小説

月の歌の物語 その2  中2  晶子

 

学校の帰りに見つけた見慣れない路地を進んでいくと小物を売っている店を見つけた。

店先に置いてあった商品の一つを何気なく手にとって、私ははっとした。

それは小さなオルゴールだった。私はそのオルゴールを知っていた。

前にお母さんの妹、つまり私のおばさんが、旅行に行ったお土産に買ってきてくれたものだった。

長方形のはこの形で、表面がつるつるしていた大理石のような高価そうなオルゴールである。

ふたを開けると音楽が流れるのだが、もらったとき5歳だった。私はふたを開ける前にそのかぎを無くしてしまい、音を聞いたことも、中を見たことも無く、そのまま置物になってしまっている。

かぎがほしくてしょうがなかった私は、一度だけどこで買ってきたのか伯母さんに聞いたことがあった。

しかし、なぜか叔母さんは絶対に教えてくれなかった。旅行先がどこだったかも知らなかったので、もう諦めるしかなかった。それに旅行が大好きな伯母さんは、先月またどこかへ旅立ってしまい、いつ帰ってくるかもわからない。そんなに旅行にばかり行って、仕事は大丈夫なのかとも思うが、あの人は作家なのである。私は作品を読んだことは無いが、いつも原稿用紙を持っているので、どこでも仕事ができるのである。

(ここで買ったんだ。こんなに近くだったらもっと早く見つけられたのに。)

 

オルゴールを手に持ったまま、私はしばらく立ち尽くしていたが、ふと裏側に文字が彫られていることに気づいた。ローマ字で真中に「KATA」と書いてある。

「カ…タ…。肩?」

 

思わず声に出してつぶやく。

私のには、こんなもの彫られていなかった。

オルゴールを元の場所に戻すのも忘れて、私はまたその場で立ち尽くしていた

 

 

 

空想の世界      リザードン

 

 ふつうの家に、ふつうに暮らしている女の人がいました。

その人の名前は、夏美といいました。夏美はいつも本当にはありえない空想を考えました。夏美は誰よりも空想を愛し、工作では、その自分の空想でいろいろな物を作っていました。まるで夏美は、天使のように、いつも何を言われても、明るいのでした。

 夏美は学校は大っ嫌いでした。

そのわけは、行くと男が夏美の気にしていることや、悪口を言ったり、いじめたりするのです。それは男に限らず、女も同じでした。クラスに限らず6年の人全員がそうでした。そう、夏美は6年生です。

まるでシンデレラのようです。もう苦しくて苦しくて、家に帰るなり、すぐベッドで泣いていました。

学校では泣けないので、家でその分泣いているのです。それはいつもでした。

 そんなある日のことです。

夏美の前をさっと通る大きな影がありました。

ついて行くと、なんと自分の空想していた怪獣でした。その怪獣はひどくぐったりしていて、大きな大変な傷を負っていました。夏美は怪獣がいるなんて信じられませんでしたが、傷ついていたので、すぐかけよってみて、

「だいじょうぶ?」

と聞きました。

すると怪獣は、

「うっ……うん。」と答えました。

夏美は

「ちょっと待ってて!」

と言うとチーターのように走っていきました。

そしてすぐに戻ってきて、手当てをしてあげました。その怪獣には羽があって、その羽は2m30cmありました。身長は3m80cmもあり、夏美は乗れてしまう大きさでした。羽の色は黒が少し光っていました。体の色はまぶしく光る黒でした。その怪獣の名前を聞くと「オレは………。ファイヤー・ドラゴンだが………。」

と答えました。そして続けて「オレは君を探していたんだ。」と言いました。

「えっ私を!」

夏美はビックリしました。

そして、ファイヤードラゴンは、夏美を‶ひょい″と背中へ乗せると「いくぞっ!」というが早いか、空へふわりと浮き上がり、空を飛んである方向へ一直線に向かいました。ず〜〜っといくと、とげの生えた決して、親に「行ってはいけない。」と言われた所へ行きました。そしてそのとげの生えた山にファイヤー・ドラゴンが降りたのです。ファイヤー・ドラゴンは言いました。

「この山は、親が言う危ないところじゃない。ここには、おまえの好きな、おまえが考えた、空想の生き物がいるんだ。」

「えっ!?」夏美は驚きました。

ファイヤー・ドラゴンは「おまえ、いつも親がいないだろ。だが、親から、いなくなる前に、聞いたことを信じていた。向こうの人の世界に行くといじめられてかわいそうだ。だから、………。いっしょに生きて、住んでほしいんだ。あと、この村は、まったく平和ではないんだ。実は。この村にも、悪いやつがいて、この村の動物や、生き物を、かみ殺していくんだ。そいつらを倒すには、おまえの力が要るんだ。いいだろう?そいつらの‶軍″の名は、デビル団というんだ。なっ。やってくれるな?」

夏美は「う〜〜ん?」と考えると、いきなり「うん、そうする!」と言いました。

ところがつぎの日、起きると自分の部屋にいました。でも夏美は、怪獣のペンダントをかけていたので、ビックリしました。そのペンダントを2回たたくと、魔法の杖が出てきて、何にでも変身できました。

夕方6時30分になるとファイヤー・ドラゴンが迎えにやってきました。

その次の朝は、ファイヤー・ドラゴンの所にいました。

そう、その日からずっといっしょです。

そして次の日になりました。となりの国のデビル軍団が攻めてきました。夏美は「きゃ〜どうしよう。キャ〜キャ〜。」とあばれていました。

「静かにっ!」ファイヤー・ドラゴンが言いました。

いよいよ対決の始まりです。

相手チームのボスは大物のライオンで、たてがみがとても立っていました。ファイヤー・ドラゴンは少し首をかしげました。

そして次の瞬間、ボスライオンにファイヤー・ドラゴンがかみつきました。するとライオンは「ガォー。」と声を上げて仲間を呼びました。するとぞくぞく10匹のおおかみやらライオン、猛獣が出てきました。

ファイヤー・ドラゴンは

「なに〜11対1とはひきょうだぞ!」と言って、夏美を呼びました。

「おい夏美早くこっちへ来て手を貸してくれ!」

夏美は弓矢を持っていきました。

そしてライオンのボスめがけて矢を放ちました。一発目は外れました。そして2発目を放ちました。

みごと矢はライオンのボスの胸に命中しました。ところが元に戻ったではありませんか。

ボスは元に戻ると今度はファイヤー・ドラゴンにかみつきました。

ファイヤー・ドラゴンはこのために夏美に見つけられたとき傷だらけだったのです。

夏美ははっとしました。まるでライオンがいばらのとげのように見えたのです。そしてその時夏見のペンダントが光りました。そして弓矢が金色に変わり、尖り方がすごくなり、光リ始めました。

夏美はそれをまるで怒った空や風のように持ち構えて、放ちました。すると見事に当たりそのライオンは倒れ、2度と生き返りませんでした。

そして平和になりました。こうして村を救った夏美は村の人気者になりました。

こうして夏美はその村のみんなと仲良くなりました。

 その1週間後でした。

夏美の背中に大きな黒い羽が生えてきました。

その羽は空を飛ぶことができるので、ファイヤー・ドラゴンといっしょに空を飛び、遊びました。

 

こうして夏美は村で評判の魔法使いの夏美となり、時には色んな人を助けました。

そしていつまでもいつまでも幸せに暮らしました。

 

皆さんも、もしかしたら会えるかもしれません。

空想を信じるなら。

 

 

緑の物語     中3   文月琴葉

 

 その約束とは「10年後またここのアネスト湖で会おう。」

こんなちょっといい加減でありふれているそんな約束でも嬉しくてウキウキしてしまうなんて……。

まだ遠い話なのに。

そして翌日。

またいつもの毎日が始まると思われた。本当に午前中はいつも通りだったからだ。ただ少し違うと言えば、学校に行く道のりで、いつもは見る角の家の花壇や、ありの大名行列も見れなかったところぐらいだ。

しかしいつも見るはずの景色を見れないほどに時間に余裕が無かったわけではない。

むしろ早く出た筈だった。今思えば考え事をしていた。その考え事とはアガットと昨日話した、「将来について。」

旅人とは言ったもののちょっと非現実的かなぁ。

なんか遊び歩いている感じだもんね。でもやっぱりかっこいいと思う。自由って感じで。しかしその反面その旅人さんたちから大変だと言うことはかねてから聞いている。(しかも生々しく)ってことをあきもなく考えていたのだった。

しかもそんな日が続いた。

幾日かたってから村で事件が起き始めた。

その事件とは村のはずれにある林の木が次々に倒れているのだ。

その原因はどうやら私たちにも関係があるらしい。原因はこの村に訪れる旅人さんが、おそらく記念に木の幹に何か彫っているらしい。それもここの林はかなり有名なのだ。それにこの木の性質は少しでも傷つくとすぐ枯れてしまう。そうした原因が重なってこうしたことになってしまったのだ。

 私はこのことを確かめるために林に向かった。

林につくと私は唖然としてしまったのだ。

ひどい、ひど過ぎる。あまりのことに声も出なかった。木々は倒れ、まるで死の森だ。周りが薄暗いせいかとても不気味だ。

大きい滴が目から流れ落ちた。もう何がなんだかわからなくなって、もうだいぶ弱っている木の所へ行った。その木の傷口をなでてあげた。すると……。

 

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