは小1時間ほどのドライブだが、途中とても景観のいい場所がいくつもあり、立ち止まってばかりいたら思った以上に時間がかかってしまった。
『ザ ディバイド』についたのは、正午をまわっていたが、せっかくだからとみんなでトラックコースを歩いた。トラックの名前は『ルートバーン』、一昨日寄ったグレノーキーの町の先まで続くトラックで、ハット(小屋)に泊まりながら、数日間かけて歩くという。トランパーには非常に有名なコースらしい。往復1時間ほどの短い行程を散策した。鬱蒼とした森のにおい(香り?)がはっきりと感じ取れ、空気もとてもおいしく感じる。子供達はロードオブザリングの木の精(名前がわかりません)達が出てくるんじゃないかと一生懸命探している。途中岩づたいに流れ落ちている水を手で掬って飲んでみたり、途中の小さな滝で休憩しながらゆっくりと散策した。長女は最近おばあちゃんと一緒に蒜山・大山・駒ケ岳など山登りをしていることもあって、いつかこのトラックを制覇するんだと意気込んでいる。大きくなってから、自分でもう一度来ようと思ってくれたら、今回の旅は成功だ。
午後から再度テアナウの町に戻ってちょっと洒落の効いたカフェ(サンドフライ カフェ!)で昼食をすませ、今日の終点マタウラまでのドライブを開始する。
途中、ラムズデンの町によっておやつの買出し、公園で休憩をはさみながら(子供達は遊具で遊ぶ)のドライブとなった。あまりあくせくすることなく、ゆったりとした気分でのドライブがやはり楽しい。ラムズデンとマタウラの間の区間は大きな山などがなく、小さな丘陵地と広大な農地がどこまでも続くサウスランド地方の典型的な風景を楽しめる。この一帯はオレティ、マタウラ、マラロアなどフィッシング天国であり、フライフィッシャーの心をくすぐるようなカフェもあった。今回は小さい子供連れということもあって寄らなかったが、次回はぜひ寄ってみよう。
マタウラには夕方18:00頃着いた。ここでは2日間、というところにホームステイすることになっている。ここは4年前にも泊まったことがあり、今回が2度目である。ホスト夫婦のジョンとヘレンはとても親切で、広い庭には池があり、白鳥、アヒル、カモたちがいる。庭のまわりは大きな牧場で、たくさんの羊が飼われている。子供達が遊ぶには絶好の環境だ。(前回訪れた時、子供達と一緒に遊んだ、二人のお孫さんペニーとミカイラは夏休みでオーストラリアに帰省中。ちょっと残念)。KOWHAI PLACEには道に迷うことなく、スムーズに行くことができた。とても簡単な経路なので、別にどうということはないが、それでも楽しかった4年前の記憶が薄れてなかったことがうれしい。部屋に荷物を入れ、一段落してからマタウラリバーへ行くことにする。妻と子供達は庭に出て遊ぶらしい。カモたちに餌をやってくれるようヘレンに頼まれたらしく、張り切っている。
マタウラリバーへは車で1分、実績のあるポイントまでも5分ほどで着く。まずはマタウラブリッジを渡り、川の東側を下流に向かった。以前、イイ思いをしたポイントに下りてみるが、大増水していて、河原が水没している。考えていたのと異なる状況に少し戸惑い、別のポイントも見てみることにした。さらに下流の牛の放牧場付近へ移動、電気柵のゲートを開けては閉めるのを数回くり返すと、車は川のすぐそばまでつけることができた。
しかし、ここも河原などなく、水量がやたら多い。この夏は65年ぶりの冷夏で、荒れた日が非常に多く、雨が多かったと聞いていたが(1月の前半はまだ寒かったらしい)、マタウラリバーは4年前とは全然状況が異なっていた。仕方なく、マタウラの町の近くまで戻り、イブニングライズを待ったが、ハッチはなく、気温も思っていた以上に冷え込んできたので、早々に切り上げて宿にもどった。4年前には河原を移動しながら、ニンフを流したり、またライズを見つけてドライで狙ったり、またイブニングには流れのゆるいプールの中ほどにウェーディンングして四方八方で起こるライズを狙って手当たり次第にキャストするといった感じだったが、今回はどうもそういうわけには行きそうもない。明日はガイドフィッシングだが、どういう釣りになるのか不安でもあり楽しみでもあり...。
宿に帰ると、妻と子供達のほかに、見た目70歳くらいの老夫婦がいた。話を聞くと、なんと二人ともフライフィッシャーでアメリカから来ているとのこと。ここに来る前にトゥワイゼル周辺でヘリフィッシングもしてきたらしい。ヘリを使った贅沢な釣りも羨ましいし、さらに夫婦で(しかもその年齢で)NZに来て、釣り三昧。お二人ともとても柔和な笑顔が印象的だった。
《本日の釣行》 時間 8:30〜
9:00 釣果 0匹
19:30〜
21:00 0匹
7:00起床、着替えをした後、ヘレンの作った朝食をたらふく食っていたら、予定時刻8:00にガイドが迎えに来た。ガイドの名前はビル ロジャース、ヘレンとジョンの親しい友人らしく、二人に紹介してもらったガイドだ。地元ティマル周辺を中心にガイドをしているらしいが、マタウラ周辺もとても詳しいらしい。早速、ビルの車に乗り込み、マタウラリバーへ向かった。
昨日見た川の状況からしてポイント選びに思案するのではと思っていると、車は昨日私が入ったポイントに向かって下りていった。4年前、そして昨日ともに最初に入ったポイントである。心の中で『なんだぁ〜、ここかぁ〜。』と思いながらも、ビルの言う通りに釣りの支度をする。
準備を終え、ビルの後をついて川に下りると、当たり前だが昨日と同様、増水していて河原は水没状態。河原にある大きな岩場も半分ほど水に浸かっている。平たく、中央が少しくぼんだ大岩があり、くぼんだ部分には川とつながった直径3メートルほどの溜りができている。不意にビルが腰をかがめ、その溜りの方向を指差す。 いた!魚だ!
そこは昨日、川の状態を見ようとズカズカと歩いたあたりである。
魚までの距離は5メートルほど、溜りの中と川をゆっくりゆっくりと行ったり来たりしているようだ。魚の通るコースを確認し、ビルの差し出すフライを結んだ。ヘアズイヤーっぽいニンフ18番。
魚が尾びれをこちらへ向けているタイミングでキャスト、再度こっちへ向かってくるまで待つ。
川に戻っていた魚が再び溜りへ入ってくるのが見えた。同じコースを通って寄ってくる。
フライがある大体の場所はわかるが、フライそのものはまったく見えない。
その辺りを魚が通ったとき、魚の口が一瞬動いたのに合わせ、ロッドをあおった。
ググッ! ロッドが大きくしなった。
魚は最初派手に暴れたが、そこは浅い溜りの中、潜ることもできず、思ったより早くランディングに成功した。
ブラウントラウト 50数センチちょっと、川に下りて1分も経たぬうちに発見、5分後にはデジカメに収まった今回1匹目のマタウラブラウンだった。
続けて魚を探し、岩場の下流側先端まで行くと、今度は川岸と岩場の角、岩に張り付くように定位する魚を発見、サイズはさっきと同じかやや大きいか。ゆるい大きな巻き返しになっており、都合のいいことに魚はこっちへ尾びれを向けている。さっきのニンフをそのまま魚の1メートルほど先にキャスト、数秒のドリフトの後、パクッと咥えた。今度はしっかり見えた。2匹目キャッチ!
これも50センチオーバーの立派なマタウラブラウンだった。
これまでにオレティやアッパーワイアウリバーのパワフルブラウンを経験したせいか、フッキング後もあまり慌てることなく対処できている気がする。
釣りを始めて15分くらいではや2匹!
一皮向けたかぁ〜??と自画自賛状態を迎えた。
その後も、少し緩めの岸際の流れ、太い流れに続く水深30センチ程度の背ビレが見えるかと思うようなチャラ瀬などで2匹追加、いい気分で昼食を迎えられることとなった。
午後からはマタウラの町の少し北のエリアに移動する。天気は快晴、この辺一帯は、増水しているマタウラリバーにあって河原部分がしっかり残っていて、河原を歩きながらライズを探して釣りができそうな感じがするが、川に降りると対岸にフライマンが3人見えた...ザンネン。日本のいつもの渓であれば、ここは非常にツライ状況だが、NZの川では釣り人とポイントの比率が日本と正反対、他にもいいポイントはいくつもあるので、ぜんぜん余裕である。少し離れたところ、川岸の木々が川面に張り出しているポイントに移動、今日初めてウェーディングして魚を狙うが、思ったほどライズもないので、早めに見切って川をあがった。次行ってみよー!と大らかな気分でまたまた移動、今度はマタウラの中心部、マタウラブリッジのすぐ上流をのぞいた。
ここは水深が深く、大きな岩場があり、流れが水平、垂直に渦巻いており、水面には大きな泡の塊りがいくつもできている。泡の塊りをよく見ると時々魚がモコッ...モコッ...とライズしている。ガイドのビルは18番くらいの小さなニンフを使うよう薦めたが、よく見えるフライで、おおらかに楽しい釣りをしたかったので、今日まで出番のなかったオレティ用ハエフライ10番(ジャスコの手芸屋ビーズ仕様)をティペットに結ぶ。
魚はモコ...モコ...とライズした後、スーと水中に戻り、また違う場所で同じようにモコ...モコ...。ライズする場所は泡のあるところというのはわかるが、如何せん泡の塊りは大きく、それに幾つもあるため、予測しても当たる確率ははっきり言って低い...が、めちゃめちゃ楽しい!そうこうしているうちにうまくタイミングが合い、45センチ位のブラウンが釣れた。お気楽モードでの釣りはまた違った楽しさがあって最高だった。
次はまたまたマタウラリバーを北上、羊の放牧場の上流に入った。大きな木が川面に張り出しているポイントに降りる。ここは木の枝から色んな虫が水面に落ちてくるだろう。魚のいる気配がムンムンだ。岸際をストーキングしてゆっくり歩きながら魚を探す。水深40センチくらいの小さな入り江になっているポイントを身をかがめて注視するとやはり魚がいた。例のもれず、この魚もゆっくりクルージングしているようだ。18番のニンフを結び、上方の木を避けるようにサイドキャスト。フライは見えないので、魚の挙動を見てロッドをあおった。数分の格闘の末、釣れたのは50センチオーバーの元気のいいブラウンだった。
最後にもう一度朝一番に入ったポイントの近くまで戻り、川沿いの水面から4〜5メートルくらい高くなった草地を歩きながら、サイトで釣って今回のNZ釣行は終了となった。
今回のマタウラリバーはマタウラ特有のラスティカラーのメイフライ(特に夕刻に起こるスピナーフォール)のマッチザハッチとはかけ離れた釣りとなったが、ポイントを次々と移動しながらのサイトフィッシングはそれはそれでとてもおもしろく、4年前に続き、今回もNZの川そして釣りを満喫できた。ほとんどの魚は岸際の流れのゆるい場所に定位していて、コツをつかめばそれなりに多くの魚と対峙できると思う。ただ、見える魚のほとんどがとても警戒心が強く、ワンキャストでフィーディングレーンにのせなければスプークしてしまう(だからおもしろいのだが...)...。実は最後のポイントで岸際に4〜5匹のビッグブラウン(そのうち2匹は70センチクラス!)が定位しているのをみつけトライしたが、すべての魚に無視されてしまった。眼前に70センチモンスターが見えるのに手も足も出ず、トータルとしての満足感と最後の最後でビッグブラウンに無視された悔しさの入り混じった納竿となった。NZには必ずまた来ると思う。その時にはもう少し腕を磨いておくことにしよう。
《本日の釣行》 時間 8:30 〜 20:00 釣果 7匹 (45〜55センチくらい)
【1月26〜29日】
今日はインバカーゴ発の国内線でクライストチャーチまで移動する日だが、フライトは夕方なのでそれまで家族とゆっくり過ごすことにする。午前中はゴアの町で買い物をし、ひいきのラグビーチーム《NPC サウスランド》のTシャツをゲット、店内に張っていた同チームのポスターをわざわざ剥がしてまでプレゼントしてもらった(サウスランドのユニフォームを着ていたのが良かったんだろう)。
午後からはインバカーゴまで車で移動、町に入って今回の旅で最初の信号を見る。そのままサウスランドチームの本拠地《インバカーゴ ラグビースタジアム》を見に行く。正面ゲートは閉まっていたが、事務所らしきところにスタッフが見えたので、ダメもとで片言英語でお願いすると、意外にもあっさりとグラウンドまで入れてくれた(これもサウスランドのユニフォームのおかげ?)。釣り以外の旅のもう一つの目的がこのスタジアムに来ることだったのだが、グラウンドの中にまで入らせてもらい、また帰り際スタッフからポスターやブックマークなどチームグッズをたくさんいただくことができて大感激だった。これからも今まで以上にサウスランドを応援することにしよう。
頑張れ STAGS!!
その後、少し早めにインバカーゴ空港に行く。レンタカーの返却時間に遅れたらまずいと思い、そうしたのだが、レンタカー会社のカウンターに行ってみると誰もいない。飛行機のチェックインカウンターも同じ。なんともローカルな感じで、いかにもNZらしく思えた。レンタカーのキーはカウンター上の小さな穴に放りこめばいいみたいだったのでそうしておいた。この後はクライストチャーチで3日間過ごすことになっている。釣りはおしまい、後は家族と一緒に楽しむことに専念しよう。
クライストチャーチに入ってからは、中学時代の先生の奥様宅(奥様と子供達だけで第一次移住、先生は数年後に移住されるとのこと。羨ましい!)にお世話になりながら、リトルトンでのドルフィンウォッチングや先住民マオリのショー(HAKAに参加!)を楽しんだり、先生の子供さん達(Christchurch Boy‘s Highschoolに通っている。NZオールブラックスの新スタンドオフ ダニエル カーターもこの学校出身)と市内中心部の大きな公園ハグレーパークにあるハグレーゴルフクラブで優雅にラウンドしたり(我が子たちはバンカーで砂場遊びに興じてました)して過ごした。そして29日早朝クライストチャーチ国際空港から日本にむけて出発、家族5人ケガや病気もなく、無事に帰路に着いた。
今回の旅は前回の旅とほぼ同じルートをまわった。クィーンズタウンは超がつくほどの観光地なので別にして、ゴアやマタウラなどは4年前の記憶とほぼ同じだった。とりわけ川は何もかも前のままだった(増水は別にして)。今、我が家の近くの川で必要とは思えない護岸工事が行なわれているが、やるせない気持ちになる。護岸など一切ない自然のままの川畔、とうとうと流れる川はリバーランズスルーイットそのものだ。町なかを流れるマタウラリバーでさえ、夕暮れは目を見張るような美しさを見せてくれる。変わることも大事だが、何も変わらないことの素晴らしさを感じられた今回のNZの旅、私たちにとっても、子供達にとっても非常に有意義なものになりました。