裁判外紛争解決(Alternative Disput Resolution)ADR |
1 ADRとは
自ら又は代理人を立てて、調停機関や仲裁機関に事件を持ち込んで解決を図るため、訴訟以外の方法で事件を解決することを「裁判外紛争解決」(Alternative Dispute Resolution)といい略称ADRといいます。 |
2 ADRの歴史
特にアメリカで訴訟の多発により、時間とお金をかけない代替的手法としてADRが発達しました。そのための法整備がなされています。 |
3 ADR機関
行政型ADR |
国又は地方自治体が運営するもの |
労働委員会、
紛争調整員会
労働相談情報センター
におけるあっせん等、 |
民間型ADR |
民間団体が運営するもの |
社労士会労働紛争解決センター
(社)国際商事仲裁協会
(社)日本海運集会所
(財)交通事故紛争処理センター
(財)日弁連交通事故相談センタ |
司法型ADR |
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民事調停、家事調停、労働審判 |
4 訴訟とADR
相違点 |
訴 訟 |
ADR |
100対0の勝ち負けで結論が出る |
割合的解決、多様な解決を用いる |
請求権を構成する要件事実で判断 |
事案の内容、当事者の事情による多様な解決 |
三段論法による結論導出 |
三段論法にこだわらない |
自由意志を前提として判断 |
潜在意識にも注目して解決 |
紛争を請求権の形で処理 |
請求権の形をとる前の事実問題も処理 |
性格上の相違点 |
訴 訟 |
ADR |
証拠法則や弁論手続き等が厳重 |
柔軟かつ不定形的手続き |
公開原則 |
非公開原則、プライバシィーを守る |
審理中に心証を明らかにしない。
予測不可能 |
心証を開示してこれを軸として解決を図る。
予測可能性が高い |
過去の事実を明らかにすることに精力集中。過去志向 |
当事者がこれからどうするかが関心事。
将来志向 |
5 ADRの拡充・活性化の意義
社会で生起する紛争には、、その大小、種類などにおいて様々なものがあるが、事案の性格や当事者の事情に応じた多様な紛争を解決方法を整備することは、司法を国民に近いものとし、紛争の深刻化を防止する上で、大きな意義を有する。裁判外の紛争解決手段(ADR)は、厳格な裁判手続と異なり、利用者の自主性を生かした解決、プライバシーや営業秘密を保持した非公開での解決、簡易・迅速で、廉価な解決、多様な分野の専門家の知見を生かしたきめ細かい解決、法律上の権利義務の存否にとどまらない実情に沿った解決を図ることなど柔軟な対応も可能である。(司法制度改革審議会の意見書より) |
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