祭り
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八 木 保 次
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異常気象と言われた今年の冬、なかなか春は来ない様だったが、気がつくと、多くの花が一気に咲いていた。山桜が咲き、こぶしが咲き、そこここの家の庭の木蓮も白い花をつけた。昔からの北国の春の姿。まわりの山を見ていると、毎年同じではない。昨年は強い風が吹いて、多くの倒木もあったり、風景が変ってしまった所もある。
今年の冬は冬眠したいと思っていた。巣の中でジーつとして眠っている様な、夢を見ている様な―。我が家の裏山には、熊はいないが狐やリスがいる。雪が長く降ると、彼らも動かず、何日もじっとしている様だ。
ある朝、晴れると真白だがさだかでない空を、北リスのファミリーが森の梢のあたりに滑走していた。鳥の様に―。雪が湿布の様に落ち、白の天幕を開いて行く。白の祭典である。
この白の下には、立ち並ぶ家々の屋根の赤や青、黒い木々の姿が浮んで来る。そしてこれから来る、春の明るいピンク、うす緑や赤紫も―。
彩りとは、真白の一歩かなたの白である。
道彩展が25周年を迎える。ここまで続いたのは、皆が動物に近い無償の気持でやって来たからでないか―。
この祭典がまだまだ続くことを祈っている。
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