道彩展と私

春陽会会員
女流画家協会委員
全道展会員
八 木 伸 子

 東京から札幌に戻って、はじめて水彩の教室を受け持つことになったのは、23年前のことです。それまで絵は教えるものではないと思っていました。ただ永年苦労して描きつづけたことで、何か初心の方にアドバイス出来るかと、お引き受けしたわけです。私は主に油絵を描いていますが、海外の油の作家は皆水彩も描いていて、ピカソやシャガール、セザンヌの晩年の水彩などいい作品が沢山あり、制作の参考にしていました。
 道彩展が発足した時、それまで北海道の水彩が、非常にかたよっていると思っていましたから、自由にいきいきした会になればと期待しました。ただ八木と二人で審査などしたら、又問題も起きると考え、あくまで黒子として、会の外から協力しようと決心しました。
 ただ、公募展は出品者がいなくては成立しません。
 だから教室の人は勿論油絵を描いている人達にも出品をすすめました。出品をすすめた人が次々最高賞をいただいたり、いろいろの方が成長するのを見るのは、うれしいことでした。近頃では中田やよひさんや、折登朱実さんなど、中央の展覧会で油絵作家の中にいても目立つ存在となっております。
 何しろ、道彩展で皆さんの作品を見ると、いつも新鮮な感動でドキドキし、早く家に帰って絵が描きたくなる私でした。
 最近では一般出品の水準が上がり、早くに会員になった方達も負けてはいられなく、それぞれ努力されているのが感じられます。ただ会員という名に甘えることなく、審査という重責もあるのですから、いい絵とは何か、日々お勉強(私もですが)して頂きたいです。
 いつまで続くか危ぶまれたこの会が、二十周年を迎えるには、小堀氏の人知れぬご苦労、古参の方々のご努力も忘れられないことです。今回で又初心に戻り、いきいきと独特の魅力あふれる会に発展なさること、お祈りしております。



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